漢方薬相談ブログ

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漢方薬局の大好きな田七人参の正体

うちの患者さんっておもしろい人が多くって、僕のところで東洋医学の知識を勉強して、『その理論はどうなのか?』を検証するためにあえて、お試しでどこかの漢方薬局に相談に行ったりします。

もちろん、そこでは何も買わないで、相談体験だけして、僕に「あーだった、こうだった」と教えてくれます。

もともと、僕が、常日頃から、相談の時に、『漢方薬局の8割、9割は実は漢方のことを知らないよ』と話しているので、それをほんとかどうか確かめにいくのが面白いようです。

田七人参とサプリメントが大好きな漢方薬局

で、この間、お試しというよりも、うちが休みだったけれど、急性で対応してもらいたかったらしいので、しかたなく、近くの漢方薬局に相談に行った時の話。

前にブログに書いたので、詳しい話は割愛しますが、要は、そこの先生は『漢方薬の本を見ながら漢方薬をすすめてきた』のですが、「本当に漢方知ってるの?」という態度をとると、漢方薬はあっさり、引き下げて田七人参なんか腸内細菌を活性化するサプリをすすめてきたらしいです。

実はこれが漢方薬局のスタンダードな形だったりします。

田七人参は漢方薬ではない

田七人参は、漢方薬ではありません。

厳密には、生薬の単体です。

漢方薬というのは、何種類かの生薬が組み合わさったものです。

料理で例えると生薬は食材です。

そして、いろいろな食材を組み合わせたものが料理のメニューですね。

生薬を単体で使うことはない

実は漢方治療では、生薬を単体で使うことはありません。

パーキンソン病に使うことのある厚朴一味という厚朴という生薬を単体で使う処方がありますが、ひっっっじょうに珍しいです。

まず、生薬単体で使うことなんてないのですね。

生薬それぞれにも効果はありますが、なぜ、漢方治療では、生薬単体を使わないのでしょうか?

それは漢方治療の特徴にあります。

漢方薬は病院の薬の効果とは違うもの

漢方薬は、病院の薬のように何かの成分がどこかの症状を抑えるわけではなく、生薬が複数組み合わさった漢方薬という形で、体のいろいろな部分を調整して、結果的に一番悩んでいた症状もなくすように持っていきます。

医者の中でもこれを勘違いしている人がいますが、1つ、2つの症状を直接、抑えるために漢方薬は使いません。

体全体を調整するので、生薬1つだけだと、治せる範囲が非常に狭いし、治す部分に偏りが出て、治療のバランスがとれません。

要するに使いにくいのです。

また、漢方薬は、『あらかじめどんな体質の人に使うのか』という詳細な体質の設定がありますが、生薬は体質分析を考える前の素材みたいなものなので、『どんな体質の人に最適か』という設定がないのですね。

だから、生薬だけで使うと病院の薬とか、サプリメントみたいな考え方になっちゃうわけです。

それは漢方ではありません。

田七人参の本来の効能効果

現になんちゃってな感じの漢方薬局は、田七人参を『血の巡りをよくしてくれる』とか、『肝臓の薬』など、ざっくりした説明ですすめています。

では、田七人参の本来の効能効果は何でしょうか?

【田七人参】
味は甘、微苦、性は温、帰経は肝、胃経。

止血、きょお、消腫、止痛。

説明すると、やや水を排出し、気を下ろす作用があり、やや温める力があります。

止血して、痛みを止めます。

血の巡りを促し、できものや塊を潰します。

もっとも特徴的なのは、止血と止痛です。

僕は病気の治療や体質改善に田七人参は使いませんが、出血のひどい怪我に田七の粉をふりかけると止血、止痛ができて便利です。

また打撲捻挫などにもよいです。

田七人参は飲み続けるものではない!?

田七人参は便利なものです。

しかし、田七人参は漢方薬ではありません。

効果と使い方など、その特徴から、急性的な状態に合わせて一次的に使うのが向いていると思います。

要は、『ずっと飲み続けるものではない』と思うのですよね。

言わば病院の薬のような感じです。

そもそも、止血し続けないといけない慢性病なんてヤバイですよね。

大体、止血するのは、一時的だし、打撲や捻挫の血の巡りの悪さも一時的です。

田七が好きな漢方薬局は、この打撲や捻挫の血の巡りを良くして治す作用を拡大解釈して、『血の巡りがよくなるから飲み続けましょう』なんて説明しますが、そもそも漢方的には、血の巡りにもいろいろな原因があります。

例えば、血熱といって、血に余分な熱が宿って巡りが悪くなったり、冷えて巡りが悪くなったり、神経系の影響で悪くなったりと、それこそ人それぞれ。

だから、漢方薬は何種類も使い分けるのです。

その原因が、たまたま打撲だったら、田七人参を飲めばいいですが、どんな血の巡りの悪さでも田七人参で治るわけじゃないのです。

むしろ、田七人参は生薬単体なので、本来は、それほど使う機会はないと思います。

高血圧や卵巣嚢腫などがあるような病気だったら、ちゃんと原因と体質分析して、漢方薬を使うべきなんです。

なぜ田七人参をすすめるのか?

なぜ、漢方薬局は田七人参が好きなのでしょう?

多分、大半の漢方薬局は『証』という病気の原因を分析できないので、漢方薬がまともに扱えないのではないかと。

ですので、漢方薬局と言いながら、サプリメントや漢方薬もどきを売っていることが多いのです。

こういった店は、漢方薬の複雑な調整能力を理解できないので、サプリメントのような『西洋医学的なわかりやすい効果』を好むのだと思います。

ちなみに僕は田七人参は出したことがありません。

だって、田七人参を単体で出すのだったら、もっと優秀な漢方薬が何種類もありますから、わざわざ、体質設定のない田七人参なんて出す必要がありません。

田七、サプリメント推しの漢方薬局は、例え、店構えがそれっぽいとしても、気をつけられたほうがいいと思います。

『私の「証」は何で、その漢方薬は私の「証」をどのように調整してくれますか?』この質問をしてください。

バッチリと納得いく答えが返ってくれば、そこは漢方専門だと思います

そこで田七人参をすすめてきたら、そこはお察しですね。

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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ 漢薬の臨床応用:神戸中医学研究会
◯ 中医処方解説:神戸中医学研究会
◯ 平成薬証論:メディカルユーコン
◯ 近代漢方薬ハンドブックⅠ:薬局新聞社刊
◯ 近代漢方薬ハンドブックⅡ:薬局新聞社刊
◯ 近代漢方薬ハンドブックⅢ:薬局新聞社刊

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

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