漢方薬の副作用が病院の薬より怖い理由
自分自身で薬を選ぶ場合、病院の薬よりも漢方薬を選ぶ方が簡単で安全だと思っている人がいます。
どっちの薬のことも知っている僕からすると、漢方薬に比べると病院の薬を自分で選ぶ方がよっぽど簡単で安全だと思います。
(ただし製薬会社が出している添付文書が理解できればの話ですが)
その理由は病院の薬は選び方も副作用も全部、ちゃんとした本やデータが豊富に揃っているからです。
僕は、こんな感覚なので『なぜ、漢方薬だったら、素人の人でも自分自身で選べると思うのか?』その感覚がよくわからないので、患者さんに聞いてみました。
そうすると「漢方薬は自然のもので体に優しそうなイメージだからじゃないですか」と教えていただきました。
そうか、そういうことだったのか…単なるイメージ。
でもこれ、完全に間違いなのです。
漢方薬の副作用は結構、怖い
漢方薬は何種類かの生薬でつくられていますが、生薬の中には猛毒のトリカブトなどもあります。
しかも、この生薬、レアな生薬でもなんでもなく、医者なんか、結構、このトリカブトが含まれる漢方薬を体質も分析しないでポン!ポン!処方しています。
無知ってある意味、無敵です。
例えば、半夏厚朴湯とか、半夏瀉心湯などに含まれる、半夏という生薬があるのですが、半夏だけを食べたら、しばらくすると喉が首を絞められたみたいな状態になります。
修行時代に、何も聞かされずに食べさせられてパニックになりました。
でも、次に生姜を食べると、この首絞め効果がスーッとなくなっていきます。
漢方ってスゲーッ!って、さっき、首を締めらているのも忘れて感動しました。
何が感動したって、生姜で首締め効果がなくなったことだけでなく、そもそもの首締め効果の半夏も『治療薬』だということです。
ちなみに半夏の持っている強い効果を生姜が弱めてくれて、ほどよく調整してくれるのですが、こういった生姜や甘草の役割を使薬といいます。
漢方薬は陰陽の法則で考えるので、『誰にとっても、どんな体質の人にとっても良い効果』なんてものは存在しません。
誰かの体質に強烈に効果があるということは、その反対の体質の誰かには毒になります。
『すごく冷えている人に強い熱を加えて治してくれる漢方薬は、余分な熱をもっていたり、炎症で熱感や赤みのある人にとっては、より状態を悪くする毒』となります。
これが漢方薬の副作用ですね。
つまり、漢方薬は体質と合っていないと漢方薬全種類に効果も副作用もあるということです。
漢方薬の危ない2つの副作用
漢方薬の副作用が怖いところは、2つあります。
1つは、それが副作用なのかどうかが、素人の方(医者含む)にはわからないこと。
漢方薬は、例えばアトピーの人の湿疹のかゆみを止める効果や成分を持っているわけではありません。
漢方薬は症状自体をを抑えることが治療の目的ではなく、『体内のバランスを調整すること』が治療の目的です。
『調整』とは症状を抑えることではないので、時には治っていく過程で、アトピーの湿疹が悪くなったように見えたり、頭痛が強くなったりすることもあります。
漢方薬は、人それぞれの体質に合わせますが『治り方』も人それぞれなのです。
つまり、漢方薬を飲んで悪い症状が出てきた場合、「悪い症状が増えた、または症状が強くなったから漢方薬が合ってない」とは判断しません。
うちの患者さんならおなじみで、その症状が耐えられるレベルなら、しばらく様子をみて慎重に『治っているのか?』『副作用で体を悪くしているだけなのか?』を検討します。
この時に、あることをちゃんとしていれば、副作用を怖がることはありません。
それは、漢方薬を飲む前に『東洋医学的な体質を分析したかどうか?』です。
体質を分析し、選んだ漢方薬の効果を考えてから飲んでもらっていれば、副作用かどうかを見破ることができるのです。
『漢方薬を飲む前の全身の状態』がわかっていないと、漢方薬の副作用的症状は、体のどこに出てくるのかわからないので、医者のように全身の問診をとらないで病名マニュアルだけで処方していると、その不快な症状が『治るために通過しないといけない必要な症状』なのか『ただ単に体質に合っていないから、すぐに今の漢方薬をやめたほうがいいのか』皆目、判断がつかないのです。
病名マニュアルを見ただけで処方したり、2、3の症状の問診だけで漢方薬を処方していると、不快な症状が出た場合、自動的に「合ってない」と考えるしか選択肢がなく、とりあえずその漢方薬は飲むのをやめますよね。
でも、もし、それが根本的に治してくれる漢方薬の治療の途中だった場合、治してくれるはずだった漢方薬を2度と飲むことなく、その後は延々と治らない漢方薬を飲み続けることになりかねません。
不快な症状を体験した上に、治るチャンスを逃すという二重苦ですね。
自分の体質と合ってない漢方薬がつくる新たな病気
漢方薬の副作用が怖いところの2つ目は、『体質診断ができていないと患者さんも医者も漢方薬の副作用だと思わずに続けてしまう』ことです。
漢方薬の副作用は、激烈な場合もありますが、毎回、わかりやすい副作用とは限りません。
微妙なものもあります。
漢方薬は、飲み続けて、徐々に良い方向へと体質を調整していきますが、逆に体質と合っていない漢方薬は、じわじわと病気の体をつくっていきます。
これを漢方では『壊病』といいます。
病が更に壊れて、ねじれて、ややこしくなった状態です。
実は、壊病は、元の普通の病気(というのも、おかしな表現ですが)を治すよりもやっかいです。
何せ元の病気が漢方薬で、ある種、人為的に歪められるわけですから。
ちなみに体質の分析を誤って、体質と合っていない漢方薬を選ぶことを『誤治』と言います。
誤治壊病は、まじめに漢方を勉強している人なら、最も恐れるものであり、漢方治療を始める前から、当然、起こりうるものとして、どう対策していくかを常に考えておかないといけないものです。
誤治という『体質や選ぶ漢方薬を見誤る』という考え方がある時点で、医者がやっているような『病名や2、3の症状を当てはめてマニュアル的に漢方薬を選ぶこと』がいかにありえない、ムチャクチャなことなのかということがよくわかります。
漢方薬は自然のもので体に優しそうというイメージは、本当にただのイメージで実際は、漢方薬の副作用は結構、怖いのです。
真剣に漢方治療するなら、ちゃんと体質を判断して、東洋医学的な効果を考え、飲み始めても、症状をチェックして、それが『治っているのか? 副作用なのか?』を考えたほうがいいと思います。
病院やニセモノ漢方薬局では副作用を訴えても、無知ゆえに「たまたま」とか、「ストレスのせい」などにされますが、漢方薬には誤治壊病が存在しますので、とことん漢方薬の副作用でないのかどうかを先生に確認したほうがいいですよ。
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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ 図説東洋医学(基礎編):学研
◯ 図説東洋医学(湯液編Ⅰ):学研
◯ 図説東洋医学(湯液編Ⅱ):学研
◯ 漢方概論:創元社
◯ 漢方臨床ノート(論考編):創元社
◯ やさしい中医学入門:東洋学術出版社
◯ 中医診断学ノート:東洋学術出版社
◯ 中医処方解説:神戸中医学研究会
◯ まんが漢方入門:医道の日本社