漢方で絶対に必要なこと
漢方治療においてのプライドを捨てる重要性
漢方治療で最も大事なことは「自分が治してあげる先生」というプライドをもたないこと。「先生」というプライドを捨てることから漢方が始まります。いくら東洋医学の難しい診断理論や何百種類もある漢方薬を全て知っていても高いプライドがあるとそれらの知識は全て台無しです。
ただしプライドを持たないほうがいいといっても、漢方家として頼られたからには「困難な病気や症状であっても絶対に治す!」という自分に対するプライドは必要です。
余計なプライドをもってしまうことがなぜ治療に影響するのか?
それは漢方の治療原則である体質に合わせて漢方薬を選ぶことと関係しています。
漢方は自覚症状、西洋医学は他覚症状によって診断する
漢方は自覚症状をお聞きして、その数ある自覚症状を分析、整理して体質を判断します。西洋医学と決定的に違う部分がこの部分です。
西洋医学でもいろいろと問診をしますが西洋医学では患者さんが主張されていることよりも化学的な血液検査など、機械が調べた他覚症状的なものを重視します。
自覚症状は「本人の思い」がはいってきますので、ある同じ症状をお聞きしても、人によって違ってくることもありますが、機械などで調べたものは誰が検査しても変わらない客観的なものです。
西洋医学では最終的には、その人の思いや価値観が混ざった状態ではなく機械で調べた客観的で冷徹な情報をもとに治療します。
病院で、ある西洋薬の薬で良くならなかったら、「この薬で治るはず・・・」「その症状は気のせいじゃないの?」など患者さんの精神的な問題(思いや価値観)じゃないかと言われたりすることがあると思います。
なぜこういった風に言われるかというと西洋医学では「機械の検査で出た結果を元に診断し処方した薬で間違いないはず」という理屈が成り立っているからです。
だから効かなかったら「そのルールからはずれているイレギュラーな人」になってしまい「患者さん自身の思いや価値観で勝手にそう思っている」と片付けられてしまいます。
漢方は自覚症状が全て
ところが漢方は西洋医学と全く異なります。漢方では機械の検査はありません。患者さんの主張される自覚症状を元に体質を分析して、その体質に合った漢方薬を選びます。
お聞きした自覚症状の情報がおかしくなると分析する体質がおかしくなり処方する漢方薬がおかしくなります。結果、体質に合っていない漢方薬は治らないどころか副作用すら起こす危険性が出てきます。
そのため漢方では治療の始まりであり、全てである自覚症状を正しくお聞きするためにリラックスして本音を語っていただかなくてはいけません。
先生が怖そうだったり、偉そうだからって萎縮してしまうと症状を伝える時に素直に本音を言えなくなってしまいます。
だから「自分が治してあげる先生」とした態度ではダメだと思うのです。
「僕は東洋医学と西洋医学を知っているよ。だから相談にのろうか?」というような上から目線で相談するのではなく一緒に治療してくパートナー的な関係が望ましいと思うのです。
そのような関係であれば本来の自覚症状をお聞きすることができて、正しい自覚症状の情報は適切な体質判断につながり適切な漢方薬を選ぶ事ができますので、結果、早く治ることにつながります。
そういった漢方の性質からコミュニケーションのとりづらい漢方相談なんて話になりません。
もし、あなたが「話しにくい先生」と感じているならその時点で効果は半分位だと考えたほうがいいかもしれません。
漢方は一緒に微調整しながら治していくもの
また漢方は初めに決めた漢方薬を飲み続ければ治るというものではありません。
漢方薬の効果というのはあくまで
結果
によってわかります。
体質を考えた時点で「この症状がこう良くなるだろう。あの症状がこうよくなるだろう」と推測を立ててその推測通りにいっていれば効果があったということになります。
その後、いろいろな自覚症状の変化をお聞きして漢方薬もその微妙な変化に合わせながらいろいろ変更します。
患者さんと僕が一緒に調整を考えていかないといけないので余計なプライドがあって、気を使う中だと話合いが成立しないため細かな調整ができなくなります。
また調整していく中で良くなっていない部分ははっきりと「良くなっていません」と言ってもらわなければいけません。
「せっかく治してくれているしプライドの高そうな人だから、あまり悪いことは言わないでおこう」ってなってしまうと僕は正しい自覚症状が聞けなくなってしまうのですね。
当店の相談では僕のことを一緒に考え治していく「なんか医学に詳しいパートーナー」だと考えてください。
実際に当店では、屈託なくお付き合いいただいている人ほど早く治っているように思います。
治療中の人でも相談の後に一緒にギターセッションしたり、ゲームや漫画の貸し借りなんかも気軽にしていたりしますので気構えずになんでもお話いただけたら僕も助かります。