漢方薬相談ブログ

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漢方薬を正しく病気や症状に効かせるには体質理論を理解すること

  1. もはや詐欺に近い漢方の大問題
  2. 漢方薬は東洋医学の理論で使うもの
  3. 間違った漢方薬の選び方
  4. 体質とは症状や病名のことではない
  5. 漢方薬の本来の効果の考え方

僕は、このブログで保険適応の医者の漢方処方の間違いを指摘していますが、本当は批判めいた感じになるので、あまりしたくありません。

しかし、日本において『漢方ほど誤解されている医学はない』と思います。

この誤解が根深いのは、『漢方薬を処方している当の医者自体が漢方を勘違いしていること』が、一般の人の漢方に対する考え方を歪めさせてしまっているのだと思います。

また、漢方薬局も、ハーブやサプリメントと漢方薬を一緒くたにして、『それが漢方治療』なんて、誤解を招くような説明をしていたりします。

これは僕が主張していることではありません。

元外科医の師匠(中国人)と漢方の話をしていると、まともに漢方の話ができます。

また、僕がこのブログで書いている漢方の医学理論は、日本漢方の世界では医者であろうとなかろうと当たり前の理論です。

詳しくはこちらの本を読まれるとよくわかります。【漢方概論:創元社】

とはいえ、素人の人が読むと何が書いてあるかすらわからないような難しい本ですが…

もはや詐欺に近い漢方の大問題

『漢方薬は効果がわかりにくい』『逆に漢方薬が効くとは思わなかった』という、とにかく漢方『なんだかよくわからない』というイメージがあります。

実際に効果もわかりにくかったり、漢方薬で根本的に治った人も、かなり少ないのではないかと思います。

それに拍車をかけるように『漢方薬は時間がかかる』とか『漢方薬は自然の穏やかな薬なので効果がわかりにくい』などのデタラメも漢方をわかりにくく、謎なものにしています。

漢方薬の効果がわかりにくかったり、漢方薬で根本的に治ったことがないのは、実は、医者も含めて、『漢方薬を正しく使っていない』からです。

漢方薬は東洋医学の理論で使うもの

漢方薬から効果を引き出そうと思ったら、東洋医学の医学理論に則って、使わなければいけません。

現実の診察で使われている西洋医学の『病名や症状』をあてはめて漢方薬を選ぶ方法は、東洋医学の理論にはありません。

2千年前に中国で発祥した漢方と2百年前にヨーロッパやアメリカで発展してきた、化学物質の薬を使って治すという近代の西洋医学は、年代も場所も何の共通点も関係もありません。

現在、医者や東洋医学理論がわかっていない先生が行なっている漢方薬を選ぶ方法は、2百年前から発展してきた西洋医学の病名で、2千年前の漢方薬を選んで治療しようとする『おかしな漢方薬の使い方』をしています。

間違った漢方薬の選び方

漢方薬には、その漢方薬が合うとされる体質的な条件の一部に『症状』が書いてあります。

書いてある『症状』は、単純にあなたに当てはまるかどうかをみていくのものではありません。

ここで、大きな間違いが起こっています。

ある病気で使う漢方薬の候補を考えた時に普通は40種類位は考えられますが、それらの漢方薬に書いてある条件の症状は、どれも似たり寄ったりです。

PMSに使う漢方薬には、どの漢方薬にも「月経不順」「月経痛」「手足の冷え」「頭痛」などがあります。

なので、しっかりと漢方を勉強していれば、治すための似たような漢方薬が何種類もあり、その漢方薬に書いてある症状はどれも一緒だったりするので、症状や病名だけ漢方薬を選ぼうと思ったら、「数種類の中のどれでもいいんじゃない」ととてもいい加減なことになってしまいます。

もちろん、本来の漢方薬はそんな、どこの病院でもやっているようなギャンブルみたいな、いい加減な選び方はしません。

体質とは症状や病名のことではない

ある漢方薬に書かれている条件である症状は、その症状があてはまるかどうかを見るのではなく、その症状を元に『東洋医学的な分析の方法』を使って、体質を分析していくヒントにするのです。

例えば、月経不順やPMSなどに当帰芍薬散を使うことがありますが、まず、『月経不順やPMS』という西洋医学の病名は関係ないので、当帰芍薬散は月経不順やPMSを治す薬ではないということです。

漢方薬は病的な『体質』を治します。

その体質は全身の症状をヒントに、『どんな体質』なのかを考えていきます。

ちなみに当帰芍薬散は、【血虚の証】【陰の瘀血の証】【水滞の証】【虚証】
という病的体質を治すことのできる漢方薬です。

『証』とは病的体質のことです。

漢方薬を選ぶ際のポイントとなる症状は、当てはまるかどうかではなく、これらの証として現れている症状なのかをチェックします。

例えば、手足の冷えだけだと、当帰芍薬散に限らず、人参湯や当帰四逆加呉茱萸生姜湯など、他にも何十種類と当てはまります。

ちなみに当帰芍薬散が合う条件となる症状は、僕が使っている本では40種類の症状が書いてあります。

医者が使うツムラの医療用漢方マニュアルでは、11種類の症状が書いてあります。

実は、漢方薬に設定されている症状の数は決まっていません。

なぜなら、目的は症状をあてはめていくことではなく症状をヒントに証を分析していくことだからです。

症状を当てはめて、自分に合った漢方薬を見つけた気になれるのは、1、2種類の漢方薬の中から、少ない症状を無理やり当てはめているからです。

漢方薬の本来の効果の考え方

漢方薬は効果の考え方も西洋医学とは全く違います。

西洋医学の薬は、薬に1つの有効成分があり、その成分が体のどこかのホルモンなどに働きかけます。

例えば、痛み止めなら、痛みを止める物質を働かなくします。

基本は、1つの症状に対して、1つの有効成分が働いて一時的かつ強制的に症状を抑えます。

西洋医学の薬の目的は、『症状を一時的に抑えること』です。

漢方薬には病院の薬のように症状を抑える有効成分というものはありません。

漢方薬は症状自体を無くすことを目的としていません。

症状は、病的体質を分析するためのヒントでしかありません。

症状から病的体質である証を導きだし、その証を調整する漢方薬を選びます。

証と漢方薬が合っていれば、結果的に証に関わる症状が全部、なくなります。

症状ごとに何かの成分が治すのではないのです。

まとめると漢方薬の効果を正しく発揮させるためには、まず病名は、漢方薬とは何の関係もありません。

1 体質を分析します。症状を当てはめるのではなく、症状や全身の状態から病的体質である証を分析、診断します。

2 証に合った漢方薬を選んで飲みます。

3 飲んだ後の結果(目的の症状だけでなく、全身のいろいろな症状の変化)を検討して、証と漢方薬が合っているかどうかを検討します。

4 合っていれば、続けてもらいます。合っていなければ、1からやり直します。

症状だけに効くかどうかで漢方薬を飲んでいたら、いつまで経っても治りません。

この時の合っているかどうかを調べるポイントは症状がなくなったかどうかではなく、『全体的に治っている方向へ進んでいるか』を判断します。

漢方薬と病名は何の関係もないし、特定の病気や症状を治す成分や効果があるわけではありません。

自分自身で病気や症状の状態を正しく調整できるように手助けするのが漢方薬の目的です。

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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ 漢方概論:創元社
◯ 漢方方意ノート:創元社
◯ 漢方臨床ノート(論考編):創元社
◯ 金匱要略ハンドブック:医道の日本社
◯ 傷寒論ハンドブック:医道の日本社
◯ 素問:たにぐち書店
◯ 漢方治療の方証吟味:創元社
◯ 中医診断学ノート:東洋学術出版社
◯ 図説東洋医学:学研
◯ 中国医学の秘密:講談社
◯ 陰陽五行説:薬業時報社
◯ まんが漢方入門:医道の日本社

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

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