漢方薬とサプリメントを併用してはいけない理由
よく漢方薬と他の何かのサプリメントと併用している人がいますが、あれって、漢方専門家の僕からするとやめたほうが良いと思います。
なぜなら、サプリメントは『漢方薬の治療を確実に邪魔する』のですよね。
「漢方薬に良い効果があって、サプリメントにも良い効果があって、良いことづくめじゃないですか」と思う人もいるかもしれないですが、そもそも漢方薬の根本治療って、かなり特殊な方法になります。
それが、サプリメントのような病院の薬の劣化版みたいな効果や考え方とは全く合わないのですね。
いきなりこんなことを言われても「勝手なことを言って」と思われるかもしれないので、なぜ、漢方薬とサプリメントを併用してはダメなのかを理論的に説明していきたいと思います。
うちでは、いろいろなサプリメントを飲まれている場合は、「できたら全部やめてください」とお願いします。
余計なサプリメントを除けば、漢方薬の治癒率も上がり、出費も抑えられるわけですから、僕も患者さんもWinWinなんですね。
もちろん、サプリメント全否定ではないので、有効なものがあれば、それは残してもらうこともありますし、今から説明をして、「それでも飲みたければどうぞ」とは言ってます。
それでは、なぜサプリメントと漢方薬を併用してはいけないのかを解説します。
病院の薬、サプリメント、漢方薬の異なる治療方法
漢方薬とサプリメントの併用がダメという話を理解するには、それぞれの治療方法を深く理解しておく必要があります。
病院の薬とサプリメントは似ています。
というか、サプリメントの効果の説明は、病院の薬の劣化版みたいなものです。
病院の薬の効果は、何かのある成分が、症状が発生するのを抑えたり、体の働きを無理やり変えて、結果的に症状が抑えられるようにします。
例えば、鎮痛剤は、痛みを発現させる生理活性物質を薬の成分で働けなくします。
咳止めは、気管支を無理やり拡げて、咳を出にくくします。
これらは薬の成分が、体内にある間は、そういった効果を発揮して一定の時間が経つと、体の外に出ていくようになっています。
よく誤解されていますが、病院の薬は、あくまで薬の成分が体内にある『一定時間だけ、症状を抑えるだけ』の作用で、根本的な治療は一切していませんので、いくら飲み続けも根本的に治ることはありません。
サプリメントはビタミンやミネラルが、体内の健康維持のためにいろいろな働きを持っていますので、それが含まれているサプリメントであれば健康になるという理屈です。
ビタミン、ミネラル以外の特殊な成分が含まれている場合もあり、それが免疫力を高めたり、抗酸化作用を発揮するというものもあります。
漢方薬は、この二つとは全く違う治療理論があります。
漢方では、症状を抑えることが目的ではなく、体全体のバランスを調整することによって、症状をなくしていきます。
漢方薬には、症状を抑える成分が含まれているわけではなく、ビタミン、ミネラルが何かの働きで治すわけでもありません。
かといって、何の成分もビタミン、ミネラルも含まれていないということではなく、そういった「成分」で治療を考えないということです。
治療の考え方が全く違うのです。
サプリメントの効果の問題
サプリメントは、宣伝的には、いろいろな病気も治してくれそうに思えたりするし、漢方薬局の中には、先生が資料を持ってきて、「こんな感じで治るのですよ」って説明することがありますが、実は、病院の薬と違って、ある成分やビタミンやミネラルが具体的にどんな風に治るのかは全然、わからないのです。
わかりやすく言えば、『かなり曖昧』なんですよ。
例えば、味覚障害は、亜鉛不足だと言われています。
だったら亜鉛が豊富に含まれるサプリで治るのではないかとなるかもしれないですが、そもそも、あなた自身の味覚障害が本当に亜鉛不足で味覚障害を起こしているのかどうかです。
確かにそういう人もいるかもしれませんが、あなたがそうなのかはわからないですよね。
病院の薬もサプリメントでも大きな問題は、『個人差、体質差は一切考えない』ということです。
サプリメントを勧める場合に体質を診断する術も理論もないわけですから。
また、仮に亜鉛不足だとしても、実際にどれくらい必要なのかもわからない。
例えば、抗酸化作用でアトピーを治すというサプリメントがありました。
確かに抗酸化作用は、ざっくり見ると体を良くしてくれるかもしれませんが、あなたのアトピーの原因が活性酸素かどうかはわかりませんよね。
抗酸化作用でアトピーが治るなら、アトピーの人は、みんな原因が同じということになります。
そんなわけがありません。
とにかくサプリメントは、明確な治療理論がなくざっくりと曖昧なのです。
そもそも病院の薬の問題も、この個人差、体質差が考えられていないことなのですよね。
漢方薬はなぜ、根本治療になるのか
漢方薬は、医者も含めてですが、一般的にものすごく誤解されています。
一般的に漢方薬は病名や症状に合わせて選ばれていますが、漢方薬は、病名や症状に合わせて選ぶものではありません。
漢方薬は、『その人独自の体質』に合わせて選びます。
そして、その体質というのは、全身の症状や状態、生活リズムなどを総合的に分析して診断します。
例え、主な悩みがめまいであったとしても、めまいに苓桂朮甘湯とマニュアルで選ぶわけではなく、その人自身を総合的に分析して原因(これを体質とも言います)を分析して、体質を判断し、その体質に合わせて最適な漢方薬を選びます。
ちなみに漢方的にはめまいの原因は人によって40パターンくらいあり、その40パターンそれぞれに対応した漢方薬があるので、40種類の漢方薬のなかから『自分のめまいの原因にあったものを選ぶ』といった感じになります。
大体、どの病気も人によって40くらいの原因にわかれ、40種類の漢方薬の中から1つを選びます。
漢方治療の原則は、病院の薬の有効成分やサプリのようにビタミン、ミネラルを頼りにしているわけではなく、『東洋医学独特の体質を分析する方法があり、その分析された体質に合わせて漢方薬を選ぶ』といったルールで根本治療をします。
一般的には、『体質を無視して、病名や症状から漢方薬を選ぶ』という本来の漢方理論からみたら意味不明な選び方をされていますが、本来、漢方薬は人それぞれの体質を分析して、それに合わせます。
この本来の漢方薬を選ぶ方法が、サプリメントの併用との障害になってきます。
分析した体質も選ぶ漢方薬も推測
漢方薬は、その人独自の体質を分析して、その体質に最適な漢方薬を選びますが、この時の体質の分析というのは、『推測』となります。
『漢方薬と体質が合っていた』というのは、あくまで飲み終わった時に目標の症状が良くなっていた時に証明されます。
漢方薬は、体全体を調整して治すので、最初から目標の症状が治るのかどうかわはわかりません。
アトピーの人が、胃もたれから治ってくるということもあります。
『この先、今の漢方薬を続けていけば治る』と確認するためには、飲み終わった時に全身の症状や状態の変化を詳しく調べていく必要があります。
さっきのアトピーの人なら湿疹やかゆみだけでなく、オシッコの回数や便、女性なら、月経周辺の湿疹の変化なども聞いて確認していきます。
この確認項目は、漢方薬を飲む前に体質を診断した時に治療方針として決めます。
選んだ漢方薬が、体質のどの部分を調整するのか、体質を分析できる先生ならわかりますので、その分析に基づいて、全身の症状の変化を1つ1つ確認していくのですね。
サプリメントの効果は曖昧
ここでさっきの『サプリメントの効果は実は曖昧』というのにつなっがてくるのですが、サプリメントは、原因を分析するわけでも、具体的に体にどんな変化を与えるのかもわかりません。
また、個人差、体質差も関係ありません。
病院の薬と一緒で『人間』なら効くだろうといった、ざっくりとした感じ。
一方、漢方薬は、具体的に全身の状態をチェックして、今の漢方薬が果たして合っているのか、合っていないのかを確認していきます。
当然、合っていなければ、漢方薬を変更していく必要もあります。
サプリメントの場合は、効いても、効かなくても、最初から、どんな風に効くのかが具体的にわからないので、漢方薬と併用した場合、どっちがどんな風に効いているのか、わからなくなるのです。
そうなると、「漢方薬とサプリメント、どっちが効いているのかかわからないや、まーどっちもそのまま飲んでおいてもらおう」と、とてもテキトーで曖昧な治療になるのです。
ですので、サプリメントは、「普段は特に何かの病気や症状はないけれど、なんとなく飲んでおこう」という人には良いと思いますが(それでも僕は必要ないと思っていますが)、特定の治したい病気や症状がある人には、漢方の治療理論の邪魔にしかならないのです。
逆に言えば、漢方薬とサプリメントを併用させている先生は、おそらく体質を細かく分析、診断していないし、その漢方薬で体のどこがどういう風に変化していくのかの『想定』もないのだと思います。
ということで、真剣に根本治療したいなら、サプリメントと漢方薬は併用すると全身の症状や状態から体質を診断できなくなります。
「どの症状が、どう変化するから治るのか」を説明できない先生が選ぶ漢方薬は飲むだけ無駄ですね。
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