漢方薬相談ブログ

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副鼻腔炎(ちくのう症)を漢方薬で治療する方法

副鼻腔炎(ちくのう症)を漢方薬で治療する場合、よくあるのが『副鼻腔炎に効く、専用の漢方薬がある』という勘違い

そんなものはありません!

なぜなら、副鼻腔炎というのは、西洋医学の病名で、体質でもなんでもないからです。

漢方薬は東洋医学的な体質と原因を分析して、その体質や原因に対して、最適なものを選びます。

シャレにならないことに、プロであるはずの医者が、『副鼻腔炎に効く専用の漢方薬がある』と勘違いしているので始末が悪いです。

それでは、本来、漢方薬で副鼻腔炎(ちくのう症)を治す場合は、どのように治すのかを紹介したいと思います。

病院の副鼻腔炎(ちくのう症)の実際の治療

漢方の前に西洋医学では副鼻腔炎(ちくのう症)をどう治すのかサラッと知っておきましょう。

「こんなんじゃ、治らないじゃん!」と思った方は、病院に行かなくてもよいので手間が省けますね。

副鼻腔炎の原因は、ウィルス、細菌、アレルギー反応だと言われています。

もちろん、西洋医学、お得意の正確には原因はわかりません

実は、ちゃんとわかってないけれど、わかっているフリ!

これが西洋医学の王道ですね。

鼻が詰まり、鼻水がたまり、喉の後ろに流れる後鼻漏を起こしたり、副鼻腔炎による頭痛を起こしたりします。

レントゲンやCT検査、生検などで、副鼻腔炎の重症度を調べることもありますが、どちらにしろ、どんな検査をしても、治療は鼻の粘膜の腫れを抑える薬抗菌剤です。

鼻の粘膜の腫れを抑える薬は言うまでもなく、対症療法で、次々、腫れてくるものを薬で抑えても、薬をやめれば、「ハイ、元どおり!」というもの。

抗菌剤も初期にはチャレンジしてもいいかもしれませんが、しばらくして、治らなければ、大して効果の変わらない抗菌剤を次々、出してくるだけで、治療はドロ沼化です。

抗菌剤は平均4〜6週間位で治るはずなので、逆に1ヶ月半経っても、治らなければ、ドロ沼化に突入!ですね。

1ヶ月半経っても状態が変わらなければ、『今後どうするのか?』をしっかり問い詰めるようにしたほうがいいですよ。

こちらから、問い詰めなければ、治りも進展もしない治療を延々と続ける病院が多いので。

病院の副鼻腔炎(ちくのう症)の漢方治療の方法

病院でも、漢方薬を使いますが、医者は、漢方の医学理論を全く知りません。

あなたと一緒!素人同然!

ですので、ツムラなどからもらったマニュアル本をみて、処方するだけです。

大好きなのは、荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)

そう、あなたも、そこのあなたも、みーんな荊芥連翹湯!

だって、医者は体質も原因も分析できませんから。

漢方薬だったら、なんとなく体質改善してくれるとでも、本気で思っているのでしょうか…

もちろん、荊芥連翹湯は副鼻腔炎の薬ではありません。

なんとなく効くものでもなく、効くときは、ちゃんと東洋医学的な理屈があります。

「効くんだったら、効くんだもん!」

なんて漢方薬は、そんなファンタジーなものではなく、ちゃんと、その人の体質や原因を見極めて、それに最適な働きの漢方薬を選びます。

ちなみに荊芥連翹湯は、肩から上に熱がこもり、黄色の鼻水のように膿みやすく、精神的な緊張の強い体質を持っている人に使います。

もちろん、これだけでは、同じ条件で、他にも当てはまる漢方薬はありますので、より自分の体質に合ったものを選ぶために、全身の症状や状態を調べるのは必須ですよ。

副鼻腔炎(ちくのう症)の漢方治療の方法とポイント

それでは、本来の東洋医学理論に則った副鼻腔炎(ちくのう症)の漢方治療の方法を紹介します。

ここからは、本当の漢方治療の方法です。

方式は日本漢方です。

漢方は、人それぞれの体質を分析して選んでいくので、基本的に〇〇タイプに〇〇漢方薬というパターン化されたものはないし、また、そういったパターン化は、漢方薬で、全然、治せなくなるので、パターン化はご法度です。

かといって、いきなり、何百種類もある体質のタイプを振り分けられるわけではないので、大まかな特徴をつかんで治療方針を決めます。

まず、調べないといけないのは、期間です。

どれくらい前から、副鼻腔炎なのか?

「この2週間前から左の鼻だけが詰まる人」と、「3年前から両方の鼻が詰まって、毎日、頭痛がある人」。

どちらも病名にしたら副鼻腔炎ですが、同じ体質、同じ原因なわけないですよね。

これが同じ漢方薬で治るのだったら逆に漢方の万能感、怖すぎです。

そんなファンタジーは、残念ながらないわけです。

次に原因を考えていきます。

副鼻腔炎体質の人の原因の要素は、「上焦熱」「心熱」「上焦の水滞」「脾の水滞」「腎虚」「実証」「表の寒証」「寒証」「虚証」「脾虚」「瘀血」の11要素です。

もちろん、原因は人、それぞれなので、これ以外も考えられますが、代表的なのは、こんな感じ。

要素と書いたのは、このうちのどれか1つというわけではないからです。

例えば、「上焦熱」+「上焦の水滞」+「実証」は、湿熱の実証というように体質がクラスチェンジとなり、これが副鼻腔炎の原因になっています。

簡単に言えば、パズルのように、いろいろな原因の要素が絡み合って、副鼻腔炎を起こしているわけです。

それぞれ、詳しく説明すると、

【上焦熱】は、肩から上に不要な熱がこもっている状態です。

【心熱】は、心の臓に熱に不要な熱がこもっている状態です。

【上焦の水滞】は肩から上の水の巡りが悪くなっている状態です。

【脾の水滞】は胃に不要な水が滞ってアレルギー状態を誘発しています。

【腎虚】は、体全体の水の巡りがうまくいってない状態です。

【実証】は、水や膿などを体に溜め込んでいしまう状態です。

【表の寒証】は、皮膚表面に不要な水が滞っている状態です。

【寒証】は、自分自身で十分な熱がつくれずに冷えて、水も血の巡りも滞っている状態です。

【虚証】は、体力がなく菌やウィルスに抵抗できない状態です。

【脾虚】は、消化器が弱って、免疫力や体力が少なくなり、菌やウィルスに抵抗できない状態です。

【瘀血】は、血の巡りが悪く炎症が解消できない状態です。

これらの原因が、いろいろ組み合わさるので、人によって副鼻腔炎の原因は、漢方的には何十パターンになってきます。

漢方薬としては、40種類くらい(40パターンの原因と体質)の中から、その人の原因、体質別に合わせて選びます。

荊芥連翹湯なんて、この一部でしかないのですね。

副鼻腔炎といっても、漢方的には人によって変わるわけです。

医者や漢方薬局のほとんどの先生は、漢方薬の名前は知っていても、漢方の医学理論を知らないことが多いので、なんとなく荊芥連翹湯をダラダラと飲み続けてもらったりしていますが、漢方は、上記のように東洋医学独特の病気の原因を分析して、その原因に合わせて選ばないと、原因と漢方薬の効果がズレていたら10年飲んだって、効きませんよ。

本当に漢方薬で治したかったら

漢方薬の効果は、つまりは、その「病的的な体質(原因)」を治すということです。

ややこしいですが、例えば、上焦の熱証なら、熱が上半身で滞っているので、上半身の熱を体の下方へと巡らせます。

体質さえ正確に診断できれば、使える漢方薬は自ずと決まってくるのですね。

ということで、医者がやっているような副鼻腔炎→荊芥連翹湯みたいな、東洋医学的な根拠も理由もないような選び方だと、副作用のことを考えると、いっそ飲まないほうがマシかもしれません。

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【引用先及び参考図書・Webサイト】
副鼻腔炎 メルクマニュアル(家庭版)
副鼻腔炎(プロフェッショナル版)
耳鼻咽喉科ガイドライン:日本耳鼻咽喉科学会
◯ 今日の治療指針:医学書院
◯ 治療薬マニュアル:医学書院
◯ 今日の治療指針:医学書院
◯ 治療薬マニュアル:医学書院
◯ツムラ医療用漢方製剤マニュアル
◯オースギ医療用漢方製剤マニュアル
◯漢方方意辞典:緑書房
◯漢方診療医典:南山堂
◯漢薬の臨床応用:神戸中医学研究会
◯中医処方解説::神戸中医学研究会
◯平成薬証論:メディカルユーコン

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

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