漢方薬相談ブログ

漢方薬で不妊治療する場合の方法や目的、効果を説明します

漢方薬で不妊治療する場合の方法や目的、効果を説明します

  1. 不妊治療だけとは限らない漢方の治療
  2. 漢方と西洋医学の治療の違い
  3. 大きな違いは症状の考え方
  4. 不妊治療に当帰芍薬散を使うことが治療ではない
  5. 妊娠するために必要な条件
  6. まとめ

うちで妊娠した患者さんから「先生のお店を紹介したいのですが、漢方をどう説明すればいいですか?」と、なぜか最近、何人かから質問されました。

非常にありがたいことです。

わざわざ、きちんと説明したほうがいいと考えてくれて、これまた、わざわざ、僕に連絡をくれるのです。

確かに、うちの店でやっている漢方治療は、実は、どこよりも正当な東洋医学理論にのとった治療なのですが、大体の病院や漢方薬局の方が西洋医学と混じったよくわからない悪い意味でのオリジナルな漢方をやっていますので、逆にうちがおかしな漢方治療をやっているみたいになっています。

唯一、近くの友達の先生が古方と日本漢方の理論で正当に漢方をやっていますので、医者や大手漢方薬メーカーの『おかしな漢方がまるで、おかしくないみたいな話』を聞いた時は、自分でも自信がなくなって、その先生に自分自身の正気を保つためにわざわざ連絡するくらいです。

それっくらい、本来の漢方治療ってレアな方法になっちゃっているのですよね。

だから、うちで妊娠した人も、多分、僕に聞かれるままに、いろいろと答えて渡された漢方薬を飲んでいる間に「子供を授かって」という感じになっちゃってるので、いざ、全く漢方を知らない人に伝えようと思ったら難しく感じるのだと思います。

そこで、そんなとてもありがたいことをしようとしてくれる患者さんのために不妊症を漢方で治療するとはどういうことか?

漢方治療ってどんなものなのかを紹介したいと思います。

不妊治療だけとは限らない漢方の治療

『不妊症を漢方薬で治療する』といっても漢方治療は西洋医学の病名とは実は一切、関係ないので、『病名や症状にあてはめて漢方薬を選ぶ』なんて方法は存在しません。

あれは医者や漢方理論を理解できないなんちゃって漢方薬局が勝手にやっていることです。

漢方の治療はどんな病気に対しても『体質を調整する』ことが治療となります。

それゆえに病名がなくても、検査しても原因がわからない状態でも、自分の体の状態を聞かれた時に自分で感じたまま、伝えることができれば治療を進めることができます。

漢方のよいところは、原因を調べてから、その原因に対して治療するわけではないので、病名も原因もわからなくても、今の体質の状態に合わせた漢方薬を選ぶことによって、治療できます。

漢方と西洋医学の治療の違い

【漢方治療】:体には健康に保っておく体内要素がいくつもあり、その複数の要素のバランスが崩れると不調になり、西洋医学でいうところの病気みたいな状態になると考えます。

治療の目的はバランスを崩した体内要素を元に戻すことです。

【病院の治療】:病気の原因が何が原因なのかを検査などで探そうとします。

できるだけ1つの原因を探そうとしますが、実際は1つの原因で病気になるのは、風邪などのウィルスやヘルペスなどの菌系の病気、外科的な体の物理的な損傷だけで、それ以外のほとんどの病気は複数の原因が絡み合って病気になっています。

病院の治療の目的は根本的に治すことではなく、『表の症状を一時的に抑えるだけ(対症療法)』です。

2時間とか、3時間経って、薬の効果が切れると症状は再発します。

最初から治ってないから再発といっていいのかどうか…

【漢方薬の薬の役割】:崩れたバランスを元に戻すことができる漢方薬を選んで体の異常がなかった状態に戻す感じです。

例えば、ごくごく簡単に説明すれば、冷えている人には温める漢方薬を与えます。

冷えが「マイナス2」だとしたら、「プラス2」の温める力を持った漢方薬を飲んでもらえば、プラマイゼロとなって、何も問題のない健康な状態に戻ります。

【病院の薬の役割】:症状とは体内機能の故障を知らせる警告サインですが、そのサインである症状を強制的に抑えることが病院の薬の役割です。

体内の本当の問題には一切、触れませんので病院の薬では根本的に治せません。

病院で根本的に治るためには運と偶然を期待するしかありません。

おおまかですが、漢方治療と病院治療の違いです。

大きな違いは症状の考え方

漢方と病院の治療の最も大きな違いは症状の考え方です。

漢方においては症状は『体内機能の故障』を知らせるための警告サインだと考えます。

(漢方というか西洋医学でも症状は警告サインとして考えるのですが…)

症状自体が問題ではなく、体内の何かかがおかしくなって症状が出ているので、症状を抑えることだけを目的としていません。

例えば、車のオーバーヒートの警告ランプが点灯(表に現れた症状)した場合、漢方治療では一旦、車を止めて、ボンネットを開けて、車をつぶさにみて、オーバーヒートの原因を探し出し、それに対処します。

西洋医学において、症状は『それ自体を無くさないといけないもの』です。

症状を薬の力で抑えたり、体内のいろいろな働きを遮断することによって症状が出なくなるようにします。

そして、症状が出なくなったことが治ったことになります。

例えば、先ほどの車のオーバーヒートの話で行けば、警告ランプにガムテープを上から貼って、警告ランプを点いていないことにすることが、病院の治療です。

ガムテープか何かを貼って見えなくしたところで、しばらくしたら、オーバーヒートする事実は変わりませんので、いわば問題の先送り一時的な誤魔化しが西洋医学の治療となります。

病院の薬でも根本的に治ることはありますが、理論的にもメカニズム的にもわかっていません。

ですので偶然、治っているだけです。

不妊治療に当帰芍薬散を使うことが治療ではない

漢方をちょっと知っている人は「不妊症には当帰芍薬散や温桂湯等を飲むんでしょ!」と思うかもしれません。

でもそれは全く違います。

当帰芍薬散を使うとか、使わないのではなく、不妊治療であっても他の病気を治すのと同じで、あなた独自の体質を整えるのです。

体質を分析した結果、当帰芍薬散が合うと判断するかもしれないですが、体質を分析する前から当帰芍薬散が合うかどうかは、誰にもわかりません。

逆に『当院では特に当帰芍薬散を使います』なんてアピールしていたら、『私は漢方の医学的なことはわかっていません。漢方薬を販売しているだけです』とわざわざダメダメなことを宣伝しているようなものです。

ちなみに漢方理論を知らない医者が当帰芍薬散をよく使う根拠は『妊娠率が100%近い、ネズミのホルモンを活性化したデータがあるから』です。

妊娠するために必要な条件

不妊症は病気ではありません。

ほとんどの人が年齢による体内の老化や生活の疲れやストレスなどで『赤ちゃんを授かる力まで達していない体』

惜しい状態だからできないのです。

妊娠するために必要なのは、健全なリズムの月経周期です。

月経周期こそ、妊娠するための働きなのです。

この時に医者のように勘違いしちゃいけないのは、見せかけの月経周期を強制的にホルモンで整えれば、いいのではありません。

「28日周期だったら、いいのでしょ!」「低温期と高温期がわかれていたらいいのでしょ!」「排卵反応が出てればいいのでしょ!」

違います。これらはあくまで見かけの基準です。

本来は、体は、この期間を使って、綺麗な血が子宮に巡り、すくすくと卵巣で卵子が育てられて、ストレスに邪魔されずに排卵していくという体内の健全な働きがあって、それがたまたま、目安として28日周期で、低温層と高温層に別れて、排卵するというものなのです。

ホルモン剤で無理やり命令して、見せかけの周期見せかけの基礎体温を整えたって、ただのハリボテ

最終的には『自分の体はどうなのか?』です。

ホルモン剤で月経周期が28日になったって、経血の色が黒く、経血が少なかったり、多すぎたり、月経前や月経中に痛みがあったりしたら、本当の体の状態は悪いわけです。

ホルモン値がどうとか、卵巣の大きさがどうとか、全部、見せかけです。

冷えがなく、頭痛がなく、ぐっすり眠れて、手足の冷えもなく、毎日、体が絶好調なら、自然に月経周期や月経に関わる状態は安定するのです。

逆にホルモン剤や注射で人工的に月経周期や基礎体温、卵巣の大きさが、それとなく整って、頭痛、のぼせ、不眠、手足の冷えがあって体の状態はボロボロだったとしたら、「10ヶ月間、赤ちゃんはスクスクと育っていく!」と、あなたは思いますか?

ホルモン剤で体内のホルモンをいじれば、みせかけの状態は変わりますが、そんな付け焼き刃では、結局、妊娠しても出産できません。

なぜなら、妊娠してからはホルモン剤や薬で治療できないからです。

まとめ

漢方で不妊治療はどうするのか?というと、要は他の病気の治療と同じです。

『全身の状態を整える』のです。

綺麗な血をつくり、それを運ぶ血の巡りを活性化し、気(視床下部など)を整え、冷えをなくせば、健康な体になり、赤ちゃんは授かるようになっているのです。

他の病気の根本治療と同じように『全身を整えないといけない』ということですね。

体は全部つながっているのです。

ホルモンだけをいじくったって、妊娠できませんし出産できません。

ホルモン剤が作用する視床下部だけで妊娠するわけではないのです。

赤ちゃんを育てる血は食べ物と関わり、食べ物からホルモンに変えるためには胃腸や肝臓の働きが良い状態でないといけません。

つくられた血は循環によって運ばれないといけないし、ストレスや睡眠の不調があれば、自分のホルモン分泌の調子は悪いわけです。

気をつけていただきたいのは、漢方と言っても、ほとんどの医者と漢方薬局は病的体質である『証』を診断できません。

ここで話している漢方治療は、あくまで『証』を診断して、その証に対して漢方薬を選ぶ治療ができることを前提としています。

『証』『治療方針』に準じて漢方薬を選べば、漢方薬は効果を発揮しますが、『証』と治療方針が説明できずにマニュアルをみて、当帰芍薬散や温経湯を処方するのは何も知識のない素人の人にだってできます。

そんな選び方では、ここで書いてあるような効果を漢方薬は発揮しませんので、ご注意ください。

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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ ツムラ医療用漢方製剤マニュアル
◯ オースギ医療用漢方製剤マニュアル
◯ 漢方方意辞典:緑書房
◯ 漢方診療医典:南山堂
◯ 類聚方広義解説:創元社
◯ 勿誤薬室方函:創元社
◯ 漢方処方応用の実際:南山堂
◯ 中医処方解説:神戸中医学研究会
◯ 漢薬の臨床応用:神戸中医学研究会
◯ 近代漢方薬ハンドブックⅠⅡⅢ:薬局新聞社刊
◯ 平成薬証論:メディカルユーコン

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

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