漢方薬相談ブログ

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ニキビに効く漢方薬は体質別で17種類!

  1. 「十味敗毒湯」の本来の効果
  2. 「防風通聖散」の本来の効果
  3. 「加味逍遙散」の本来の効果
  4. 「桂枝茯苓丸」の本来の効果
  5. 他にニキビを治す漢方薬
  6. 世間の医者やほとんどの漢方薬局は体質を分析できない

ネットでニキビに効く漢方薬を調べてみると、「十味敗毒湯」、「防風通聖散」、「加味逍遙散」、「桂枝茯苓丸」などが出てきます。

4種類の漢方薬がありますが、これらは本当に『ニキビに効く漢方薬なのでしょうか?』

違います!

漢方薬は、ニキビという症状で選ぶのではなく、体質に合わせて選ぶものですので、体質が一致すれば、これらの漢方薬を使う可能性はあります。

しかし体質というのは、人それぞれ違うので、僕は他にも17種類の漢方薬を使います。

そもそも、医者は体質を分析できませんし、ネットなどの一般的な漢方薬の説明も体質を無視しています。

何が怖いって、某◯ムラや◯ラシエなどのサイトでも、まるで病名や症状から漢方薬を選んでも効果があるかのようなデタラメな情報を流しています。

例えば医者は、『某漢方薬メーカーさんからもらったマニュアル』の十味敗毒湯などの「効能又は効果」の欄に、ニキビと書かれているのだから「治るんだろう!」と勘違いして選んでいます。

そもそも、漢方薬マニュアルに書いてある病名や症状は、実は何の意味もなくて、『漢方薬を医薬品として販売する上で建前上、設定されているだけ』で、実際は、その漢方薬を飲めば「その病気や症状が治る」わけではありません。

そもそもニキビという症状に合わせるだけなら、漢方薬は1種類でいいですよね。

体質や原因別に選ばないと治らないから何種類もあるのです。

「思春期のニキビ」、「男性のニキビ」、「月経前にひどくなるニキビ」、これらのニキビは、全て原因も体質も違います。

「効能又は効果」という本来の意味は「ニキビをどのように治すのか」ってことなのに、効能効果の欄に「ニキビ」という単語しか書かれていないのって、よく考えたら日本語として成立してませんね。

ぜひ、処方された先生や、その漢方薬を紹介している販売会社に、『十味敗毒湯の効能効果の欄にニキビが書かれていますが、具体的には私のニキビの原因は何で、それをどのように治してくれるのですか?』って質問してみてください。

絶対に答えられないと思いますから

なぜなら、あなた自身のニキビの具体的な状態については、問診をとってないから、何も知らないし、根拠も理由もなくマニュアル的に処方しているだけだからです!

今回の動画では、なぜ、 「十味敗毒湯」、「防風通聖散」、「加味逍遙散」、「桂枝茯苓丸」 などの漢方薬がニキビを治す漢方薬ではないのか、本来の効果は何なのかを解説したいと思います。

また、ニキビは、他にもどんな漢方薬を使うのか、あわせて紹介したいと思います。

「十味敗毒湯」の本来の効果

十味敗毒湯は、ニキビだけでなく、アトピーにも効く薬みたいに思われていますが、本来の効果は、『皮膚表面の熱と皮膚表面の水の巡りの悪さを治し、肝の臓の不要な熱を鎮めます』

何のことかよくわからないですね。

漢方ですから、こんな感じなのです。

漢方では、熱というのは炎症のこととも捉え、熱は赤色を帯びると捉えるので、赤くプツプツとできるニキビを治します。

更に皮膚表面の水の巡りと関係するので、ニキビは白く膿みやすいものを治します。

ここまでだと、ニキビの大半は、これでいけそうじゃん!って思いますよね。

ところが、漢方薬というのは、漢方薬の効果をその人の体質に合わせて過不足なく合わせないといけないので、ニキビ以外に「月経前にひどくなる」とか、「便秘がある」とか、「寝つきが悪い」、「胃腸が弱い」などなど、他にも症状があるなら、それも一緒にフォローしないと治りません。

逆に、それらの症状があるなら、『十味敗毒湯は合わなくなってきます』

十味敗毒湯は、ニキビ以外の色々な症状が何もなくて、白くなって膿みやすいニキビという条件なら合います。

ニキビ専用の薬ではありませんし、アトピーの場合でも「カサカサして痒い湿疹の人」には絶対に使わないです。

ちなみに他には、乳腺炎や鼻炎にも使うことがあります。

もちろん、これらの病気に効く漢方薬ではなく、十味敗毒湯の体質に合えば、これらの病気であった場合に効きます。

ややこしいですが、漢方薬は西洋医学の理屈が関係ありません。東洋医学なので。

まずは、
1十味敗毒湯が合う体質なのか。

という前提があって、その人が、

2乳腺炎や鼻炎だった場合は治る可能性がある。

ということになるので、病名や症状から漢方薬は選ばないのです。

症状を当てはめるのではなく、症状からまずは体質を分析→体質と漢方薬が合っていれば、その病気が結果的に治っていくという順序になります。

「防風通聖散」の本来の効果

防風通聖散が合うかどうかの必須条件に強めの便秘があります。

つまり、『便秘がないニキビの人には合わないので使いません』

防風通聖散の本来の効果は、便秘を解消させて、体の熱を「清熱」という効果で鎮め、首から上の熱を上焦の熱証の清熱という効果で鎮めます。

『不要な熱がニキビの原因になっているタイプ』ですね。

水の巡りの滞りを巡らせる「利水」という効果があるのですが、先ほどの十味敗毒湯と違うところは、皮膚表面だけでなく、体全体の水の巡りらせるので、「オシッコの回数や夜中のオシッコ」などに問題がある人に使います。

月経異常がある人の血の巡りを温めて治します。

ただし、月経時に血の塊があるようなタイプの月経異常の人には合いません。

普通は、医者も大半の漢方薬局の先生も体質分析ができないので、患者さんが来る前からニキビには十味敗毒湯や防風通聖散を出そうと決めていることが多いです。

これを決め打ちと呼んでいますが、体質別に選ぶ漢方治療としては、低レベルなゲスい行為になります。

僕は、純粋に体質を分析して漢方薬を選んでいますので、そこからいくと今ままで、18年間の相談で、こちらの処方でニキビが治った人は、たったの2人しかいませんでした。

少なくともうちの店では、ニキビの人で防風通聖散が合う体質の人はスーパーレアですね。

防風通聖散は、炎症の強いニキビの場合に使います。

こちらも膿んでいる湿疹タイプが多いですが、十味敗毒湯よりもニキビのできる数が多かったり、ひどかったりします。

他にも坐骨神経痛や高血圧症に使うことがあります。

「加味逍遙散」の本来の効果

加味逍遙散の本来の効果は、熱感やほてりを冷ます清熱効果、気の滞りを巡らせる行気効果、月経に関わる血の巡りを巡らせる駆お血効果です。

ニキビでは、ストレスを受け、胃炎が起こり、ニキビがひどくなる人に使うことが多いです。

ニキビは赤く、痒みを通り越して痛みがあると、より合いやすいです。

ただし、ストレスで悪化するニキビなら無条件でこの漢方薬を使うわけではありません。

他にも「のぼせ」や「熱感」、「夜中の目覚め」、「月経の状態が悪いなど」の傾向があることも必要条件となってきます。

他に神経性胃炎や胆嚢炎に使うこともあります。

「桂枝茯苓丸」の本来の効果

寒性の駆お血剤というもので、血に不要な熱が宿って血の巡りが悪くなる人に合います。

効果的には、冷やして血の巡りを良くしますので、足は冷えるけれど、手は冷えず、のぼせがあるとか、頭痛があるなど、何かしら熱系の状態が、体のどこかに見られます。

『冷えて血の巡りが悪い場合は、温めて血を巡らせる、当帰芍薬散を選びます』

両者は正反対の効果になります。

桂枝茯苓丸が合うニキビは、月経前に赤く張ったようになり、増えます。

そしてそれが月経が始まるとともに和らぎます。

ただし、月経前にひどくなって、月経後にマシになるニキビでも、膿やすかったり、体全体を分析した時に水の巡りの悪さの傾向がある場合は、当帰芍薬散が合う体質です。

両者は効果が反対なので、ざっくりと「ニキビの原因は血の巡りだから…」と説明された場合、どっちの処方もテキトーに出していることが多いのでご注意ください。

他では、PMSや不正出血など、使える病気や症状は多岐にわたります。

とにかく病名や症状ではなく、血に不要な熱が宿って血の巡りが悪くなっている体質かどうかですね。

他にニキビを治す漢方薬

他にもニキビには、「清上防風湯」、「荊芥連翹湯」、「温清飲」、「大柴胡湯」、「小柴胡湯」、「柴胡桂枝湯」、「柴胡桂枝乾姜湯」、「半夏瀉心湯」、「排膿散」、「逍遙散(加味逍遙散とは別物)」、「当帰芍薬散」、「六君子湯」、「桂枝加苓朮湯」などなどを体質別、原因別に合わせて使い分けます。

どれかを試していけば、「当たり」があるのではありません。

ニキビの場合は、ニキビの性質を見つつ、体全体の症状、状態を分析して、体質を割り出して、『その体質に合わせて、17種類の中で自分の体質に一番合うと考えられる漢方薬』を選びます。

世間の医者やほとんどの漢方薬局は体質を分析できない

残念ながら、保険適用の漢方薬を処方している医者や大半の漢方薬局の先生は、体質を分析できません。

その証拠に、全身の詳しい問診なんてとっていませんから。

漢方薬を選ぶ際に最低限、やらないといけないことすらやらずに選んでいます。

漢方薬は『ニキビ』だけに合わせて選んでも意味がありません。

漢方薬で治したければ、ちゃんと『全身の問診』『あなた自身の原因(証)』『その原因をどんな漢方薬でどんな風に治すのか』を理論的に説明できる先生にお願いしないと時間とお金の無駄使いになります。

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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ 漢方概論:創元社
◯ 漢方方意ノート:創元社
◯ 漢方臨床ノート(論考編):創元社
◯ 金匱要略ハンドブック:医道の日本社
◯ 傷寒論ハンドブック:医道の日本社
◯ 素問:たにぐち書店
◯ 漢方治療の方証吟味:創元社
◯ 中医診断学ノート:東洋学術出版社
◯ 図説東洋医学:学研
◯ 中国医学の秘密:講談社
◯ 陰陽五行説:薬業時報社
◯ まんが漢方入門:医道の日本社

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

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