漢方薬相談ブログ

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喘息や咳に効く漢方薬の紹介

  1. 耳鼻咽喉科の喘息に効く薬
  2. 喘息や咳に効く漢方薬
  3. なぜ体質から選ばないといけないのか
  4. まとめ

五虎湯や銀翹散が、喘息や咳に効く漢方薬かのように説明されていることがありますが、これは漢方薬に対する大きな誤解です。

何かの病気が治るためには、当たり前ですが、かならず効果と根拠が必要となります。

しかし、五虎湯や銀翹散に咳を直接、直接、抑える効果はありませんし、それに関わる何かの成分も含まれていません。

喘息という病気や咳という症状名だけで、この2つの漢方薬を選んだ場合、効果の根拠が全くないのです。

漢方薬を使って喘息や咳を治す場合、本来は、その人の体質に合わせて選びますので、喘息という病名に合わせて選ぶことはありません。

医者は、ほぼ100%、ほとんどの漢方薬局でも、体質を分析して、その体質に合わせて漢方薬を選べないので、勝手に誰の喘息にでも効く漢方薬があるかのように説明してお勧めしていることが多いです。

漢方薬を選ぶ方法として、原因と漢方薬の効果を一致させようとしていないので、漢方薬を飲んでいても効果を感じていない人も多いのではないかと思います。

何が洒落にならないかって、ネットなどでツムラやクラシエの解説を呼んでいると、その病気に直接、効く漢方薬があるかのように誤解させている感じがあることです。

今回は、五虎湯や銀翹散以外にもある、喘息や咳に効く漢方薬を紹介します。

また、なぜ、漢方では喘息を治す場合も、体質に合わせて選ばないと効果がないのかも説明したいと思います。

耳鼻咽喉科の喘息に効く薬

漢方薬の説明の前に、そもそも病院で喘息や咳に効く薬はどんなものがあるのでしょうか?

喘息の場合は4種類になります。

1気管支拡張薬
狭くなった気管支を緩めて、気管支を広げます。

2コルチコステロイド
気道の炎症を抑えます。

3抗ヒスタミン剤。
ヒスタミンによるアレルギー反応を抑えます。

4ステロイド剤の吸入。
免疫による炎症を抑えます。

要は、狭くなった気管支を広げる。炎症を抑える。の2つになります。

治療というよりは、咳がやたら出ないように薬で抑えてコントロールしておくということが治療になります。

咳の治療に対する薬は、2種類です。

1鎮咳薬
いわゆる咳止めです。

咳を発する咳中枢を抑えて咳が出ないようにします。

2去痰薬
気管支の分泌物を減らして、咳を抑えます。

喘息の場合は、咳発作を起こして、ひどいと呼吸困難に陥ったりしますが、通常の咳の場合は、咳自体が、そもそもウィルスや異物を追い出す自然治癒力の治療システムでもあります。

つまり、度合いにはよりますが、咳を強制的に抑えてしまうことがかならずしも良いことではなく、西洋医学的にも、厳密には実は率先して支持されている治療でもありません。

漢方薬の場合は、咳止め成分が入っているわけではないので、咳を強制的に止める目的ではありません。

その人の咳が出る原因を突き止めて、その原因に対して対応します。

例えば、不要な熱のこもりが原因で咳が出ているなら、熱を冷やす漢方薬を使います。

喉周辺の水の巡りの悪さが原因で、咳が出ているなら、喉周辺に溜まっている不要な水を巡らせる漢方薬を使います。

咳につながる原因がなくなれば、後は自然に咳は、徐々になくなっていく感じなので、元々の咳による体の治療システムは邪魔しないので、根本治療につながっていきます。

喘息や咳に効く漢方薬

喘息や咳に効く漢方薬は、43種類くらいあります。

漢方薬は以下のものとなります。

大青竜湯、麻黄湯、射干麻黄湯、桂麻各半湯、葛根湯、升麻葛根湯、桂枝湯、桂枝加厚朴杏仁湯、小青竜湯、麦門冬湯、清肺湯、滋陰降火湯、竹筎温胆湯、麻杏甘石湯、五虎湯、神秘湯、越婢加半夏湯、華蓋散、木防已湯、炙甘草湯、茯苓四逆湯、茯苓甘草湯、五苓散、大柴胡湯、小柴胡湯、四逆散、柴陥湯、柴朴湯、柴胡桂枝湯、柴胡桂枝乾姜湯、小建中湯、当帰芍薬散、参蘇飲、香蘇散、味麦益気湯、人参養栄湯、麻黄附子細辛湯、苓甘姜味辛夏仁湯、人参湯、真附湯、半夏厚朴湯、苓桂朮甘湯、柴胡加竜骨牡蛎湯など。

これだけの種類があるので、喘息に五虎湯を飲むとか、むせる咳に効く麦門冬湯とか、そんな単純なもので選ぶことはできません。

よくマニュアル的に出されている麦門冬湯や麻黄附子細辛湯は、この中の一部でしかありません。

なぜ、これだけの種類の漢方薬があるのかというと、漢方的には喘息や咳の原因は、人それぞれいろいろあるからです。

喘息の方の原因は、基本は、気管支周辺の不要な熱のこもりと、水の滞りを治療しますが、もちろん、これも人によって原因が変わってきます。

これらの漢方薬は、単に喘息というだけでなく、どれくらいの期間、患っているのかによっても使い分けていきます。

子供の頃からの喘息や喘息になったのが半年前からなど、その期間によっても選ぶ漢方薬が変わってくるのでこれだけの種類があるのですね。

喘息も長くなってくると、気管支周辺だけの水の巡りの問題ではなくなってきて、体全体の水の巡りに発展していたりします。

体全体に発展してくると足のむくみや水の出し入れをコントロールしている腎臓にまで影響が及んだりしますので、そうなると気管支周辺の水の巡りを良くすることだけでは、治ることはありません。

こういった体全体の悪い影響の広がり具合でも選ぶ漢方薬が変わってきます。

また、咳になってくると、あらゆる原因が考えられてきます。

風邪などの咳を治す場合に使う漢方薬。

風邪の後に咳だけ残った時に使う漢方薬。

ストレスで3ヶ月以上、咳が止まらない場合に使う漢方薬。

気管支炎が慢性化して咳がずっと続いている時に使う漢方薬などなど。

咳は人によって、原因が全く違ってきますので、漢方薬で咳を治す場合は、その人の咳の原因が何かを調べないと選びようがありません。

咳のタイプで選べるかのように説明しているものがありますが、あれは全くデタラメ。

どんなタイプの咳なのか?

ではなく、あなたの咳の原因は何なのか?を分析しないといけないのですね。

「漢方薬を飲んでいるのけど、効果がよくわからない」と良く思われてしまうのは、そもそもちゃんと選んでいないから。

いわば、あてずっぽうで選んだ漢方薬を飲んでいるから効果がないのです。

本来は、43種類の中から、たった1つの漢方薬に絞る必要があります。

どの漢方薬に気管支をも拡張したり、咳と止める成分なんて含まれていません。

これだけの種類があるわけですから、咳のタイプだけでは、どの漢方薬が良いのか、選びようがありません。

咳のタイプという問診だけでは、この43種類は全部、あてはまることになります。

五虎湯や銀翹散は、体質を無視して、勝手に咳の漢方薬の代表的なものにしているだけで、本来は、この43種類の中から、自分の咳が始まった期間や患っている期間そして自分の咳の原因、つまり体質と合った漢方薬でなければ、飲むだけ無駄なのです。

なぜ体質から選ばないといけないのか

病院の薬は、咳を一定時間、抑えることを治療と呼んでいます。

漢方の場合は、『治療の根本の考え』が違います。

そもそも、咳自体は、体を治そうとする正常な反応なのです。

問題は、咳が出ることではなく、なぜ、それが人よりも長く続いたり、強かったりするのか?

これが真の原因です。

咳自体を強制的に止めたところで、問題はないも解決しないのです。

薬の作用時間が切れれば、また元通りです。

まとめ

喘息や咳に限らず、漢方薬は、体質に合わせて最適なものを選びます。

そして、その体質は全身の症状と状態を総合的に診断していきます。

気管支周辺の水の巡りは、全身はつながっているので、体質によっては腸に不要な水が溜まっていることが、気管支まで影響が及んでいる場合もあります。

この場合は、軟便気味な状態と咳が関係している場合があります。

女性の場合は、卵巣は、水の巡りが悪くなりやすい場所なので、卵巣に対する水の巡りの悪さが、巡り巡って気管支周辺の水の巡りの悪さにつながっていることもあります。

西洋医学の感覚しかないと不思議な感じかもしれないですが、慢性的に続く咳と卵巣嚢腫がつながっているというのが漢方薬の治療の考え方です。

一般的には五虎湯や麻黄附子細辛湯がなんとなく、喘息や咳に効くかのように解説されていますが、漢方では全身を調べないと最適な漢方薬は選べないのですね。

「麦門冬湯が咳に効く」など漢方薬が特定の病気や症状に効果があるかのような説明は、はっきりいって嘘なのです。

漢方薬を使った治療は、咳や喘息に限らず、どんな病気だろうと体をどれだけ詳しく分析できるかにかかっています。

漢方薬で喘息や咳を治療する場合、咳の状態やいつから続いているのか、と体全体の状態を調べて、それに見合う漢方薬を43種類の候補の漢方薬の中から、絞り込んで選びます。

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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ ツムラ医療用漢方製剤マニュアル
◯ オースギ医療用漢方製剤マニュアル
◯ 漢方方意辞典:緑書房
◯ 漢方診療医典:南山堂
◯ 類聚方広義解説:創元社
◯ 勿誤薬室方函:創元社
◯ 漢方処方応用の実際:南山堂
◯ 中医処方解説:神戸中医学研究会
◯ 漢薬の臨床応用:神戸中医学研究会
◯ 近代漢方薬ハンドブックⅠⅡⅢ:薬局新聞社刊
◯ 平成薬証論:メディカルユーコン

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

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