漢方薬相談ブログ

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慢性疲労症候群ののような倦怠感と強い胃もたれの漢方治療例

  1. 相談の方の症状や状態
  2. 今までの治療
  3. 症状の原因は?その根拠とは?
  4. 最初に漢方薬を飲んでから2週間後
  5. 次の2週間後(漢方薬を飲んで1ヶ月後)
  6. 次の1ヶ月後(漢方薬を飲み始めて2ヶ月後)
  7. それから1ヶ月後(漢方薬を飲み始めて3ヶ月後)

今回は、漢方薬でよくなった相談例の紹介です。

相談の方の症状や状態

相談者の方は、60代前半の男性。

体型は痩せ型ですが、声に張りがあり、元気な感じ。

一番の悩みは、虚脱感と倦怠感が強いこと。

そして、胃の中のものがいつまでも残っている感じでお腹が空かない。

ゲップや朝、起きた時からのむかつきもあります。

食べて横になると胃痛も発生します。

便は軟便気味。

これは過去にコロナになった時も強く出ていた症状です。

頻尿気味で、排尿時に痛みもあり、手足が冷えて、周りの人よりも寒がりです。

夜中のオシッコは2、3回あります。

手首の関節に痛みがあり、肩の痛みもあります。

内痔もあります。

今までの治療

うちに来るまでに、漢方薬を飲んだこともあります。

ある漢方薬で、よくなったこともあるのですが、しばらくするとまた悪くなる。

そして、また他の漢方薬を試して、良くなったとしても、しばらくするとまた悪くなる。

という状態を繰り返していました。

それで、ネット検索して、うちのお店に相談に来られました。

症状の原因は?その根拠とは?

医者や一般的には、ある症状に漢方薬が対応している。と思われることが多いので、めまいに苓桂朮甘湯とか頭痛に五苓散などを選んでいたりしますが、漢方薬は本来、全身の状態から、原因を見つけ出して、原因に合った漢方薬を選びます。

最初に着目したのは、コロナ後から症状がひどくなっているという点でした。

これは、うちでも過去に何人もコロナ後の後遺症の治療をしてきましたので、経験上、なんともいえない虚脱感や倦怠感、食欲不振、胃もたれや胃痛が続くことを知っていました。

コロナは、漢方的には、肝の臓を傷つけます。

肝の臓とは、西洋医学の肝臓に似ていますが、東洋医学的な臓器のことで、厳密には一緒ではありません。

肝の臓はコロナウィルスによって、不要な熱をもち、機能低下を起こします。

こういった原因を「肝熱の証」といいます。

過去のコロナの後遺症的な感じで悪くなっていることから、コロナウィルスが、抜けきっていないと考えました。

また、肝の臓は胃と隣り合わせになっていて、肝の臓の熱は胃に伝わり、胃の機能低下によるゲップやむかつきを発生させます。

そして、コロナウィルスを追い出そうと思ったら、体の表面や粘膜部の水の巡りを強く巡らせる必要があります。

そこで、肝の臓に不要な熱がこもっているので、これを清熱といって、肝の臓の熱を冷やす役割と、体中の水の巡りも強く巡らせてくれる役割を持った漢方薬を選びました。

いつまでもお腹が空かないといった胃の機能低下には、補助的に胃の機能を高めるお茶を飲んでもらうことになりました。

手足の冷えや手首の関節の痛み、内痔は原因の経路が離れていて、一度に治療することができません。

漢方薬は、基本的には、全身の状態を分析して、原則、1つの漢方薬で全部が治せるように考えますが、原因の経路がいくつかにわかれていたりすると、一緒に治療できないこともあります。

今回のケースでは、手足の冷えや手首の関節の痛みや肩の痛み、夜中のオシッコ、内痔は倦怠感や、胃腸系の症状とは、原因の経路が離れているため、今回は、胃腸と肝臓系の方にウェイトをおいた治療としました。

最初に漢方薬を飲んでから2週間後

2週間後、虚脱感や倦怠感はひどくなりました。

朝のむかつきは、徐々にですが、なくなってきました。

胃の中のものが消化できない感じは、減ってきて、ゲップや吐き気もなくなってきました。

しかし、昼ごはんを食べた後に夜になっても、それほどお腹がすかないという状態は変わりません。

排尿時の痛みはなくなって、切迫尿は、少し落ち着いてきました。

オシッコの間隔も飲む前よりは長くなってきました。

手足の冷えや手首の関節の痛み、肩の痛み、内痔、夜中のオシッコは、悪い状態のまま変わりません。

これらの症状は、最初の時点で、一緒に対応するのが難しいと判断していて、治療はしていませんので、しょうがないですね。

最初に選んだもので一番、気になっていた、朝のむかつきやゲップ、吐き気は解消されてきましたが、虚脱感や倦怠感は、最初よりもひどくなっています。

漢方薬は、全身の状態のバランスを取りながら、治していきますので、こういった何かの症状は良くなったけれど、何かの症状は悪くなったり、何かの症状は、現状維持のまま、なんてことはよくあります。

漢方薬は、継続して飲んでもらって、体質改善していくので、2回目からが、漢方医の腕の見せ所と言えるかもしれません。

なぜなら、1回目は、たまたま、運良く漢方薬が合っていることがあったりするのですが、最終的に全身のバランスを整えて、治していこうと思ったら、2回目からのよくなったり、悪くなったりしているような凸凹な状態を全体的にどうやって調整するのかが難しくなってくるからです。

2回目は、朝のむかつきや胃の中の消化ができない感じやゲップや吐き気などの良くなってきた部分はちゃんと残しつつ、今回、ひどくなってしまった虚脱感や倦怠感を改善していきたいと思いました。

こういった場合は、漢方薬を変更していくのですが、気をつけないといけないのは、大きく漢方薬の種類を変更すると、朝のむかつきなどのよくなった部分も元の悪い状態に戻ることがあります。

ですので、水の巡りを巡らせる役割は、前と同じで残したまま、胃腸にある不要な水をかきだして、胃腸の気を補って、機能を高めてくれる役割がある漢方薬に変更しました。

次の2週間後(漢方薬を飲んで1ヶ月後)

狙っていた虚脱感と倦怠感は、7割は良くなりました。

後3割が残っている感じ。

朝のむかつきは完全になくなりました。

吐き気やゲップも完全になくなりました。

便は軟便でなくなりましたが、量が少ない状態。

切迫尿、頻尿は前の良くなったままを保っています。

お昼を食べてからその後の晩ごはんになっても空腹感にならない状態は、悪い状態のまま変わりません。

手足の冷えや手首の関節の痛み、肩の痛み、内痔、夜中のオシッコは、悪い状態のまま変わりません。

ここら辺は、治療対応していないので、変わらなくても、しょうがないです。

漢方薬の効果は、人によって、どこで出てくるのかがわかりません。

それも全身の状態をチェックしつつ、はかっていくしかありません。

今回は、全体的に見た時にまだ、今の漢方薬での効果が必要だと考えましたので、同じ漢方薬で続けてもらうことにしました。

次の1ヶ月後(漢方薬を飲み始めて2ヶ月後)

前回、7割良くなった虚脱感と倦怠感は、残っていた3割も良くなって、なくなりました。

便も1日1回で軟便から普通便になり少量だったのが、たくさん出るようになりました。

切迫尿、頻尿は前の良くなったままを保っています。

お昼を食べてからその後の晩ごはんになっても空腹感にならない状態は、前回よりは、空腹になるまでの時間が短くなりましたが、まだ治っていません。

新たに痰の絡みが出てきました。

もしかすると風邪の可能性もあります。

この時、漢方では、風邪が強い場合は、今までの体質を良くする漢方薬は一旦、休止して、5日間だけ、風邪を治すための漢方薬に切り替えたりしますが、現在の漢方薬も水の巡りを整えるもので、この方の体質的には、痰も解消してくれます。

夜中のオシッコが酷くなったりということが出てきたので、胃腸の余分な水を取り除いて、胃腸の機能を強化し、体の水の巡りをコントロールしている腎の臓の機能を高める役割の漢方薬に変えたりして調整しました。

それから1ヶ月後(漢方薬を飲み始めて3ヶ月後)

最初に来られた時の一番大きな悩みであった、朝のむかつき、倦怠感や虚脱感、吐き気やゲップ、排尿痛はなくなったままの良い状態が続いています。

手首の痛みはなくなりました。

これは、前回、変えた漢方薬が、骨の痛みと関わる腎の臓の強化と水巡りを整えるものだったのが、効いたようです。

お昼を食べてから、その後の晩ごはんになっても空腹感にならない状態は、週に5回はお腹がすくようになりました。

便は、まだ時々、軟便や残便感があり、この治療にはまだ時間が必要な感じです。

肩の痛みや内痔、手足の冷えは、そもそも治療対象になっていなかったので、良くなっていません。

胃腸は、悪くなりやすい臓器ですので、引き続き、胃腸を強化しつつ、夜中のオシッコや肩の痛み、手足の冷えに関わる腎の臓の強化を行なっていきます。

こんな感じで、漢方薬は、飲んだ後の体全体の調子を聞きながら、必要であれば、漢方薬を変更して、不調を潰していきます。

最初に選んだ漢方薬を飲み続けていたら、ある日、突然、不調が全てとれるような都合の良い薬ではありません。

また、漢方薬は、体全体を調整できる薬とはいえ、漢方薬の種類によってフォローできる範囲があり、同時に治せない部分は、順番に治療していかないとなんともできない範囲もあったりします。

今回のケースでは、胃腸関連は、どれも治せますが、肩の痛みや内痔、手足の冷えなどは胃腸関連をフォローしていた漢方薬の範囲外となります。

かといって、何種類も漢方薬を飲めば治るのかというと、基本的に漢方薬は体全体を調整するものなので、種類を増やすほど効果がブレて、「どの症状も治らない」なんてことになったりもします。

そのあたりの治療戦略は、漢方の書籍にも記されていませんので、漢方医の経験則から、戦略を立てていくしかありません。

今回は、実際には、どんな感じで治療していってるのかを詳しく解説してみました。

当店では、人それぞれの体質を分析して、その人独自の原因に合わせて漢方薬をお選びします。

ご希望の方は、下記にネット相談や店頭相談の予約カレンダーのURLが張ってありますので、ご相談ください。

あなたの現在の体質や原因を判断して、治療方針をご提案いたします。

相談は無料です。

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ブログの著者 国際中医師 松村直哉

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