漢方薬相談ブログ

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心臓病を患うと、うつ病になってしまうのか?

実は、以前から、不思議に思っていたことがありました。

それは、『心筋梗塞』『狭心症』などで、一度、死にかけて、なんとか助かった人は、その後、『うつ状態』のようになってしまうということが多いのです。

これはあくまで僕の治療経験の話ですが。

それまで、「気が強くイケイケな感じ」だったり、「大らかで元気だった人」が、心臓病をきっかけに、その予後で、やる気がなくなったり、やたらと恐るようになったりと、性格が変わってしまうのです。

言い方が適切なのかどうかわからないですが、心臓病を患った後に『魂が抜けた』ような感じにみえるのですね。

「本当のところ、何が起こっているのだろう?」と不思議に思っていたら、先日、心臓病の予後を漢方治療している患者さんから、衝撃的な一言がありました。

やはり性格が変わってしまう心臓病

「先生、この病気って性格が変わってしまったりします?」

「え?」と最初、何の話なのかわからなかったのですが、もしかしてと思い、詳しく聞いてみました。

「性格が変わったとは?どういう風に変わったのですか?」と僕。

そうしたら、患者さんが、心筋梗塞を起こす前は、気が強い方で、不安になったり、クヨクヨ悩んだりするタイプじゃなかったのに、病気をした後から、うつ病のような感じになってしまったと。

さらに、周りの人からも、『うつじゃないか?大丈夫ですか?』というようなことを心配されるようになったということなんです。

この状況、僕は以前から、心臓病の人を観察していて、『魂が抜ける状態』が確かにあるなとは思っていたのですが、ご本人から、その話がでたことがなかったので、これは研究のチャンスだと思いました。

やはり、推測は合っていたのか?

最初、その方も心筋梗塞という生死に関わるような大きな病気をしたので、それがショックで不安な状態を今もひきづっているのでは?と冷静に考えておられたようなのですが、どうも、自分を客観的に冷静にみても「性格が変わってしまった」という結論になったようです。

『魂が抜ける』『性格が変わる』『うつっぽくなる』そんなことってあるのでしょうか?

病院や医者からみたら、完全にオカルトですよね。

でも、漢方的にはオカルトでもなんでもなく理論的な理由があるのです。

心臓病の後にうつっぽくなる原因

前々から、心臓病の患者さんを治療するたびに不思議に思っていたので、そのたびに色々調べて、一応、理由らしきものを探しました。

漢方では、『心は神を蔵す』という考えがあります。

この概念を学んだ時、正直よくわからんし、オカルトっぽい!なんて思っていたのですが、これを今回のケースにあてはめてみると、なんとなく理解できるようになるのが漢方の不思議なところです。

さて、『心は神を蔵す』というのは、仰々しいですが、神はゴッドではなく、精神活動のことです。

精神の中枢であるという意味なのです。

西洋医学でいうところの脳の精神活動は、漢方的には、心臓がとりまとめているという考えなのですね。

「うっわぁ〜オカルトっぽくなってきたよ」と思うのは早計です。

当時には、ちゃんと脳の存在もわかっています。

『脳は髄の海』とよばれていて、こちらも運動や感覚器などを司っているというのはわかっているのです。

それでも心臓が精神の中枢だと言ってたのですね、

心臓病後のうつ状態をどう治療するのか?

ちょっと表現がおかしかったら、ごめんなさいですが、漢方はあくまで自然治癒力を整えて、健康に導く治療です。

つまり、「心臓病が手術で助かった」とか「人工透析」の状態というのは、漢方的には生き残れていないことになります。

これは西洋医学の治療の良いところですね。

手術が治療法でない漢方の弱点でもあります。

ですので、心臓病の後には、「うつになってしまう」だとか、「性格が変わってしまう」などの記述はありません。

でも、現実の患者さんを観察していると、それがみられるわけです。

こういった状況なので、こうすれば治るみたいな教科書的なものは存在しません。

でも、漢方的な治療理論から考えれば、補気と行気ではないかと。

補気というのは、気を補う治療で、行気とは、気を巡らせることです。

僕的には、この治療を同時に行うのはマズイと思っています。(今回の患者さんに体質に関してはですが)

ということで、せっかくお話くださったので、昔のような性格を取り戻せるか、今から治療していきます。

ちなみに心臓病の方で、こういった状況に思い当たる人が、医者に漢方薬の相談しても無駄ですよ。

多分、彼らは、ツムラなどの漢方薬メーカーさんからもらったマニュアルの心臓病の欄に書いてある漢方薬か、うつ病の欄に書いてある漢方薬を適当に選ぶだけだと思います。何の理由も根拠もなく。

(一応、マニュアルを見た!という根拠はあることになるか・・・)

補気や行気の漢方薬は、それこそ、いろいろな種類があります。

当然、それらのものも、その方の体質に合わせて選ぶ必要があるので、漢方薬がうつっぽさに効くのではなく、自分自身の心や気に対して、最適な漢方薬を選ばないといけないし、この状態に関しては、医者の大好きなマニュアルにのっていませんので、体質をみれない病院や漢方薬局では相談しないほうが無難かもしれませんよ。

だって、漢方薬は体質と合っていないものを続けるとジワジワとより病気がひどくなっていきますので。

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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ 図説東洋医学(基礎編):学研
◯ 漢方概論:創元社
◯ 漢方臨床ノート(論考編):創元社
◯ やさしい中医学入門:東洋学術出版社
◯ 中医診断学ノート:東洋学術出版社
◯ 中医処方解説:神戸中医学研究会
◯ まんが漢方入門:医道の日本社

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

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