頭痛の体質別8つの原因と治し方
頭痛は誰にでも起こりうる症状ですね。
西洋医学的にも東洋医学的にも、色々な原因が考えられるのですが、漢方の場合は、『人それぞれの頭痛の原因』を考えていくので、状態や原因によっては、自分で治療的なことをできたりもします。
鎮痛剤は、頭痛を一時的に誤魔化すだけのものなので、根本的な原因を見つけて、対応しないといつまでも治りません。
今回は、『病院の考える頭痛の原因』と『漢方から考える人それぞれの頭痛の8つの原因』を解説します。
また、その原因から、自分で頭痛を治療する方法を解説したいと思います。
病院の考える頭痛の原因
頭痛をネットで調べると「片頭痛」、「群発頭痛」、「緊張性頭痛」、「薬物乱用頭痛」など、色々な頭痛が出てきます。
また、頭痛は、あらゆる病気で発生が考えられる症状です。
それこそ、風邪からがんまで。
病院で頭痛の原因を調べようと思っても、現実は、ほとんどの病気に頭痛が関係しているので、頭痛の原因を特定するのは不可能に近いです。
でも、病院で頭痛の原因を特定できる場合もあります。
それは、『何か大きな問題で頭痛が起こっているのか?そうでないのか?』
例えば、脳血管が詰まっているかどうか、などですね。
多分、ほとんどの頭痛の原因は、病院で検査をしても見つかることがないのですが、逆に「明らかな大きな原因」の場合は、検査によって見つかります。
ですので、病院の検査によって、少なくとも頭痛の原因は、「脳血管の詰まりではない」ということがわかります。
検査に関するよくある誤解なのですが、「病院で頭痛の原因を検査などで調べてもらったら、特に問題ないって言われました」という話がよくあるのですが、そもそも病院の検査では、症状のほとんどの原因は、「わからない」と思ったほうがいいです。
病院の検査は、『わかりやすい大きな原因』しか見つけることができないことが多いので、頭痛の原因を突き止めるというよりは、「大きなわかりやすい重大な病気でないかどうか」がわかりますので、うちでは、病院の検査では原因はわからないけれど、消去法的に検査をしてもらえばよい。と話しています。
病院の頭痛の治療と予防
病院の治療方法は、シンプルに2つです。
1 頭痛が起こった日などの日記をつけて、頭痛の引き金になっているかもしれないものを取り除きます。
2 痛みを抑える薬(鎮痛剤など)を使います。
この2つです。
1に関しては、かなり、わかりやすい原因ならなんとかなります。
例えばコーヒーを飲むとかならず頭痛がある。
となれば、コーヒーが原因だと考えられるので、コーヒーをやめれば良いわけです。
ところが、『雨の前の日に頭痛になる』ということがわかったとします。
雨という気候がなくなれば、頭痛はなくなるかもしれませんが、雨をなくすことはできないのです。
つまり、要因がわかったところで、原因を取り除けないということです。
となると、病院の1の方法では、「実際は治せない」ということになります。
そして、治療は、痛み止めを飲むこと。
痛み止めは、痛みを認識させる体内の生理活性物質の働きを抑えるものになります。
筋肉の緊張を緩めるもの。
中枢神経を麻痺させるもの。
などがありますが、いずれも、『一定時間だけ、薬の成分で痛みを強制的に抑える効果』になるので根本治療にはなりません。
逆に言えば、頭痛の原因が脳血管の詰まりでもない限りは、何であろうと、治療は「一定時間だけ、痛みを抑えるもの」を使うだけなので、原因を調べる必要がないといえばないのですね。
漢方から考える頭痛の原因
頭痛に五苓散を処方するなど、医者自身が、「漢方が考える頭痛」を誤解していることが多いです。
漢方では、人それぞれの原因を考えて、漢方薬は、その原因に合わせて選びます。
マニュアルをみて、頭痛に五苓散を合わせるのではなく、まずは、その人の頭痛の原因を調べることが漢方治療になるのですね。
漢方から考える頭痛の8つの原因を解説していきたいと思います。
1風邪
「知ってた!」と言われそうですが、風邪の引き始めは、鼻、咳、喉の症状がなく頭痛から始まることもあり、後から、「風邪の頭痛だったのか」と気づくこともあります。
頭痛が始まった時に周囲に風邪ひきさんがいなかったどうかを考えると答えにいきつきやすいかもしれません。
原因はウィルスで、漢方では、表の寒証といって、首や背中を温めて、油物などを摂らないようにして、睡眠時間を増やしてあげれば、治りやすいです。
2のぼせや不要な熱のこもり
漢方では上焦の熱証というのですが、顔に不要な熱がこもって頭痛が発生します。
夏に発生しやすいです。
冬でも暖房は、室内上部にたまりやすいので、この状態になっていることがあります。
「のぼせ」を伴うことが多いです。
治療はあたまを冷やしてあげることです。
ただし、脈拍とともにズキンズキン痛む場合は、血の巡りの滞りの場合があり、この場合は冷やすと余計に悪くなることもあります。
普段から高血圧の人は、暑いところなどで頭痛が発生した場合、血圧をチェックしてみてください。
3血の巡りの悪さ
同じ姿勢で長時間いたり、「5」の目の使いすぎなどで発生します。
血圧の高い人の頭痛も、頭痛が起こるきっかけは、血の巡りの悪さと熱のこもりが合わさって起こることが多いです。
夏などは、のぼせと合わさって発生することが多いです。
こちらの治療は、肩、首の筋肉の緊張や体全体を動かしていないことなどが影響することが多いので肩や首を動かしてあげると良いです。
そして、体はつながっているので、その後は、下半身もしっかりと曲げ伸ばししてください。
血の巡りは冷えが原因で起こることもあるので、冷えと複合的に重なっていることもあります。
4水の巡りが悪い
雨の前の日や台風が近づいてくると頭痛が発生する。いわゆる『お天気頭痛』が起こりやすい人は、水の巡りの悪さが原因だったりします。
この頭痛が発生しやすい人は、特に下半身の筋肉量が少なかったり、筋力が弱かったりすることが多く、浮腫みやすかったり、手足がこわばったりすることもあります。
水分量を調整することが重要です。
水は摂りすぎても、少なくてもダメ。
要は汗やおしっこなどで出た分を補い、補った分はオシッコや汗などで出して、体内に常に新鮮な水が巡るようにすることが重要です。
5目の使いすぎ
スマホなどを見過ぎたり、長時間、パソコンをした後に頭痛がある場合、目の使いすぎで目に巡るはずの血が滞って、頭痛を発生させています。
同じ姿勢で目を使いすぎると発生しやすいので、肩の筋肉の緊張も同時に起こっていることが多いです。
治療は、ただちに目を使うのをやめて、目に温かいタオルなどをかけてあげて、肩などをしっかり、動かしたり、伸ばしたりしてみてください。
6ストレスや月経時の頭痛(肝の臓系)
強いストレスを受けると漢方では肝の臓が傷つくと言われています。
肝の臓が傷つくと、気が滞り、気と筋肉の緊張を発生させ、頭痛を発生させます。
マッサージをしてもらって体をゆるめたり、仕事を一旦、休んで、気持ちを切り替えたりすることが重要です。
公園や海などの開けた空間でボーっとするのも良いですし、応急的にはなりますが、ハッカやミント系のものを食べるのもよいです。
肝の臓は、月経に関わる血の巡りをコントロールしているので、月経時に頭痛が発生する人は、血の巡りとこちらの問題が合わさって起こっていることが多いです。
お酒は、少量なら気の発散になるのですが、量が増えると、肝臓負担が増えて、余計に肝臓が傷つくので、こちらの原因の場合は、お酒は控えましょう。
7胃の冷え
普段から冷え性の人や冷たいものをとりすぎたりして、胃腸が冷えると頭痛が発生するという体質の人がいます。
この治療は、冬の場合は、足から冷えていることが多いので、足を温めて、おへそを温めてあげてください。
冷たいものを飲みすぎた場合もおへそを温めるのが良いです。
8冷え
冷えが原因で頭痛が発生します。
普段から冷え性の人は、寒いところに長く居たりすると冷えによる頭痛が発生しやすくなります。
子供なんかは、意外と夏のプールなどで長く水に浸かっていると、冷えによる頭痛が発生します。
こちらの治療は、体を温めてあげることです。
冬であれば、首を特に温めてあげてください。
まとめ
頭痛といっても、その人の体質よって、原因は色々と違ってきます。
病院では、脳血管の詰まりなど、よほど大きな原因でない場合は、検査をしても原因はわかりません。
また、結局、治療は「痛みを一時的に強制的に抑えるだけ」のものになるので、そもそも、根本的に治療することはありません。
漢方薬を選ぶ場合も、今回のようにその人の原因を分析します。
今回は、自分でもできる対処方法を紹介しましたが、悪い体質が定着している場合は、今回の対処では、治りません。
そこで、漢方薬を使うのですね。
今回のような、人それぞれの『頭痛の原因』を分析して、その原因に合わせて、漢方薬を選びます。
水の巡りの悪さが原因であれば、水の巡りを巡らせる漢方薬を使います。
血の巡りの悪さが、頭痛の原因なのに、水の巡りを巡らせる漢方薬を飲んだって、何の効果もありません。
ですので、頭痛に使うことが多い漢方薬は、原因別で30種類以上ありますので、自分の原因に合わせて、30種類の漢方薬の中から選びます。
無条件に誰の頭痛も治してくれる漢方薬は存在しません。
また、今回はわかりやすく8つの原因にわけましたが、実際は慢性的に頭痛が続いている人ほど、いくつもの要素が合わさっています。
例えば、肝の臓であるホルモン系の原因と血の巡りの原因、それに冷えの3つの原因が合わさっているといった感じです。
月経時の頭痛が毎回ある人は、こういった複合的な原因が絡み合っていることが多いです。
この場合は、すべての原因を治すことのできる漢方薬を選びます。
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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ 漢方概論:創元社
◯ 漢方方意ノート:創元社
◯ 漢方臨床ノート(論考編):創元社
◯ 金匱要略ハンドブック:医道の日本社
◯ 傷寒論ハンドブック:医道の日本社
◯ 素問:たにぐち書店
◯ 漢方治療の方証吟味:創元社
◯ 中医診断学ノート:東洋学術出版社
◯ 図説東洋医学:学研
◯ 中国医学の秘密:講談社
◯ 陰陽五行説:薬業時報社
◯ まんが漢方入門:医道の日本社