漢方薬はサプリメントや病院の薬と併用すると効果がなくなる!?
- 病院の薬と漢方薬の治療の違い
- 1種類の漢方薬の中には7、8種類の生薬が含まれる
- 漢方薬の効果のキモはバランス
- 病院の薬やサプリメントの併用は漢方薬をおかしくする
- 最悪の問題は漢方薬の効果を確認できないこと
- まとめ
漢方薬は高いと思われがちですが、漢方専門薬局などで処方された内訳をよく見てみると、漢方薬は1種類だけで後は腸内環境を整えるサプリメントとか、タンポポ茶などの漢方薬ではない漢方もどき? のサプリメントなどが合わさってウン万円なんて金額になっていたりします。
この場合、純粋に漢方薬のみで計算すると、そこまで高くなかったりするんですよね。
病院とくらべると病院は保険適応なので、金額的には安いかもしれないですが、病院では漢方薬以外に西洋医学の薬を一緒に処方したりすることがよくあります。
漢方の医学理論のことをよく知らないと、漢方薬の他に効果のありそうなサプリメントや病院の薬がいろいろとある方が、より効果が高そうに思う人もいますが、これは完全に間違いです。
漢方薬を使った治療に関しては、併用するサプリメントや漢方もどきサプリメント、病院の薬は役に立ちません。
役に立たないどころか、飲んでいる漢方薬自体を意味のないものにしている可能性もあります。
なぜなら、漢方薬は、いろいろな効果で体を治すのではなく治療の目的が『体全体を調整して体質を改善すること』を目的としているからです。
サプリや病院の薬とは根底から効果や治療目的が違うのです。
病院の薬と漢方薬の治療の違い
サプリメントと病院の薬は効果の考え方が一緒です。
どちらも薬や食べ物の中の有効成分が体の中で何らかの効果を発揮すると考えます。
例えば、病院の薬の鎮痛剤の場合、有効成分の効果が体内の痛みを発する物質を無くして痛みが出ないようにします。
効果は強制的なので、体質に関係なく効きます。
しかし、薬の有効成分が直接、仕事をしますので、有効成分が体の外に出されると症状は復活します。
サプリメントは体に良さそうな栄養素を摂ることが目的です。
人間の体は、体に良さそうな成分を摂れば摂るほど、元気になるわけではなく、食べ物や何らかの成分を摂れば、かならず老廃物が発生しますので排出も必須となります。
良い成分を取り入れることだけでなく、老廃物を体の外へ出していくことも良い成分を取り入れるのと同じくらい必要なことです。
また、体に良さそうな成分は人によって種類や量に違いがあります。
あなたにとって何が最適な成分なのか種類も量もわからないし、何かの成分をたくさん摂るということは老廃物も増えるわけです。
それがサプリメントの現実です。
漢方薬は病院の薬やサプリメントと違って、有効成分が直接、何らかの仕事をするわけではなく、例えば、アトピーを漢方の体質的に分析した時に、
1 皮膚表面の水の巡りの悪さがある。
2 大腸と膀胱での互いの水の巡りの連携が悪くなっている。
3 腎の臓の排出能力が落ちている。
4 肩から上に余分な気と熱がこもっている。
と4つの証を持っている体質と診断した場合、4つの証を調整できる1種類の漢方薬を厳選して選びます。
この時、医者や漢方薬局の先生でも勘違いしている人がいますが、この4つの証を直接治す有効成分なんてありません。
『この4つの証を調整できる効果の漢方薬を選ぶ』のです。
1種類の漢方薬の中には7、8種類の生薬が含まれる
1種類の漢方薬の中には7、8種類の生薬が含まれています。
例えば、加味逍遙散なら山梔子、牡丹皮、当帰、芍薬、柴胡、薄荷、白朮、茯苓、甘草、生姜 の10種類の生薬が含まれます。
生薬はそれぞれに効果があって、体のいろいろなところに働きかけます。
なぜ、いろいろ必要かというと、例えば、さっきの人の体質だと水の巡りを良くしても、腎臓の濾過と排出の能力が悪ければ、水の巡りが良くなっても、余分な悪い水を体の外に出せないからです。
体はいろいろな働きをもった臓器が一致団結して、1つのチームになって、体の健康を保ちます。
だから、体質を調整する漢方薬もいろいろな働きを持った生薬が1つのチームになって悪い体質を調整します。
漢方薬の効果のキモはバランス
漢方薬の効果のキモは生薬に強い効果があるからではありません。
生薬どうしの連携が良いから体全体が調整され体質から良くなるのです。
漢方薬の生薬の種類や生薬の量は大昔から厳密に決められています。
いわば、治すための黄金比で成り立っているのです。
その黄金比が、体全体を治す時にちょうど良いのです。
ですから、本来、漢方薬で治療する場合は、他の余計な成分はいれてはいけません。
漢方薬は、何種類もの生薬でバランスをとっているので、他の余計なものが入ると、もはや、その漢方薬の役割をなさなくなります。
料理でも同じですね。
うどんの中に、好きだからってチーズたっぷりのピザを一緒に入れると、食べられないくらいのゴミに変わります。
漢方薬に加えてサプリメントを一緒に飲むのは、こういう感覚のことをやっているのと同じです。
『漢方薬はその人の体質(証)を最後まで考え抜いて、なるべく1種類だけに絞り、その1種類だけで体全ての症状を治すように選ぶ必要があります。』
病院の薬やサプリメントの併用は漢方薬をおかしくする
漢方薬は処方したけど、胃腸が良くないから胃腸薬を別口で処方する。
消化吸収を良くしたり、免疫を良くするため、腸内細菌を整えるサプリメントを処方する。
これらは漢方薬を使った治療の邪魔になります。
漢方薬は全身の状態を分析して調整するので、胃が悪ければ、主訴がアトピーであっても、胃も調整することも含めて漢方薬を選びます。
漢方薬は何百種類もありますので、ありとあらゆる状態に対応できるようになっています。
でも、病名や症状だけを当てはめてマニュアル的に漢方薬を選んでいるとその先生に全身のあれやこれやを調整する漢方薬を選ぶ能力がないので、「胃痛は胃腸薬を別で処方する」という低レベルで、いい加減な漢方治療をやってしまいます。
よくある間違いは、当帰芍薬散は、あなたの体質と合っていないと胃痛、胃もたれが起こりますが、もともと、マニュアル漢方で処方していたら、何も知らずに胃痛、胃もたれには胃腸薬を別口で処方してしまいます。
この場合、漢方の本来の治療では当帰芍薬散の水の巡りを整え、温めて、血を補うという効果にプラス胃の弱い人でも飲める生薬が含まれる処方を再検討して漢方薬を変更すればいいだけなのですが、病名や症状に当てはめて漢方薬を選んでいる先生は、体質のことや漢方薬自体の生薬バランスのことを知らないので、別口で胃腸薬を処方するという意味不明な治療をしてしまいます。
サプリメントでも同じことですね。
胃腸が悪ければ、腸内環境を整えるサプリではなく、消化器系も整える働きが含まれた漢方薬に変更すればいいだけなのです。
漢方薬はあらゆる体質に対応できるように考えられているのです。
最悪の問題は漢方薬の効果を確認できないこと
漢方薬は全身の状態を整えるので、「ある症状に対して効いたか?効いていないか?」で『体質と漢方薬が合っているかどうか』を判断しません。
漢方は漢方薬と体質が合っているかどうかを飲まれた後に全身の状態を調べて判断します。
答え合わせは一度、飲んだ後になります。
常に全身の変化を見ながら、目的の症状を根本的に無くすことができているか処方した先生が総合的に判断します。
時にはアトピーであっても、かゆみよりもオシッコの回数が増えて、便の状態がどのように変わったかを重視する場合もあります。
こんな感じで全身の症状を確認しますので、体質と関係なく症状を抑制する病院の薬や特に治療目的が、はっきりしていないサプリメントなどと一緒に飲んでいると、選んだ漢方薬が純粋に効いたのかが確認できません。
真面目に漢方薬を選んでいれば、漢方薬のみで治療目標や治療方針は決まっているはずなので、病院の薬を加えたり、サプリメントを加えることは『漢方薬のみでの効果を見る気がない』とも言えます。
まとめ
一般的な漢方では、その先生の漢方の勉強不足のせいで病院の薬やサプリメントを付け足されて、いつのまにか高額になったりします。
その先生の漢方のレベルの低さに対して患者さんが余分なお金を払ってあげているようなものです。
漢方薬はあらゆる体質に対応できるだけの種類がありますので、本来なら漢方薬単独の処方だけで済み、それほど高額にはならないはずです。
『漢方薬の種類が増える』
『サプリメントが付け足される』
『西洋医学の薬も一緒に出ている』
場合は、本来なら全部、ひっくるめて対応できるはずの漢方で、なぜ、それらが余分に必要なのかをしっかり説明してもらったほうがいいです。
うちでは、漢方治療らしく、全身の状態が整う1種類の漢方薬を厳選して選びます。
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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ 漢方概論:創元社
◯ 漢方方意ノート:創元社
◯ 漢方臨床ノート(論考編):創元社
◯ 金匱要略ハンドブック:医道の日本社
◯ 傷寒論ハンドブック:医道の日本社
◯ 素問:たにぐち書店
◯ 漢方治療の方証吟味:創元社
◯ 中医診断学ノート:東洋学術出版社
◯ 図説東洋医学:学研
◯ 中国医学の秘密:講談社
◯ 陰陽五行説:薬業時報社
◯ まんが漢方入門:医道の日本社