漢方薬相談ブログ

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卵巣嚢腫・チョコレート嚢胞で使う漢方薬

漢方薬は病名や症状を当てはめてマニュアル的に選びませんので、卵巣嚢腫やチョコレート嚢胞を直接、小さくする効果のある漢方薬というものはありません。

漢方薬は全身の状態をみて『証』という病的体質を分析して、その証を治せる漢方薬を選びますので、正式には卵巣嚢腫、チョコレート嚢胞という西洋医学の病名で漢方薬を選ぶことはありませんが、かといって、体質分析のみで漢方薬を選ぶとなると、何百種類の漢方薬全部が候補として考えられるので、さすがにそこから1つを選び出すのは不可能です。

そこで、卵巣嚢腫、チョコレート嚢胞という病名によく使われてきた漢方薬をある程度、治せる漢方薬の候補としてリスト化して、その中の漢方薬と患者さんの体質が合うものを選びます。

一般の人や医者は、『卵巣嚢腫、チョコレート嚢胞という病名と、いくつかの症状が当てはまる漢方薬を選べばよい』と思っている感じがありますが、そんな方法は『本来の漢方では存在しません。』

卵巣嚢腫、チョコレート嚢胞に使う漢方薬

卵巣嚢腫、チョコレート嚢胞を治す際の漢方薬の候補として、僕は主に次のものをリストアップします。

【卵巣嚢腫、チョコレート嚢胞でよく使用される日本漢方の漢方薬】
桃核承気湯、通導散、大黄牡丹皮湯、抵当丸、桂枝茯苓丸、折衝飲、温経湯、当帰芍薬散、逍遙散、加味逍遥散、小柴胡湯、柴胡桂枝湯、加味帰脾湯、十全大補湯、六君子湯、人参湯、柴胡桂枝乾姜湯、大柴胡湯、四物湯、柴胡加竜骨牡蛎湯

考えられる候補は20種類位です。

これらの漢方薬の中で『症状があてはまりそうなもの』を選ぶわけではありません。

20種類の漢方薬はある程度、おおまかに体質にタイプ別にグループ化されていて、便秘からの熱が悪い影響になっている体質タイプに使うもの、血の巡りが悪い体質タイプに使うもの、水の巡りが悪い体質タイプに使うもの、気の巡りが悪い体質タイプに使うものなど(実際ばもっと複雑ですが)に分かれています。

どれにも共通しているには、卵巣嚢腫、チョコレート嚢胞を直接、小さくする効果はありません。

血や水の巡りを調整して嚢腫に血や水がたまらないようしたり、ホルモン分泌が悪い状態を調整し、そこから子宮や卵巣の血や水の巡りを調整したりします。

これらの漢方薬をリストアップ後、ここから体質を詳しく分析して、上記の候補処方の中から、体質的に合うものを選びます。

卵巣嚢腫・チョコレート嚢胞は、月経リズムと関係していますので、この候補から、さらに月経リズムを整えるために、よく使われる漢方薬が何種類か、候補として追加されます。

医者の卵巣嚢腫、チョコレート嚢胞の漢方薬マニュアル

医者が使っている漢方薬マニュアルを見てみると卵巣嚢腫、チョコレート嚢胞に使うマニュアル漢方薬はありませんでした。

あえてあげるなら、子宮筋腫に使う漢方薬である桂枝茯苓丸です。

【医者が使っているマニュアルにある子宮筋腫で使う漢方薬】
桂枝茯苓丸

卵巣嚢腫、チョコレート嚢胞の場合、医者は、最初から『検査で嚢腫が大きくなるまで様子をみて、手術をする』と、考えていることが多いので、漢方薬で治す気などサラサラなさそうなので、それでマニュアルにも書いていないのかもしれません。

桂枝茯苓丸は、陽の瘀血といって、血が余分な熱をもって巡りが滞るものを巡らせる漢方薬で、例えば、当帰芍薬散とは正反対の役割の処方だったりしますので、当帰芍薬散が合う体質の人はよりひどくなる可能性もあります。

漢方薬の副作用である誤治壊病なんて、最初から体質を分析しない医者には、何の関係もないのかもしれないですが。

漢方薬の副作用については詳しくは漢方薬の副作用が病院の薬より怖い理由をお読みください。

候補になる漢方薬の種類はたくさんあるほど治る確率があがる

大体、ある病気の方の体質の種類は30種類〜40種類のタイプがあります。

「ある体質」を治すものが「ある漢方薬」なので、『体質のタイプ=漢方薬の種類』となります。

この候補となる漢方薬の種類の数は決まっていません。そんなマニュアルは本来の漢方にはありません。

極端に言えば『より、その人の体質に合わせたければ、常に数百種類の漢方薬から選ぶこと』がベストです。

なぜなら、漢方薬に、卵巣嚢腫、チョコレート嚢胞を直接、小さくする効果なんてないからです。

あなた独自の水の巡りや血の巡り、ホルモンバランスが悪い状態が、嚢腫という形となって現れているので、「ある人は、水の巡りを調整しないといけない」し、「ある人は、血の巡りの調整」が必要です。

そして、その体質は、検査などでわかるものではなく、漢方医が全身の状態をお聞きして、推測していくしかないのです。

それが体質と合っているかどうかは、飲んだ後の結果でわかります。(漢方治療世界一の腕をもっていても、この条件は同じ)

ですので、『あなたの卵巣嚢腫、チョコレート嚢胞を治す可能性があると考えられる漢方薬の候補』は数が多いほど、治る確率も高くなります。

逆に医者のように1種類しかなければ、それで良くならなければ、それで漢方治療は終了ですね。

体質と合っていない漢方薬を何年飲んでも治りません。

症状だけを当てはめて漢方薬を選ぶのは不可能

「漢方薬の効能効果の欄に書いてある症状」を治してくれると勘違いしてい一般の人や医者が多いですが、本来の漢方治療からいくと、あんなのはデタラメです。

「漢方薬の効能効果の欄に書いてある症状」を治すことができるなら、先ほどの僕がリストアップした20種類の漢方薬は全てあてはまります。

では、20種類の漢方薬からは、どれを選んでもいいのでしょうか?

そんなわけないですね。20種類の漢方薬は、体質に合わせて、それぞれ効果が違います。

漢方薬の効能効果について詳しくは漢方薬の「効能効果」の説明を参考にしても意味がない!?をお読みください。

適当に漢方薬を選ぶと副作用が待っている

当たり前ですが、漢方薬を『卵巣嚢腫、チョコレート嚢胞である。だから桂枝茯苓丸』という、たった1つの病名だけで選んだ場合、治るか治らないかは『ただの運まかせ』です。

なぜなら、卵巣嚢腫、チョコレート嚢胞であるということだけだと、あなた独自の体質のことではないからです。

ちなみに、これに月経不順や冷えなどの症状を当てはめたところで、卵巣嚢腫、チョコレート嚢胞の人は、ほぼ全員、その症状をもっているので、これもあなた独自の体質とは言えないし、ちゃんと漢方薬を選んだことにはなりません。

要は『卵巣嚢腫、チョコレート嚢胞である。月経不順がある。冷えがある。』程度の問診だけで漢方薬を選んだ場合は、適当に漢方薬を選んだことと同じです。

となると、まず漢方薬と体質が合っていない可能性がはるかに高いです。

「漢方薬は自然のお薬なので、安心」と誤解している一般の人、医者が多いですが、漢方薬は体質と合っていないと副作用となり、今の病気がよりややこしく捻れることがあります。

病院の薬は、体質関係なく、効果はみんな同じです。

しかし、漢方薬は、こういったことがあるので、こうなると、体質をしっかり分析して漢方薬を選ぶつもりがないのであれば、飲まなかった方がマシということもあるのが漢方薬です。

卵巣嚢腫、チョコレート嚢胞の漢方薬をマニュアル的に選んで治療を運まかせにするのであれば、ホルモン剤を飲みながら、手術を待ったほうがマシからもしれません。

ただし、手術は、すでにできてしまった嚢腫を取り除くだけなので、卵巣嚢腫、チョコレート嚢胞ができやすい体質が良くなることはないので、再発するかもしれません。

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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ツムラ医療用漢方製剤マニュアル
◯オースギ医療用漢方製剤マニュアル
◯漢方方意辞典:緑書房
◯類聚方広義解説:創元社
◯勿誤薬室方函:創元社
◯漢薬の臨床応用:神戸中医学研究会
◯中医処方解説:神戸中医学研究会

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

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卵巣嚢腫やチョコレート嚢胞の西洋医学的な理論上の説明を交えながら、病院での実際の検査や医者の診察、診断、治療の説明をしています。病院の治療を考えている方や、現在、治療している方は確認や参考にしてみてください。