クラシック音楽からわかる漢方の本当の効果
この間、ピアノが趣味の患者さんから、こんなTedトークを紹介してもらいました。
Benjamin Zander: ベンジャミン・ザンダーの「音楽と情熱」TED Talk
内容はボストン・フィルハーモニー管弦楽団の指揮者であるザンダーさんが、クラシックは誰でも当たり前のように好きになる音楽だということをユーモアを交えながら話してくれます。
ピアノの実演、クラシック体験、笑って、笑って、そして泣けます。
最後にはクラシックが好きになると思います。
ちなみに僕は趣味の一つにピアノがありますので、クラシックは大好きです。
詳しい内容は伏せときます。
一人でじっくりを見ることをお薦めします。
せひ、動画を見てから記事を読み進めてもらえたらと思います。
クラシックは現在、死にかけている
トークの冒頭で『クラシックは死にかけているという人もいるし、まだまだこれからだという人もいる』という話しから始まります。
ザンダーさんのお話では、テッドトークの会場の参加者1600人のうち45人くらいがクラシック音楽が好きな人ではないかと言っておられます。
その人数は全体の約3%です。
それくらいクラシック音楽が大好きな人が少ないのです。
でも、ザンダーさんはピアノの実演を通して、クラシックは実は誰の心の中にもあるという話しをしてくれます。
ザンダーさんのこの話しを聞いて、これって『漢方』も同じ状況だ!と思いました。
漢方の自然治療の感覚は誰もが元からもっている
漢方は大昔からある自然治療です。
体を解剖して研究したり、科学的な成分の薬で治したりと西洋医学のような反自然的なことはしません。
漢方の検査や診断は漢方医の人間の能力に関わっていて、使用する薬は化学薬品ではなく、自然に生えてる根っこや葉っぱ、石などです。
現在、科学が進み、コンピューターなどのハイテクや100%科学物質で作られた病院の薬などが普通になっていますが、僕ら人間の体は機械になったわけではなく、相変わらず、昔から生物、動物としての自然の体です。
漢方薬が何千年経っても、廃れないのは、結局、人間は自然の生物であることに変わりがないからだと思います。
サンダーさんは動画の中で『クラシック音楽は、実はみんなの体に息づいている、みんな気づいていないだけ』とおっしゃられています。
漢方もそうです。
うちでは徹底して、東洋医学の理論で体質を分析し、現在のあなたの体質を東洋医学理論のまま、説明します。
本来、漢方の医学理論は西洋医学とは全く違うので、一から、ある程度、基礎を勉強していないと説明を聞いても、ちんぷんかんぷんのはずですが、僕が東洋医学理論で『現在の体質』『現在のあなたの病的状態』を説明すると、みんな『やっとスッキリし、納得いきました』とおっしゃられます。
今まで、医者に「自分の体の状態や病気の原因」を聞くと、モゴモゴと誤魔化されたり、話しをすり替えられたりして、「自分の体がどうなっているのか?」を知ることができませんでしたが、純粋な漢方の体質の説明を聞いて、皆さん、スッキリと納得されるのです。
これは、漢方は大自然に根ざした治療なので、純粋な漢方の医学理論で説明すれば、漢方の基礎的な知識がなくても、「なんとなくわかる」のです。
かっこよくいったら「感じ取れる」のです。
人間は大自然の環境の中で、自分の自然治癒力を使って治すことが本来の治療であるということを体は知っているのです。
漢方を扱っている先生自体が漢方を殺している
クラシック界も好きな人が少なく、死にかけているという部分があるようで大変だと思いますが、漢方業界はもっと大変です。
「最近、漢方って注目されているんじゃないの?」と思われるかもしれないですが、ほぼ『間違った漢方』が当たり前のように広がっています。
クラシックは、漢方に比べれば、まだマシです。
なぜなら、クラシック業界はクラシック音楽のことを何もわかっていない人がオーケストラやピアニストをやっているわけではないからです。
ガチガチのプロがやっています。
一方、漢方は提供するプロ側が、まともな漢方治療を行なっていません。
『東洋医学理論とは何の関係もない西洋医学的なマニュアルだけで保険適応の漢方薬を処方する医者』
『血虚タイプ、瘀血タイプなど体質を診たフリをしてテンプレシートで漢方薬を販売する漢方薬局』
『生薬が入っているからと漢方薬だと偽って漢方風サプリメントを複数合わせて売る相談薬局』
『ハーブを漢方薬だと偽って販売する漢方専門薬剤師や針灸師、エステティシャン』
いわば、ピアニカで童謡しかひけないのにプロのフリして高額なオーケストラコンサートをやっているようなものです。
漢方薬は教科書をおぼえれば、使えるようになるわけではありませんので常にプロであるために自分自身で研究と経験を重ねるしかありません。
漢方薬メーカーが持ってくるマニュアルやタイプ別テンプレシート(血虚タイプ、陰虚タイプなど)を使っている時点で『本来の漢方治療をやる気はありません!』と高らかに宣言しているようなものです。
漢方は自然治療です。
本来の漢方治療の診断である『証判断』や『治療方針の説明』を聞けば、難しくても患者さんは、なんとなく、納得できるのです。
本来の伝統的な漢方治療である「日本漢方」は今、ほとんど、やっている人がいません。
日本漢方は死に絶えようとしています。
世間は9割が意味不明なマニュアルやテンプレが横行しているニセモノ漢方です。
ザンダーさんじゃないですが、僕もこのブログを通して、本来、誰もが「体内にその感覚をもっているはず」の自然治療としての漢方を広めていきたい思います。
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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ 漢方概論:創元社
◯ 漢方方意ノート:創元社
◯ 漢方臨床ノート(論考編):創元社
◯ 金匱要略ハンドブック:医道の日本社
◯ 傷寒論ハンドブック:医道の日本社
◯ 素問:たにぐち書店
◯ 漢方治療の方証吟味:創元社
◯ 中医診断学ノート:東洋学術出版社
◯ 図説東洋医学:学研
◯ 中国医学の秘密:講談社
◯ 陰陽五行説:薬業時報社
◯ まんが漢方入門:医道の日本社