薏苡仁(ヨクイニン)って本当にイボに効くの?
『薏苡仁(ヨクイニン)ってイボに効きますか?』
定期的に電話やメールで質問があります。
一般的に「ヨクイニン=イボ」って図式がありますよね。
実際、ヨクイニンがイボに効くのでしょうか?
答えは『イボによる』ですね。
いやー身も蓋もない答えですよね。
そうなんです。現実はイボと言ったって、いろいろなイボがあります。
体質的なものもあれば、何かの病気が関係しているものもあります。
相談されている方は、自分的に『単なるイボ』と考えているかもしれないですが、イボが「どれくらいあるのか?」「どこにできているのか?」「どんな形のイボなのか?」人によって様々です。
これが『体質』なんですね。
漢方薬というのは、薏苡仁や他の何種類かの生薬がある法則にしたがって構成されているチームみたいなものです。
薏苡仁は、ある漢方薬処方の中で構成されている生薬の1つとして使われるものです。
何が言いたいかというとヨクイニンのように生薬単体だと漢方薬のように『体質に合わせる』ことができないので、治療に使うというよりは、サプリメント的な感覚に近いということです。
なので、ヨクイニン単体が効くのは肌色に近いような小さなイボでごく初期なら効きます。
効くのは、このイボくらいで、他のイボは体全体の症状や状態から『体質』を分析していく必要があります。
『美容的に見たらちょっと気になる』程度しか治せないと思っておいたほうがいいです。
いろいろあるイボの種類
●尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)
一般的に多い硬いイボです。表面がザラザラしています。褐色だったり、薄い灰色、または黒っぽい灰色、黄色をしています。
大きさは直径が約1cmより小さいものが多く。顔、指、肘、膝にできやすく周りに広がっていくこともあります。
●伝染性軟属腫(でんせんせいなんぞくしゅ)
いわゆる水イボでこれも結構多いです。
直径約2~5mmより小さくドーム状の形で中に水が溜まっているような感じのものもあります。
このイボの原因のボックスウイルスは感染性が高く、イボのある人の皮膚を触ったり、イボの持っている人のタオルなどの物からうつります。温泉、サウナ、プールなどの水から感染することもあります。
ステロイドを長期間、使っていたり、ガンの化学治療を受けていると、このイボがどんどん広がっていく可能性もあります。
つまり、ステロイドを使っている人でこのイボがあるのであれば、薏苡仁や他の何かの漢方薬を飲む事ではなく『ステロイドをやめること』が治療になります。
●老人性疣贅(ろうじんせいゆうぜい)
いわゆる老化で増えてくるイボです。
直径約1~2mmだったり大きなものだったりします。顔や首、背中にできやすいです。
単純に皮膚の老化や紫外線の影響でイボができます
実はこのイボが一番やっかいかもしれません。単純に遺伝の可能性が高かったりしますので、イボを取っても、取っても出てくることがあります。
脂漏性性角化症だったりする場合もあります。
その他、皮膚組織がイボ状に増殖する脂漏性性角化症(しろうせいゆうぜい)や爪周りにできる爪囲疣贅(そういゆうぜい)、足の裏にできる足底疣贅(そくていゆうぜい)、手の平にできる手掌疣贅(しゅしょうゆうぜい)、性器疣贅(せいきゆうぜい)と呼ばれる、陰茎、肛門、外陰、腟、子宮頸部に発生する尖圭(せんけい)コンジローマなどがあります。
この記事では、イボの治し方ではなくヨクイニンがイボに有効なのかの話なので、詳しくはこちらを読んでみてください。
漢方ではヨクイニン単体では治療に使わない
漢方ではイボっぽいものに効きそうだからといって、ヨクイニンを使うわけではなく、イボができる体質を分析、診断して、それにヨクイニンなどを補助薬として加える感じです。
漢方治療では、ヨクイニン単体のみでなんとかしようとはしません。
そもそもイボには、いろいろな種類があり、ヨクイニンにどんなイボでも治せる効果があるわけではないので、ヨクイニンはあくまで数ある生薬の中の1つと考えます。
水イボだったら、単純にステロイドを使いすぎていたらステロイドを中止しないとヨクイニンを飲んだからって治らないし、老化性イボだったら、皮膚をつくる力をつけるために消化器系を高める必要があったりと、イボによっては体の中の問題の場合もあります。
本当はそんな状態なので、ヨクイニン単体のみで治るとすれば、ごく初期の肌色に近いような他人だったら気づかないようなイボなら治せるのです。
ニキビやシミには意味がない
ニキビやシミにヨクイニンを薦めたりする先生がいますが、基本的に補助薬としてヨクイニンがあったほうがいいかもしれませんが、あくまで補助薬としてです。
大人のニキビは女性ホルモンや月経が関わる血の巡り、食生活などが関わっていることが多いので、ヨクイニンは直接、治療には関係ありません。
シミも血の巡りや肝の臓の調子などが関わっているのでヨクイニンは直接、治療には関係ありません。
体質によっては補助薬として、飲んでもいいと思いますが、あくまで脇役中の脇役なので、メインの体質分析とそれに合わせた主となる漢方薬を選ぶ必要があるかと思います。
薏苡仁(ヨクイノン)の持っている性質
生薬には性質(効果)があります。
例えば、ヨクイニンは味は甘、淡で微寒です。
甘く、それほど濃くない味で少し冷やす性質があるということです。
作用が穏やかなので、漢方的には大量に使用する必要があります。
がしかし、ヨクイニンは合わない人は結構、『胃がもたれます』
予防と思って、飲んでいる人もいますが、胃がもたれるなら即座にやめたほうがいいです。
生薬の中でも性質が「丙」という性質で、温めも冷やしもせず、ずっと続けられるものがありますが、基本的にずっと続けられるものは変化も穏やかなので、本当に治っているか? 治っていないか? も確認しづらいです。
漢方は体質に合わせて変化を起こさせながら治療するので、性質がニュートラルだということは効果も穏やかで、わかりにくいということです。
逆に効果の強いものは、わかりやすいですが、体質と合っていなければ、副作用もエグいです。
まとめ
イボ自体にいろいろな性質があり、ヨクイニンはどんなイボにでも良いというような都合のよいものではありません。
せいぜい、よくある小さな肌色に近いようなイボに効く感じです。
イボができたから治すために飲むというよりも『何年も飲んでいたら、忘れた頃に治っているかも』くらいの感じです。
ヨクイニンで胃もたれを起こす体質の人もいらっしゃるので、予防で飲み続けるというのも難しいと思います。
ハトムギ茶なら、イボがすぐに取れることはないですが、長く続けていれば美肌に近づいていくと思います。
基本的には体質自体を改善しないとイボの治療は難しいし、ヨクイニンは生薬単体なので、体質改善までは難しいです。
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【引用先及び参考図書、Webサイト】
◯漢薬の臨床応用:神戸中医学研究会
◯いぼ - MSDマニュアル家庭版
◯ ツムラ医療用漢方製剤マニュアル
◯ オースギ医療用漢方製剤マニュアル
◯ 漢方方意辞典:緑書房
◯ 漢方診療医典:南山堂
◯ 類聚方広義解説:創元社
◯ 勿誤薬室方函:創元社
◯ 漢方処方応用の実際:南山堂
◯ 中医処方解説:神戸中医学研究会
◯ 漢薬の臨床応用:神戸中医学研究会
◯ 近代漢方薬ハンドブックⅠⅡⅢ:薬局新聞社刊
◯ 平成薬証論:メディカルユーコン