漢方薬相談ブログ

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漢方薬を効かせるための必要な知識【よくわからない漢方の世界を解説】

  1. 実は漢方は学ぶ学校がありません。
  2. 漢方の勉強を更にややこしくする派閥
  3. 西洋医学と東洋医学はどう違うのか?

少し前から、パダワンの鍼灸師の先生に漢方の医学理論を教えています。

今回の記事は、漢方薬を正しく有効的に使うためには、『漢方の医学理論をしっかりわかっていないといけないよ』という記事です。

僕が教えているのは、プロである治療者側に役立つ知識なので一般の患者さんは関係ないように思われるかもしれないですが、実は漢方治療では、患者さんも漢方の医学理論を知っていて損はありません。

むしろ、理解しているほうが、治りもよくなります。

なぜか?

西洋医学は医者から一方通行的に治療を受けます。

患者さんの意思や意見自体はあまり関係ありません。

患者さんは、医者に言われるがまま、検査を受けて、言われるがまま薬を貰って、薬を飲みます。

その薬が効かなかったとしても、医者は、なぜ、効かなかったのか? 治らなかったのか?の説明を明確にしないし、患者さんの方も医者の説明を聞いてもわからないので、あまり質問することもありません。

自分の体のことなので、自分も積極的に治療に参加しようとしても、下手に質問しても、医者の機嫌が悪くなるだけ。

しかし、漢方は違います。

漢方は、人それぞれの体質を判断して、その体質に対して漢方薬を選びます。

体質を判断する時、血液検査をしたり、心電図をとったりするわけではなく、患者さん自身に全身の状態を話してもらいます。

この時、『冷えがあるか? ないか?』というような症状のオンオフで判断しません。

『手も足も冷えるのか?』『年中冷えるのか?』『冷えてもしばらく暖かい部屋にいれば温まるのか?』『寝る時に寝付けないほど足が冷えるのか?』

『冷え』といえど、それこそ、人によって、違いがあるので、僕ら治療者側も単純に『冷えますか?あーそうですか」なんて単細胞なことをやっていてはいけないのです。

そして、患者さんも自分のことは、自分にしかわからないので、ちょっと考えてみて、「そういえば、どんな時にどう冷えるのだろうか?」と考えてみてもらいたいのです。

漢方は受け身ではなく、患者さん自身も積極的に参加する方が、治りが断然、違います。

実は漢方は学ぶ学校がありません。

漢方は教科書的に学べる学校はありません。

あったとしても、普通の勉強みたいに用語とか方法を教科書で覚えても、治療には役に立ちません。

漢方には治療の方法の違いなどで何種類かの方法があるのですが、その中でも学びやすいのが中医学とよばれているものです。

中医学は別名『学校漢方』とよばれていて、治療よりも教科書的に学べることを重視しています。

僕はもともと、中医学を学んで、国際中医師という中医学の漢方のお医者さんの資格を持っていますが、僕は中医学では全然、病気を治せなかったのでやめました。

鍼灸は学校がありますが、鍼灸の先生に聞くと、日本式の勉強で、用語をおぼえて試験で点が良ければそれでOK!という状態で本当に治すための方法は、全くと言っていいほど学ばないそうです。

医大でも漢方の授業は、ないに等しいくらいありません。

だから、漢方の医学理論が実は全くわかっていない医者はマニュアルをみて、それを見ながら漢方薬を処方します。

薬大では漢方のことをほんの少し勉強しますが、漢方薬の化学的成分という、実際の漢方の治療とは関係のないことを学び、やっぱり治し方は学びません。

一般の患者さんは不思議に思うかもしれないですが、漢方って『絶対にこれを勉強しないといけない』なんてものがありません。

オールフリー!!

毎回、自分の得意な楽器で作曲し、それを演奏するようなものです。

作曲するための最低限の基礎的なノウハウや演奏テクニックは自分で勉強できますが、『絶対に感動させる曲の作り方』なんて答えはないし、楽器がうまく弾けるかどうかは、いくら理論を勉強してもヘタクソはいつまで経ってもヘタクソです。

また『絶対に感動させる曲の作り方』を教科書的に学べないのは、人それぞれ感動のポイントが違うからです。

だから、漢方も人それぞれ違う体質を治すのでは教科書的には学べません。

仮に学校ができて、そこで優秀な成績を修めても、『治療とは何の関係もない』のです。

漢方の勉強を更にややこしくする派閥

そもそも、漢方といっても、古方派、日本漢方派、中医学派とう派閥があります。

この派閥って何かというと、治療の考え方や治療方法、使用する漢方薬の種類が変わってきます。

なので、漢方治療をしようと思ったら、一応、どの派閥での考えで治療していかないといけないのか、選択する必要があります。

ちなみに漢方の医学理論をわかってない医者は、自分がどの治療派閥なのかすら、わかってないと思います。

今度、『先生は何の派閥ですか?』と聞いてみてください。「キョトン」とされます。

西洋医学と東洋医学はどう違うのか?

この間の授業の第一限は、『西洋医学と東洋医学はどう違うのか?』

これを明確に一言で説明してもらう授業を行いました。

もはや、西洋医学の一般診療しかせずにマニュアルを見ないと漢方薬を処方できない医者には、答えようもない質問です。

医者だと治すための漢方の勉強を最初から進めることもできません。

答えは、いろいろな見方があり、見方によって答えは変わりますが、大きな違いは、西洋医学は人間の体をロボットのようにみんな全く同じものとみて急性病(菌による感染症など)や怪我を治す治療がメインで、いわば応急処置的で根本治療ではない治療です。

東洋医学は人間の体は人によって違うものとみて腕が上がれば応急処置的な治療もできますが、基本的には慢性病を根本的に治療する治療です。

その際、東洋医学は総合的に治す治療なので、漢方薬という薬だけで治すのではなく、の『その人の体質とその人の生活に合わせた養生方法』も治療の1つとして考えます。

単純な答えかもしれませんが、患者さんにもよく理解してもらいたいです。

なぜなら、西洋医学は応急処置的な治療なので、真面目に何度も通って治すところではないからです。

西洋医学の薬は対症療法といって、化学的に一時的にしか効果がなく、効果がなくなれば、その症状が再発することが証明されています。

逆に言えば、病院の薬を長く続けても、根本的に治る証拠(エビデンス)がありません。

なので、アトピーの人がステロイドを何日か塗り続けたのちに、一度、ステロイドをやめて湿疹が現れたら、その後は、何年ステロイドを塗り続けても根本的に治ることはありません。

治療者側がこのことを理解しておくことはもちろんですが、患者さんも西洋医学の違いと東洋医学の違いをわかっていないと、治りもしない無駄な治療を続けていることがありますよ。

これからも、シリーズで漢方の医学理論の授業風景をご報告したいと思います。

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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ 漢方概論:創元社
◯ 漢方方意ノート:創元社
◯ 漢方臨床ノート(論考編):創元社
◯ 金匱要略ハンドブック:医道の日本社
◯ 傷寒論ハンドブック:医道の日本社
◯ 素問:たにぐち書店
◯ 漢方治療の方証吟味:創元社
◯ 中医診断学ノート:東洋学術出版社
◯ 図説東洋医学:学研
◯ 中国医学の秘密:講談社
◯ 陰陽五行説:薬業時報社
◯ まんが漢方入門:医道の日本社

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

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