漢方薬相談ブログ

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防風通聖散で痩せられるタイプと痩せられないタイプ

  1. 漢方薬が作られた時代は飢えて死んでいた時代
  2. 防風通聖散のダイエット効果とは?
  3. 防風通聖散が合う体質ってどんな人?
  4. 防風通聖散の具体的な副作用
  5. 漢方薬で痩せるとは、

ダイエットに良い漢方薬として、よく防風通聖散が出てきますが、この漢方薬って本当に痩せられるのでしょうか?

『漢方薬は体質に合わせて選ぶもの』です。

ということは、防風通聖散だって、それが合う体質の人と、合わない体質の人がいるはずです。

となると、もし、防風通聖散と合わない体質の人が飲んでしまったら?

むやみに防風通聖散を飲んでダイエットをしようとすると、とんでもない副作用に見舞われるかもしれません。

今回は、世間では、『肥満に効果がある』と言われている防風通聖散は、本当に痩せる効果があるのか?
具体的にどんな効果があるのかをお話ししたいと思います。

また、防風通聖散が合う体質の人や、逆に副作用になってしまう体質の人、具体的にどんな副作用が出てしまうのかを解説します。

そして、漢方薬を使って痩せるには、どうすれば良いのかがわかるようになると思います。

漢方薬が作られた時代は飢えて死んでいた時代

防風通聖散は、なぜかダイエットの漢方薬として、コッコアポみたいにオリジナル商品の名前に変えられて、よく販売されています。

いきなり残念なお知らせになるのですが、防風通聖散は、多分、皆さんが考えられているようなダイエットの効果のある漢方薬ではありません。

そもそものお話をすると、漢方薬は、2千年前に作られていますが、この時代をイメージしてみてください。

はい、そうなんです。

今と違って、ほとんどの人は、『痩せたい!』という前に食べられなかったのです。

それは飢餓でバタバタと死んでしまうほどです。

2千年前どころか、人間の歴史のほとんどは、飢餓との戦いで、ダイエットという感覚は、わりと近年に登場したものなのです。

ですので、歴史的に考えてみても、痩せる効果のある漢方薬なんてものがあるわけがありません。

もしかしたら、皇帝など、ごくごく一部の権力者の中には、肥満の人もいたかもしれないですが、それだったらそれで、漢方薬ではなく、まずは薬膳で痩せていくようにしていたと思います。

毎日の食事自体を優秀な薬膳師達が作っていましたから。

だからと言って、「漢方薬を使って効率的に痩せることはできない」というわけではありません。

『漢方薬をダイエットにうまく利用する!』ということはできます。

しかし、防風通聖散に脂肪を分解したり、食欲をなくしたりする成分は一切、含まれていません。

例えばダイエットサプリの説明では、『カルニチンという成分が余分な脂肪を落とします』という記述があったりしますが、防風通聖散というか漢方薬には、そのような直接ダイエットに効果のあるような有効成分は、存在しないのです。

では、なぜ、防風通聖散がダイエットの薬なんて、デマみたいな説明が横行しているのでしょうか?

防風通聖散のダイエット効果とは?

僕は最初から、防風通聖散がダイエットの漢方薬だとは考えていないので、これは、あくまで漢方専門家としての僕の推測になります。

防風通聖散がダイエットの漢方薬として祀りあげられた理由は、おそらく、2つあると思います。

1つは防風通聖散がどんな生薬で作られているかをみていくとよくわかります。

防風通聖散は、「滑石、石膏、黄芩、桔梗、甘草、白朮、荊芥、防風、山梔子、芍薬、川芎、当帰、薄荷、麻黄、連翹、芒硝、大黄」という生薬群で作られています。

多いっ!

先ほどもお伝えしましたが、この中に脂肪を燃やしたり、食欲をなくす効果の生薬はありません。

どの生薬も、他の漢方薬でも良く使われているものですが、2つだけ要注意のものがあります。

それは、『大黄』『芒硝』です。

これらの生薬は、大腸を冷やして刺激を与えて、排便を促すものなのです。

つまり、防風通聖散にダイエットの効果なんてないのですが、あえて言うなら、便秘薬が入っていて、便が出るからダイエットの漢方薬って呼ばれるようになったのではないかと考えられます。

確かに便秘も肥満の1つの原因ではありますが、それだったら、防風通聖散を飲まなくても、便が出る便秘薬だったらなんでもいいわけですよ。

そもそも漢方薬は、体質と合っていなければ、体に害があるし、効果も便秘薬としてだけでいいなら、わざわざ副作用のリスクを犯してまで、防風通聖散を飲む必要がないのですよね。

『便秘薬の副作用が気になる方』であれば、漢方薬の便秘薬、大黄甘草湯があります。

これは、大黄が大腸を冷やし、刺激する効果をマイルドにしてくれる漢方薬です。

他の漢方薬と違って、これを飲み続けたからと言って、便秘が体質的には改善しないのですが、病院の薬のような感じで飲めば、その都度、便を出してくれるので、便秘薬として使えます。

次は、 防風通聖散がダイエットの漢方薬として祀りあげられた理由の2つ目です。

防風通聖散が合う体質ってどんな人?

漢方薬は、体質に合わせて選びます。

その体質というのは、症状のことではありません。

全身の症状を全部、お聞きして、体全体の症状を分析して、最終的に体質を導き出します。

その体質を分析する時に、虚実タイプという、その人の体格や体力のことも合わせて分析して、分けていきます。

簡単にざっくりと分けると、体格が良くて、体力があるタイプは実証タイプになります。

逆に体格が華奢で、体力がないタイプは虚証タイプになります。

この辺りの理屈は漢方独特なので、少しわかりにくいかもしれませんが、例えば「葛根湯」は「実証タイプ」の人に合う漢方薬になりますので、本来の漢方理論から考えると、風邪を引いた時も、普段から胃腸が弱くて、体力がない人には、葛根湯は合わないのです。

ではどうするかというと、同じ風邪の時に使う、桂枝湯という漢方薬があるので、こちらが合っていることになります。

実証のタイプが風邪を引いたのであれば葛根湯、虚証のタイプだったら桂枝湯ですね。

そうやって自分の体質タイプに合わせていかないと、葛根湯では治らないどころか、副作用に見舞われたりします。

これが漢方薬の体質と合う、合わないの1つの理屈です。

そして防風通聖散が合うタイプは、実証タイプのほうです。

体格が良くて、体力がありそうで、腹が張っているような太鼓腹で便秘があるという感じ。

このタイプって、まんま、中年太りの人はイメージに合いますよね。

多分、防風通聖散が合うというタイプが、中年太りの人とイメージが合うので、『防風通聖散はダイエットの漢方薬』みたいなデマが常識みたいになっちゃったのではないかと考えられます。

この話だと、「やっぱり肥満の人に合うじゃん!」と思われるかもしれないですが、根本的に間違っている部分があります。

それは、漢方薬は『痩せる』ことが目的ではなく、『体全体を調整すること』が目的なのです。

長い目で見れば、飲み続けて、体調が良くなって、少しは痩せてくるのかもしれないですが、その人の「体調が良い状態」が、体つきとしては、ふくふくしている状態なのかもしれません。

つまり、漢方的には太ったままで健康になったらいいのです。

であれば、体調は良くなりますが、決して、スリムになることはないのです。

ここのところが、漢方薬ってかなり誤解されているのですよね。

ですので、防風通聖散を飲んだら痩せる!ということはないのです。

防風通聖散の具体的な副作用

漢方薬は体質に合わせて選びますが、そもそも防風通聖散は、どんな病気の人に合わせるのかというと、便秘があり、肩から上に熱がこもりがちで、のぼせたり、湿疹が出たり、結膜炎や中耳炎、副鼻腔炎になりやすく、血圧が高くなったりして、関節痛やむくみも出てくる人が合います。

この時に、この症状のどれか、か、どれもが当てはまるから 防風通聖散 が使える、という目安にしているわけではなく「体の肩から上に熱がこもる体質」があるから、人によって、湿疹だったり、のぼせが出てくるということです。

「水の巡りが悪い体質」もあるので、むくみや慢性腎炎なんかも出てきたりする人もいます。

あくまで体質と症状を照らし合わせて、どちらも同時に分析していく感じです。
この症状だから防風通聖散というわけではありません。

そして、見た目の条件として「体格が良くて体力があり、便秘がある人」が飲むものなのですね。

では、そんな防風通聖散の副作用は何かというと、何か、特定の症状が副作用として起こるのではなく、防風通聖散の効果と合わない体質の人が飲むと、全て副作用になるのです。

まず絶対に合わない人は、便秘がない人です。

それも、その便秘は、常に硬い便でないとダメです。

そして、体上部の熱を冷やして治すので、体上部に熱がこもっていない人は、冷やす効果が裏目に出て、胃痛が起こったり、血の巡りが悪くなって、肩が凝ったり、冷えることによる頭痛が発生したりします。

防風通聖散は結果として頭痛を治す働きもできるのですが、同じ頭痛でも、頭に熱がこもって頭痛になる人と、冷えて頭痛になる人と体質によって分かれてくるのですね。

こんな感じで、大腸の熱による便秘、これを「裏の実証」というのですが、これがない人、そして 、体の肩から上に熱がこもる体質である「上焦の熱証」がない人、更に 水の巡り悪い体質である「水滞の証」がない人は、防風通聖散は合わないし、体質と合ってないのに飲めば、その人の体質に状態によって、色々な副作用が出てきます。

ちなみに体質を詳しく分析すれば、防風通聖散が合う人か、もし合わなければ、具体的にどんな副作用が出て来るのかまで、僕にはわかります。

副作用は、『自分の体質と防風通聖散との兼ね合い』で起こるので、自分の体質を分析せずに、防風通聖散の副作用をネットなんかで調べても無意味なんですよね。

自分の体質が分かってなかったら、どんな副作用になるかなんてわからないですから。

漢方薬で痩せるとは、

冒頭で結論をお話ししたように、ある特定の漢方薬で痩せるなんてことは幻想です。

なぜなら、どの漢方薬にも、痩せるための有効成分なんて何も含まれていないからです。

でも、漢方薬を服用しつつ痩せること、は可能です。

漢方薬は、そもそも全身の状態を整えていくものなので、血の巡り、水の巡りなどなどを整えていけば、自然、代謝が高まって、どんどん痩せやすい下地ができるのです。

例えば、中年になったらコレステロール、つまり肥満の元凶の脂が体内で増えてきますが、これは肝臓の機能と関係しています。

肝臓が病気でなくとも、機能が老化などで衰えてくれば、体内の脂はどんどん増えるわけです。

肝機能が弱い状態を放っておいて、痩せようとしても、体内の脂がどんどん増えるので、だったら、漢方で肝機能を高めることがダイエットにもつながるのですね。

そして、不要な脂肪は、肝臓だけに限らず、色々な臓器との関連で増えたりするので、結局は、『自分に合った漢方薬で体内の機能を絶好調にする』

そして痩せやすい下地にプラスちょっぴり食事と運動の見直しをしてあげれば、 『健康的に自然に痩せてくる』ということにつながるのです。

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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ 漢方方意辞典:緑書房
◯ 漢方診療医典:南山堂
◯ 類聚方広義解説:創元社
◯ 勿誤薬室方函:創元社
◯ 漢方処方応用の実際:南山堂
◯ 中医処方解説:神戸中医学研究会
◯ 漢薬の臨床応用:神戸中医学研究会
◯ 近代漢方薬ハンドブックⅠⅡⅢ:薬局新聞社刊
◯ 平成薬証論:メディカルユーコン

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

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