漢方薬相談ブログ

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無菌性の急性髄膜炎の漢方治療

  1. 髄膜炎の漢方的診断
  2. 漢方薬の治療結果

うちに通ってくれている患者さんから連絡がありました。

同じ職場の人が、脳神経外科で無菌性の髄膜炎と診断され、2週間以上、経っているのに全く熱も下がらないし良くもならないと。

「先生は髄膜炎を治療できますか?」と聞かれたので、「自分が髄膜炎的な症状だった時に漢方薬で治しました」とお答えしました。

ちなみに僕の時は、詳しく問い詰めたら、担当医が「原因不明で治療方法もわからない」とちゃんと言い切ったので、漢方薬に頼るしか道がありませんでした。

それでは早速ということで、相談していただきました。

患者さんは、普段、大きな病をしたことがなく、体格も良く、筋肉質の若い男性です。

最初は、『とにかく体がだるくなった』とのこと。

2日目には、肩こりと頭痛。

4日目に39℃近い高熱が出始めました。

体が不調になってから7日後に大阪で一番、有名な某脳神経外科を受診。

診断は無菌性の髄膜炎。

処方された薬は、解熱鎮痛のための「カロナール」と「五苓散」

なぜ五苓散なのか?

医者なので、当然、お得意の『体質分析を無視したマニュアルだけで選んだ漢方薬処方』だと思うのですが、髄膜炎だから、水の巡りを良くしたら治るとでも思ったのでしょうか?

漢方薬に関しては患者さんに対して医者から、体質診断も説明もないので謎です。(説明がないというか医者は漢方の治療理論を理解できないので説明できない)

そして、なぜか、漢方薬(五苓散)とカロナール同時服用!

この辺りの『漢方治療で絶対にやってはいけない同時服用』をなんなくやってのけるところが医者の頭のスゴイ!ところですね。

「漢方薬の意味がなくなるー」という感じ。

3日間はおそらく、カロナールのおかげで熱は、4時間限定で37.2℃に下がり、カロナールの効果が切れたら、また高熱になるのを繰り返していました。

発症から10日後、現状維持で良くならないので再度、病院を受診したら、ロキソニンが追加で処方されましが、ロキソニンを飲むと歯茎が腫れるので自己判断で中止。

結局、発症から12日後、熱は39.5とちっとも良くならず

発症から15日後、医者からは『無菌性の髄膜炎だから、時間を待つしかない』とのこと。

一見、説明している感じですが、要するに『ごめんね、僕の稚拙な医療の能力では治せません』というのを言い換えているだけ。

医者が薬を出すのをやめて「様子をみましょう」というのは、表現がわかりにくいですが、『私には治せません』の公式宣言と思ってもらって差し支えありません。

ちなに僕の時は、最初から医療の専門的な質問を浴びせかけ、医者の答えに対して具体的に追及していったので、最初から『私には治せません』敗北宣言してくださいました。

この患者さんに関しては、この時点で、うちに相談がありました。

髄膜炎の漢方的診断

うちでは急性だろうと、全身のチェックから始めます。

まさか、「熱がある」「髄膜炎らしい」なんて少ない情報で漢方薬を選ぶことはしません。

全身の状態を調べた結果、特徴的な症状は、

『頭痛。首の痛み。歯茎が腫れる。太ももの赤い湿疹。風邪は普段は滅多にかからない。便は出しづらい(今回の病気でな時でも2、3日に1回で出し辛い)。オシッコは回数も量も普通。』

以前に血液検査で、何かひっかかることがあるのかを聞いたところ、花粉症のためか、いつも好酸球の高さがひっかかる。

僕が気になったのは、「血縁に膠原病の人が何人かいる」とのこと。

ちなみに医者に、このことを伝えた時、『男性は膠原病にはならないから関係ない』で終了。さすが天才!

これ、男性は膠原病にならないのではなく、通常はなりにくく、逆になった場合は女性よりひどい経過を辿りやすいというのが、本来の答えです。

この話や好酸球のこと、全身の体の状態から、「肝臓の数値が、ひっかかったことがないか?」を尋ねましたが、「なかったと思う」とのこと。

これで僕の治療方針は決まりました。

肝の臓の疲労により、『肝熱の証』『肝熱からの上焦熱の証』『水の巡りが悪く、余分な水がたまる水毒の証』3つの証で構成された病的な体質です。

治療はあえて2段階にわけました。

第一段階は、熱を下げて、水を排出させる。

第二段階は大元の原因になっている肝熱の証の肝の臓の熱を鎮める。

どちらも4日ずつの処方です。

漢方薬の治療結果

漢方薬を2回飲むと、それまでカロナールを飲んでも、解熱できて37.5℃だったのが、いきなり36.8℃と37℃を割るようになりました。

漢方薬は、『症状がなくなったかどうか』ではなく『治療の方向性がうまく進んでいるか?』をみるので、これは非常に良い兆候。

2日分飲んで、3日目は朝からカロナールも中止しましたが、熱は36.7℃など普段の平熱に近くなりました。

この時に患者さんの方から、「初めに肝臓の数値が悪くなかったか?と聞かれた時に特にないと答えましたが、その次の日に血液検査の結果がわかり、肝臓関連数値のΓGTPやGPTなどは、高くて異常値だったようです。」とのこと。やっぱり!

僕的には、治療方針を考えた後でしてたが、分析から「肝機能は悪いはず」とわかっていたので狙い通りだったことが確認できました。

結局、体調は2段階治療の最初の4日分で良くなりましたが、体の深い部分では、まだ完全に治りきっていない可能性があるので、肝臓の熱を鎮める漢方薬を飲みたいとのことなので、お渡ししました。

脳神経外科では15日間で解熱剤を渡して治せない宣言。

漢方では2日で熱が下がり、よくなりました。

お医者さん、もうちょっとがんばれ!

【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ 漢方概論:創元社
◯ 漢方方意ノート:創元社
◯ 漢方臨床ノート(論考編):創元社
◯ 金匱要略ハンドブック:医道の日本社
◯ 傷寒論ハンドブック:医道の日本社
◯ 素問:たにぐち書店
◯ 漢方治療の方証吟味:創元社
◯ 中医診断学ノート:東洋学術出版社
◯ 図説東洋医学:学研
◯ 中国医学の秘密:講談社
◯ 陰陽五行説:薬業時報社
◯ まんが漢方入門:医道の日本社


ブログの著者 国際中医師 松村直哉

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

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