止血の生薬「阿膠(あきょう)」
漢方薬はいくつかの生薬で構成されています。
複数の生薬が合わさって1つの漢方薬をつくります。
2種類の生薬の組み合わせから24種類やもっと多くの生薬でつくられていることもあります。
漢方薬は漢方薬全体で1つの薬としての効果や効能がありますが、その中に含まれる生薬1つずつにも効果や効能があります。
いわば、サッカーや野球のチームみたいなもので、選手みんなが合わさったチームの持っている戦略性やスタイル(攻撃特化や防御特化など)があり、選手一人一人もそれぞれのテクニックやスタイルがあるのと同じです。
そんな漢方薬チームの1人の選手である生薬の働きを紹介しようと思います。
阿膠とは
今回、紹介する生薬は阿膠です。
「あきょう」って読みます。
獣の皮や骨や靭帯、ひづめなどを熱で溶かしてつくります。
グロい感じですね〜
でもぶっちゃけ、漢方薬に含まれる生薬はグロいの多いです。
また紹介すると思いますがゴキブリも生薬ですから。
阿膠は要するにニカワのこと。
ニカワと呼ばれているのは「煮た皮」だからという何のひねりもない話しです。
阿膠の効果
阿膠の効能効果は血系の巡りを良くし、血液の凝固を促す働きがあるので止血によく使われます。
止血の他に排尿などの強壮としても使います。
もちろん、阿膠単体では使いませんよ。
そこは生薬なので、他のいろいろな生薬と合わせて使います。
阿膠が含まれる代表的な処方が、『温経湯、芎帰膠艾湯、炙甘草湯、猪苓湯』です。
それぞれの漢方薬の中の阿膠は、微妙に役割が変わったりします。
ここが漢方薬のおもしろいところですね。
それぞれの漢方薬の中の阿膠の効果
温経湯での阿膠の役割は、血が滞って血管にたまりそこが破れてしまったところを止血する役割です。
そして、その他の生薬が血の巡りを整えてくれます。
病院などで不妊症に温経湯とかマニュアル的に出していますが別に妊娠させる漢方薬ではありません。
生薬の働きをみていけば、止血が必要な状態が含まれている体質かどうかということですね。
芎帰膠艾湯においての阿膠の役割は止血です。
どんなものでも止血するわけではありません。
流産防止のために使ったり月経関連の不正出血に使ったりします。
炙甘草湯においての阿膠は血行を良くし心臓の負担を軽くします。
猪苓湯においての阿膠は腎臓が炎症を起こしてオシッコなどに出血などの影響が出ている状態の時に止血をしながらオシッコが出るようにもっていきます。
生薬だけでも実に多彩な働きをしますね。
ここが漢方のおもしろいところでもあり、難しいところでもあります。
阿膠の性質や特徴
阿膠が持っている東洋医学的薬性は「甘 微温」というもの。
気・血・水では血剤として使えるとされています。
中医学的な薬性は「甘 平」とされています。
平というのは先程の微温(やや温める)とは違い、温めも冷やしもしません。
漢方は日本漢方や中医学などの派閥によって生薬の効能効果も考え方が違ってくるのですね。
阿膠が効く臓器は「肺・肝・腎経」です。
中医学的な薬理作用は「補血、止血、滋陰、潤燥」です。
阿膠の欠点は消化が悪いこと。また阿膠が配合されている芎帰膠艾湯は四物湯という処方がベースになっていて、この四物湯も胃にこたえる体質の方がいますので、いわゆる脾胃虚とか脾胃熱の証(体質を構成する要素)を持っている人には向きません。
これらの生薬としての阿膠の性質を理解した上で、漢方薬の中の阿膠としての効果も理解し使っていくのですね。
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