漢方薬相談ブログ

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不眠症の6つの原因と体質改善の方法

  1. 病院が考える不眠症の原因
  2. 人それぞれの不眠症の原因
  3. まとめ

「寝たいのに眠れない」「夜中に何度も目が覚める」「朝、起きた瞬間から疲れている」

睡眠に関する問題を抱えている人は、結構たくさんいらっしゃいます。

睡眠導入剤などは、確かに睡眠の問題を抱えている人の助けにはなるのですが、残念ながら、睡眠薬を続けたからといって、いつか自力で眠れるようになるわけではありません。

不眠症にも、寝つきの悪さや中途覚醒、浅い睡眠、また、それらが全部あったり、それ以外にも人によって、色々な原因があります。

病院の薬の場合、その人の不眠症の原因は、分析しません。

西洋医学的には、人それぞれ原因が違うとは考えずに脳の覚醒に関するものや睡眠のスイッチに関係する部分を薬の成分で無理やり変えて、眠らそうとします。

ところが、漢方的に詳しく分析してみると、不眠症の原因は、人ぞれぞれ違うので、治療も人それぞれ変わってきます。

今回は、人それぞれ違う、漢方的に考えられる不眠症の6つの原因を解説したいと思います。

あなたの不眠症の原因はどれにあたるのかを探してみてください。

病院が考える不眠症の原因

それでは、病院や一般的に不眠症の原因とされるものには何があるのでしょうか?

西洋医学の専門医学書であるメルクマニュアルを参考にみていきましょう。

1交感神経を刺激する食べ物
カフェイン、甘いもの、チョコレート、唐辛子、わさび、ニンニク、生姜、アルコールなどは、交感神経の興奮性が高まり不眠症につながります。

アルコールは、最初はリラックス状態となり、その後に反転して交感神経が高まりますので、寝つきが良くなり、夜中に目が覚めて眠りが浅いという状態を引き起こします。

2交感神経を刺激する薬
鼻つまりなどに使うフェニレフリン、喘息の方の気管支を拡張するメプチン、抗てんかん薬であるフェニトイン、血圧効果剤であるメチルドバなどが、不眠の状態を引き起こします。

3夜遅くの運動
ゆっくりしたストレッチなどは、別ですが、それなりに激しい運動は、交感神経の興奮性が高まり不眠症につながります。

4興奮性が高まる動画やテレビ
刺激のある内容の動画やテレビの番組は、交感神経の興奮性が高まり不眠症につながります。

5不規則な睡眠時間
夜勤の人や寝る時間が一定の時間になっていない人は、だんだんと不眠症に陥ります。

6関節などの痛みがある。
膝や股関節など、関節に慢性的に続く痛みがある人などは、睡眠の質が悪くなります。

7アトピーなど湿疹がある。
かゆみが強い場合、睡眠の質が悪くなります。

一般的に気を付けることができるものもあれば、関節の痛みやアトピーなどは、そもそも、その病気を治さないとどうしようもないものもあります。

原因は、色々とありますが、西洋医学の場合は、根本的な原因に対して対応はしません。

病院の不眠症に対応している薬は、わかりやすく言えば、その人の不眠症の原因が何であろうと、脳の中枢系に働きかけるもので、いわば、どんな人も無理やり眠らそうとする感じになります。

その人の原因と関係なく、眠れる効果なのであれば、一見、良いように思いますが、逆に原因に対応しているわけじゃないので、病院の薬をいくら飲み続けても治ることはありません。

病院の薬というのは、体の機能を一定時間だけ、強制的に変更するものなので、根本的に治すという効果はありません。

そもそも、薬の効果がどうのこうの以前に、根本治療というのは、その人の原因に対して対応しないと意味がないのです。

『どんな人にでも効く』ということが、『根本的に治せない』ことにつながるのですね。

また、漢方薬は、医者も含めて、かなり誤解されていて、不眠症に効く漢方薬があると思われていますが、漢方薬に不眠に直接効くものはありません。

漢方は、今から紹介する、人それぞれの不眠の原因を突き止めて、その原因を治していくことによって、結果的に不眠症が解消されるので、仮に誰の不眠にも効くものがあるとすれば、それは、もはや漢方ではないし、根本治療にもなりません。

人それぞれの不眠症の原因

本来の漢方では、何かの症状や病気を治したい場合、その人の体質に合わせて漢方薬を選んでいきます。

その人の体質というのは、漢方では、その人独自の不眠症の原因ともいえます。

使う漢方薬としては、30種類以上ありますが、原因は大きく分けて『6パターン』あります。

1つの原因のパターンの中に、微妙な体の状態の違いで4、5種類くらいの漢方薬があります。

細かな条件で漢方薬を使い分けていくので、30種類以上も漢方薬があるのですね。

漢方薬には、病院の薬のような中枢神経をどうにかするような、成分はありません。

それでは、原因のタイプを紹介していきます。

【肩から上に熱がこもっているタイプ】
肩から上、顔の部分である、上焦部に熱がこもり、この熱が自律神経の興奮性を高めて、寝つきを悪くしたり、夜中の目覚めが発生します。

のぼせや、手のほてり、皮膚の乾燥、頭痛、めまいなどが症状として出たりします。

ちなみにこれらの症状があれば、こちらのタイプであるという意味ではありません。

厳密には、全身の他の症状も組み合わせて分析をしていきます。

顔に熱がこもっていますので、上半身を温めないようにして、少し涼しいくらいにしたほうがいいです。

逆に足が冷えている場合は、腰から下は温めてください。

よく使われる漢方薬として、黄連解毒湯、温清飲、三物黄芩湯、加味温胆湯、竹如温胆湯、半夏瀉心湯、甘草瀉心湯、三黄瀉心湯などがあります。

【肝臓に不要な熱がこもっているタイプ】
肝臓に不要な熱がこもると肝臓は漢方では怒りや焦り、神経の興奮性に関わっている臓器なので、興奮性が高まり、寝つきの悪さ、夜中の目覚め、眠りの浅さが発生します。

頭痛や耳鳴り、目の充血、目の疲れやすさ、胸焼け、湿疹ができやすい、月経不順などが症状として出たりします。

こちらが原因の場合は、理由なく、イライラしやすかったり、焦り、やる気が強すぎて、リラックスができないなどがあり、こういった精神的傾向が不眠につながっていたりします。

気の滞りが強いことが特徴なので、仕事ばかりの人は、仕事をあえて休んで、正反対のことをするのがよいです。

例えば、室内の仕事なら、公園や海などのひらけた場所で運動するなどです。

酢の物が肝臓の不要な熱を鎮めてくれます。

よく使われる漢方薬として、大柴胡湯、柴胡加竜骨牡蛎湯、柴胡桂枝湯、加味逍遙散、柴胡桂枝乾姜湯などがあります。

ネットなどで柴胡加竜骨牡蛎湯や加味逍遙散が、不眠症に効く漢方薬かのように説明されていますが、あくまで、あなたの不眠の原因が、肝臓に熱がこもっているタイプで、尚且つ、2つの漢方薬のいろいろな条件にあてはまるかによります。

【血の巡りの悪さがあるタイプ】
漢方的には、血の巡りの悪さというのは、血の流れる速度がドロドロと早いか遅いかをみているのではなく、体の隅々までバランスよく巡っているかどうかをみています。

血の巡りの偏りがあると、血と共に気と熱の巡りの偏りも生まれることが睡眠の不安定感につながります。

また、臓器の働きにもアンバランスが生まれ、うまく休ませることができなくなります。

のぼせ、頭痛、手足の冷えや月経不順などが症状として出たりします。

下半身の筋肉を使うようにしましょう。

冷えも血の巡りの悪さにつながることがありますので、冷えのある人は温めるようにしましょう。

よく使われる漢方薬として、桂枝茯苓丸、桃核承気湯、温経湯、当帰芍薬散などがあります。

【血が不足しているタイプ】
睡眠は、体が完全に停止するわけではなく、ある程度の体の機能を保ったまま休みますので、繊細な調整能力が必要となり、それには、十分な血が必要となります。

立ちくらみ、息切れ、手足の冷えや顔色が悪いなどが症状として出たりします。

わかめや昆布、女性の場合は、鶏肉などが血の原料となります。

よく使われる漢方薬としては、四物湯、人参湯などがあります。

【自律神経の不調やストレスなどのあるタイプ】
解決しない悩みや堂々巡りの思い煩いがあると、漢方では、気の巡りが悪くなり、自律神経に悪影響を及ぼし、睡眠の妨げとなります。

食べる時間や睡眠時間が不規則であっても、気の乱れが発生します。

感情の浮き沈みが大きいこともよくありません。

例え、寝つきが悪くとも一定の時間で寝るように心がけましょう。

こちらの気の乱れは、肝臓系と腎臓系にわかれ、選ぶ漢方薬はその系統でわかれます。

よく使われる漢方薬としては、女神散、桂枝加竜骨牡蠣湯、半夏厚朴湯、抑肝散、甘麦大棗湯、酸棗仁湯などがあります。

【胃腸が弱っているタイプ】
胃腸機能が弱っていることが、不眠症の原因になっているタイプです。

胃腸の働きは、色々な臓器の中でも、ストレスや自律神経と深い関わりがあるので胃腸の働きが弱っていると自律神経が安定しなくなり、睡眠の不安定さがでてきます。

胃もたれ、胃痛、食欲不振、胸焼け、軟便、下痢などが症状として出たりします。

食べ過ぎに注意して、消化の良いものを食べましょう。

冷たいものをさけ、甘いものは、摂りすぎると胃の消化機能を邪魔しますので、控えましょう。

よく使われる漢方薬として、人参湯、桂枝加芍薬湯、桂枝加芍薬大黄湯、補中益気湯、加味帰脾湯、帰脾湯などがあります。

まとめ

今回、6つの不眠症の原因を簡単に紹介しましたが、実際は、こんなわかりやすい1つの原因ではなく、原因が3、4個、重なっています。

紹介させてもらっている症状は、あくまで一例で、そのタイプには、この症状がかならずあるとか、この症状があれば、この原因にあてはまるというわけではありません。

漢方では、全身から原因を判断していくので、他の部分の症状と組み合わせて、分析もしていかないといけません。

例えば、実際に原因を分析してみると、「胃腸の弱さ+血が少ない+気の巡りが悪い」といった感じで、3つの原因が不眠の原因になっていて、これらを全部、治さないと、不眠症は改善されなかったりします。

そして、漢方薬には、これら3つ全部を調整できるものがありますので、そういった自分の原因に合わせた漢方薬を探し出す必要があります。

不眠症といっても、本当に人それぞれ原因が違い、原因が違えば、当然、選ぶ漢方薬も変わるので30種類以上の漢方薬が候補してあるのですね。

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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ 漢方概論:創元社
◯ 漢方方意ノート:創元社
◯ 漢方臨床ノート(論考編):創元社
◯ 金匱要略ハンドブック:医道の日本社
◯ 傷寒論ハンドブック:医道の日本社
◯ 素問:たにぐち書店
◯ 漢方治療の方証吟味:創元社
◯ 中医診断学ノート:東洋学術出版社
◯ 図説東洋医学:学研
◯ 中国医学の秘密:講談社
◯ 陰陽五行説:薬業時報社
◯ まんが漢方入門:医道の日本社

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

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