漢方薬相談ブログ

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卵巣嚢腫、チョコレート嚢胞を漢方薬で治す方法

病院での卵巣嚢腫・チョコレート嚢胞の治療の要点をまとめると...

1 エコー(超音波検査)で卵巣嚢腫の大きさを観察しつつ様子をみる。

2 ピルのルナベルや黄体ホルモンのディナゲストで排卵を抑え、子宮内膜増殖を抑える。

3 卵巣嚢腫がある程度、大きくなってしまったら、手術で取り除く。

と、この3つになります。

現実の病院の治療では『経過観察のあと手術する』ということが、よくある実際の治療です。

卵巣嚢腫・チョコレート嚢胞の影響で月経不順になったり、不正出血が起こったり、最悪、卵巣癌に発展する場合もありますので、大きくなりすぎた嚢腫は、手術で取り除いたほうが良い場合もあります。

ただ、忘れてはいけないのは、嚢腫というのは、血や水、繊維腫が、徐々に溜まった結果、できたものなので、手術で取り除いたとしても、血や水、繊維腫が『たまりやすい体質』は、変わることがありません。

『嚢腫ができやすい体質』が変わるか、左右両方の卵巣を取らない限りは、『また、嚢腫ができる状態』に変わりません。

また、左右両方の卵巣を取ったとしても、子宮周辺の血や水の巡りが悪ければ、今度は子宮内膜症になる可能性もあります。

卵巣嚢腫・チョコレート嚢胞の手術は、あくまで、でき上ったものを取り除く、事後の治療だということです。

ホルモン剤がうまく効けば、現状維持をできることもありますが、ホルモン剤の効果は排卵を抑え、子宮内膜増殖を抑えることなので、『まともな月経周期でない状態にする』ということになるので、それは、それで、違う問題もでてくるかもしれません。

『できてしまった嚢腫を取ること』『嚢腫をできなくすること』治療の種類が違います。

漢方では手術はできませんので、できてしまったものを小さくするか、現状維持を保つかが、治療となります。

病名漢方の卵巣嚢腫・チョコレート嚢胞の治療

病名漢方とは、患者さんの体質をみないで卵巣嚢腫・チョコレート嚢胞という病名に対して、漢方薬をマニュアル的に選んで合わせます。

病院が処方している漢方薬は大体、この方法です。

詳しくはこちらをお読みください。「病院の漢方薬は効かないのか!?(病名漢方とは)」

漢方薬は本来、全身の体質を分析して、選びますので、卵巣嚢腫・チョコレート嚢胞という体の中の1つの状態だけをみて選びません。

ちなみに、医者が使用している漢方マニュアルに卵巣嚢腫・チョコレート嚢胞に対応した漢方薬は書いてありません。

西洋医学では、卵巣嚢腫も子宮内膜症も同じようなカテゴリーで考えられていますので、マニュアル的には子宮内膜症を参考にするのではないかと思います。

病名漢方ではマニュアルをみて、漢方薬を選びますので、医者が使っている実際のマニュアルからみてみましょう。

病名マニュアルで選ぶ代表的な漢方薬:
桂枝茯苓丸

血熱といって、血が余分な熱をもって、その影響で血の巡りが悪くなっている体質タイプに人に使います。

卵巣嚢腫・チョコレート嚢胞の方は水の巡りも同じように悪い方が多いので、水の巡りの悪さがあったり、ホルモン分泌に関わる神経系の問題があったりした場合は、こちらの漢方薬は合いません。

これらの漢方薬の本来の合わせるべき体質と効果に関して詳しくはこちら卵巣嚢腫・チョコレート嚢胞で使う漢方薬をお読みください。

本来の卵巣嚢腫・チョコレート嚢胞の漢方治療の大きな目的

漢方薬にホルモン剤のような効果があるわけではないので、漢方ではホルモンをコントロールすることが治療の目的ではありません。

漢方の治療の目的は、子宮などの下半身の血の巡りや水の巡りの悪さを整えて、血や水が卵巣にたまらないようにするのが目的です。

嚢腫の中身が繊維腫の場合も、血や水が滞らないようにし、イボ、コブなどを潰すようなイメージの治療を行います。

ただし、すでにできてしまった繊維腫は、潰せない場合もありますので、漢方薬の治療で順調にいっても、嚢腫の大きさは現状維持の場合もあります。

基本的に嚢腫になっていた期間が長いほど、『嚢腫を作ろうとする体質の傾向』が強いので、小さくしていくか、これ以上、たまらないようにしていくには時間がかかります。

卵巣嚢腫・チョコレート嚢胞の実際の漢方治療

漢方では、子宮や月経、ホルモン関係の病気を血の道症とよびます。

生理は、血の巡りが中心になっていますので、よく月経、ホルモン関係のトラブルがある体質は、瘀血証という血の巡りの悪い体質が多いと言われますが、実際はそんなことはありません。

月経には血の巡り以外にも、水の巡り、ホルモンなどをコントロールする神経系、血の不足やその血をつくる消化器系、巡りを促す、冷えとの関係など、結局、全身のいろいろな要素が関わっています。

ですので、血の道症であっても、いろいろなタイプの漢方薬を使うことが考えられます。

でも、卵巣嚢腫の場合は、血の巡りだけでなく、水の巡りの悪さも血の巡りの悪さと同じ位のレベルで考える必要があります。

チョコレート嚢胞の場合は、主に血の巡りを考えます。

卵巣嚢腫・チョコレート嚢胞では、昔の生理周期が、どんな感じで、その生理周期が、今現在、どんな風に変わってきたかを知る必要があります。

治療目標としては、一定の生理周期と生理周辺症状の改善です。

もちろん、嚢腫の大きさが大きくなったり、増えたりしないように定期的に病院で検査してもらうことも重要です。

生理が一定で来るということは、ホルモンや血や水の巡りも安定していると考えられますので、一定の生理周期と生理周辺症状の改善を目指します。

加えて、水の巡りが悪い傾向が強いことが多いので、普段のオシッコの回数や夜中のオシッコ、汗の出方、便が水の巡りの悪さの影響を受けて、便秘や軟便になっていないか、めまいや耳鳴り、むくみなどをみます。

中には無月経の状態で、嚢腫もあるという方もいらっしゃいます。

こういった体質の方の場合は、月経周期を取り戻し、一定の月経周期を作ってから、水の巡りの悪さの傾向を見ながら治療します。

ポイントは瘀血という血の巡りの悪さだけでなく、水の巡りの悪さのサイン(めまい、むくみ、オシッコ)も並行して分析していくことです。

血の巡りも水の巡りも根本的な体力や冷えなどの影響を受けることも多いので、これらも巡りがうまく調整できるかどうかを合わせてみていくことも重要です。

『卵巣嚢腫・チョコレート嚢胞の場合、血の巡りさえ、よくすればいい』というものではないので、桂枝茯苓丸のように、血の巡りを整える漢方薬をマニュアル的に選んでも、なかなか良くならないのではないかと思います。

また、血も水も巡らせていくというバランスの漢方薬を選ぶのは、結構、難しいです。

卵巣嚢腫・チョコレート嚢胞の生活で気をつける点

漢方では薬だけの効果で治療しようとは考えません。

なぜなら、漢方の場合は、体を良い方向に調整することが、目的なので、当然、普段の生活も良い方向になるようにしていくことも治療になります。

なるべく『卵巣嚢腫・チョコレート嚢胞にならない法則に則った生活』をするわけです。

血の巡りの悪さは肝臓系から、水の巡りの悪さは腎臓系が影響していることが多いです。

血の巡りの悪い部分に関しては、肝の臓が関連していますので、焦り感はイライラ感は、よけいに血の巡りを悪くします。

焦らなくてもよい、のんびりした時間を作るか、イライラが発生しそうな時にワンクッション、「なぜイライラするのか?」と考えるクセをつけるようにしたほうが良いです。

ピーマンやセロリは、血の余分な熱を取ってくれますので、食事に取り入れるようにしたほうがいいでしょう。

漢方では、下半身の部分を下焦と呼びます。

下焦には子宮だけでなく大腸なども含まれるので、卵巣嚢腫・チョコレート嚢胞の方で便秘や便秘や軟便が一定しないという方が多いです。

こういった方は、食事の際にはそれなりに水分をとって、逆にそれ以外では、欲しくないのに惰性で水分を取るということはしないほうがいいです。

水の摂取のベストな量は、汗やオシッコで出ていく分とそれを補う分のバランスですので、一概に、これくらいがいいというのは難しいです。

うちでは、生活習慣や普段の汗のかき方をお聞きして、その人に合わせてアドバイスしています。

→ご相談ご希望の方はこちらの 『漢方無料相談』 に現在の体の状態を入力し送信してください。

→「お問い合わせ」はこちら まで。

【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ツムラ医療用漢方製剤マニュアル
◯オースギ医療用漢方製剤マニュアル
◯漢方方意辞典:緑書房
◯漢方診療医典:南山堂
◯漢薬の臨床応用:神戸中医学研究会
◯中医処方解説:神戸中医学研究会
◯平成薬証論:メディカルユーコン

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

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