漢方薬相談ブログ

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無月経を漢方薬で治す方法

  1. 無月経の原因
  2. 漢方薬と病院の薬の違い
  3. 漢方薬での治し方
  4. 体質を見極める問診が重要
  5. 無月経の体質タイプ
  6. 治療を進めていく

漢方薬を使って無月経を治療する場合、どういった治療をするのでしょうか?

婦人科の無月経の治療と漢方治療を比較しながら、みていくとわかりやすいです。

西洋医学では、無月経を治療する場合、ピルなどのホルモン剤を使います。

ピルを使用すると、しばらくして出血が始まりますが、注意しないといけないのは、これは『月経による出血』ではありません。

消退性出血といって『月経に似て非なる出血』です。

『無月経が治った』という状態は、自力で月経が来ることで、ホルモン剤を飲んで月経っぽい不正出血を起こすことではありません。

ピルは体のホルモン作用を薬の力で騙して出血を起こしますので、本当に治ったかどうかを確認するためには、ピルで月経が来た後の次の月経周期は、ピル(ホルモン剤)を一切使わないで、自然に自力で月経が来ることを確認しないと『無月経が治った』ことにはなっていません。

月経とは出血さえ起こればいいというものではなく、

1 一定の周期(約1ヶ月)の月経
2 月経期間は5日〜7日
3 月経周期の構成が低温期、排卵期、高温期というステージに分かれている

という3つの条件を満たしている状態が『自然に自力』に繰り返されることが『無月経が治った』という状態です。

西洋医学ではこの生理学はネットや書籍上ではちゃんと理論的に書かれていますが、実際の病院の治療では、たくさんの患者さんをこなすことに振り回されているためかどうかわかりませんが、一人の体の状態をじっくり調べる時間がないため、以下のような治療が普通になっています。

1 ピルを飲んで消退性出血を起こす → 2 次の周期でホルモン剤をやめてみたら自然に月経が来ない → 3 再度、ピルを飲んで消退性出血を起こす。
後は1を延々と繰り返している。

この場合も13の流れを何クールか繰り返せば、月経が復活するのかを考えているわけではなく、医者は、ただ、ただ、その時の流れにまかせているだけの感じなので、実際に延々と13を何年も繰り返している患者さんもいます。

無月経の原因

病院では無月経の際にホルモン検査をしますが、あまり意味がないと思います。というか無意味に近いです。

なぜなら、『何かのホルモンがどれくらい不足しているから無月経になっている』なんてことは、医者にも一切、わからないからです。

これは漢方薬を使った治療でも同じで、原因がわからないのではなく、無月経の原因は、ホルモンだけの問題ではなく、普段の生活を含めた様々なことが無数に絡みあって、無月経という状態を引き起こしているからです。

病院の治療を簡単にまとめれば、『人工ホルモンを補充して偽の月経っぽい出血を起こして、後はラッキーを待つだけ』

ほぼ、これだけです。

漢方の場合は、無月経の原因がどうだこうだと考えません。

無月経というのは「月経が来ない」という1つの状態を表しているだけで、一人一人を細かくみていくと、年齢、体質、無月経の期間、月経があった頃の月経の状態、生活環境やリズム、精神状態など、『女性という性別と月経が来ない』ということ以外は何ひとつ他の無月経の方と一致しませんので、原因よりも、体質などの個人差を徹底的に調べる必要があります。

漢方薬と病院の薬の違い

漢方治療では漢方薬に女性ホルモンの効果があって治すわけではありません。

医者は漢方の医学理論を知らず、漢方薬のこともほとんどわかっていませんので、漢方薬メーカーなどが用意した『当帰芍薬散はネズミの実験で女性ホルモンを活性化した』などの資料を鵜呑みにして、マニュアル的に『ネズミのホルモンを活性化させたので、あなたのホルモンも活性化させますよ』という理由で処方したりします。

しかし、これは完全に『漢方薬の使い方』を間違っています。

通常の病院の薬は、ネズミ、ウサギなどに効果があった成分を研究して、人間の体でも効くことを机上の理論的に確認し薬をつくります。

しかし、漢方薬の場合は、もともと、何千年前から人間にいろいろな漢方薬を使用して、当帰芍薬散で無月経が治った人や逆に当帰芍薬散で無月経が治るどころか、他の病気になってしまった状態などを観察しながら、他の何百種類の漢方薬をいろいろな人に飲んでもらって、その膨大な人体実験の経験記録を人それぞれの体質タイプにわけられるようにして、体質に合わせた漢方薬で治療します。

ネズミで証明された効果は、何の意味もありませんでの、病院の漢方薬に限らず、ネットでも無月経に対する漢方薬の効果と説明している時点でそんなものは嘘の情報となります。

ちなみにネズミは人間と違ってほぼ妊娠しますので、無月経の治療効果の対象するのもどうかと思いますが…

漢方薬での治し方

月経はホルモンだけでなく、子宮内膜になる血や子宮に巡っていくための血の巡り、その血をつくるための胃腸の調子など、結局、全身が関わっていて、全身をみた時に人それぞれ、いろいろなところに弱点がありますので、その弱点を正しい状態に戻すことができる漢方薬を選びます。

誰の無月経にも効果がある漢方薬なんてものは存在しません。

人それぞれの持っている弱点やおかしな点を治すわけですから、当然、人によって体質タイプが違い、合わせる漢方薬も違ってきます。

大まかには無月経にはどんな体質タイプがあるのかを紹介します。

体質を見極める問診が重要

タイプにわけるためには問診が重要です。

漢方薬を選ぶ場合、全身の状態を知ることはもちろんですが、それ以外に、最も重要なのは年齢です。

20歳代の無月経の方と40歳代の無月経の方は全く違う病気といってもよい場合もあります。

また月経があった頃の「月経周期」や「月経期間」、「経血の状態」、「月経前や月経時、月経後などに感じていた症状」などを知ることが重要です。

他にも、『不妊治療でホルモン剤を使用した後に無月経になった』『自然に月経期間が延びて行き、無月経になった』『ある出来事があった後から無月経になった』などのキッカケを知る問診は重要です。

全身の体の状態を知らず、無月経になった状況を調べない場合は漢方薬を使っての治療は不可能となります。

病院の漢方薬はそんなことは何一つ分からないままに選んでいますが。

無月経の体質タイプ

大きくタイプがわかれます。

【胸脇の熱証】  気の滞りが原因となって、ホルモン系のリズムがうまくできなっくなったタイプです。

仕事の過度なストレスなど精神的なストレスをキッカケに無月経になることが多いです。

【裏の実証】 便秘などがあり、大腸や子宮に血と気が充満しやすいタイプで、昔から運動が苦手だったり、食事の食べる時間が不規則だったりする人が多いです。

【脾胃の虚証】 先ほどの裏の実証タイプとは正反対のタイプで便は軟便気味で便の回数も多かったりします。

消化器系が弱く、精神的にも悩みすぎる傾向があったりします。

【腎の虚証】 漢方では生殖に関わるエネルギーは、腎の臓の気で行なっていると考えます。

この腎の臓の気が不足して月経が起こらなくなっているタイプです。

毎日、疲れすぎていたり、生まれつき、腎の臓の気が弱いということもあります。

また腎の臓は廊下が早い臓なので、年齢の高い方の無月経は腎の虚証タイプの傾向があります。

【寒証】 体の冷えが強く、自分自身で熱を作り出す力も弱かったりするタイプです。

華奢で何かの病気になりやすいタイプの人です。

【気証】 精神的な問題が、おそらくホルモン分泌を行う視床下部などに影響しているタイプです。

一口に精神的な問題といっても、いろいろな精神状態があり、精神状態に合わせて漢方薬も選びます。

【瘀血証】 血の巡りが悪いタイプです。よくあるのは上熱下寒証とよばれるもので血の巡りが悪く、胸から上には余分な熱がこもり、身は冷えるというタイプです。

【血虚証】 体の血が不足しているタイプです。これは西洋医学の貧血のことではありません。

漢方では血はあらゆる人間の活動に使うエネルギーだと考え、自分が活動する分とそのエネルギー源となる血の量のバランスで考えます。

単純にいえば、車で走る距離とガソリンの量のバランスみたいな感じで、ガソリンの量が少なければ、車は止まりますが、人間の体は無理やりでも動きますので、無理やり動かした分、体のどこかに血虚証として不都合が出てきます。

【水証】 水の巡りが悪いことによって、月経が起こらないタイプです。

卵巣、卵包などは嚢腫になったときに水が溜まっていることからわかるように水の巡りが深く関わっています。

これらの『証』ごとにその『証』を治療できる漢方薬が5種類ほど候補としてあります。

また、『証』は実際は一つでなく、例えば、【寒証】と【腎の虚証】、【裏の実証】と【瘀血の証】、【胸脇熱の証】と【瘀血の証】と【水の証】など
2つ、3つ、4つと重なっています。

治療を進めていく

漢方薬の治療は、最初に選んだものを飲み続ければ治るというものではありません。

そんな都合の良い魔法の薬ではありません。

選んだ漢方薬が体質と合っているかどうかは、1ヶ月間などの一定期間に飲んだ後の体調の変化をみて判断します。

特に無月経の場合は、漢方薬が合っていても、月経がいきなり始まるものでもないので、1ヶ月ごとの観察は必須です。

体の些細な変化をみて『ホルモンが整っていこうとしているか』の方向性をみていくことが重要になります。

『無月経に効く漢方薬』という分析もしないでザックリしたものを飲むなら、別に漢方薬を飲まなくてもそこらのサプリメントでもよいかと思います。

根拠のあいまいさや、いい加減さから両者ともに差がないですから。

『あなたの無月経を復活させるための体を整える漢方薬』を選ばないと意味がありません。

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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ 漢方概論:創元社
◯ 漢方方意ノート:創元社
◯ 漢方臨床ノート(論考編):創元社
◯ 金匱要略ハンドブック:医道の日本社
◯ 傷寒論ハンドブック:医道の日本社
◯ 素問:たにぐち書店
◯ 漢方治療の方証吟味:創元社
◯ 中医診断学ノート:東洋学術出版社
◯ 図説東洋医学:学研
◯ 中国医学の秘密:講談社
◯ 陰陽五行説:薬業時報社
◯ まんが漢方入門:医道の日本社

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

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