漢方薬相談ブログ

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更年期障害に効く漢方薬の効果と副作用

  1. 病院の更年期障害の治療
  2. 更年期障害に効く漢方薬
  3. なぜ体質から選ばないといけないのか
  4. まとめ

当帰芍薬散や桂枝茯苓丸、加味逍遙散が、更年期障害に効く漢方薬かのように説明されていますが、これはとんでもない間違いです。

これって多分、漢方薬を病院の薬と同じような感覚で、考えているのだと思いますが、本当に治るためには、何らかの効果や成分が必要となります。

これらの漢方薬自体に更年期障害を治す効果や成分などはありません。

漢方薬で更年期障害を治療する場合は、この2つの漢方薬以外にも色々な漢方薬を使います。

あまり馴染みのない考え方かもしれないですが、漢方薬は、更年期障害に効くものがあるのではなく、その人の現時点の体質を良い状態に調整してあげれば、『結果的に更年期障害が緩和される』というものです。

今回は、なぜ、漢方では更年期障害を治す場合、体質に合わせて選ばないと効果がないのかを説明したいと思います。

また「当帰芍薬散や桂枝茯苓丸、加味逍遙散以外で、他にも使う漢方薬を紹介したいと思います。

病院の更年期障害の治療

漢方薬の説明の前に、そもそも病院では、更年期障害をどうやって治療しているのでしょうか?

【ホルモン補充療法】

更年期には、エストロゲンが減少していますので、人工のエストロゲンを薬として飲む治療方法になります。

他にも人工エストロゲンを皮膚から吸収させる貼り薬や塗り薬がありますが、要はどれも人工エストロゲンを補充するということです。

ここで大きな落とし穴が2つあります。

1つは、更年期の年齢には、確かにエストロゲンが減少しているのですが、減少しているからといって、みんながみんなホットフラッシュや不眠などの症状が出ているとは限らないということ。

つまり、「エストロゲンが減っている」という減少は確認できても、それがどう症状に結びついているのか、全くわかってないのです。

そもそも、ホルモンバランスは、人それぞれで、絶対に正しい基準なんてないのですよね。

「バランスをとる」からには、『その人の正しい基準」がわかってないと当然、バランスをとることなんてできません。

でも基準なんてわかっていない。

そして、とりあえず、みんな一律同じ薬でドバーっと人工ホルモンを補充するわけです。

ホルモン剤でホットフラッシュや汗などが良くなる人もいれば、症状が平行線で変わらない人、逆に更に悪くなる人もいます。

もちろん、処方した医者すら、その人のホルモンバランスの基準がわかってないわけですから、なぜ、良くなったり、平行線だったり、悪くなるのか、全然、わかってないと思います。

わかりやすくいえば、『運まかせ』なのですね。

【プラセンタ注射】

胎盤から、栄養素や成長に関わる成分を抽出したものを注射します。

ホルモン的な作用もあるため、更年期障害の治療に使われることがありますが、もちろん、何がどう効いて治るのかわかりません。

これも良くなっても、ひどくなってもよくわからないのですね。

【各種の薬】

ホットフラッシュや大量の汗で眠れないなら、睡眠導入剤、落ち込みなどがひどく、ストレスが強い人には、抗うつ剤など、要は、普段から使われている、薬を飲んだ一定時間だけ症状を抑えるものをその症状に応じて処方します。

もちろん、ホルモンとの関連はなく、その場、その場の症状を一定時間だけ抑えます、

なんと、ネットで更年期障害の治療方法を調べてみると、漢方薬も更年期障害の治療になっています。

もちろん、漢方薬で治療ができるのですが、漢方薬は体質に合わせて選ばないと全く効果がありません。

なのに、まるで、誰の更年期障害にも桂枝茯苓丸、当帰芍薬散、加味逍遙散が効く薬かのように説明されていました。

とんでもない間違いですね。

桂枝茯苓丸と当帰芍薬散は正反対の効果、正反対の体質に人に合わせるので、体質を診断できない医者なんかは、運任せでテキトーに出すしかないのに、漢方療法とか言っちゃっていいのかなと思います。

それでは、更年期障害でよく使う漢方薬はどんなものがあるのかを紹介します。

更年期障害に効く漢方薬

更年期障害に効く漢方薬は、大体30種類くらいあります。

桃核承気湯、通導散、桂枝茯苓丸、温経湯、芎帰調血飲、当帰芍薬散、四物湯、帰脾湯、芎帰膠艾湯、三黄瀉心湯、黄連解毒湯、温清飲、三物黄芩湯、甘草瀉心湯、清心蓮子飲、桂枝加苓朮湯、半夏厚朴湯、柴胡加竜骨牡蠣湯、柴胡桂枝乾姜湯、柴胡桂枝湯、加味逍遙散、逍遙散、女神散、苓桂甘棗湯、桂枝加竜骨牡蠣、五積散、鈎藤散、甘麦大棗湯、抑肝散加陳皮半夏、真附湯

この30種類の中から、自分の体質に合ったものを選びます。

更年期障害で悩んでいるということが前提で、そこから更に自分の体質を見極めて、この30種類の中から1つを選びます。

30種類の中から、たった1つだけに絞らないといけないので、「ホットフラッシュ」や「異常な汗」、「眠れない」などの2、3個の症状だけを当てはめて選ぶのは不可能です。

だったら、「この30種類の中から、どの漢方薬を選んでもよいのか?」というと当然、体質に合わせずに選んでも治りません。

桂枝茯苓丸や当帰芍薬散が更年期障害に効くかのように説明されていても、結局、自分の体質と合っていなければ、全く効果がないのです。

それどころか、漢方では誤治壊病という「誤った治療は、病を壊す」という法則があって、体質分析をしたとしても、その体質分析が間違っていたら、更年期障害の状態は、もっと悪くなる可能性もあります。

なので、全く体質を分析しない医者や漢方薬局の先生の選び方は、話にもなりません。

漢方薬の場合は、病院の薬と違って、更年期障害に効く漢方薬があるわけではなく、『あなたの体質に合うもの』が治してくれるものなのですね。

なぜ体質から選ばないといけないのか

病院の治療は、人工ホルモンを加えて治そうとしますね。

そして、ホルモンが減ると、なぜホットフラッシュなどの症状が出てくるのか?

そのメカニズムはわかっていません。

つまり、ホルモンの補充は厳密には治療にはなっていないということになります。

となると仮に漢方薬にホルモン的な作用があっても、治療にはならないわけです。

もちろん、どの漢方薬にもホルモン自体を補充する効果も成分もありません。

漢方では、更年期障害というのは一旦、置いといて、その方自身の体の状態がどうなのかをみていきます。

たくさんの更年期障害の方の相談を受けているとわかりますが、のぼせがひどい人、のぼせがない人、汗が大量に出る人やそれほど出ない人など、具体的にみていくと、いろいろな人がいます。

漢方薬の効果は、熱を鎮めるとか、水の巡りを活発にさせるといったもの。

例えば、不要な熱を鎮める。ということを暑い室内が体の中だと想定してください。

室内が、35度あるとしたら、エアコン設定を27度にすると快適ですね。

これが30度設定だと、なんだかんだと暑いまま。

逆に18度に設定すると、寒くなってきてお腹を壊したりする人も出てきます。

漢方薬も同じように熱を鎮めるにしても、冷やす力が強いものもあれば、弱いものもあります。

目標は、26度前後を保つこと。

暑すぎてもダメだし、寒くなってもダメ。

その人にとって、絶妙な、ちょうど良くしてくれそうな漢方薬を探します。

異常な汗の場合も同じで、ちょっとでも動いたら大量に出る人や、汗がそこまで大量に出ない人もいます。

こういった場合も、強く水を巡らせる漢方薬もあれば、少しだけ水の巡りを促してあげればよい人もいます。

症状の強さ、弱さだけでなく、のぼせもない人もいたり、汗が出て、眠れない人。

のぼせがあって、汗はそれほど気にならないけれど、胃腸が弱っているとか、月経も一応、毎月あったり、2ヶ月飛ぶ人。4ヶ月は飛ぶ人などなど、色々な状態の人がいます。

30種類の漢方薬の中から自分に合った最適なものを選ぶ場合、全身の症状の組み合わせやその症状の強さを推測して、それをちょうど良い状態に調整してくれるものを選ぶのです。

ですので、ホルモンがどうとかこうとかは、何の関係もありません。

まとめ

更年期障害に限らず、漢方薬は、体質に合わせて最適なものを選びます。

そして、その体質は全身の症状と状態を総合的に判断して診断します。

更年期障害というのは、病院がざっくりと勝手につけたラベルなだけで何の具体性もありません。

ざっくりしすぎなのです。

漢方的に具体的に分析していくと、誰一人、同じ体の状態の人はいません。

だから、更年期障害に効く漢方薬は30種類もあるのですね。

体質分析の中心となるのは、ホットフラッシュと汗に関わる熱の度合いと水の巡りの状態、

熱や水の状態は、頭痛や耳鳴り、肩こりとなっても現れるので、この辺りの症状のチェックも必要になってきます。

水の巡りは、胃腸で水が滞ったり、足で滞ったりとこれも人それぞれ。

オシッコの回数や量、状態、便の状態などからも水の巡りの悪さの度合いがわかります。

不眠やうつ傾向などもある場合は、自律神経、つまり漢方では気の巡りが関わってきますし、血の巡りも関係し、血の巡りは冷えなどにも関係してきます。

結局、全身全ての症状と状態を調べないと、30種類の漢方薬の中から自分に合った漢方薬を選ぶことはできないわけです。

更年期障害だから、桂枝茯苓丸や当帰芍薬散を飲めば良いというものではないのですね。

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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ ツムラ医療用漢方製剤マニュアル
◯ オースギ医療用漢方製剤マニュアル
◯ 漢方方意辞典:緑書房
◯ 漢方診療医典:南山堂
◯ 類聚方広義解説:創元社
◯ 勿誤薬室方函:創元社
◯ 漢方処方応用の実際:南山堂
◯ 中医処方解説:神戸中医学研究会
◯ 漢薬の臨床応用:神戸中医学研究会
◯ 近代漢方薬ハンドブックⅠⅡⅢ:薬局新聞社刊
◯ 平成薬証論:メディカルユーコン

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

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