漢方薬相談ブログ

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アトピー性皮膚炎とは

アトピー性皮膚炎とは(概要解説)

アトピー性皮膚炎(AD)とは遺伝的な要因と生活の中の要因が絡み合って,免疫の過剰反応により皮膚の炎症が起こることです。

湿疹の状態は軽い赤みから苔癬化するような重度のものまであります。

今日の治療指針より引用:
血清IgEや抹消好酸球の増加、病変部皮膚での好酸球、リンパ球、肥満細胞などの湿潤を認める。
天然保湿因子、角層間細胞脂質量の低下があり、経表皮水分喪失量が顕著に更新している。

こちらの説明はなんか難しく説明しているだけで、要は皮膚が赤くなり、かゆくなって皮膚が乾燥してボロボロになり、その状態を繰り返すのがアトピーと説明しています。

アトピー性皮膚炎とはどんな状態か?

医学書や医学系Webサイトには、いろいろと難しい説明がありますが、要は赤く腫れた湿疹が常に発生し常にかゆく、乾燥したり、汁が出てグチュグチュになったりを繰り返している状態ということです。

皮膚科のガイドラインだと「皮膚のバリア機能」「アレルギー炎症」「瘙痒」と分けて考えたりしますが、結局、現実の治療ではどれだけ細かく分析したところでステロイド剤を処方し続けるだけということです。

西洋医学関連の資料では期のアトピーは成人期に治る人のデータが多いとされていますが、そもそも小さい頃の湿疹は、成長期の体の成長における免疫や皮膚の調整段階の問題もあると思うので、いわゆる大人のアトピーとは病態が全く違うのではないかと思うのですが、西洋医学ではなんとなく大人になれば治るという感じを含めたいみたいですね。

ガイドラインによる診断基準

アトピー性皮膚炎診療ガイドライン 2016 年版より引用:
アトピー性皮膚炎の診断基準
1.瘙痒
2.特徴的皮疹と分布
1皮疹は湿疹病変
◦急性病変:紅斑,湿潤性紅斑,丘疹,漿液性丘疹,鱗屑,痂皮
◦慢性病変:浸潤性紅斑・苔癬化病変,痒疹,鱗屑,痂皮
2分布
◦左右対側性
好発部位:前額,眼囲,口囲・口唇,耳介周囲,頸部,四肢関節部,体幹
◦参考となる年齢による特徴
乳児期:頭,顔にはじまりしばしば体幹,四肢に下降.
幼小児期:頸部,四肢関節部の病変.
思春期・成人期:上半身(頭,頸,胸,背)に皮疹が強い傾向.
3.慢性・反復性経過(しばしば新旧の皮疹が混在する)
:乳児では 2 カ月以上,その他では 6 カ月以上を慢性とする.

以下はアトピー性皮膚炎から除外するための診断です。

アトピー性皮膚炎診療ガイドライン 2016 年版より引用:
除外すべき診断(合併することはある)
◦接触皮膚炎 ◦手湿疹(アトピー性皮膚炎以外の手湿疹を除外するため)
◦脂漏性皮膚炎 ◦皮膚リンパ腫
◦単純性痒疹 ◦乾癬
◦疥癬 ◦免疫不全による疾患
◦汗疹 ◦膠原病(SLE,皮膚筋炎)
◦魚鱗癬 ◦ネザートン症候群
◦皮脂欠乏性湿疹

そもそも、診断基準も何も西洋医学では原因がわかっていないわけです。

そして、実際にアトピー相談を受けている僕からすると除外する他の湿疹もなにも手湿疹や脂漏性湿疹、疥癬 ◦免疫不全による疾患が併発しているなんて普通にあります。

(合併することはある)なんて書いてあってそもそも何のために除外するの?と意味不明です。

原因がわかっていないアトピーをわざわざ分ける必要ってあるのでしょうか?

いろいろな湿疹がありますが、現実的にこれらをはっきりと分ける診断方法はありません。

実際に二次性の細菌性の感染症を合併することも多く、根本の原因にアレルギーの過剰反応がありますので、蕁麻疹なども合併することもあるので、結局、よくわからない湿疹という状態です。

アトピー性皮膚炎を診断するための検査

診断は湿疹の見た目や家族の人にアトピーの人がいるのかなどで診断しますが、現実は、ほぼ細菌性の湿疹でもアトピー性皮膚炎と診断していたりと、現場では適当な診断が下されていることが多いです。

皮膚テストをすることもありますが滅多にしません。
プリックテスト、パッチテスト、または血液検査(放射性アレルゲン吸着試験RAST)を行うこともあります。

主にアトピーの原因物質を探すためにしますが、現実的にはアトピー性皮膚炎は何か1つの原因によって引き起こされているのではなく生活環境、食事、精神活動などいろいろなものが複合的に関わっているので、検査をしたところで検査結果は現実にはあまり役に立たないことが多いです。

重症度を調べるために末梢血好酸球数,血清 LDH 値,TARC 値などを調べることもありますが、どれだけ、細かく調べたところで、結局、治療は昔から使っているステロイド剤の処方ほぼ1択です。

アトピー性皮膚炎の治療

ほぼ、概要のステロイド剤の使用です。

必要な量を必要な期間,使用することが重要である。
合わせて、ステロイド剤の内服や抗ヒスタミン剤の内服をすることもあります。

プロトピックなどの免疫抑制剤や重度の場合はシクロスポリン、アザチオプリンなどの免疫抑制剤を使用します。

乾燥が強い場合はワセリンで保湿します。

アレルゲンになりそうなものの除去やスキンケアを推奨する皮膚科もあります。

メルクマニュアル プロフェッショナル版より引用:
スキンケアによる対策として以下の方法がある
水による加湿
通常の石鹸ではなく石鹸代用品の使用
希釈した漂白剤またはコロイド状オートミールによる入浴
皮膚軟化剤(例,白色ワセリン,植物油,親水ワセリン)の塗布
湿潤ドレッシング
コールタールクリームまたはコールタール油の塗布

西洋医学では大体、潤すことを目的としていますが、現実は乾燥させないといけない時期もあるし、潤さないといけない時期やタイプがあり、これも人それぞれの湿疹を「アトピー」と一括りしにした弊害ですね。

実は西洋医学のこういった画一的なマニュアル治療の大きな問題があります。

アトピー性皮膚炎は西洋医学でも認めている通り、原因が不明で原因と考えられる要素はいろいろと考えられます。

皮膚科が行なっている治療は、全て対症療法とよばれるもので一時的に皮膚の炎症やかゆみを抑えるだけのものです。

しかし、アトピー性皮膚炎は遺伝や生活環境、精神活動なども関わっているため、一時的な効果でしかないステロイド剤などでは、湿疹が発生した後の炎症やかゆみを薬の効果がある何時間か抑えているだけで湿疹が発生する原因そのものに対しては何ら治療していませんので、治癒が一歩も前に進まない問題があります。

また、ステロイド剤などは、細菌性感染症を誘発してひどくさせることもあるので、長期間、繰り返し使うことはかならずしも治療とはいえません。

うちの患者さんの中には何年も皮膚科に通って治らないため「いつになったら根本的に治るのか?いつになったらステロイドをやめることができるのか?」はっきりと聞いたところ「根本的にはいつ治るんかわからない。ステロイドは一生、やめることができない」とはっきりと言われました。

なぜか皮膚科の医者は毎回再発する治療方法しかないにも関わらず、延々と通院させますが、あなたが根本的には治りたいのであれば、2回目の治療で「今後、どれくらい続ければ、根本的に治るのか?」としった見通しをちゃんと質問しておいたほうがいいです。

そうでないと自分自身は「なんとなく通っていたら根本的に治るかもしれない」という幻想で意味のない通院を繰り返すことになります。

根本的に治るには生活のこともちゃんとしないといけないと医者から言われるのであれば、「具体的にどんな生活や精神活動の改善を行えば良いか?」そしてこれも、これらを実行すれば「どれくらいで良くなってくるのか?」の見通しを質問したほうがいいです。

治療の見解や見通しを聞くと「治るかどうかなんてわからない」と言いますので「治療の保証をしてほしいのではなく、あなたの実務経験と専門家としての知恵から考える見解と見通しを聞かせてほしい」と質問したほうがいいです。

医者のガイドラインにも以下のように書いてあります。

アトピー性皮膚炎診療ガイドライン 2016 年版より引用
「必要な量を必要な期間,使用することが重要である」

質問に対する態度をみて今後の治療を継続するかどうかを決断しないと西洋医学的に根本的には治るエビデンスがないのに勝手に根本的に治ると勘違いして意味のない通院を繰り返すことになります。

アトピー性皮膚炎の根本的な治療方法とは?

ステロイド剤、抗ヒスタミン剤、免疫抑制剤は発生した炎症やかゆみを抑えますが、発生する原因は何も治療しません。

これらの薬剤は複数の副作用があるため、長期間の使用は体によくありません。

メルクマニュアル プロフェッショナル版より引用:
外用製品を頻繁に使用すると,多くの潜在的アレルゲンに曝露されることになるが,それらの患者でよくみられる全身性の乾燥皮膚がADを増悪させ,複雑化させるのと同様に,それらの製品により生じる接触皮膚炎もまたADを増悪させ,複雑化させる要因となる。

何が書いてあるかというと、病院の薬は長期間、頻繁に使用するとアトピー性皮膚炎をより複雑にし悪くもするということです。

何しろ皮膚科の治療の目的は、すでに発生してしまった湿疹をステロイド剤、抗ヒスタミン剤、免疫抑制剤によって一時的的に抑えることであって、根本的に湿疹が発生しないようにすることではありません。

これは西洋医学的に原因がわからず、考えられる原因は遺伝や生活環境、精神活動などにもあると認めているところからもわかります。

つまり、アトピー性皮膚炎を根本的に治したければ、皮膚科の治療方法では無理だということです。
皮膚科の治療は一時的な応急処置みたいなものなので、何か他に根本的に治療する方法を行うことが必要だといういことが、西洋医学の説明からもわかります。

漢方療法のガイドラインはデタラメ

アトピー性皮膚炎診療ガイドライン 2016 年版より引用:
「二重盲検ランダム化比較試験の中で国内の一般的な皮膚科で処方が可能な方剤に関するものは「消風散」68)と「補中益気湯」69)を用いた2件のみである。」

とありますが、漢方薬は西洋医学の理論で使用する薬ではありません。

「西洋医学の試験で認めたれた云々」が漢方治療と何の関係があるのかもよくわかりません。
漢方専門家からみると全くの意味不明です。

その証拠にこの引用文の末尾には、

アトピー性皮膚炎診療ガイドライン 2016 年版:
「一方で別の研究班からは否定的な報告72)がされた.「アトピー性皮膚炎には A という方剤」という画一的な処方や,皮疹の性状から方剤を選択することの有用性に関する評価も含め,アトピー性皮膚炎に対する漢方療法については今後も慎重な検討が必要である」

なんて自分で書いて自分で「漢方薬の効果的な使い方ができていないかも」と自爆しています。

正しく漢方薬を使用して治す方法は別の記事で紹介します。

【引用先及び参考図書、Webサイト】
◯今日の治療指針:医学書院
アトピー性皮膚炎診療ガイドライン 2016 年版アトピー性皮膚炎(湿疹) - 17. 皮膚の病気 - MSDマニュアル家庭版
アトピー性皮膚炎(湿疹) - 14. 皮膚疾患 - MSDマニュアル プロフェッショナル版

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

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