漢方薬相談ブログ

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自分の体質に合った漢方薬の選び方や診断方法(三陰三陽)

漢方は、西洋医学とは、発展してきた歴史も、その枠組や土壌も違います。

当然、診断方法も漢方薬を選ぶ方法も西洋医学とは何の関係もなく、漢方薬を選ぶ際には、漢方の医学理論に従います。

保険適応の漢方薬を処方している医者は、西洋医学の病名を当てはめたり、西洋医学的な症状に当てはまった漢方薬をマニュアルで選んだりしますが、あの選び方は、全くのデタラメです。

かつて、僕も漢方の治療理論が、全くわかっていないド素人の頃は、病名や症状にあてはめて、それに対応する漢方薬をおぼえましたが、それはあくまで、ド素人が通る、勉強過程であって、まさか、プロになってからも、そんな方法で漢方薬は選びません。

そもそも、何百種類も漢方薬がある上に、最初は「体質」なんて何のことだかわかりませんので、どうしても西洋医学の病名や症状をあてはめて、覚えることになります。

でも、やっぱり、そんなデタラメな方法では、漢方薬は効果がないどころか、漢方薬を飲むことによって副作用に見舞われたりするのです。

そんなわけで、漢方には漢方の診断の方法が2千年前からありますので、今回は、『漢方的な体質を診断する方法』の1つを説明したいと思います。

漢方治療のすばらしいところは時間軸

僕は、この漢方の診断方法を学んだ時、目からウロコでした。

それまでは、それこそ、素人同然ですから、医者と同じように西洋医学の病名に合わせてマニュアル的に選んだり、2、3個の症状があてはまったっぽい漢方薬を選んだりしていましたが、どれも効果がないし、何よりも辛かったのは、『良くなっても』『悪くなっても』理屈が何もわからないのです。

それに、あてはまったものを選ぶだけなんて、テレビの朝の占いじゃないんだから、誰でも、できそうな、そんな方法は治療ではないというのも辛かったです。

そんなモヤモヤしていた時に学んだのが、『漢方は病気に対して、時間軸がある』という考え方。

どういうことかというと『病気は、常に進んでいる』という考え方です。

「えっそんなの当たり前じゃん」と思うかもしれないですが、実は西洋医学では当たり前ではないのですよ。

例えば、皮膚科で「湿疹ができてかゆい」という状態は、アトピーという診断になりますね。

1週間位前から、湿疹が発生した人も、子供の頃から30年以上、湿疹が続いている人も、同じアトピーという診断になり、どちらも「ステロイド剤を使う」という治療の結果は変わりません。

どう考えたって、1週間前にアトピーになった人と、30年以上、アトピーの人が全く同じ状態なわけないですよね。

これは、患者さんの病気がどれくらい進んでいるのか?という度合いをみて治療していく考えがないからこうなるのです。

ある病名は、なんとなくみんな同じ状態と考えてしまうのです。

漢方治療では時間軸が重要

漢方は、病名診断をしません。

するのは、体質診断です。

体質は、症状のことではありません。

変な日本語になりますが、「症状は、単なる症状」でしかありません。

体質とは、『体内がどんな状態になっているのか』を考えることです。

漢方では『皮膚に湿疹があり、かゆかったらアトピー!』なんて、そんな単純な診断をせず、湿疹とかゆみは、体質を分析する上では、多くの情報の中の1つの情報でしかなく、『湿疹があって、かゆい』状態は、あなたの体質を表しているわけではないのです。

漢方では、病気は「6つのことを経て、進んでいく」と考えます。

それが、『三陰三陽』と呼ばれるものです。

漢方の診断方法、三陰三陽とは?

漢方の法則では、頭から順に下に向かって病気が進んでいくと考えます。

例えば、風邪なら、頭痛があり、悪寒があり、次に発熱、鼻水、咳、喉の痛み、胃痛、食欲不振、下痢、便秘など、症状が下に向かって順に現れます。

病気の初期段階を漢方治療法則では、太陽病といいます。

頭痛、悪寒、発熱、鼻水、咳の時期ですね。

この時点で治らずに、やまいが進むと、次が下に進んで、少陽病となり、この頃には、喉の痛み→胸の痛み、動悸→食欲不振→下痢、便秘などが症状として強くなってきます。

次にこの時点で、病気がとんでもなくこじれるステージがあります。

それが陽明病です。

異常な汗、オシッコが出すぎたり、出なかったり。

熱も出たり、強いひえのぼせに見舞われたりします。

次に太陰病というステージです。

それまでも病気のステージでは、太「陽」とか少「陽」とか「陽」明などの陽の時がついていましたが、これは、熱が原因になりやすいことを示しています。

太陰になると「陰」がつくようになり、今度は、冷えが原因になりやすくなります。

太陰は、胃や腸、下腹部、下半身に症状が出やすくなってきます。

胃もたれ、お腹の冷え、下痢、便秘、足の冷えなどです。腎臓系のおしっこの問題なども出てきます。

そして、少陰病は、さっきの太陰病により、体力がなくなった状態が加わります。

かなり弱っている状態。

そして、最後に厥陰病といっって、これはもう命が終わりかけているステージです。

なぜ病気の進み具合をみないといけないのか?

例えば、さっきのアトピーで病気の進み具合や時間を気にしなければ、アトピーになって1週間の人も、アトピーになって、30年の人も、みーんな十味敗毒湯を処方すればいいですが、漢方はアトピーという病名に合わせるわけでもなく、かゆみという症状に合わせるわけでもありません。

体質に合わせるので、時間軸も考えて、漢方薬を選ぶのです。

漢方薬は、体質に合わせるので、たくさんの候補となる漢方薬を前もって考えるほど治療精度が上がります。

当たり前ですよね。例えば、「十味敗毒湯で治る」と考えるよりも、「十味敗毒湯、柴胡桂枝湯、黄連解毒湯、柴苓湯」のどれかで治る可能性がある。と考えるのは、どちらのほうが、より、治る確率が高くなると思いますか?

「十味敗毒湯で治る」と1つの候補で考えるのは、潔いですが、そんなのは、ただの先生の勝手な思い込みでしかありません。

アトピーのような状態に使える漢方薬は40種類以上、あります。ネットで紹介されていたり、病院のマニュアルで紹介されているのは、一部の漢方薬で、漢方は本来、体質に合わせて選ぶので、『めまいで使う漢方薬をアトピーでも使います。』

病名や症状ではなく、体質に合わせて考えていくと、あらゆる漢方薬が、治るかもしれない漢方薬になるのです。

こうなったら、40種類どころではないですね。

とてもじゃないですが、選べません。

でも、漢方薬は、さっきの三陰三陽の時間軸ごとに、割り当てられているのです。

ですので、『あなたのアトピーがどれくらいの時間が経っているか?』このことを調べていけば、どの漢方薬を使えばいいかをある程度、絞れるわけですね。

症状だけでなく、その病気や症状で悩んだ時間も体質を考える上で重要なので、症状をあてはめるだけでは漢方薬は選べないのです。

★当店では、全身の状態をしっかりとみて、あなただけの体質を判断して、あなたに最適な漢方薬をお選びします。
大阪在住でない遠方の方でもネット漢方相談、電話漢方相談を行なっています。お店に来れない方もぜひ、ご相談ください。

●ご相談ご希望の方はこちらの「漢方無料相談」からご相談ください。

●「お問い合わせ及びご来店、電話相談のご予約などはこちらまで。

【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ 図説東洋医学(基礎編):学研
◯ 図説東洋医学(湯液編Ⅰ):学研
◯ 図説東洋医学(湯液編Ⅱ):学研
◯ 漢方概論:創元社
◯ 漢方臨床ノート(論考編):創元社

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

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