漢方薬相談ブログ

更年期障害は漢方薬で治せるの?

更年期障害は漢方薬で治せるの?

  1. 具体的な診断になっていない更年期障害
  2. 病院の間違った漢方薬の選び方
  3. 本来の更年期障害の漢方治療の方法

急激に顔が熱くなり、顔や背中からダラダラと吹き出す汗。

この不快な症状は、ひどい人になると一度着替えないといけないくらいのレベルで汗でボットボトになってしまうこともあるので、大変です。

病院の治療では、ホルモンを補充するくらいしか方法がなく、そのホルモン治療は癌のリスクもあったりします。

また、ホルモン治療は個人差がかなりあるので、人によっては、不正出血が止まらなくなったりして、治しているのか、ひどくしているのか、よくわからない状態になったりしています。

そこで、漢方薬なら更年期障害は治るのでしょうか?

結論から言いますと、更年期障害は漢方薬で治せます。

漢方薬での治療の場合はホルモンを補充するわけではありませんので、不正出血や、婦人科系の癌になるかもしれないという心配をする必要がありません。

ただ、世間では、医者も含めて間違った方法で漢方薬を選んでいるので、漢方薬で更年期障害が治った!という人はほとんどいないと思います。

具体的な診断になっていない更年期障害

更年期障害というのは、病気というよりも、閉経間近の年齢の女性に現れる不定愁訴のことを言います。

ですので、「更年期障害の人には絶対にこの症状がある」ということではなく、症状は人それぞれだったりします。

急激に顔が熱くなるホットフラッシュ、滝のようにとめどなく出てくる汗、寝つきが悪かったり、夜中に目覚めたり、睡眠が不安定、他にも頭痛や耳鳴り、めまい、ひどいウツ状態になる人もいます。

実際に病院で漢方薬をもらって飲んでみても「少しも良くならない」、「効果がわからない」という人は多いと思います。

なぜなら、漢方薬で更年期障害を治療できることに間違いはないのですが、その人にとっての最適な漢方薬の選び方を完全に間違えているからです。

漢方薬を選び間違えてしまうと、全く効果を感じないどころか、副作用で色々な症状が、余計に酷くなったりするのです。

病院の間違った漢方薬の選び方

例えば、医者がどんな風に漢方薬を選んでいるかというと、体質の分析などは無視して、某漢方薬メーカーのマニュアルを見て選んでいます。

そのマニュアルの更年期障害の欄を見てみると、「柴胡桂枝乾姜湯」「当帰芍薬散」「加味逍遙散」「桂枝茯苓丸」「温清飲」「五積散」「通導散」「温経湯」「三黄瀉心湯」と書いてあります。

本来なら、これだけに限らず、40種類ほどの漢方薬の中から一番、その人の体質に合っているものを選ぶために、まずは『体質を分析』します。

しかし、医者は体質を分析できません

なぜなら体質を分析する方法なんて医大でも習わないし、ほぼ誰も教えていないからです。

ですので、医者に限らず、ネットで説明されている漢方薬を買う場合も、これと同じ方法をとることになります。

どんな方法かというと、それぞれの漢方薬の【効能効果】と書かれているところに、色々な症状が書かれているので、それに自分が当てはまっているかどうかを確認して漢方薬を選ぶのです。

ネットなんかだと売りたい会社が勝手に決めた、『更年期障害に効く漢方薬』なんて感じで買わされたりします。

なぜか症状が色々書かれている見出しが【効能効果】となっていますが、漢方薬が「これらの症状を治す」というわけではないのです。

本来の漢方理論では、全身の症状を全部聞いて、その症状から『証』という病気の原因を分析し、「証」に合わせて漢方薬を選びますが、なぜか、それが歪んで伝わってしまい、「症状が当てはまりそうなら、それから選べば良い」という感じのデマが常識になっちゃったのですね。

僕も漢方を始めたばかりのド素人同然の無知無能の頃は、それぞれの漢方薬の条件に書いてある症状を当てはめていけば良いと思っていたのですが、よく考えたら、「その症状が全部当てはまればいいのか?」、「1つ、2つが当てはまればいいのか?」どうなんだ?とよくわからなくなりました。

ネットで自分で漢方薬を買おうと思っている人もそこで悩みませんか?

当時は、その選び方自体が間違っていると気づきもしませんでした。

例えば、先ほどの漢方薬のグループ、どの漢方薬の【効能効果】にも「頭痛」という症状が書かれています。

じゃあ、頭痛が当てはまれば、どの漢方薬でもいいのか?となってきます。

そして、更年期障害はホットフラッシュと異常な汗という症状が多いのですが、
さっきの漢方薬のグループの【効能効果】を見ると、どの漢方薬にも「汗」なんて書かれてないのです。

そして何がおかしいって、【効能効果】のところに更年期障害って書かれていること。

効能効果の欄に書かれているのだから、一応、更年期障害に効果があるってことなのかな?

でも、更年期障害を治すってなんだよ!とツッコミどころ満載。

だって、「更年期障害」の症状って具体的にいうと何ですか?

さきほども言いましたが、人によって、ホットフラッシュだったり、異常な汗だったり、頭痛だったり、不眠だったり。

しかも、これらの症状が全員に共通しているわけでもなく、更年期障害というのは、こういう一連の『人それぞれの症状』をざっくりまとめた「抽象的」な「カテゴリーの呼び名」ですよね。

何か好きな料理を作ってあげようとして、「料理で何が一番好き?」って聞いた時に「和食」って答えで返されるようなもので、範囲が広すぎて何一つ具体性がない。

おまけに「漢方薬は人それぞれの体質に合わせて治す」と言ってるのに、「更年期障害に効果がある」なんて言ったら、「結局、何を治すんだよ」ってなりません?

誰も気づいていないですが、これ、医者が使っているマニュアルですよ。

こんな感じで医者が使っているマニュアルやネットの説明って、矛盾しているし、理論破綻しているのです。

「更年期障害」というのは「症状」でも「体質」でもないので、『更年期障害に効く漢方薬』なんて紹介されている漢方薬を飲んでも効果があるわけがありません。

中には、漢方薬がホルモン剤のようにホルモンを補充してくれるみたいに勘違いしている先生もいます。
しかし、漢方薬はホルモンを直接補充することはできません。

また、ホットフラッシュや異常な汗などの症状を直接、抑えようとする漢方薬を探そうとする先生もいますが、これも大間違いで、漢方薬は、それぞれの症状を直接、抑える成分なども含まれていません。

そもそも、そんな選び方をしたら、「症状が多い人は何種類の漢方薬を飲まんとあかんねん!」ってツッコミを入れないといけません。

医者もあのマニュアル見て、「いや、そもそも日本語がおかしいだろ」ってツッコむべきなんだけど…気づいてない?

本来の更年期障害の漢方治療の方法

本来の漢方治療の方法を紹介したいと思います。

更年期障害と言っても、一人一人の状態を細かく見ていくと、実は悩みの症状が人それぞれで、症状の組み合わせや強さ、種類も違います。

そもそも、更年期障害という言葉自体が、『閉経する周辺に現れるさまざまな症状』というあいまいなものです。

例えば、うちに相談に来られている更年期障害で悩まれている方々は、ホットフラッシュや異常に多い汗は共通していますが、睡眠障害のある人もいれば、それはない、という人もいます。

自分に合った漢方薬を選ぶ場合は、まずは症状を発生させている原因が何かを突き止める必要があります。

漢方では症状を発生させてる原因を「証」と呼びますが、この証は何種類もあり、人それぞれ、どんな証があるのかを分析していきます。

この時に、本当に大きな勘違いをしている先生が多いですが、『緩和すべき症状』確認していくのではありません。

漢方治療では、症状というのは、「証」という体内の不調を知らせる警告サインですので、症状というサインから、体内にどんな「証」があるのかを分析します。

更年期障害の場合、年齢によっても体質は変わってきます。

閉経といっても個人差で10年くらいあるわけですから、43歳の体質と53歳の体質が一緒だと思いますか?
当然、全然違うわけです。

また、すでに治療中でホルモン剤を使っているかどうかでも体質は大幅に変わってきます。

となると最早、「更年期障害」なんて、ざっくりした括りでは漢方薬を選びようがありません。

ですので、漢方薬を選ぶ基本は、病名や症状から直接、当てはめるのではなく、「全身の症状や状態」をお聞きして、それを分析し、その人独自の『証』を診断するのですね。

証を正確に診断できれば、使える漢方薬は自ずと決まってくるのです。

なぜならば、なんちゃってではなく、本格的な漢方薬の本には、漢方薬ごとにどんな「証」に対応できるかが書いてあるからです。

ですので、証を分析できれば、それを消し去る漢方薬がわかるのです。
これを「体質と漢方薬が合っている」とみます。

ということで『更年期障害だったら柴胡桂枝乾姜湯や加味逍遙散』というのはあまりに低レベルで浅い、マニュアル的な無意味な選び方なので、そんな方法では、都合よく治らないということがわかっていただけると幸いです。

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

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