不妊症のドラマ『隣の家族は青く見える』と現実の不妊治療
最近、何人かの患者さんと話をしていて不妊症のドラマ『隣の家族は青く見える』の話題が出ました。
僕は、テレビを一切見ないので(テレビを見る時はゲームをしている時)、「えっ!不妊症のドラマ!?不妊治療って、辛いことも多いのにわざわざ、テレビで見るの?」とものすごく不思議でした。
それこそ僕たち夫婦も実際に不妊症に悩んでいた時期があったし、十何年間、漢方相談で患者さんの不妊治療のドラマ(と言ってよいのかわかりませんが)を見てきているので、「わざわざ、テレビで娯楽として見る」という感覚がよくわかりませんでした。
ある患者さんは、うちの漢方治療で授かった方で、もともと西洋医学の不妊治療に違和感を持っていて、一切、西洋医学の不妊治療はされていませんでした。
今は、子供を授かっておられるのですが、西洋医学の不妊治療をしていたら、どんな風だったのかが気になったのかもしれません。
ドラマを見て『病院の不妊治療は怖い』と思い、また『自分自身は西洋医学の不妊治療に手を出さずに漢方薬のみで子供を授かれてよかったです』というお礼のメールをご丁寧に送ってくださいました。
もう一人の方は、何年か、体外受精もどっぷりと病院の不妊治療をされた方で、病院の治療の後、体がボロボロになって、うちに相談に来られた方です。
『なんで、今更、病院の不妊治療のドラマなんか見てるの?』と聞くと、
ドラマの結末が気になるとこと。
何が気になるのかをお聞きするとその感性がおもしろかったです。
ドラマの結末で気になったことは?
ドラマの結末で気になったのは、ドラマのラストをどう持ってくるのか?
ラストは3つ考えられますと僕に説明してくださいました。
1 体外受精で子供を授かって出産する。
2 流産して、やっぱり夫婦2人っきりも悪くない。となる。
3 自然妊娠する。
僕はテレビの内容は知らないですが、どうも1はもう体外受精で妊娠したものの流産したっぽいようです。
なぜ、ラストが何になるかが気になるかというと、テレビが今の世間の問題とどう折り合わせるのかが気になるとのこと。
現在、『体外受精は本当に妊娠できるものなのか?』
『体外受精という科学的な方法で本当に赤ちゃんは問題なく生まれてきているのか?』というような記事も増えているからです。
ドラマの結果が体外受精で妊娠し、出産した場合、テレビ的に『体外受精も悪くないよ』みたいになるかもしれません。
でもそれだと、最近の体外受精に問題があるかもしれないという部分を否定することになります。
反対の意見も世間では注目されてきているからです。
かといって、ここでいきなり3の自然妊娠も不自然すぎる。
2の「子供を授からなくてもいいや」というのも子供を希望している人からするとバッドエンドです。
「なるほど、そんなドラマの見方もあるのだな」と思いました。
余談ですが、実際にいくつかの病院で何年も不妊治療をされてきた患者さん的には、ドラマの中の医者みたいに、『しっかり説明していたところなんかなかった』とちょっと怒っておられました。
現実の病院での不妊治療
実際は、待合室で、ものすごく待った挙句、ベルトコンベアーみたいに患者さんを回しているようですから。
お話している中で患者さんが嬉しいことを言ってくれました。
それは、実際の体外受精なんて、辛いことばっかりで、しかも大体がバッドエンドになりますが、先生のところの漢方治療なら、ハッピーエンドも多いし、そもそも、『診察や治療ごとに辛い思い』をする必要がないと。
病院で治療をされていた時は、『自分の体は薬を使わないと妊娠できない体』だと思いこまされていたようです。
ところが、うちに来られて、僕がはじめに説明したのは、『薬を使わないと妊娠できない体の人なんていません。妊娠するための体のバランスが崩れているだけだから、バランスを整えれば誰でも自然妊娠できます』という僕の不妊症克服理論です。
そして、実際に体外受精でカスリもしなかった患者さんは、見事、自然妊娠されました。
うちの治療なら、目指すのは自然妊娠です。
ですから、そこにいるだけで落ち込んでいくような待合室で待つ必要はないし、むっつりと黙ったままの医者に、言われるがままによくわからない治療をする必要もありません。
ホルモン剤を飲むたびに吐きそうになったり、のぼせたりする必要もありません。
『ホルモン剤がないと妊娠できない』なんて自虐的な気分にも陥りません。
お金も診察の度に湯水のようには出ていきません。
それにくらべて治療は不妊症を克服することだけでなく、体全体が健康になることにもつながります。
病院の治療に比べたら、ダークな部分はありませんが、一般的には、『漢方薬のみで自然妊娠する』なんて、そっちのほうがレア扱い。
本当は、それが王道なんですけどね。
漢方治療は素晴らしいと思うが大きな問題もある
テレビは見ていないので、内容は知りませんが、現実の病院の不妊治療がどのように行われているのかは、相談に来られた患者さんから、それこそミリ単位で話を効いてきましたが、僕は今まで漢方薬で不妊治療をやってきて、漢方薬での自然妊娠の確率が低く、病院の体外受精などの妊娠率が高いとは思いません。
実際、体外受精で何百万円も使って、カスリもしなかったが方が1ヶ月半で漢方薬のみで妊娠したりするのも、うちの店では別段、めずらしくありませんでした。
でも、こんな話も一般的には眉唾くさい話になってしまうのかもしれませんね。
ここでお話している漢方薬での自然治療というのは、あくまで病的体質である『証』を分析、判断して、それに合わせた漢方薬を選ぶことのできる漢方治療のことです。
世間のほとんどの医者や漢方薬局の先生は、体質を分析できないので、マニュアルで漢方薬を選んでいるだけです。
そうそう、この前も体外受精をしていた人が、『妊娠させやすくするために当帰芍薬散を飲んでください』と言われたらしいですが、うちの患者さんは『漢方は本来、東洋医学的な体質を診て漢方薬を選ぶ』ということを十分すぎるほど、理解されているので、『専門の先生にみてもらってるのでいりません!』ときっぱり断ったとのことです。
医者、恥ずかしいですね。
だって、『医者の漢方の医学的知識はゼロ』に近いのです。
よく不妊症で処方している当帰芍薬散や温経湯なんて、もはや、治療ではなく、本当にマニュアルで配っているだけなんですよ。
漢方に関しては医者は素人の方と同じです。
医者という権威だけで無条件に漢方薬も飲んでもらえると思っているところが、とてもイタイです。
まごころ漢方の患者さんは、漢方のことはバッチリと理解されている方が多いので、うちの患者さんに漢方薬を処方したいのであれば、病的体質である『証』、治療方針を十分に説明したほうがいいですよ。