後縦靭帯骨化症(OPLL)を漢方薬で治す方法
後縦靭帯骨化症は、難病で原因はわかっていません。
もちろん、漢方からみても、後縦靱帯骨化症を起こす原因が、わかっているわけではありませんが、漢方の場合は、体内の状態を分析できれば、その体内の状態を調整し、良くしていく漢方薬を選ぶことができますので、治療が可能です。
僕は、風邪から、癌(がん)まで、いろいろな治療をしますが、それは、本来の漢方治療は、病院の漢方のような病名に合わせてマニュアル的に選ぶわけではないからです。
つまり、漢方薬は、難病だろうと、原因不明の病気だろうと、東洋医学的に体質を診断できれば、どんな病気のも対応できます。
漢方は、どんな病気にも対応できますが、例えば、癌(がん)や不妊症、後縦靭帯骨化症などのような特徴的な病気になってくると、その病気の特徴的な治し方というものはあります。
ちなみに、僕は、後縦靭帯骨化症と婦人科系の病気が特に専門です。
今回は、実際に後縦靭帯骨化症の方を治療してきた経験を元に後縦靭帯骨化症は、漢方薬でどうやって治していくのかを解説してみたいと思います。
後縦靭帯骨化症の方で、手術や病院の薬以外で治療を考えている方は、一読されてみてください。
病院の後縦靭帯骨化症の治療
病院の後縦靭帯骨化症の治療は、単純です。
簡単に言えば、『痛みを止める』ことです。
詳しくは「後縦靭帯骨化症(OPLL)の治療方法(病院)」を読んでみてください。
薬は、鎮痛剤や筋肉弛緩剤など、何種類かありますが、どれも目的は、『一時的に痛みを止める』ものです。
これと手術しかありません。
手術は、首の骨が大きくなって神経を圧迫している部分を削ります。
最後の手段で、神経の集まっているところの骨を削ったり、切り取ったりしますので、非常にデリケートな手術となり、時には失敗することもあります。
また手術すれば治るというものでもありません。
どちらかというと、西洋医学的には『それしか方法がない』といったほうがいいかもしれません。
手術が終わった後も、状況は悪いままで、手術前と何も変わらないということもめずらしくありません。
実際に後縦靭帯骨化症の手術をした方から聞いたお話です。
後縦靭帯骨化症の漢方治療の方法
1つお断りしておくと、漢方薬で後縦靭帯骨化症を治療するのは、漢方でもめずらしいことです。
漢方専門の店だったら、治療をしているというわけでもないし、漢方だから治療が得意というわけでもありません。
僕は、たまたま、漢方の修行をさせてもらった漢方薬局が、後縦靭帯骨化症を専門に研究し治療していたので、ノウハウを学ぶことができました。
通常の漢方の本には、マニアックな専門書を読んでも後縦靭帯骨化症を治す方法や後縦靭帯骨化症に使う漢方薬のことなど書いてありません。
漢方薬が後縦靭帯骨化症に良いというわけではなく、あくまで、漢方薬を使った後縦靭帯骨化症の治療を研究している人を探さないと、意味がないので、研究している人を探して治療を受けるようにしてください。
漢方薬の治療の目的は、日常生活で支障が出ている、痛みやしびれ、強張りを取り去ることが目的の1つです。
もう一つの目的は、これ以上、骨化が進まないようにすることです。
物理的にカルシウムが沈着し、太くなった骨を小さくする効果のある漢方薬はありませんが、昔、治療させてもらった人の中に、漢方薬を長期間、飲み続けて、骨化していた不要な部分の骨がなくなっていた方もいらっしゃいます。
かならずしも、漢方薬の効果だったのかどうかは、わかりません。
ただし、骨には破骨細胞という骨を破壊し吸収するものがあり、その骨の破壊と再生は、カルシウムの濃度や動態と関わっていますので、漢方治療では、カルシウムに関わる水の巡りを整えていくことをしていきますので、そんなことも関係したのかもしれません。
病院の治療は、その場の痛みをとっているだけですので、病気は進行していきます。
病院の治療は、一応、手術が進行を止める方法ですが、現実、成功率は高くありません。
漢方的な後縦靭帯骨化症の原因(証)
漢方では、どんな病気であっても『証』と呼ばれる体内の病気の原因を調べて、その証を治せる漢方薬を選びます。
病気の原因というと、すぐに1つの原因を考えますが、病気の原因である『証』は1つではなく、複数、存在します。
通常の病気の場合は、病名が同じ場合、原因は同じですが、漢方的な病気の原因である『証』は病気が同じでも、その人の体質によってバラバラです。
ですので、本来の漢方では、同じ病名でも人それぞれ、漢方薬が変わります。
ところが、後縦靭帯骨化症の場合は、全部の証が同じではないのですが、1つ共通している部分があります。
これは何人も相談経験を得て気づきました。
それは、漢方の診断で「上焦の水滞証」、「上焦の瘀血」、「上焦の気滞」というもので、肩から上に水と血と気が、極端に滞っているのです。
ですので、基本の治療は、肩から上に溜まった不用な水、血、気を巡らせながら、降ろしていく必要があります。
治療の方向性としては、こういった方法ですが、漢方薬は作用の強さ別に別れているので、あとは、全く同じ漢方薬を選ぶわけではなく、人それぞれの上焦の水、血、気の巡りの悪さの強さを判断して、漢方薬を使い分けます。
こちらが、基礎になる治し方で、ここからは、その人の体質によってわかれてきます。
人それぞれ違う後縦靭帯骨化症の治し方
後縦靭帯骨化症といっても、細かく問診をとっていけば、「手が痺れる人」、「麻痺までいって、感覚も遠い人」、「肩の痛みだけが強い人」、「肩の痛みに強張りを伴う人」、本当にいろいろです。
女性だと「冷えが強い人」もいれば、「のぼせがきつい人」もいます。
同じ痛みでも、漢方薬の場合は、病院の鎮痛剤のような痛みの物質を抑える成分があるわけではないので、筋肉を緩める方向の治療で痛みや強張りがなくなる人や温めて血を巡らせたほうが痛みがなくなる人など様々です。
ここらあたりは、かなり人によってタイプが変わってくるので、その人の原因を見極めて漢方薬を選んでいく必要があります。
また、女性の後縦靭帯骨化症の方で、閉経していない方などは、月経前に痛みや強張りがひどくなったりしますが、この場合は、血の道症とよばれる、女性ホルモンのリズムも考えながら治療する必要があります。
気になる漢方薬の効果は?
漢方薬の効果は、つまりは、人それぞれのその「証(原因)」を治すということです。
何かの漢方薬が、はっきりした根拠なく、後縦靭帯骨化症をなんとなく治してくれるのではなく、後縦靭帯骨化症を起こしている、その人の原因(証)を見つけ出して、その証を調整する漢方薬を選びます。
痛み、しびれ、強張りなどの強い症状が落ち着いてくれば、骨やカルシウムの代謝などに関わる漢方薬を続けることによって、骨化が進まないようにします。
このステージでは、できれば、不用な骨化なくしていきたいところです。
残念ながら、『誰の後縦靭帯骨化症にでも効く漢方薬』というものはありません。
後縦靭帯骨化症という病名が同じでも、人それぞれの細かな状態を見極めて、いくつもある原因を1つずつ、つぶして治していくのですね。
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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯日本脊髄外科学会 頚椎後縦靭帯骨化症
◯難病情報センター 後縦靭帯骨化症
◯後縦靭帯骨化症ガイドブック
◯ 今日の治療指針:医学書院
◯ 治療薬マニュアル:医学書院
◯ 今日の治療指針:医学書院
◯ 治療薬マニュアル:医学書院
◯漢方方意辞典:緑書房
◯漢方診療医典:南山堂
◯漢薬の臨床応用:神戸中医学研究会
◯中医処方解説::神戸中医学研究会
◯平成薬証論:メディカルユーコン
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