十味敗毒湯は、アトピーやニキビの薬じゃありません!
「アトピーに効く漢方薬を出してもらっているのですが…」
「ニキビに効く漢方薬を出してもらっているのですが…」
という話がよくありますが、本格的な漢方治療をしている僕からすると、意味がわかんないです。
なぜなら、漢方薬は病名や症状に直接、効くようなものじゃないから、アトピーに効く漢方薬なんて存在しません。
漢方では、その人それぞれの原因を調べて、その原因に合わせて選ぶのです。
表面的なアトピー性湿疹という状態が一緒なだけで、体内の問題は、みんな違うのです。
そして、漢方薬は、その人それぞれの体内の原因に合わせて選ぶのです。
ですので、当然、十味敗毒湯はアトピーやニキビに効く薬じゃありません。
「じゃあ、一体何の薬なんだ!」という話ですね。
今回は、十味敗毒湯は、本来はどんな効果なのか?を解説したいと思います。
また、アトピーやニキビには、どんな漢方薬で治すことがでくるのかを解説したいと思います。
病院ではアトピーとニキビの原因はわかっていない
アトピーの原因って何だと思います?
西洋医学では、『炎症反応』とか『免疫の反応がどうたらこうたら』って説明していますが、それって、アトピーの様子を医学用語的に言い換えているだけで、原因自体のことは一切、説明していません。
医学書をよく読んでみたら、どうどうと『アトピーの原因は不明』と書いてあります。
ニキビにいたっては、『思春期のホルモンの活性化と菌の関係でニキビができる』というのが原因で、つまり、思春期を過ぎた人のニキビは原因を解明しようともしていません。
要するに西洋医学では、原因が全くわかっていないのです。
ただ、ステロイドは炎症反応を一時的に無理やりでも止めてくれるので、原因は何かわからないけれど、塗ったら、湿疹が一時的におさまるし、そもそも、治療って言ったって、それしかないから仕方なしに使っているのです。
残念ながら、病院で処方されるステロイドやプロトピックでは、原因を一切、治していないので、いくら続けようと治ることはありません。
『そこで、漢方薬なら体質改善できそうだから』と十味敗毒湯などが処方されたりしますが、これも医者は明後日の方向を向いた見当違いの処方をしています。
十味敗毒湯の本来の効果
十味敗毒湯等の本来の効果は、『表の熱証』、『表の湿熱証』、『胸脇の熱証』とう状態を治すものです。
あなたのアトピーの原因がこういった状態だったら、十味敗毒湯等で治るかもということなのですが…
意味がわからないですよね。
漢方では『アトピー』とか『ニキビ』などの病名に合わせて選びません。
当たり前ですよね。
だって、アトピーとかニキビというのは、西洋医学の病名であって、東洋医学にはそんなものはありません。
そもそも、漢方では、病名というものはなく、体質を調べて、その体質に合わせて選ぶのです。
この体質というのは、原因ともいえます。
漢方の病気の原因や体質のことを『証』といいます。
さっきの『表の熱証』というのは、皮膚表面に余分な熱を持っていることを指します。
治療としては、そのままで皮膚表面の余分な熱をしずめます。
漢方では清熱効果といいます。
『表の湿証』というのは、皮膚表面の水の巡りが悪く、それがさっきの余分な熱と結びついた状態のことを指します。
治療としては皮膚表面の水の巡りを促して、滞っている悪い水を流します。
漢方では表の利水効果といいます。
『胸脇の熱証』というのは、肝の臓が、熱を持ちやすくなっていて、それが胸周辺に滞っている状態を指します。
治療としては肝の清熱といって肝臓の余分な熱をしずめて、気の巡りも促します。
証の状態を治すものが、その漢方薬です。
病院のアトピーという診断は、ざっくり『湿疹のある人』と言ってるだけで、細かくみれば、人それぞれ、別の病気みたいに状態が変わってきます。
例えば、同じアトピーの人でも、ボワーンと熱感を持っている人もいれば、赤い小さなプツプツができるけれど、『熱感はない』という人もいます。
腕や足などが乾燥して、かくと出血する人がいますが、かくと水のような汁がジクジクと出てくる人もいます。
漢方では、人それぞれの細かい原因まで突っ込んで分析して、その原因を治せる漢方薬を選びます。
十味敗毒湯を選ぶ場合は、『アトピーやニキビなどの湿疹に効きそうだから』なんて、イイ加減な選び方はしません。
全身を調べて行った時に「表の熱証、表の湿熱証、胸脇の熱証という原因があれば、十味敗毒湯で治るかもよ」ということなのです。
逆に、あなたの体の状態が『表の熱証』、『表の湿熱証』、『胸脇の熱証』という状態でなければ、十味敗毒湯等は一切、効かない!のです。
カサカサ乾燥するアトピーやニキビだったり、これらに月経不順やPMSなどが加わったりすれば、気の巡りや血の巡りの悪い原因なんかも湿疹に関係してきたりするので、そういう要素があるアトピーであれば、十味敗毒湯意外の漢方薬を選ばないと意味がありません。
漢方的アトピーの原因
医者や大半の漢方の先生は、『体質』を分析できないので、勝手に『アトピー=十味敗毒湯』と決めつけて、そのマニュアルにしたがって処方します。
なぜか、『西洋医学の病名や症状で東洋医学の漢方薬を選ぶのっておかしくない?』ってことすら、気づいていません。
アトピーやニキビも人によって原因が違うわけです。
僕の治療経験では、人によって40タイプ位の原因にわかれます。
つまり、アトピーという状態を治す漢方薬は40種類あるということです。
十味敗毒湯は、そのうちの1つ
十味敗毒湯がアトピーを治す漢方薬ではありません。
「なんちゃって漢方体験」ではなく、本当に漢方薬で体質改善、根本治療をしたいのであれば、全身の体質や現在の生活状況を全部調べて、分析してくれる先生にみてもらわないと意味がありません。
世間の医者やほとんどの漢方薬局は体質を分析できない
残念ながら、保険適用の漢方薬を処方している医者は、体質を分析できません。
だから、全身の問診なってとってないでしょ?
あなた自身のアトピーやニキビの原因(証)も、その原因をどうやって治すのかも説明がないでしょ?
だって、体質が分析できてなかったら、あなたのアトピーの原因もわからないし、原因を治す漢方薬なんて選びようがないからです。
漢方薬で治したければ、ちゃんと『全身の問診』『あなた自身の原因(証)』『その原因をどんな漢方薬でどんな風に治すのか』を理論的に説明できる先生にお願いしないと時間とお金の無駄使いです。
『マニュアルを見たら、アトピーのところに十味敗毒湯って書いてあるから処方する』
そんなの誰だってできるし、漢方がそんな簡単なわけないじゃないですか。
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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ ツムラ医療用漢方製剤マニュアル
◯ オースギ医療用漢方製剤マニュアル
◯ 漢方方意辞典:緑書房
◯ 類聚方広義解説:創元社
◯ 勿誤薬室方函:創元社
◯ 漢方診療医典:南山堂
◯ 漢薬の臨床応用:神戸中医学研究会
◯ 中医処方解説:神戸中医学研究会
◯ 平成薬証論:メディカルユーコン