漢方薬相談ブログ

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コロナを予防できる漢方薬が実は存在しない理由

  1. 「コロナを予防する」とは具体的には?
  2. コロナ予防できる漢方薬の正体
  3. 漢方薬の本来の効果は西洋医学的なルールと関係ない
  4. 漢方薬でコロナの予防が不可能なわけ

ある雑誌で『コロナを予防できる漢方薬』という記事がありました。

「うわぁー出たー」と思いましたね。

コロナもなんか終わらない感じになってきているので、医者や一般の人が思い描く、またいつもの「漢方薬のよくわからないファンタジー効果にすがろうっ!」ってやつでしょうか。

結論から言うとコロナを漢方薬で予防することはできません。

というか、おそらく病気の予防と漢方薬の本来の効果の考え方に誤解があるのではないかと思うので、なぜ、漢方薬でコロナや病気を予防できないのか?

漢方薬で病気を予防するという誤解を解いていきたいと思います。

「コロナを予防する」とは具体的には?

「コロナを予防する」という言葉は曖昧なので、もうちょっと具体的に考えてみましょう。

コロナにならないように予防するには、コロナに罹る前にコロナに打ち克つ免疫を獲得している必要があります。

その免疫を獲得していれば、感染しても即座に免疫がやっつけて罹ったことすら知らないで治る。ということで、つまり予防できるわけです。

これってワクチンと同じことになりますね。

だったら、まだ未知の部分のあるワクチンを打たなくても、そのコロナを予防できる漢方薬を飲めばいいわけです。

漢方薬なら自然のものなので。

でも、そんな働きをする成分は発見されていません。

もしくはタミフルみたいなコロナウィルスの増殖を抑える成分が生薬にあれば、予防したり、コロナを防ぐことができます。

でも、これもないです。

なぜなら、それらの成分があるのであれば、実験で判明させることができるし、コロナを防いだり、予防できる生薬があるのであれば、その生薬の成分を抽出して即座に薬にして全世界に配ることができているはずだからです。

コロナ予防できる漢方薬の正体

コロナを防ぐことのできる漢方薬の正体ですが、予防ではないですが、その防ぐ根拠は、中国である特定の漢方薬をたくさんの人に使ったら重症化しない人が多かったというものです。

でもこれは、西洋医学的な観点から見ると全く信用できるようなデータではありません。

そもそも、ある人が事前に絶対に重症化するかどうかの保証がないのに重症化しなかったことが漢方薬が効いた証拠になりません。

また、その根拠(有効成分や効果のメカニズム)は何一つわかっていないのです。

おまけに僕は投資家でもあるので、そっち方面から中国のことをよく知っていますが、中国は共産主義で皆さんが考えている何倍もご都合主義の国です。

はっきり言って、中国のデータなんて全く信用できません。

もし中国自体が本当に効くと思っているなら、嬉々として全世界に売り回って「世界を救ったのは中国だ!」と吹聴しまくるのが中国のやり方です。

ちなみに中国の作ったワクチンはコロナに効かなかったという実際のデータがタイで出ています。

こんな本来ならデータにもならないようなものを日本の漢方薬を扱っている一部の医者などは、コロナを防ぐ漢方薬とか、コロナを予防できる漢方薬と騒いでいます。

漢方薬の本来の効果は西洋医学的なルールと関係ない

漢方薬を構成している生薬はある方面では科学的な分析がすすめられていますが、現状、何の成分がどんな働きをして治すのか、ほとんどわかっていません。

わかった風に装っているだけです。

そもそも漢方薬というのは東洋医学の理論に基づいて治療されるもので、西洋医学の科学的な有効成分の考え方は全く関係がありません。

漢方薬は体質の弱点を分析し、その弱点を調整できるものを選びます。

順番的に体質の弱点をまず知ることから治療が始まるのですが、「コロナに罹った体質」という、そんな曖昧な体質は存在しません。

具体的に高熱があるのか?

その時に頭痛があるのか?

下痢をしているのか?

など、同じコロナに罹った人でも、人それぞれの症状や元々の体質の傾向を見極めて漢方薬を選びます。

こういったことからもわかるように、漢方薬って受け身なんですよ。

その人独自の症状や状態があって、その症状や状態がわかって、初めて漢方薬を選ぶことができるわけです。

ということは、コロナだろうが、他の病気だろうが、その人自身が具体的にどんな症状を持っていて、どんな状態なのかがわからないと何の漢方薬を選べばいいのかがわからないのですよね。

漢方薬でコロナの予防が不可能なわけ

医者やほとんどの漢方薬局の先生は、漢方本来の体質を分析しないで、西洋医学の病名や1つ2つの症状とマニュアルを照らし合わせて漢方薬を選びます。

もちろん、これはデタラメな方法ですが、一人一人の体質を詳しく分析できないので、この簡単でデタラメな方法が当たり前のようになっていて、実際にほとんどの先生はそれがおかしな方法とも思っていません。

ですので、普段から病名や症状に直接、漢方薬が効くとフワッと考えているのです。

でも具体的に考えたら、病名ってある一部分の体の不調に当てはまるかどうかだけです。

例えば、高血圧は「血圧が基準よりも高い」と言ってるだけ。

アトピーは「皮膚に湿疹ある」と言ってるだけ。

では、高血圧症やアトピーの人は、みんな同じ体質でしょうか?

違います。

体質は体全体の症状や状態から分析して、東洋医学的に診断したものです。

なので、漢方の世界では「どこからが病気になっていて、どこからが病気でない」なんて感覚はありません。

頭痛一つでも体内のバランスが崩れて発生しているのです。

全身を細かく分析しても何一つ、症状がなく、状態がおかしなところなく、疲れも全くないという人だけが病気がないといえます。

でも実際は、何がしかの症状や状態の不調があり、その状態も日々、微妙に変わったりします。

つまり体質は日々、流動的なのです。

常に動いているので、「毎日、これさえ飲んでおけば予防できる」なんて漢方薬は存在しません。

あえて予防的に飲むとしたら、毎日、体質を分析して、毎日、漢方薬の種類を調整することです。

漢方薬は予防ではなく、日々、小さな不調のある部分を細かくメンテナンスすることが目的だからです。

またコロナの予防に漢方薬を使用しようと思ってもコロナになった時に『具体的にどんな症状や状態があるのか』がわからないと最適な漢方薬は選べません。

なぜなら、コロナウィルスに直接、効く漢方薬とか、コロナをやっつける免疫を作り出す漢方薬なんてものは発見されていないし、ないからです。

つまり予防は不可能なのですね。

ただし、漢方薬で日々、体調をメンテナンスしていれば、根本的に体が強くはなるので、そういう広いフワ〜とした意味では予防になるとはいえます。

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

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