漢方薬相談ブログ

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医者や一般の人が漢方薬が効いているかどうかを確認できない理由

『医者や一般の人は漢方薬が効いているかどうかは確認できません』

はい、のっけからカマしている感じのタイトルですね。

釣りタイトルではありません。(少々、極論かもしれないですが事実です)

たまに漢方薬を西洋医学と、ごちゃまぜに考えている人がいますが、漢方は、西洋医学とは全くの別物です。

当然、効き方(薬の効果)も全く違うわけです。

では、どんな風に効き方が違うのでしょうか?

詳しく説明します。

医者の薬の効果の考え方

病院の薬は、基本は、1つの症状(状態)を1つの薬で抑えます。

例えば、鎮痛剤は、痛みを抑えます。

胃痛であれば、胃酸を抑える効果の薬を使います。

体全体を治すわけではなく、1つの症状を抑えるために1つの薬を飲みます。

そして、もう一つの特徴は、病院の薬は、症状だけを一時的に抑えるためだけであるということ。

薬をやめたら、再発します。

つまり、『根本的に治すことは考えていない』ということです。

医者の薬や治療に対する思考は、こんな風になっているという前提を次の話のために覚えておいてください。

漢方薬の効果とは

漢方は治療の目的が西洋医学とは全く違います。

大きな違いは、漢方薬には、直接、症状を抑える成分や女性ホルモンなどの成分が入っているわけではないということ。

漢方で、いろいろな症状をお聞きするのは、その症状を直接、治すためではありません。

症状や体の状態から、体の中のバランスがどうなっているのかを判断していきます。

体の中のバランスをみるために全身の症状や状態、気になることtを調べていきます。

例えば、湿疹と下痢を別とは考えません。

体全部の状態を調べて、基本的には、『すべての症状を1つの漢方薬』で治します。

症状ではなく、病気の原因を探す

例えば、「湿疹がある」「頭痛がする」「下痢がある」「のぼせる」などなど、全部で20個の症状があったとしたら、それら、全部から現在の不調の原因を診断します。

そして、それらすべてを総合的に判断して、東洋医学的な体質を診断します。

ここで勘違いする先生がいますが、1種類の漢方薬が、いろいろな症状を直接、抑えるわけではありません。

いろいろな症状を発生させている東洋医学的な原因である『証』を治療するから、1種類の漢方薬で、いろいろな症状が治るのです。

医者が漢方薬の効果を確認できないのは、東洋医学的な原因を調べもせず、ツムラなどの漢方薬メーカーから貰ったマニュアルをみて、病名(漢方とは関係ない)に当てはめて処方しているからです。

冒頭でお話ししたように西洋医学の病名は、漢方とは何の関係もありません。

また全身の状態を聞いてもいないし、東洋医学的な原因分析していないので、言わば、適当に選んでいるのと変わらないから、『医者が、その漢方薬を効いたかどうか』を判断することはできないのです。

自分の症状がわかっていても効果はわからない

同様に一般の漢方医学理論を知らない人も、自分で飲んでいる漢方薬が効いているかどうかを判断することはできません。

なぜでしょう?

医者は、漢方薬を選ぶために、自分の症状や状態は、聞いてくれなかったかもしれないですが、自分の症状は、わかりますよね。

ところが、これにも問題があります。

漢方薬は症状を抑えることが目的ではありません。

いろいろな症状を発生させている病気の原因である『証』を調整することが治療目的です。

つまり、漢方薬は、症状を当てはめていって選ぶのではなく、病気の原因である『証』を考えなければならないのは、医者と同じなのです。

自分の症状は当然、自分でわかりますが、漢方薬に書いてある症状は、病気の原因である『証』を分析、判断するためのヒントであって、『その症状、そのものを治すわけではない』のです。

漢方は、病名や症状を直接、治すものではなく、『証』を調整して治すものなので、証が分析できていなかったら、適当に漢方薬を選んだことと一緒なので、効果があるかどうかは、『運』に頼るしかありませんので、効いているかどうかは、きっちりと確認できないわけです。

なので、自分の症状がわかっていても、結局、病気の原因はわからないままなので、『漢方薬が効いているかどうかもわからない』のです。

漢方薬の治り方にはいろいろある

病院の薬は、「何か1つの症状がなくなるか?なくならないか?」

オンかオフというわかりやすい効き方をします。

漢方薬は、全身の症状や状態を分析して、1種類だけ漢方薬を選びます。

仮に20個の不快な症状があれば、1種類の漢方薬で20個の症状を治そうとします。

この時に、都合よく、20個の症状が、一辺に同じように治ることはありません。

また、漢方薬は、病院の薬のように症状がなくなるかどうか、オンオフのような、わかりやすい治り方はしません。

例えば、アトピーなら、かゆみの回数が徐々に減るとか、湿疹の面積が減っていくとか、専門じゃなかったら、気づかないかもしれない治り方をします。

また、自分が治ってほしいと思う症状から治るかどうかもわかりません。

アトピーの人が、湿疹やかゆみが変わらないで、「頭痛」や「のぼせ」からよくなってくる場合もあります。

また、治る期間も決まっていません。

処方されたものが、1ヶ月分になっていたとしても、それは販売上のことで、漢方の場合は、誰のどんな症状でも1ヶ月で治るわけではありません。

正に人それぞれ

ずっと変化がなくてとも1ヶ月後以上から、効き始めることだってあるのです。

また、ちぐはぐに治ることもめずらしくありません。

例えば、20個の症状のうち、ものすごく良くなった部分10個、悪いままの部分8個、悪くなってしまった部分2個。

なんてこともあります。

この場合、どうしますか?

『同じ漢方薬を続けますか?』

『違う漢方薬に変更しますか?』

期間の問題もあるので、『どれくらいの日数、飲めばいいのか』の問題もありますよ。

これらを踏まえて、漢方薬の効果を確認しようと思ったら、最初に『病的な体質(証)』を判断して、『治療の目的と方針』を立てて、次回、漢方薬を飲み終わった時も、全身のチェックが必要になるのです。

ですので、医者も一般の方でも漢方医学理論の専門知識がなければ、「効くはず」と期待していても、『そもそも何をもって効いている』かが、わかっていないので、漢方薬の効果の確認が、できないのです。

そして、なんかよくわからない…で終了です。

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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ 図説東洋医学(基礎編):学研
◯ 図説東洋医学(湯液編Ⅰ):学研
◯ 図説東洋医学(湯液編Ⅱ):学研
◯ 漢方概論:創元社
◯ 漢方臨床ノート(論考編):創元社
◯ やさしい中医学入門:東洋学術出版社
◯ 中医診断学ノート:東洋学術出版社
◯ 中医処方解説:神戸中医学研究会
◯ まんが漢方入門:医道の日本社

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

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