漢方薬相談ブログ

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漢方薬はなぜ飲み続けないといけないのか?

漢方薬はなぜ、ある程度の期間、飲み続けないといけないのでしょうか?

なぜなら、漢方薬は病院の薬のように症状を抑えることが目的ではないからです。

ここが最も誤解されています。

漢方薬を飲む時、皆さん、病院の薬と同じような感覚で漢方薬を飲んでいる人が多いなと感じます。

病院の薬の副作用がないバージョンみたいな。

でも、漢方って、そもそも治し方が病院の薬とは、まーーーったく違うのです。

この『漢方薬独特の治り方』の感覚がわかっていないと、いくら漢方薬を飲み続けても治りませんよ。

病院の薬はあくまで一時的に症状を抑えるだけ

病院の薬は、症状を一時的に抑えることが目的です。

最初から根本的に治す気もないし、そんな理屈もありません。

病院の薬は、飲んだ後の一定時間だけ、症状を無理やり抑えます。

わかりやすく言えば、『症状が、なくなったかのように誤魔化します』

誤魔化しているだけなので、一定の時間が経てば、また再発します。

例えば、ある病院の薬を10年間、飲み続けても、薬は1回ごとに一定時間、症状を一時的に抑えているだけなので、1回ごとに終了している効果が続いているだけ。

飲み続けても効果は積み重なっていきません。

1週間くらいでやめるのも、10年間、飲み続けてやめるのも、『その時々、一時的に症状を抑えているだけ』という状況は変わりません。

それこそ、病院の薬の方が、飲み続けないといけない理論科学的根拠もありません。

漢方薬は頭痛を治すだけでも全身を調整する必要がある

うちの相談に来られる方の中には、特に何かの病気でない方が多いです。

高血圧とか、糖尿病などの病名の診断は特にないけれど、体のいろいろなところが不調をきたしていて、特定の〇〇病と診断できないのです。

全身病とでも言えばよいでしょうか。

不眠、冷えのぼせ、湿疹、うつ状態、むくみ、PMS、頭痛、めまいなど、この状態全部があるので、病院的にはどの科に行けばいいのか、わからないですね。

『漢方は、病名に合わせたり、1つずつの症状に合わせたりして処方はしません』

残念ながら、これをやってる、漢方をちっとも理解できない、なんちゃって漢方な先生もたくさんいますが…

漢方理論では、症状ごとに漢方薬で抑えるものではなく、全身の症状を全部ひっくるめて総合的に判断して、いろいろな症状を発生させている原因を見つけ出して、その原因自体を調整します。

『症状を抑える』のではないですよ。

『原因を調整する』のです。

花粉症→小青竜湯、頭痛→五苓散みたいな病院の薬のような使い方は本来の漢方にはありません。

症状をみるのではなく症状を起こしている原因をみる

漢方では症状は抑えるべきものではありません。

体の中に元になる原因(五臓六腑のバランスや気血水のバランスなど)があって、『体内でおかしくなった原因を知らせるため』症状を発生させています。

病院の薬のように、症状を一時的に抑えても、原因をなんとかしない限り、全く意味のないことなのです。

漢方では基本、全身の状態が、全部、1つの原因から起こっていると考えます。

症状が7つも8つもあっても、原因は1つだったりします。

だから、処方する漢方薬も1種類だし、1種類の漢方薬1つの原因が治れば、8つの症状全部なくなったりします。

でも、この病院の薬とは違う部分に問題があります。

漢方では症状がなくなっても治ってはいない

症状を発生させている原因は、長年かけて、体内の機能やバランスがおかしな動きになっていて、それが定着しています。

おかしな状態が普通になってしまっているのですね。

悪い癖みたいなものです。

悪い癖って、頭でわかっていても、すぐには治せないですよね。

体内のおかしな動きを漢方薬の調整力で治していきますが、漢方薬の調整力が効いてくると、症状がなくなってきます。

そこで、「症状がなくなったら治っているのか?」というと、実は治っていません。

体の悪くなった機能は、なんとか今までそうやってきた悪い癖の状態に戻そうとします。

それをまた、漢方薬で調整、矯正します。

長いこと正しい体の動きを漢方薬で矯正していると、だんだんと元の正常な動きを思い出し、やがて定着します。

しかし、定着するまでに時間がかかるのです。

『悪い癖を矯正し、次に良い癖を定着させる』

これには個人差があって、それなりに時間がかかるわけですね。

体内の働きもスポーツの正しいフォームをおぼえるのと一緒なのです。

ですので、漢方薬においては、症状がなくなったからといって、治ったわけではないのです。

体内では必死で、悪くなった機能と良くしようとする漢方薬が戦っているのです。

このため、症状がなくなったとしても、漢方薬は飲み続けないと根本的には治らないのですね。

症状を一時的に抑えるわけではなく、原因を調整、矯正することによって、結果的に症状がなくなっていくのです。

ご注意いただきたいのは、体内の原因を調整してくれるのは、『あなたの体質に合った漢方薬」だけです。

漢方薬は、病院の薬のように症状を一時的に抑えるものではないので、あなたの体質や原因と漢方薬が合っていなければ10年飲み続けたって治りません。

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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ 図説東洋医学(基礎編):学研
◯ 漢方概論:創元社
◯ 漢方臨床ノート(論考編):創元社
◯ やさしい中医学入門:東洋学術出版社
◯ 中医診断学ノート:東洋学術出版社
◯ まんが漢方入門:医道の日本社

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

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