漢方薬相談ブログ

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29年間続くアトピー性皮膚炎の漢方治療

病名・病気

アトピー性皮膚炎

体の状態

首、腕、脇、胸、腹部、局部からふくらはぎ周辺まで、かゆみの強い湿疹があり、患部はジュクジュクっぽいものと乾燥状態のものが混ざっている。肌の色はほとんどが古木のような焦げ茶色。
かゆみからの引っかき傷が多く、その部分からは出血がある。

布団ですら接するとその患部が熱感を持ち、強烈なかゆみが発生するため、かきむしり、かゆみ、痛み、浸出液が出て眠れないため、不眠気味な状態が続き、不眠気味な状態が続くため、情緒も不安定になってより不安感が増してきた。

ご本人の最優先の改善したいことは、良質な睡眠を確保し精神を安定させたいとのこと。

年齢・性別・お住まい

29歳、女性、大阪府

病気の期間

生後4ヶ月から今まで。29年間。

当店での治療結果

4ヶ月後で全身の強いかゆみは治り、8ヶ月後はまじまじと見ないとアトピーだとわからないくらいになった。
1年半後にほぼ完治。現在も他の急性の病気で相談を受けるが6年以上経過して、アトピーは再発していない。

当店で相談する前の治療

北摂でアトピー治療で有名な病院で補中益気湯(煎じ薬)、十味敗毒湯(煎じ薬)を服用。お風呂で殺菌剤(ネオヨジン)をかぶり、塗り薬は紫雲膏とエルタシン(抗菌剤)を塗っていた。
2年間通っていたが、一向によくなるどころか、最近は湿疹患部とかゆみが広がってきたため、こちらのでの治療を中止して当店に来られた。

以前の治療の問題

漢方なので絶対のガイドラインはないので、完全な私見になりますが、症状の部分だけを少しだけお聞きした感じでも、炎症による余分な熱がこもる実証の熱証だとわかります。

補中益気湯はどちらかとういと虚熱とよばれる体が弱り切った人が、なんとか、がんばろうとして体力を振り絞って熱を上げるものに合うもので、いわば、エネルギーがあって、熱を出している炎症からの熱タイプには、使う道理がありません。

最近、小さな子供のアトピーにも補中益気湯を処方する例を聞きますが、あきれるというよりもお笑いのレベルです。
小さな子供で補中益気湯が合うのであれば、それこそ、アトピーどころの状態ではありません。
入院しないといけないくらいに弱っています。
補中益気湯の中味である当帰、人参は熱をいれて温めますので、飲み始めてから湿疹が広がったというのは納得です。

十味敗毒湯に関しては、湿疹=十味敗毒湯のようなマニュアルなんでしょうか?補中益気湯と合わせる理屈が僕にはわかりません。
漢方で有名らしいですが、本当に漢方の医学理論を知っているのか疑わしいです。

殺菌剤に関してはアトピーは表在の菌の問題もあるため、無駄な治療ではないですが、効くのであれば、短期間でよくなっているはずですので、長期間、漫然と続けさせている治療根拠が理解不能です。
殺菌剤は効きもしないのに長期間続けていると元々もっている表在菌のバランスを崩し、腸内の菌のバランスも崩していくので、免疫機能にも影響し、余計に悪くなることがるので、短期間での治療効果をみながら継続するかを継続すべきものではないかと考えます。
患部がひどくなっていったのは理論的にも納得です。

判断した証(体質)

熱証(特に上焦と表の熱証)、乾証、胸脇熱の熱証からの気滞、熱証による水滞。

治療方針

病歴が長く、一度に調整はできないため、上焦と表の熱証とかゆみを止めることを目標としました。
治療方法は清熱で肩から上の部分と皮膚表面の熱感を取り去り、かゆみを止めることが目的です。

治療経過

※当店は毎回、全身の状態の変化をお聞きしますが、ある程度の期間、治療された方は最初の1ヶ月目までは詳しく書いていますが、それ以降は、ポイントだけに絞って書いています。

12週間後
残念ながら、かゆみに変化がない。腕や手首はく肌の黒っぽさがより広がった感じ。これは治っていく際に自然で治る場合は一度、乾燥の「落屑期」と通るので、元気な湿疹がなくなってきいていると判断できます。

オシッコは元々、1日3回だったが、その少ない回数も変化なし。
口内炎はできなくなった。口内炎は熱の発散の形なので、一応、目標の清熱はそれなりに効を奏している感じ。
熱を抑えるだけでは、効果が弱く病勢に負けている感じ。
燥証である乾燥もフォローできるように血を増やし潤いを与える漢方薬を補助として、基本の処方と一緒に飲む組み合わせに変更しました。

23週間後
のぼせはなくなった。オシッコが1日プラス2回ほど増えた。
夜中の首のかゆみは少しだけマシになった感じ。
湿疹になるアレルギー反応を弱める解毒作用を高める必要があると感じたので、清熱、補血、滋潤の治療方向を保ったまま、肝の臓の解毒機能を高める漢方薬に変更した。

31ヶ月後
夜になっても体が熱くならなくなった。
顔の部分が全体的に焦げ茶色だったのが白く潤いのある肌が出てきた。
手の黒かった部分は普通肌と交じるように境目がわからなくなってきた。

32ヶ月後
熱感は全体的にひいてきた感じ。
強いかゆみはなくなってきた。かゆみがマシになってきたので、睡眠はある程度、とれるようになってきた。
焦げ茶色の肌の中の白い肌の面積が多くなってきた。

44ヶ月後
細かな変化はいろいろとあるが、全身のだいたいのかゆみは治った。
睡眠も安定するようになった。
肌の色もまだ、茶色の部分はあるが、全体的に普通の白い肌が多くなってきた感じ。

58ヶ月後
まじまじと見ないとアトピーとはわからない感じになった。全体的に治った感じ。
ただし細かくは、肘裏や膝裏はまだ湿疹があるが、それも掻くのを我慢できないほどではない。

61年半後
湿疹はほとんど治った。
ここまでも季節やその時の生活環境などの影響による体調変化で漢方薬はいろいろとその都度、変更している。

全体的に古木のように乾燥し焦げ茶色だった肌は、周囲の人よりも人一倍白い、真っ白のツヤツヤの肌になった。
生まれて間も無くアトピーだったので、本人もわからなかったが、生まれつき色白だったのだと思います。

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ブログの著者 国際中医師 松村直哉

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