大黄甘草湯、麻子仁丸、潤腸湯で便秘体質を改善するのは難しい
便秘というと「便秘になった時に便秘薬でも飲んでウンチを出せばいいか!」と軽く考えられる方が多いかもしれません。
この考えは間違いです。
病院では便秘の治療は排便するかどうかしか見ていません。
だから治療といえば大腸を刺激して便を出せたり、大腸に水が集まるようにして出させたり…。
「ウンチさえ出ればいいや!」という考え方。
病院は体の各臓器を機械の部品かなにかと同じようにしか考えていないので、便秘には、他にもいろいろな問題が関係していると考えていません。
医者が率先して、こんな軽〜い考えなので、患者さんの方も『 便が出なくなったら、薬を飲んで出せばいい!』みたいに軽く考えている人が多いように感じます。
しかし、漢方では便秘という症状を重い病気と考えます。
実際、大腸ガンに一番近い症状は便秘なんじゃないかと思います。
便秘からわかる病気の本当の原因
漢方が考える『健康な状態』というのは非常にシンプルで、
1 良質な食べ物、水、空気を体内に取り入れる。
2 内臓がそれらをうまくエネルギーに変え、エネルギーを使って活動する。
3 エネルギーに変えた後の生ゴミや排水を捨てる。
◯ 体の害を成すものから守る。
これら3つのことがバランス良く回っていて、後は免疫が体をちゃんと守ってくれていれば健康という状態です。
こう書くと、誰でもできそうで、簡単そうと思うかもしれないですが、実際は、そう、うまくはいきません。
体に良くない食べ物を食べる。
空気も水も汚れているものを取り入れる。
食べる時間もバラバラ。
食事量も自分の活動量から比べて、多すぎたり、少なすぎたり。
食事量や食べる時間がバラバラで、胃でちゃんと消化できない。腸でちゃんと吸収できない。ちゃんとしたエネルギーをつくれない。
そのくせ、仕事だなんだと毎日、活動する量は変わらない。
疲れるに決まっています。
そして、問題はエネルギーを作った後の生ゴミ、つまりウンチです。
家の中でも生活してれば、ゴミが出ます。
週に2回ほどゴミを持っていってくれるから家の中はゴミだらけになりませんが、これ、2週間に1回しか来なくて、なおかつ、ゴミを外に出しちゃダメとなるとどうなります?
途端に家はゴミだらけ、それが全部生ゴミだったら…そんなことがずっと続けば、何か見たことない虫なんかも出てくるかもしれません。
便秘というのは、この家の中の状態が自分の体内で起こっているということです。
人は食べなければ死にますので「食べ物のビタミンやミネラルがどうとか」「体に良いサプリを飲まないと」と気にしますが、同じくらいか、それ以上に『便』つまり体内の生ゴミを忘れずに出しているかが重要なのです。
これをほおっておくと、大腸ガンなどに繋がります。
ウンチを無理やり出すことは本当の解決になってない
なぜ、あなたの体は便を自然に出してくれないのでしょう?
食事や運動など生活習慣が悪いのかもしれません。
ストレスなどかもしれません。
赤ちゃんの時から便秘の子もいるので、遺伝かもしれません。
どちらにしろ、その人、それぞれの原因や理由があるわけです。
でも病院で行う治療は、誰でも一律、便を無理やり出させるだけ。
強制的に出させることができるゆえに『便は出なくなった時に薬を飲んで出せばいい』という考えになっていきます。
しかし、病院の薬は飲んだその都度、無理やり、便を出させるだけ。
出さないよりはマシですが、本来の本当の便秘の原因には1mmも触れていません。
1mmも触れていないから、だんだん、病院の薬を飲む回数も増えてきます。
そこで飲む回数が多いのであれば『漢方薬だったらいいんじゃないか』と考えるわけです。
でも漢方薬だったら、本当に解決するでしょうか?
センナ、大黄甘草湯、麻子仁丸、潤腸湯の実際の効果
漢方薬だったら根本治療になるというのは、ただの幻想です。
漢方の考えでは「便さえ出させればいい」なんて考え方はありません。
体はどこも悪くなく超健康だけど便秘だけがあるなんてこともありえません。
体は全て、つながっているのです。
体のいろいろな不調が『便秘』という結果につながっているのです。
漢方薬の中でもあまり体質を考えずに使える便秘薬もあります。
例えばセンナや大黄甘草湯、麻子仁丸、潤腸湯などです。
センナは便秘薬でポピュラーになっていますが、漢方での本来の使い方は、センナは大寒といって、冷やす力が強く、刺激が強すぎるので、緊急ですぐに下痢をさせてでも排便を促す時のみ使います。
つまり、続けるものではありません。
緊急時や一時的な使用に限ります。
でもそれがなぜ、ポピュラーになっているのかというと、実はよく考えられています。
体質を診断せずに、誰にでも効く漢方薬を使いたければどんな体質の人でも排便できるものが必要です。
となるとセンナのような強烈な生薬になるのです。
企業や病院って、漢方薬の使い方が怖いですね。
体質関係なく、誰にでも同じ商品を売るので『体質によって治るか治らないか』では困ります。
そこで『誰でも強烈に排便できるもの』を商品として選んだわけです。
例えば、大黄甘草湯や大黄牡丹皮湯などの大黄もセンナほどではないですが、冷やす力が強く、刺激系に属する生薬です。
大黄は便秘関連で割合使いますが、大黄も大黄だけではクセがありすぎるので「大黄」単体で使うことはありません。
他の生薬と合わさって、何がしかの体質を治す漢方薬として使います。
他の生薬と混ざれば、大黄の冷やすだけの尖った作用ではなくなるからです。
でも、そうなると大黄が便を出すという単純な問題ではなく、『体質に合わせて、漢方薬を選ぶ必要があります』
麻子仁丸や潤腸湯は主に大腸に油を混ぜて便を流すイメージのものです。
コロコロ便になると乾燥したウンチだから、油や水を混ぜたらいいというような単純な発想で、これらの漢方薬を選ぶ人もいますが、「コロコロ便=乾燥」している。とは限りません、
漢方では自分の見たままで症状を当てはめて考えても無意味。
コロコロ便は、人によって「体内の余分な熱の影響だったり」、「下半身の水の巡りが悪かったり」、「胃腸の水の巡りが悪かったり」、「体力がなかったり」と人それぞれ、いろいろな体質と原因が考えられます。
なので、自分が見たままで乾燥している便だから、麻子仁丸とか潤腸湯とはならないのです。
そもそも、センナとか大黄とかの場合、冷やして便を促しますが、自分の大腸が冷えて便秘になっているかどうかなんて確かめようがないですよね。
何を持って冷えているかなんて素人の人に判別できないのだから。
漢方はどこかの三流漢方サイトにあるような体格とか症状を自分の思い込みで当てはめて、選ぶものじゃないのです。
排便のためだけなら病院の薬で十分
便秘は人それぞれ、いろいろな原因があります。
一つ、わかっていることは慢性的に便秘の人は、薬で便を無理やり出したって、何の解決にもなっていないということ。
コーラックなどのセンナ、大黄甘草湯、麻子仁丸、潤腸湯などは、便秘を出させる専門のような薬です。
となると本当の便秘の原因は治しませんので、よほどラッキーでない限り、これらの漢方薬を頑張って、飲み続けたって便秘体質は変わりません。
たまたま体質が合えば、その時に便が出るだけ。
僕はそれだったら「どうせ体質は変わらないんだから、病院の薬でいいんじゃないかな」と思います。
麻子仁丸と潤腸湯は、結構、難しい処方で合わない人は合わないので、全く便が出ないこともあります。
センナと大黄に関しては単純に量を増やしていけば、便が出ますが、量がすぎると下痢になるので、非常に扱いが難しい生薬です。
特にセンナを飲み続けるのは、僕ら漢方専門の人間からしたら狂気の沙汰ですね。
そもそも大黄甘草湯、麻子仁丸、潤腸湯だけで、根本的に便秘体質が治った人なんて見たことがありません。
これらは、僕からしたら、補助の排便刺激薬程度です。
だったら漢方薬を病院の対症療法薬のように一時的な効果で使うのであれば、病院の薬を使ったほうが合理的だと思うのです。
便秘も体質から治さないといけない
結局、便秘といっても漢方では『便秘を中心とした病的体質』であって、便秘という症状だけをなんとかしたらいいという問題ではないのです。
全身の状態を漢方的に分析診断し、体全体を整え、さらに生活も整えて、やっと便秘体質から変わることができます。
残念ながら、飲めばすぐに排便を促す大黄甘草湯、麻子仁丸、潤腸湯などは、漢方薬の中でも一時的に使う補助レベルの処方です。
便秘薬に頼らずに体質から変わりたければ、三流漢方サイトを見て「便秘の体質タイプ」や「症状」だけをあてはめて、これらの漢方薬を飲んでも、あまり意味がないですね。
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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ ツムラ医療用漢方製剤マニュアル
◯ オースギ医療用漢方製剤マニュアル
◯ 漢方方意辞典:緑書房
◯ 類聚方広義解説:創元社
◯ 勿誤薬室方函:創元社
◯ 漢方診療医典:南山堂
◯ 漢薬の臨床応用:神戸中医学研究会
◯ 中医処方解説:神戸中医学研究会
◯ 平成薬証論:メディカルユーコン
◯ 近代漢方薬ハンドブックⅠ:薬局新聞社刊
◯ 近代漢方薬ハンドブックⅡ:薬局新聞社刊
◯ 近代漢方薬ハンドブックⅢ:薬局新聞社刊