漢方薬相談ブログ

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過敏性腸症候群(IBS)は、漢方薬で治るのか?

  1. 病院での過敏性腸症候群の治療
  2. どういう状態だったら過敏性腸症候群?
  3. 過敏性腸症候群の原因
  4. 病院での過敏性腸症候群の薬
  5. 本来の漢方薬の役割
  6. 過敏性腸症候群の人それぞれの原因
  7. 7パターンの原因
  8. まとめ

過敏性腸症候群で悩んでいて、病院の薬を飲んでいるけれど、結局、治ってない。

過敏性腸症候群に漢方薬を出してもらっているけれど、良くなっていない。

果たして、漢方薬で過敏性腸症候群は治るのでしょうか?

結論からいうと漢方薬で過敏性腸症候群を治すことはできます。

しかし、過敏性腸症候群に直接、効く漢方薬が、あるわけではありません。

漢方薬は西洋医学と違って、独特の理論で成り立っているため、過敏性腸症候群に効く成分が漢方薬にあるわけではないのです。

そもそも、過敏性腸症候群の原因って、人それぞれバラバラなのですね。

では、漢方薬では、どうやって治すのか?

今回は、漢方薬で過敏性腸症候群をどうやって治すのか、その方法と、なぜ、漢方薬で治るのかを解説したいと思います。

病院での過敏性腸症候群の治療

病院では過敏性腸症候群はどうやって治すのでしょうか?

まずは、病院での過敏性腸症候群の治療を知っておきましょう。

どういう状態だったら過敏性腸症候群?

大きくは過去3カ月間に週1回の頻度で、排便ごとに痛みがみられるのが、過敏性腸症候群の診断基準のようです。

しかし、長年の漢方治療の経験上、残念ながら、ストレスから頻繁な軟便や下痢になる人に、腹痛が伴わない人もいました。

漢方治療の場合は、体質を分析して治療するので、西洋医学の診断は、あってもなくていいのですが、実際の現場で過敏性腸症候群のような患者さんをみていると、排便の痛みを伴うかどうかで判断していくのは、どうかと思います。

というもの、会社の会議などの一定のストレスで、ほぼ確実に軟便になったりしますが、腹痛はなかったりする人もいるからです。

現実的には、症状としては、主にお腹の痛み、お腹の張り、ガス、便秘、下痢などが、何かのストレスなどをきっかけに起こってしまう状態を指すと思います。

例えば、会議がストレスになっている人が、会議になると軟便、下痢になり、頻繁にトイレに行きたくなるとか、出かける時に、急に便がしたくなるのではないかと心配になって、実際に軟便や下痢で頻繁にトイレに行ったりといった感じです。

逆にトイレに行けなさそうな感じだと、外出できなかったり、外出しても、しょっちゅう、トイレの場所を探したりと結構、生活に支障が出たりします。

過敏性腸症候群の原因

小麦や乳製品、チョコレートなどの食品がきっかけになるとも考えられていますが、毎回、何かの食べ物で引き起こされるわけでもないので、食べ物が原因かどうかわかっていません。

何らかのストレスがきっかけになるっていることが多いですが、精神の状態の何が腸に影響しているのか何もわかっていません。

つまり、西洋医学的には、原因は全くわかっていません。

病院での過敏性腸症候群の薬

1ポリフィル、コロネル
薬の成分が、腸内で水分を吸収し、ゲル化することで便の水分量と形成を整え、下痢や便秘を調整⭐️します。

2セレキノン、トリメズチンマレイン酸
腸の蠕動運動が強い状態では、その運動を抑えて、弱い状態なら強くして便を促し調整します。

3イリボー
強い排便感や大腸の痛みの過敏性を抑えます。

4ブスコパン、コリオパン、チアトン
腸の筋肉を緩めてお腹の痛みや痙攣状態を緩めます。

5ビオフェルミン、ラックビー、ビオスリー
腸内細菌のバランスを整えます。

6抗うつ薬
神経系に作用する抗うつ薬や抗不安薬で神経を麻痺させます。

病院の治療は、軟便、下痢の状態を普通便に戻そうとしたり、強すぎる排便を抑えたり、便秘の方の排便を促したりしますが、問題は、薬の外部の成分で抑えても、結局、薬をやめた途端に元の頻繁な軟便に戻ってしまうことです。

病院の薬は、一定時間、症状のみを抑えるだけの対症療法なので、原因には全く触れません。

本来は、原因を治さない限り、原因の後に起こっている、下痢などを抑えたところで延々と治らないわけです。

ビオフェルミンは、一見、根本的な解決のようにみえますが、実際に、ビオフェルミンで治った人というのは聞いたことがありません。

また、腸内細菌叢の乱れが過敏性腸症候群の原因ではなく、あくまで軟便や下痢の状態は、腸内細菌叢が乱れがちだという話なので、これも事後の対応になっています。

過敏性腸症候群の人は、大体が、何かのストレスなどと関連していることが多いため、抗うつ薬は、一見、根本治療っぽくみえますが、これも厳密には、麻薬で脳を麻痺させて、感覚を鈍くさせているだけなので、結局、根本治療には程遠いですね。

それでは、漢方薬ではどう治すのかを解説したいと思います。

本来の漢方薬の役割

病院などでは、病名とか症状にあてはめて漢方薬を選んでいたりします。

アトピーに十味敗毒湯とか、めまいに苓桂朮甘湯など、こういったマニュアル的な選び方は、完全に間違いです。

そもそも、2千年前に過敏性腸症候群(IBS)なんて、そんな病気なんてないので、マニュアルだと選びようがないのですよね。

病院では、なぜか、過敏性腸症候群の方に桂枝加芍薬湯を出したりします。

これは、主にしぶりばらといって、お腹の筋肉の緊張が強く、腹痛のある人に使いますが、「過敏性腸症候群→腹痛」みたいな超短絡的な考えで選んでいるのだと思います。

過敏性腸症候群も、人によって原因は人それぞれですので、あくまで、中には、桂枝加芍薬湯が合う人もいるかもしれないですが、誰の過敏性腸症候群にでも効くというものではないです。

過敏性腸症候群で桂枝加芍薬湯を飲んでいても治ってない人は、多分、原因と合っていないのだと思いますよ。

おそらく、医者がテキトーに選んだだけなので。

本来の漢方薬は、病院の薬のように症状を抑えることが目的ではありません。

病院の薬のように症状を抑える成分は、どの漢方薬にも含まれていません。

漢方の世界では、症状を引き起こしている原因が何か?を考えます。

例えば、過敏性腸症候群は、何らかのストレスと関連していることが多いので、根本的な治療を考えるなら、軟便を抑えることではなく、ストレスと臓器のつながりを探っていく必要があります。

漢方では、臓器と精神は、つながっていると考えますので、消化器内科と心療内科をわけて考えずに体全体をみて、精神の状態がどの臓器に影響を与えているかを考えます。

また、漢方では、頻繁な軟便や下痢という症状は、体の健康を保つ要素のバランスが崩れているから発生していると考えます。

問題になっている要素を体全体の中から見つけ出して、その要素を治せる漢方薬を選びます。

病院の薬のような下痢を止めたり、便秘から排便を促す薬を選ぶわけではありません。

過敏性腸症候群の人それぞれの原因

過敏性腸症候群といっても、細かく見れば、人それぞれ、状態はバラバラで、原因も違います。

漢方薬で治す場合は、人それぞれの原因を分析して、最適なものを選びます。

原因には、7パターンあり、使う漢方薬としては、20種類ほどあります。

1つの原因のパターンの中に、更に細かな体の状態の違いで、何種類かの漢方薬を使い分けます。

漢方薬で治す場合の基本は、例え1つの症状であっても、全身の症状や状態を分析して原因を探します。

この原因のことを漢方では、証と呼び、証は体質ともいえますので、原因=証=体質となります。

医者は、体質を分析できないので、3分診療で、次の2つだけで桂枝加芍薬湯を選んでいるのだと思いますl。

1過敏性腸症候群っぽい。

2腹痛がある。

当然、こんな薄くて軽い、頼りない分析にもなっていないようなものでは、効果があるほうがおかしい⭐️のです。

本来は、全身の症状や状態、「いつからその症状があるのか?」、「どんな時に症状が発生するのか?」「どんな時に症状がきつくなのか?」などを調べていきます。

7パターンの原因

その人の体の詳しいデータを集めて、体質のパターンを導き出します。

そして、次の7つのパータンのどれにあてはまるのかをみていきます。

1肩から上に熱がこもっているタイプ】
肩から上、顔の部分である上焦部に熱がこもり、この不要な熱が自律神経の調整を歪めて、過敏性腸症候群を引き起こしています。

熱が体の上部にこもっていることが、問題なので、不要な熱を体の下に降ろして調整してくれる漢方薬を使用します。

よく使われる漢方薬として、半夏瀉心湯、甘草瀉心湯、三黄瀉心湯などがあります。

2肝臓に不要な熱がこもっているタイプ】
肝臓は、漢方では気の巡りに関わっています。

モヤモヤと思い煩うような傾向のストレスやイライラや焦りのストレスが強く、それが下痢や軟便、便秘などの症状と関わっている場合は、肝臓の熱を冷やす漢方薬を使用します。

よく使われる漢方薬として、大柴胡湯、四逆散、柴胡桂枝湯、加味逍遙散、柴胡桂枝乾姜湯などがあります。

3胃腸が弱っているタイプ】
胃腸が弱ると、不安感や心配性が強くなります。

胃痛や胃もたれ、食欲不振などの傾向が強く、不安感や心配性とともに下痢や軟便、便秘などの症状が関わっている場合は、胃腸を強化する漢方薬を使用します。

よく使われる漢方薬として、四君子湯、安中散、人参湯、桂枝人参湯、呉茱萸湯、小建中湯、大建中湯などがあります。

4胃腸の緊張が高く気が滞っているタイプ】
精神的な緊張が強く、胃腸に気が滞り、腸の働きがうまく調整できなくなっているタイプです。

考えても意味がないことを考えすぎたりするタイプに多いです。

病院がマニュアル的に出している桂枝加芍薬湯は、この原因であれば、使うことがあります。

よく使われる漢方薬として、平胃散、桂枝加芍薬湯、桂枝加芍薬大黄湯、香蘇散、半夏厚朴湯などがあります。

5腸に水が滞っているタイプ】
腸に不要な水が滞っているタイプです。

便は、体の中の水の混ざり具合で、便秘になったり下痢になったりしますので、水の調整をすることによって治していきます。

よく使われる漢方薬としては、真附湯や温附湯などがあります。

6ホルモンと水の巡り関わっているタイプ】
月経の不順やPMSなどがあり、体内の水の巡りが悪い原因のことがあります。

この場合は、ホルモンを調整しながら、同時に腸の水の巡りを調整しないと治りませんので、どちらも同時に治療します。

よく使われる漢方薬としては、当帰芍薬散、当帰芍薬散加人参などがあります。

7冷えがあるタイプ】
体の冷えが強すぎて、腸が常に冷えて、軟便、下痢を起こしているタイプです。

温めることによって、治療します。

よく使われる漢方薬としては、当帰四逆加呉茱萸生姜湯、四逆湯などがあります。

他の動画でも紹介していますが、漢方薬は、その漢方薬ごとに細かな条件の設定があります。

まずは、自分の過敏性腸症候群が、大きく、7つの原因のどの条件にあてはまるのかを分析して、次に、その原因の中で使われる漢方薬の細かな条件に自分の体があてはまるのかを検討していきます。

まとめ

漢方薬は、症状を当てはめて、選びません。

全身の症状、状態から、体質を分析して、それぞれの漢方薬の条件に一番、状態に合ってそうなものを選びます。

漢方薬は、何かの有効成分が治してくれるわけではなく、全身の不調を調整して、体全体のバランスが取れるようになると、軟便や下痢、便秘などが治っていきます。

軟便や下痢、便秘だけを治そうとはしませんし、それらの症状だけを治そうとするような効果は、漢方薬にはありません。

よく使われる漢方薬は、それぞれに細かな設定があり、その条件に合っているほど、効果が高くなります。

つまり、軟便や下痢が抑えられるかどうかではなく、全身の状態とどれだけ合っているかで、効いてくる確率が変わります。

漢方薬で、過敏性腸症候群は根本治療ができますが、腹痛なら桂枝加芍薬湯みたいな、単純な選び方では、まず治りません。

できるだけ、細かく全身の状態を分析して、できるだけ、条件に適合している漢方薬を選ぶことができれば、漢方薬で根本治療できます。

当店では、人それぞれの体質を分析して、その人独自の原因に合わせて漢方薬をお選びします。

ご希望の方は、概要欄にネット相談や店頭相談の予約カレンダーを貼ってありますので、ご相談ください。

あなたの現在の体質や原因を判断して、治療方針をご提案いたします。

相談は無料です。

●過敏性腸症候群で、お悩みの方は、こちらの「漢方無料相談」から送信してください。

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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ 医心方:出版科学総合研究所
◯ 東方栄養新書:メディカルユーコン
◯ 中医薬膳学:東洋学術出版社
◯ 薬膳素材辞典:源草社
◯ 食養生の知恵 薬膳食典食物性味表:日本中医学院
◯ 薬膳と漢方の食材小事典:日本文芸社
◯ 素問:たにぐち書店

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

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