癌の原因に対する大きな勘違い
うちは自分自身の経験もあり、なんとなく得意分野としてやっているうちに不妊症、アトピー、ニキビの治療が専門みたいな感じになっています。
漢方は西洋医学の病名とは関係なく、どんな病気の人であろうと『体質の不調』そのものを治すことが目的ですので、何かの病気の専門というのもおかしいのですが、僕が修行時代から研究している専門は、後縦靭帯骨化症、膠原病、そして、癌(がん)の治療です。
ちなみに西洋医学の元外科医の師匠も、今は、がんに効果的な生薬を扱っておられるので、がんに詳しく僕もいろいろと叩きこまれました。
今回は、専門である癌について、一般的にがんの原因に対しての勘違いが多いようなので、僕の見解を書いてみたいと思います。
がんに対する誤解
癌は『特別な人がなる病気』ではありません。
癌は誰でもなる可能性があります。
今の時代、ある種、最終的には、みんな『がんで死ぬ』とも言えるかもしれません。
実は昔は僕自身、『がんは特別な人がなる病気』だと考えていました。
例えば『食生活が悪い』とか『運動をしない』とか『タバコを喫っている』、『発がん性の食事などを多く摂っている』などです。
しかし、最近、自分が歳をとってきて、この見方が変わりました。
きっかけは嫁さんのひどいアトピー。
20年以上前にひどいニキビともアトピーともつかない状態が漢方薬で3ヶ月で治り、それ以来、この前まで何もありませんでした。
それが、突然、首から下がひどいアトピーになりました。
なぜ、嫁さんのアトピーをみて、『癌になる原因の』考え方が変わったかというと、仕事柄、うちは食事に気をつけていて、運動なども習慣的にやっているからです。
もちろん、酒もタバコもしません。
仕事や活動などもごく普通な感じで無理もしていませんでした。
なのに、患者さんでも、ちょっとみないくらいのひどいアトピー。
漢方の専門家からみても生活の中に問題はありません。
かといって、20年前のアトピーが復活したのか?というと、20年前の湿疹は顔のみでニキビっぽい感じでした。
今回は湿疹の質も違うし、湿疹ができる場所も昔は顔のみで今回は顔以外です。
そうしたら『何が原因なのか?』
考えてみたら、恐ろしい事実に思い当たりました。
癌の真の原因を考えるきっかけ
嫁さん曰く、今の症状は、自分の母親とそっくりな症状らしいのです。
ちなみに母親は、長年、人工透析をしていて去年に亡くなりました。
湿疹もひどいですが、足や下半身が異常にむくんで、汁が延々と出たかと思ったら、痂皮がウロコのようになります。
アトピーというよりも、『掌蹠膿疱症と尋常性乾癬』が重なっている感じ。
むくみがひどかったり、ちょっと体調が悪くなるとオシッコが少なくなったり。
腎臓や副腎が原因での湿疹やむくみのような感じなのです。
何が恐ろしいかというと、嫁さんは体に関しては結構、真面目に健康に気を使ってきたのです。
そうしてきたにも関わらず、突然のひどいアトピー。
つまり、これって『遺伝の可能性』が高いのです。
そして、今の状態は『老化』をきっかけに始まったと考えられます。
これで僕の『癌に対する見方』も変わりました。
遺伝があれば、癌になるという単純な答えではなく、『老化で体はいろいろなコントロールが効かなくなる』ということです。
中でも、いろいろな治療をしてきた経験から、アトピーや蕁麻疹、喘息、花粉症など、免疫のコントロールに関わる機能が一番、おかしくなりやすいという考えに至りました。
『免疫』というのは非常に複雑なシステムです。
例えば、何かのスポーツでの体の動きや新たな勉強などで頭を使うことも、歳をとるほど複雑なことができなくなります。
これは体内でも同じです。
老化によって複雑な免疫システムをコントロールするのが、難しくなるのではないかと思うのです。
当たり前ですね。同じ体ですから。
癌の原因は体質と老化
放射線や発がん物質のものや食べ物が、癌になると考えている人が多いですが、何もこれだけが癌の原因になるのではありません。
これらは、上乗せのリスクやトリガーではないかと思います。
本当の大きな原因は、『体質と老化』です。
癌は誰にでもできるものです。
癌細胞ができても、通常は深刻な状態になる前に自分の免疫システムによって排除されます。
しかし、老化とともにこの免疫システムは衰えます。
そうなると、だんだんと癌が見逃されることになります。
また、癌が免疫の攻撃を免れても、癌自体が新生血管を作り出し、そこに栄養などが安定供給されなければ大きくならずにいます。
癌を大きくするのは、癌に新生血管をつくられ、栄養を横取りされるからです。
これも、食事が整っていれば、それなりに癌をやっつけてくれます。
ところが、ここでも『問題』があります。
食べ物は成分さえよければ問題解決なのか?
一般的には食べ物は西洋医学理論が元になった栄養学を元に良い成分かどうかで食べ物の良し悪しを決めるようなことが一般的ですが、そもそも食べ物は成分がどうたら、こうたらではなく、『自分の体質』に合っているのかということも重要です。
また、体内は『その食べ物を何の問題もなく消化吸収し栄養を体のエネルギーや修復に使えているのか?』という問題です。
例え、自分の体質に合った良い食べ物を選んでも、体内の状態(臓器など)が悪ければ、体は良くならないのです。
自分の免疫システムも体内の消化吸収も、自分の体質が『鍵』を握っています。
老化により、体内の不調がいろいろと増え、癌が育ちやすい土壌ができて、そこに放射線や発がん物質のものを取り入れることによって、より癌になりやすくなります。
歳は誰だってとります。
また、遺伝的な体の弱点なども避けようがありません。
いくら、発癌物質を避けても、避けているだけでは『癌になる時はなる』ということです。
体質を整え、生活を整え、癌を予防する
発癌物質を避けるとか、規則正しい健康的な生活をするというのは、当たり前のことで、ある程度の年齢であれば、それが『特別ながん予防』にはならないと思います。
歳をとってくれば、癌になるリスクは嫌が応にも高まっていきます。
癌にならないようにするには、『癌になりそうな要素』を少しでもなくしていくしかありません。
そして35歳をすぎたら、老化が進み始めるので、『歳』とともに体のケアを心がけることが、癌にならないポイントだと思います。
いくら生活で気をつけても変えようのない体質というものはありますので、漢方薬で体質ケアをされるのも良いかと思います。
ただし、病名や症状をあてはめてマニュアル的に選ぶ漢方薬ではなく、体質(証)を調整する目的で漢方薬を選ばないと意味がないですよ。
がんに直接、効果のある漢方薬なんてないのですから。
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◯ 金匱要略ハンドブック:医道の日本社
◯ 傷寒論ハンドブック:医道の日本社
◯ 素問:たにぐち書店
◯ 漢方治療の方証吟味:創元社
◯ 中医診断学ノート:東洋学術出版社
◯ 図説東洋医学:学研
◯ 中国医学の秘密:講談社
◯ 陰陽五行説:薬業時報社
◯ まんが漢方入門:医道の日本社
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