漢方薬相談ブログ

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漢方薬の効果に対する大きな勘違い

あれも、これも、いろいろな漢方薬を試してみたけれど、どれも効果がよくわからなかった。

うちに相談に来られた患者さんが、よくおっしゃられていることです。

大概が、いくつかの病院で漢方薬を処方されているのですが、病院の保険適用の漢方薬だと、マニュアルをみて処方しているだけなので、そんな漢方薬の扱い方では、効果が出なくて当たり前!

体質も分析しないで、漢方薬を選んでいるのは、あてずっぽうで漢方薬を選んでいるのと同じなので、残念ながら、何種類も飲んできても、全部、無意味だったりすることもあります。

無意味どころか、漢方薬は、病院の薬と違って、誤治壊病というものがあって、副作用的なものですが、病院の薬の副作用よりもシャレになりません。

なにせ、自分の体に合っていない漢方薬を飲み続けていたら、元の病気がこじれた、よりひどい病気になり、更にその病的な歪んだ体質が定着するからです。

医者や漢方薬局の先生に選んでもらったら、効果が良さそうと考える人が多いですが、漢方薬は、先生などの肩書きなど通用せず、その人自身が漢方薬の扱いが上手いかどうかなのです。

つまり、通常の勉強のように知識として覚えればいいものではなく、楽器のように正しくうまく扱えるのかが、漢方薬の効果を引き出せるのかにかかっています。

病院の薬と漢方薬の効果は全くの別物

病院の薬は、製薬会社が科学的な作用機序というものを明確にしています。

病院の薬は、明確な効果が決まっているので、極端に言えば、医者が出そうが、そこらへんの人が出そうが、効果は変わりません。

例えば、アトピーの方に処方するステロイド剤というのは、『炎症を抑えてかゆみを止める』という作用が決まっています。

ネットを調べれば、ステロイドの効果の強さや種類、名前が出てきます。

また、アトピーのことをネットで調べたり、今日の治療指針というマニュアルなんかをみれば、アトピーの人にどんな薬を出すのかが書いてあります。

ステロイドの場合、法律上は、無理ですが、ステロイドの効果というのは、誰が処方しても変わらないわけですから、別に医者に処方してもらわなくたって、自分で調べて、そのステロイドを使っても効果は一緒なんですよ。

「えーでも、いろいろな種類があって、調べても何を使えばよくわからない」ってなりますよね。

これも、最初は何から使えばいいかも今日の治療指針というマニュアルにかいてありますし、そもそも、医者だって、マニュアル通りにしか処方していませんので、病院の薬の場合は、勉強する気があれば、誰だって、処方ができます。

勉強っていったって、生理学だ、病理学だと一から勉強しなくても、自分の病気に何の薬を使っているかだけ、チョッチョと調べればいいだけです。

うちは、実際にそうしています。

ところが、漢方薬はこういうわけにはいきません。

漢方薬ってどう効くの?

漢方薬には、西洋医学の薬のような有効成分も科学的な作用機序もありません。

では、どうやって効いているのかというと、自然的な考えで、体内の水を巡らせたり、血を巡らせたりすることによって、体調を整え、その結果、病気や症状がなくなるわけです。

血を巡らせる、熱を覚ますなどが効果なので、当然、西洋医学の病名では、実際はどう考えて合わせればいいのかわかりません。

だって、アトピーというのは、西洋医学的には、原因不明の湿疹です。

西洋医学の場合は、原因はよくわからないけれど、とにかく湿疹は炎症で引き起こされるので、炎症を無理やりでも止めればいいじゃん!ということで、ステロイドを使いますが、漢方薬の効果は、熱を覚ますとか、血を巡らせる、水を巡らせるです。

アトピーでも人によって、血の巡りが悪かったり、熱がこもりすぎていたり、血が不足して皮膚が乾燥していたりと、いろいろな体質の人のアトピーがあります。

血の巡りが悪のであれば、血の巡りを促す漢方薬を選びます。

熱がこもりすぎているなら、熱を冷ましたり、発散させる漢方薬を選びます。

血が不足していたら、血を補う漢方薬を選びます。

この時に、まず、その人のアトピーの原因を調べなければいけません。

だって、西洋医学のアトピーは、原因不明で終わちゃっているので、少なくともアトピー(原因不明の湿疹)という情報だけでは、漢方薬は何を選べばいいのかわからないのです。

ですので、体質も分析せずにアトピーに十味敗毒湯などの処方がいかにいい加減な方法かがわかります。

漢方薬の場合は、アトピーに効きそうな漢方薬というものなんてないのですよね。

体質分析にマニュアルなど存在しない

やっかいなのはここから、漢方薬は、体質に合わせて選びますが、その体質は、検査のように分析できません。

アトピーの人でも、血の巡り、水の巡り、血の不足など、いろいろな体質の人がいますが、この体質を判断するのは、先生の能力にかかっています。

体質は人それぞれ、その都度、その都度、違ってくるので、マニュアルも答えもありません。

先生自身が、全身の症状や状態から、『血の巡りが悪い』と判断したり、『不要な熱がこもっている』と判断するのです。

もちろん、合っているかどうかわかりません。

選んだ漢方薬が合っているかどうかは、その漢方薬を飲んでもらって、良くなった時に初めてわかるのです。

漢方の先生は、マニュアルではなく、自分の頭で患者さんの体質とそれに見合う漢方薬を考え、とりあえず飲んでもらいます。

そして、思惑通りに治ってくれば、『自分の判断した体質と選んだ漢方薬があっていた』と確認できます。

たまに、「おかしいなぁ〜この漢方薬で効くはずなんだけどなぁ〜」なんて意味不明なことをいう先生がいますが、こんなのはありえません。

効かなかったのは、患者さんのせいではなく、『漢方薬を選んだ先生の責任』漢方薬は何も悪くないのです。

ましてや保険適用の漢方薬なんて、漢方理論を知らない医者が、体質も分析せず、漢方と関係のない西洋医学の病名や症状で選んでいるだけですから、『効く方が怖い』ですよね。

実際、医者も漢方薬を処方してから、裏では、『漢方薬って本当に効くのかな?』って思ってますよ(実話です)

効果の高い漢方薬を選ぶ方法

漢方薬は、その漢方薬の効果が高いかどうかではなく、選んだ先生が低レベルだったら、漢方薬は効果を発揮しません。

楽器と同じです。

世界一のピアノも、高度な曲を弾く、その人自体の技術がなければ、『ただ音が鳴っているだけ』

効果もクソもないのです。

ということで、漢方薬を選ぶ場合は、効きそうな漢方薬を探すのではなく、効きそうな漢方薬を選べる能力をもった人を探すようにしてください。

ちなみに最低でも全身の問診をとらない人は、能力以前の低レベルです。

【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ 図説東洋医学(基礎編):学研
◯ 図説東洋医学(湯液編Ⅰ):学研
◯ 図説東洋医学(湯液編Ⅱ):学研
◯ 漢方概論:創元社
◯ 漢方臨床ノート(論考編):創元社
◯ やさしい中医学入門:東洋学術出版社
◯ 中医診断学ノート:東洋学術出版社
◯ 中医処方解説:神戸中医学研究会
◯ まんが漢方入門:医道の日本社

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

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