西洋医学と東洋医学からみた耳鳴りの原因を徹底解説!
突然、ピーンとかキーンとか、聞こえる耳鳴り、これが1ヶ月に1回くらいとかなら、気にする必要がないですが、1週間に2、3回あったり、1日に何度もあると、これは問題になってきます。
話や音が聴こえにくくなる難聴なども伴いやすいため、早めになんとかしないと取り返しのつかないことになることもあります。
今回はこの耳鳴りの原因を西洋医学と東洋医学の両方から分析してみたいと思います。
今回のブログを読んでいただくと、西洋医学の耳鳴りの原因と、東洋医学の耳鳴りの原因は、それぞれ違ったものであることがわかります。
西洋医学的な耳鳴りの原因
西洋医学的な耳鳴りとして最も大きな原因だと考えられるものは、加齢です。
次に騒音や大きな音によくさらされている状態。
うちの耳鳴りの治療経験では、オーケストラで何かの楽器をしている人やライブをしているギタリストさんなんかは、慢性的な耳鳴りに悩まされていたりする人が多いです。
あと、意外に思われるかもしれませんが、病院の薬で耳に悪影響を与えるものを飲んだ場合などです。
例えば、世界的な医学書であるMSDマニュアルから抜粋しますと以下の感じです。
抜粋
→耳に損傷を与える可能性がある薬(聴器毒性のある薬)はたくさんあります。
具体的には、抗菌薬のストレプトマイシン、トブラマイシン、ゲンタマイシン、フラジオマイシン、バンコマイシン、がんに対する一部の化学療法薬(例えばシスプラチン)、フロセミド、アスピリンなどがあります。
抜粋終わり
薬を飲んだからアウト!という訳ではなく、これらの薬を長期間飲んでいたり、複数飲んでいたり、その他、あなた自身の腎臓の毒物の排出能力の問題などが関係して、薬が原因で耳鳴りになったりします。
病院の薬というのは、化学物質で作られていて、モノとしては体に対しては純粋に毒物だったりするので、特に長期間の服用になってくると、色々と副作用が出てきます。
この辺りの「病院の薬は身体的には純粋な毒物である」という話は、またじっくりと解説したいと思います。
またピーンとかキーンなどの音でなく、血が流れるような音が聞こえる場合は、少し原因が違ってきます。
この場合は、動脈効果や高血圧で、血の巡りが上手くコントロールされていない場合に起こりやすかったりします。
耳鳴りが発生するメカニズム
耳鳴りが発生するメカニズムとしては、
MSDの医師向けのプロフェッショナル版から引用するのがわかりやすいです。
抜粋
→自覚的耳鳴は,聴覚皮質の異常な神経活動により引き起こされると考えられる。
この神経活動異常は,聴覚路(蝸牛,聴神経,脳幹核,および聴覚皮質)からの入力が,何らかの形で阻害されたり,変更される場合に生じる。
抜粋終わり
なんか専門的に難しげに書いてありますが、これは政治家が自分のスキャンダルの言い訳をする時と同じで、わかりやすく訳すと「耳鳴りが発生するメカニズムは分かりません。何かが原因で発生するみたいです」と言ってます。
「いやだから、その原因を聞きたいんだよ」とツッコみたいところですが、これ以外の医学書を読んでも同じようなもので、専門的な難しい言葉で、どれも「わかりません」と言ってます。
病院では、耳鳴りで受診すると聴覚検査をしますが、特に問題なかったり、やや聞こえが悪かったりします。
で、だから何がわかるかというと、「単に耳の聞こえがやや悪いかも」と言うことのみがわかるだけで、やっぱり、なぜ耳鳴りが発生しているのかはわからなかったりします。
あれ、いつも思うのだけど、検査して何を導き出そうとしているのだろう?って不思議です。
漢方が考える耳鳴りの原因
漢方的に耳鳴りの原因を考えてみたいと思いますが、ここで大きな誤解があるので、その話からしておきたいと思います。
西洋医学は、体内の機能を見て、通常の機能が、どううまくいっていないのかを調べて、耳鳴りになったメカニズムやそれを引き起こした原因を調べます。
例えば、耳鳴りなら、音が内耳神経に伝達される際やそれを受け取る中枢神経のどこかに問題があるのではないかと考えます。
ただ、結局、「多分、その辺だと思うんだけど、どこにどう問題があるのかわからない」と言うのが西洋医学が考える耳鳴りのメカニズムです。
メカニズムと呼んでいいのかどうかわかりませんが。
漢方は、西洋医学のように耳の機能やメカニズムがどうか、などから考えたりしません。
漢方は、経験医学で実際の結果から治療方法を導き出します。
漢方は2千年前から、たくさんのいろいろな病気の人を治療してきています。
例えば、耳鳴りで悩んでいる人がいたとしたら、今の病院みたいに「聴覚検査をします」、「MR Iを撮ります」と科学的検査はできません。
2千年前ですから。
そこで、耳鳴りの人の体格と全身の症状の記録をとっていきました。
一人だけでなく、たくさんの人の耳鳴りの状態の記録をとっていくと、耳鳴りでも色々なタイプの体質の人がいるのがわかってきたのです。
それに対して、最初は、実験的に同じ漢方薬を飲んでもらうと、ある耳鳴りの人は良くなったり、ある耳鳴りの人は余計に悪くなったりという結果が出てきました。
また、全然、違う種類の漢方薬で、耳鳴りが治っていく人もいたりして、その「結果」のデータを残して、次の耳鳴りで悩んでいる人の治療に,そのデータを活かして、言葉が悪いですが、実験的に繰り返したのです。
そして、そのデータを理論立てて、まとめていきました。
そうすると、耳鳴りが発生するタイプには、どんな種類の体質の人がいるのかに気づき、その体質のタイプごとに選ぶ漢方薬も変わってくることが分かったのです。
そんな感じで、漢方の場合は、聴覚神経がどうとか、聴力検査がどうとかという検査が関係ありません。
体全体の様子から、体質のタイプを分析して、耳鳴りを治していきます。
漢方から考える耳鳴りの原因
病院やあまり漢方の医学理論をわかっていない漢方薬局では、耳鳴りといえば苓桂朮甘湯を処方することが多いですが、
うちの店、お決まりのやつを言います…
苓桂朮甘湯は耳鳴りを治療する薬ではありません。
苓桂朮甘湯に耳鳴りを治す効果があるわけではないし、何か治す成分が含まれているわけでもありません。
漢方の場合は、耳鳴りだけでなく、全身の症状や生活環境などを総合的に分析して、耳鳴りの原因を解明していきます。
それでは、どんなタイプの原因があるのかを紹介していきます。
ちなみにこれ以降の説明に出てくる肝の臓とか、腎の臓というのは、東洋医学の考える臓器のことで、皆さんがよく知っている、西洋医学の臓器とは関係ありません。
【表の寒証タイプ】『証』と言うのが病的な体質を表していて、同時にそれが原因とも言えます。
表の寒証と言うのは、体の皮膚表面や上半身が冷えて、同じく皮膚表面や顔から上の水の巡りが滞った状態のことを表します。
簡単に言えば、風邪の時に耳鳴りが発生し、風邪が治っても耳鳴りが続いているような状況の人の耳鳴りは、漢方的には「表の寒証」という状態が原因になっているということです。
元々、浮腫みやすく、体力がなくて風邪をひきやすい人の風邪の後の耳鳴りでよくある原因です。
【胸脇の熱証タイプ】
胸脇というのは、漢方で胸あたりのことを指します。
肝の臓が熱を持ちすぎて、何らかの炎症反応を抑えられなくなったりして、その影響が原因で耳鳴りが鳴っている状態です。
また、強いイライラや焦り感から、気の巡りが悪くなり、耳鳴りが発生する場合の原因とも言えます。
中耳炎的な炎症がある場合や、ストレスを受けたあとに耳鳴りが発生する場合は、この原因であることが多いです。
気をつけていただきたいのは、漢方ではストレスをざっくりと、ストレスとは捉えません。
例えば、不安とイライラでは、感情の方向性が違うので、選ぶ漢方薬が変わってきます。
【裏の実証】
大腸に熱があり、熱からの影響で便秘になりやすい人が、を起こす場合の原因です。
大腸が不要な熱を持って、その熱が体の上へ上へと上がっていって耳の機能を邪魔します。
便秘でも硬い便で、便が出し辛いタイプです。
のぼせやすさも特徴だったりします。
【気の上衝の証】
身体中を巡っている気が、首からの上の顔や頭だけに偏って滞ってしまった場合、気が詰まって、耳の機能がうまく働かなくなることが原因で耳鳴りが発生しているタイプです。
頭痛を伴ったりすることが多かったりします。
【脾胃の水毒の証】
脾胃というのは、漢方で胃腸のこと全般を表します。
腸は、体の中でも、かなり面積が広く、水がたくさんあるところでもあります。
胃腸の水の代謝が悪くなると、不要に溜まった水が、体の色々なところにあふれて溜まります。
耳の構造は、とても細かく、複雑に血や水が巡っているところなのですが、この不要な水が耳に流れきて、そこで滞ると、水の代謝が悪くなって耳の機能がおかしくなって、耳鳴りの原因になったりします。
慢性的に胃もたれがあったり、軟便気味だったり、下痢をしやすかったりすることが多いです。
【血虚の証】
体の血が不足している状態です。西洋医学的な貧血も含まれますが、貧血と同じ意味ではありません。
血は体の機能に必要なエネルギーですが、消費する血と補充される血の量のバランスが合っていない状態を血虚の証といい、こういった血の不足が耳鳴りの原因だと考えます。
エネルギーが不足して耳の機能が正しく働かないというタイプです。
【腎の虚証】
漢方では目や鼻、口、耳などの感覚器をコントロールする、担当の臓器があると考えます。
例えば、目が充血しやすいとか、疲れやすいなどの目の疲れは、肝の臓と関係していたりします。
耳は腎の臓との関連があると考えられており、腎の臓が衰えてくると関連する耳が悪くなってくると考えます。
腎の臓は、どれだけ健康に気を使っていても、老化で最初に衰えてくる臓器なので、耳も年齢とともに悪くなってきやすいのですね。
気をつけないといけないのは、腎の臓は誰でも最初に老化して現れやすいものですが、老化したからといって、症状が出てくるほど、腎の臓が悪くなるとは限りません。
あくまで最初に老化してくるというだけです。
なので、その耳鳴りが、年齢が高いから、腎の虚証が原因だというふうにはなりません。
年齢が高くとも肝の臓の熱が原因だったりしますので、漢方薬はマニュアル的に決めつけて選ぶのは危険です。
まとめ
実は西洋医学における耳鳴りの原因・発生するメカニズムは、詳しく調べてみると、何もわかっていません。
漢方治療の場合「こんなタイプの耳鳴りの人は、この漢方薬で治った。
あんなタイプの耳鳴りの人はあの漢方薬で治った」という膨大な数の事実が積み重なっています。
ですので、メカニズムを分析するのではなく、体全体から、どんな風に体内のバランスが崩れているか、「証」、「体質のタイプ」を調べるのです。
そして、〇〇の証という、病的な体質、症状の原因となっているタイプに合わせて漢方薬を選びます。
今回、いくつかの耳鳴りの原因でもある「証」を紹介しましたが、実際は、こんなわかりやすい1つの証ではなく、3、4個の証が重なって耳鳴りを発生させています。
「耳鳴り」というたった一つの症状でも、本当に人それぞれ原因が違い、原因が違えば、当然、選ぶ漢方薬も変わるのです。
「西洋医学では原因がわからない」、だからと言って、苓桂朮甘湯が都合よく耳鳴りを治してくれるわけではないのですね。
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