漢方薬相談ブログ

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サプリメントで病気は治らない

僕は漢方治療専門ですが、よく患者さんから『サプリメントに対して先生はどう思いますか?』という質問をされます。

『◯◯サプリメントって体に良いのですか?』という質問じゃないところが、すごくいいですね。

なぜなら、もし僕があるサプリメントを販売していたら『他のサプリメントより、うちのサプリメントの方が効果が良いですよ』って話になってしまうからです。

自分が勧めているサプリメントがあれば、そっちを勧めますからね。

(ちなみにサプリは販売していません。どうせ治らないので)

実際、漢方薬局の大半は漢方専門と言いながら、実はサプリメントを売ることを狙っています

ネットの普及もあってか、現在はありとあらゆるサプリメント、健康食品が溢れています。

当然ですが、どこのサプリメント販売の会社も、なんか良さそうな医療系データをくっつけて宣伝していて「うちこそ、最高のサプリメント!!」と主張しています。

厳選?したサプリメントを勧めていた

どこも良いことの説明しかないので、一体、どのサプリメントが良いのかがわかりませんよね。

実は漢方治療専門のうちでも、昔は厳選した(つもり)のサプリメントを勧めていました。

例えば、青汁なんかは日本原種のものを使用し、栄養素が損なわないような加工方法をとっているメーカーのものとか、疲れなどをとるためのエキス濃度の濃い牡蠣肉エキスとか、サプリメントは3、4種類くらいしか扱っていませんでしたが、自分なりに厳選した(つもり)で勧めていました。

しかし、漢方薬を使って、治療していると『サプリメント自体が体を治すためのものじゃない』ことに気づきました。

実は僕は、漢方専門のお店をする前はサプリメントや生薬由来のサプリメントを漢方専門薬局などに卸売りする営業をやっていました。

中国から原料を仕入れて、パッケージをデザインし、サプリを販売するための医療データや販売用のポスターを作成するところまでしたこともあります。

サプリメントのことなら大概、知っています。

そんな経歴だったので、『自分で厳選したサプリはイケてる!』と思っていました。(黒歴史)

どんな、サプリもそうですが、サプリの売り文句は、

『普段の食事では不足する特別な栄養素を補う』

『食生活の乱れで不足する栄養素を補う』です。

目的や効果もこれと同じで、要は「何らかの栄養素を補う」ことです。

よくある「このサプリメントで◯◯の病気が治った」というのはサプリ自体に、その病気を治す効果があるのではなく、ただのサプリを売るための宣伝文句です。

栄養素だけで、その病気が治るメカニズムなんてありません。

ある栄養素を補っていたら、『たまたま治った』というレベルのことや『嘘』を体験談として宣伝しています。

そして、真の問題はサプリメントの目的自体に問題があるのです。

サプリメントの問題

一番の問題は『本当にその栄養素のみが不足しているのか? 今の不調とその栄養素の不足が関係しているのか?』ということです。

サプリメントの効果を発揮するものと知られているビタミンやミネラル、酵素などは、確かに不足してはいけないものですが、当然、必要な種類も必要量も個人差があります。

「良さそうなものであれば、なんでも体に入れれば、良くなる!」なんて、人間の体の治療はそんな単純なものではありません。

確かに体を活動させていく上で必要なものですが、サプリメントの世界では、いろいろな成分は「あったほうが良い」という理論しかありません。

「貰えるものは貰っとこう!」という発想。

サプリメントの効果の考え方も西洋医学と同じで『良いとされるもの』は、じゃんじゃん足せばいいという考え方です。

例えば、「誰かが良いと主張しているもの」を自分自身は毎日、使うかどうかもわからないのに貰い続けたらどうなります。

家の中がゴミで溢れることになります。

ゴミだったら捨てればいいだけと思うかもしれないですが、いらないものを捨てるにも、体ではいろいろな臓器の働きやエネルギーを使います。

家の中のいらないものを整理整頓して捨てるにも時間や労力が結構、必要ですよね。

でも西洋医学では基本、良いと思っている成分はゴミにならないと思っているし、捨てるための余分な労力を使うとも考えていません。

都合よく一方通行的に良い成分は、取れば取るほど良いと思っているのです。

『足し算こそ正義!』という低レベル単純思考なのです。

東洋医学のすばらしい考え「陰陽」

漢方(東洋医学)のすばらしいところは自然薬の漢方薬を使っていることではなく、治療に対するいろいろな考え方自体がすばらしいことなのです。

漢方(東洋医学)の治療原則の1つである『陰陽の法則』

これが漢方治療の大原則です。

これが頭というよりも『体』でわかっていないと漢方薬自体をまともに扱えません。

陰陽の法則とは良いも悪いもなく、正反対のものが、同じだけあって真ん中の位置が一番バランスが保たれているという考えです。

栄養素(サプリなど)で言ったら『多すぎても少なすぎてもダメ』

例えば、体を温めるために暖房をかけ続けたら、やがて暑くなって、寒い時期でものぼせて気持ちが悪くなってきます。

逆に暑い時でも、冷房をかけ続けたら、体が冷えて体調がおかしくなります。

ベストなのは、丁度、真ん中。

温度でいったら、暑くも寒くもない25℃位。

健康も同じで、なんでもない真ん中の状態を保っていることがベストというのが漢方の考え方です。

実際、薬もサプリも有効成分という名の「良いとされている成分」でも、『最初から、実はいらない人』もいるし、必要であっても、『ずっと必要ということでもない』のです。

良い成分も摂り続ければ、逆に体が悪くなります。

病気は栄養素の不足だけで起こっていない

根本的な問題もあります。

例えば、僕はサプリメントや栄養補給の全てが無駄だとは思いません。

僕はトレーニングをしていますが、おそらく生まれつき筋肉がつきにくいのか、トレーニングをしても痩せるだけだったりしましたが、プロテインを飲むようになってから筋肉がつくようになり、痩せすぎだった体重も増えました。

しかし、トレーニングをしていない時もしくは筋肉の修復が必要ない時はプロテインは飲んでいません。

なぜなら、プロテインは筋肉の修復のために飲むものだからトレーニングで筋肉が壊れていないのに飲んでも、余計なアミノ酸はゴミになり、ゴミ処理のために肝臓や腎臓に余計な負担をかけるからです。

つまりサプリメントを飲みたい場合、まず、サプリメントの有効成分である栄養素が、今の自分に果たして必要なのかどうかを考える必要があります。

病気が治った体験談あなた自身の体質とは別物です。

『自分の病気がその栄養素の不足と関係あるのか?』

『そもそも、その病気は栄養素の不足で起こっているのか?』を冷静に考えなければいけません。

毎日の食事で摂れないから必要だといっても、まず食事を見直すのが筋で、サプリは自分の横着を誤魔化しているだけです。

だって、サプリメントとか栄養素なんて言い出したのは、この30年位ですよ。

それまでサプリなんてなくても問題なかったのです。

ある種、こじつけです。

仮に必要だったとしても、ずっと必要なのもおかしいですよね。

そもそも、あなたの病気や不調が、そのサプリの栄養素とは、まず関係がないのです。

栄養不足だけで病気になることなんて、現代はそうないのです。

病気は食べ物だけでなく、いろいろなことが複合的に絡み合ってなっています。

そして、大概が不足している栄養素の問題よりも、余計なものを食べていたり、食べる時間がおかしかったりと栄養素を足し算するよりも、先に余計なものを減らす『引き算の方が重要』だったりします。

食事が偏っているからとサプリを飲んでも、『サプリ自体の栄養素が偏った栄養素』なのです。

仮に栄養素だけで治ったとしても(そんなことはないですが)サプリだけ飲んでバランスよく食事を摂る習慣をつけなければ、結局、サプリメントで偏った食事を続けていることになるので、これでは本末転倒です。

根本的に治るためには、サプリメントを飲むことよりも、今一度、自分の体質と生活を見直すことです。

病気の原因は栄養素ではなく生活の中にある何か

アトピーやPMSなど、いろいろな慢性病は、あなたの元々の体質に今の生活要因が影響して病気になります。

つまり、その都度「病院の薬を飲んで誤魔化したりすればいい!」というのでなく根本的に治りたければ、自分の体質を知って、自分の体質にとっておかしな生活をしないことが重要です。

結局、生活自体が変わらなければ、病気が一度、治ったように見えても、またその病気は再発します。

サプリというものを被せて、足し算して誤魔化しても、結局、生活全体を見直さなければ同じ病気になります。

サプリメントは手軽に栄養素を補給できて便利ですが、ただ便利なだけで、病気を治すわけでもないし、続けることによって体が悪くなることもあります。

そして、何よりも問題なのは、サプリで手軽に便利に体を良くしているつもりの習慣が、『手間をかけて、自分を見つめ直して自分を良くしていく機会やその精神を失っていくこと』です。

サプリメントが好きな人は、病気を軽く見ていたり、簡単に治ると甘くみている人が多いように思います。

結局、こういう人は色々なサプリメントを飲んだり、いろいろな店を渡り歩き、そのくせ、病気はちっとも治らないという事態に陥ります。

サプリメントで栄養補給をする前に、

『栄養不足が病気の原因なのか?』

『サプリメントを飲む前にやるべきことはできているのか?』

を見つめ直すことが根本治療につながりますよ。

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ブログの著者 国際中医師 松村直哉

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