漢方薬相談ブログ

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ニキビ(尋常性痤瘡)を漢方薬で治す方法

病院でのニキビの治療の要点をまとめると...

1 アクネ菌などの細菌炎症を抗菌剤で除菌、殺菌する。(ダラシンなど)

2 アクネ菌などの細菌炎症が起こらないように角質を減らす。(ディフェリンゲルなど)

3 免疫を抑制し炎症反応を抑える。(プロトピック、ステロイド)

と、この3つになります。

12に関しては、主に思春期のホルモンバランスなどで起こる問題で、20歳以上をすぎた大人はホルモンも思春期の頃とは違い、またスキンケアなどにも気を使っていることも多いので、『細菌炎症でニキビになっている』と考えるのは、最も確率が低いように思います。

というか、これらの原因は、ほぼないと思いますが、なぜか病院では、『一番可能性の低そうな原因がメインの治療方法』になっているという、空気が読めてない状態です。

3は説明するまでもなく、炎症を免疫抑制剤であるプロトピックやステロイド剤で抑えるので、赤みやニキビは、使えば一時的に治ったかのようになるかもしれませんが、薬の効果の時間が切れれば、ニキビは元どおりのひどい状態に戻ります。後は、延々とこれの繰り返し。

病名漢方のニキビ治療

病名漢方とは、ニキビという病名に対して、漢方薬をマニュアル的に選んで合わせます。

詳しくはこちらをお読みください。「病院の漢方薬は効かないのか!?(病名漢方とは)」

保険適応の医者や、ネットなどにある漢方薬について書いてあることや、ドラッグで販売している漢方薬の説明も同じです。

『ニキビ→○○の漢方薬』素人でもマニュアル的に選ぶ、意味不明な治らない選び方です。

漢方薬は本来、全身の体質を分析して、選びますので、ニキビという体の中の1つの状態だけで決めません。

だってニキビができているってことだけだと、ニキビのできている人は、男性も女性も、若い人も、そこそこの大人の人もみんな同じ体質ということになりますが、そんなわけないですよね。

だったら、人それぞれの体質って、たった1つの病名ってことになります。

当然、そんなわけありません。逆です。

人それぞれの体質が合って、その中の1つにニキビという状態があるだけです。

ニキビ以外の体の状態は、誰一人、一緒の人はいません。

それが人それぞれの体質です。

病名漢方ではマニュアルをみて、漢方薬を選びますので、医者が使っている実際のマニュアルからみてみましょう。

体質を考えない病名マニュアルで選ぶ代表的な漢方薬:
桂枝茯苓丸加ヨク苡仁、清上防風湯、荊芥連翹湯

どの漢方薬にも細菌炎症を抑えたり、ステロイドのような免疫抑制の効果はありません。

これらの漢方薬の本来の合わせるべき体質と効果に関して詳しくはこちら「ニキビ(尋常性痤瘡)によく使うマニュアル漢方薬」をお読みください。

本来のニキビの漢方治療の方法

『アクネ菌を殺菌したり、免疫を抑制する漢方薬はありません』

漢方の場合、ニキビという症状は体内の臓器が良くなかったり、臓器と臓器や臓器と血の巡りなどの連携やバランスがうまくいってないから出てきた症状と考えますので、ニキビ自体をどうにかしようとはしません。

言わば、西洋医学と逆ですね。

西洋医学では体の中で『ニキビ以外』のことは何も考えませんが、漢方では『ニキビ』以外の全身の症状を考えて漢方薬を選ばなくてはいけません。

漢方ではニキビ自体をどうにかしようとはしませんので、男性と女性でニキビの原因が変わってきます。

また、『どれくらいの期間、ニキビの状態が続いているか』でも選ぶ漢方薬が変わってきます。

基本的に病気の期間が長いほど、体の奥深くまで調子がおかしくなり、複数の病的な体質である『証』が現れます。

男性のニキビの漢方治療

男性の場合でニキビが、始まってすぐの場合は、単純に『上焦の熱証』という体質だったりすることが多いです。

逆にニキビの期間が長くなってくると燥証といって、皮膚の乾燥や赤みが強い状態の体質に変わってきます。

難儀なのは、脾胃の虚証とか、脾胃の水毒の証といって、痩せ型、少食で胃腸の調子が悪く、軟便の体質の人のニキビは結構、治療が難儀です。

また、この状態に気滞の証といって、気の巡りが滞る体質が含まれてくると、より治療が難儀になります。

女性のニキビの漢方治療

女性の場合は、月経リズムと関連していることが多いです。

排卵期にニキビが増えたり、ひどくなったり。

月経前にニキビがひどくなったりするのは、月経に関わるホルモンとニキビが関係していたりします。

この時に医者などは、よく勘違いしますが、月経に関わるホルモンというのは、ホルモンが少ないから、ホルモンバランスが、おかしくなるわけではありません。

字のごとく、複数、絡み合っている、いろいろな種類の女性ホルモン同士のバランスがおかしくなるのです。

ホルモン量が減っているわけではないですが、病院のホルモン療法は、『ホルモンを増やすだけ』みたいなものが多いのですが、治療としては本来は、ホルモンのバランスを整えることなので、ホルモン剤などで治そうと思ったら、かえってヒドくなることもあります。

月経リズムの影響の次に多いタイプは、便秘タイプです。

便秘でも水の巡りが悪いタイプと大腸に余分な熱を持つタイプがありますが、ニキビの場合は、裏熱の証といって大腸に余分な熱を持ち、それが、体上部に上がってニキビとなります。

女性でも消化器系が弱い脾虚の証や脾胃の水毒の証のタイプもいらっしゃいます。

女性の場合も、必ずしも、月経と関わっているわけではなく、上焦の熱証のタイプもいれば、脾胃の虚証などが絡み合っているタイプもあり、ストレスなどの気の問題の証が胃腸に影響していることも多いです。

ニキビの漢方治療

男女ともに赤くて大きなニキビになるタイプや、ジュクジュクと水っぽいニキビになるタイプもいらっしゃいます。

熱の影響のニキビなのか? 水の影響のニキビなのか? これらは、治療方法が全く正反対になるので、選び間違えたら、よりヒドくなることもあります。

ただ、そのニキビが熱か水なのか、ごく基本的な診断なので、医者のように『ニキビに○○の漢方薬』みたいなマニュアルで選んでいない限りは、選び間違うことはありません。

ニキビで気をつけなければいけないのは、強さです。

肌色に近い小さなニキビから、お腹などにできるような、最早、ニキビというよりもアトピーやアレルギー性湿疹に近い場合もあります。

肌色に近い小さなニキビの場合は、月経リズムがどうとか、女性ホルモンがどうとかと大げさに考えると、余計にちょうど良い漢方薬を選べなくなります。

漢方治療は、症状を当てはめるわけではありません。

証という病的体質を分析するのは、その証を治療できる漢方薬を選ぶためです。

例えば、上焦の熱証だと判断すれば、上焦の清熱という体上部の熱を鎮める効果の漢方薬を選びます。

『症状をあてはめる』のではなく、『症状から証を分析して、証を治せる効果の漢方薬を合わせる』のですね。

『症状がなんとなくあてはまった漢方薬を飲み続ければ、いつか良くなる』なんて、漢方薬は、そんな曖昧な魔法の薬ではありません。

ニキビの方は、アトピーの方と食生活が似ています。

甘いもの、特にチョコレート、そしてパンが好きな人も多いです。

男性の場合は、ジュースを良く飲む人が多いです。

西洋医学では、『チョコレートはニキビと関係ない』と言っていますが、あれは『成分』だけで語るからです。

漢方では食べものには食性というものがあり、チョコレートは肝陽亢盛といって、肝臓に余分な熱を持たせ、体上部の気を滞らせます。

熱タイプのニキビの場合は、チョコレートでひどくなります。

このように食べ物も食性を含めて考えると、ニキビの原因になっていることが多いです。

本来は漢方薬と食べ物の両方で治療していきます。

【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ツムラ医療用漢方製剤マニュアル
◯オースギ医療用漢方製剤マニュアル
◯漢方方意辞典:緑書房
◯漢方診療医典:南山堂
◯漢薬の臨床応用:神戸中医学研究会
◯中医処方解説:神戸中医学研究会
◯平成薬証論:メディカルユーコン

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

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