本屋さんの健康コーナーにある漢方系の本って大丈夫なの?
本屋さんの料理本の横なんかにある健康新刊コーナーで『不妊症や子宮筋腫』、『卵巣嚢腫』など婦人科系の病気に対して出版される本は大概が『血流を良くすれば治る』とか、『冷えを良くすれば治る』など、何か1つのことが病気の原因で、その病気になっている。みたいなキャッチーなタイトルや内容のものが多いですね。
原因が1つだけだと考えれば、血流さえ良くなれば治ったり、温めさえすれば治ったりしそうだから悩んでいる人も「やった!簡単に治るんだ!」と誤解してしまいます。
先日も患者さんから、料理本の横にあった健康コーナーで見つけた医療系の新刊書に書いてあることで質問がありましたが…
すみません。
本の内容がくだらなすぎて質問の内容も忘れてしまいましたが、「そうじゃないだろ」みたいなウソが書いてあったので「それは違いますよ」と西洋医学の理論を交えて説明しておきました。
ネットでも医療系の情報は、全部が全部、正しいというわけではないですが、じゃあ、本屋で売ってる雑誌や医療系の本は正しいのか?というと、そこもネットサイトの世界と同じで、まともな本もあれば奇をてらったようなニセモノ臭い本もあるわけです。
本当に治したかったら専門書
医療系の本と言えば、本来は医学書院などが出版している医者が読むような本が本道です。
そういった専門書とは別の健康コーナーの新刊コーナーには「血流を良くすれば治る!」「このツボだけで治る!」みたいな本があります。
本来、本当に治りたければ、当然、そんなキワモノ系の本ではなく迷わず専門書を選ぶべきですが、専門書は一般の方にとっては多分、1ページ目から意味不明。
なぜなら、医療の専門家が頼りにする本なので基礎知識がなければわかるはずがないからです。
一方、健康コーナーの医学(珍)書は、簡単明瞭です!
さっきのような不妊症などの婦人科系のものになると、かならず「血流を良くすれば治る!」「冷えが万病のもと!」「食事に気をつけよう!」
大体、この3つが、その時のブームによって、グルグル、グルグル、何年かおきに回っています。
医学の専門書にはブームなんかありません。
あるとしたら、最新の研究結果などで情報が改訂されるくらいで「今が血流ブームなのか?」「冷えがブームなのか?」「食事ブームなのか?」みたいなフワフワしたもので本の内容を変えたりしません。
料理本の横の健康コーナーにあるような医学本はなぜ、ブームっぽいものに合わせたタイトルになるのかというと、考えてみたら当たり前ですが普通に冷静に医学的なことを書いたって、誰も買わないからです。
また買ってもらう相手も医者や医学生ではありません。
医学知識のない人です。
だから、『キャッチーで簡単に治りそう!』な内容のものになります。
漢方でもフワフワ系の本がある
漢方でも専門書とフワフワ、キラキラ系新刊の本があります。
当然、僕が読んでいるような本は、「瘀血(血流)を良くすれば治るよ。★キラ★キラ★」みたいな内容ではありません。
たまに僕の使っている本に興味のある患者さんにその本を見せると「さすが、先生!全部、中国語なんですね」と言われます。
いや、さすがに中国語ではないのですが、漢方の専門書って漢字ばっかりなので、パッと見ると漢字しかないように見えるのですね。
一般の人がそんなものを読んでも、難解すぎて多分、理解もできないし何の役にも立たないし何よりも面白くもないです。
それだったら、専門書のコーナーから健康新刊書コーナーの「血流を良くするだけで治る!」みたいな方がわかりやすく、何より面白いのです。
しかし、専門書が難解であるということは、これも当然ですが西洋医学も漢方もそんなに簡単なわけがないのです。
つまり、健康コーナーの新刊本は簡単でわかりやすく面白いけれど、本当に治る可能性は低くなるということです。
対して専門書は難しくてわかりにくく面白くないけれど、治る可能性は高くなるということです。
注意しないといけないのは、こういった新刊書は、そんなことは百も承知なので、やたら治療実績や本が売れていることを数字でバーン!と出しています。
医療系の本の中でも、ニセモノ臭いものを見分けようと思ったら、『やたら著者のことや治療実績を数字でアピール』をしているかをチェックすることです。
これがあったらその先生には絶対に診てもらわないほうがいいですね。
(そういう意味ではダメ医者やダメ漢方医をあぶりだ)
でも、これらの本の役割って、治すことだけが目的ではないかもしれません。
健康コーナーの漢方本の問題
例えば、漢方の本だったら、そういった、とっつきやすい本が、漢方の世界を広げてくれるかもしれません。
ただ、そこには1つだけ重大な問題があります。
それは漢方業界では、ただでさえ、医者やら某大手の漢方薬メーカーやらが、ありもしないような適当な漢方理論をそれが常識かのように振舞っています。
これが西洋医学だったら、健康コーナーの新刊本って、半ば、サプリ好きの高齢者の健康ゴシップ本みたいな位置を獲得しています。
だから、本気で悩んでいる人は、健康コーナーの新刊を読んだとしても始めから、どこか疑ってかかって読んでいるので、うちに「この本の◯◯って書いてあるのはおかしくないですか?」という質問があるわけです。
しかし、漢方では『西洋医学の病名で漢方薬を選んだり』『症状だけを当てはめていけば最適な漢方薬を選べるとか』みたいな間違っている方法が、さも間違っていないかのように、ある種の基準になっています。
そもそも基準が歪んでいるので、健康新刊コーナーにあるようなキャッチーな販売目的の本などの『血流だけ良くすれば治る』とか『冷えを治せば治る』みたいなものは、誤解されている漢方が、更に誤解されることになるわけです。
一般の方に漢方を広く知ってもらうにはマーケティング的に簡単な漢方の本が良いですが、それでは治らないというジレンマ。
これはマニアックな漢方世界の難しい問題です。
ちなみに昔、僕のブログを読んだ出版社の人が「本を出しませんか?」と言ってこられたことがありますが、このブログのような冷静に漢方理論を語っている内容の本なんて、どうせ、売れないし、かといって、誰にでもわかるように漢方理論を歪めて簡単、適当にしてしまうのも嫌だったので丁重にお断りしました。
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