漢方薬相談ブログ

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ネットの医療情報の問題

ネットの医療情報の問題

昨年末に主に携帯ゲームを提供していたDNAという会社がWELQという医療サイトを開設し、その医療サイトは大問題を起こして閉鎖されました。

なぜ、閉鎖されたかというと「いろいろな医療情報が載っている便利なサイト」として開設されましたが、「肩こりは幽霊が原因」 WELQの“トンデモ記事”ができるまで 調査報告書で明らかに
なんてことがあったりして、このサイトの医療記事の裏事情が明るみに出ました。

実際は、医療のことを全く知らない、そこらのWebライターを安いお金で雇い、大量に適当な記事を書かせたり、真面目に医療記事を書いている人の記事をパクってきたり、一部分をパクって自分で書いたように見せたりと、とにかく、むちゃくちゃしていました。

なぜ、こんなやり方をやっていたかというと、ネット検索で検索上位にするためです。検索で上位になれば、たくさんの方に読まれます。また未だに「検索上位のサイトが優良なもの」と勘違いしている人もいますので、各記事を検索上位に上げるためにSEOというテクニックを使って、どうでもいい記事も含めてド素人に大量に記事を作らせていました。

そして医療系は読み手さんの命に関わることもありますので、閉鎖となったのですね。

SEOのことなどは、こちらを読んでみてください。WELQの方がマシだった? ネットの医療情報は今、どうなっているのか

そのあと、今度は当初は5千人強の医師が記事を監修しているというふれこみで開設されたヘルケア大学という医療サイトが問題になりました。

このサイトの問題は、WELQの時は、医療の専門家が監修などしていてなかったことが問題だったので、ヘルケア大学は「医師が監修しています」としたサイトでしたが、こちらも調べてみると、監修医として登録されていた当の医師が登録したおぼえがなく勝手に登録されていたりサイト内には外科などのコーナーもありますが、実際の監修医は歯科医師ばかりなど、詐欺のような問題がいろいろと噴出し、今は監修医は当初の5千人から1500人まで急激に減っています。

ヘルスケア大学の問題。医療情報サイト「ヘルスケア大学」に疑問 糾弾の医師に独占インタビュー

医療情報の独特の性質

ネットでの医療情報には決定的な問題があります。
最近は、みなさん、ネットでなんでも調べられるので、病院に行く前に自分の症状や病気をネットで独自で調べたことを医者などに「自分の調べたことと違うじゃないか!」とクレームを主張したりすることも多くなったようですが、医療情報などの超専門的な情報はネットではアテになりません。

その理由は医療情報というのは、単純に「合っているとか、間違っている」といった情報ではないからです。

まず、医療情報を正しく理解するには、最低限、体全体の基礎的な生理学や病理学、薬理学がないと、誤解したり、情報が不足したりします。

また、医療はガイドラインというマニュアル的なものに沿って治療しますが、このガイドラインは絶対の答えではなく、それを参考にしながら、治療を行うというものです。

一般公開ガイドライン|公益社団法人日本皮膚科学会

医療は手軽に知ろうと思うと思わぬ誤解や問題を引き起こしますので、自分で調べるなら、最低限度の基礎知識を身につけてから精査しながら詳しく調べたほうが良いです。

例えば医師も参照している医学情報
メルクマニュアル プロフェッショナル版
メルクマニュアル 家庭版

高額な書籍になりますが今日の治療指針
薬ならなんとていっても、各メーカーの添付文書です。

薬の場合は基礎知識がなければ、理解不能かもしれないですが、医療情報として誤解を招いたりすることがありませんので「処方された薬の名前 添付文書」で検索してみてください。

次の問題としては西洋医学の情報は、今も研究が進んでいます。

例えば、常に医療情報をキャッチしていれば、コーヒー、睡眠時間、ジョギングなんかは年単位で研究結果がコロコロ変わっていきます。
「コーヒーが体に良い、悪い」「睡眠時間は長い方が良い、悪い」「ジョギングは体に良い、悪い」
未だに確定していません。しばらく経って、調べるたびに正反対の記事が出てきます。

その他、新たな発見や変更などもあります。
「尿は無菌」はウソだった!:研究結果
肺にまさかの「造血」機能、米研究者が発見
これらは、今までの医療情報からいったらデマのレベルです。
しかし、これも本当に正しいかどうかは何年かの研究のあとに「正しかった、いや間違っていた」となっていると思います。

薬であれば、こんなのもあります。
せき止め薬 コデイン含有、12歳未満の服用禁止 厚労省
昔からみんながせき止め薬として飲んできたものが、今は子供には毒薬扱いとなりました。

WELQの記事などは明らかな問題がありましたが、まじめに書いている医療記事でも、医師からクレームがはいることがあるようですが、西洋医学は、どの時点で正解とは言い切れないところや、医学会のガイドラインですら、厳密には「参考にするもの」なので、絶対に間違っているとも言えないものなのです。

どこの医療情報を信じればいいのか?

では、何を信じればいいの?という話になりますが、そもそもネットは100%は信用できません。
残念ながら、ネットは正しいと思うのもだけを検閲にかけているものではないからです。
倫理的に良い情報だけがあることが理想ですが、それだと、誰かが「勝手に良いと決めた情報」だけを信じ込まされる怪しげな宗教みたいな情報にもなりかねません。

誰でも、発信できる。そして人間は良い人も意図的にだまそうとする人もいて、騙すつもりがないけれど素人すぎて結果的に詐欺のような情報を広めてしまうこともあります。

たとえば、漢方のネット情報などは僕からみると、ほぼデマ。
しかし、当の医者自体が、おそらく東洋医学理論自体を理解していないので、おかしいことすら気づいていないので、デマのつもりがない感じです。

おおまじめに真摯に騙してしまっているような漢方の情報が多いのです。

うちの患者さんからも「病院の漢方の話と先生のところの漢方の話とどっちを信じればいいのでしょうか?」と聞かれることがありますが、どっちが良いか?の2択では判断できません。

自分である程度、判断できるまで勉強するか、「医療」や「漢方」の記事の納得度、腑に落ちた点、書いている人の医療と関係ない部分の受け答えや他の要素(ネットならSNS)など、肩書きなど関係なく総合的に信頼できるかをご自身で判断するしかないのです。
それと質問しまくるのもいいと思います。返ってくる答えや態度でも判断できます。

現在のネットは医療情報に限らず、素人の方には最早、専門家の力を借りなければ、全然、便利なものではないのかもしれません。

★当店では、全身の状態をしっかりとみて、あなただけの体質を判断して、あなたに最適な漢方薬をお選びします。
大阪在住でない遠方の方でもネット漢方相談、電話漢方相談を行なっています。お店に来れない方もぜひ、ご相談ください。

●ご相談ご希望の方はこちらの「漢方無料相談」からご相談ください。

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ブログの著者 国際中医師 松村直哉

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