漢方薬相談ブログ

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漢方の体質タイプっって実は複雑です。

「漢方薬は体質に合わせて選ぶ」

「体質は人それぞれ」

漢方ってよくわからなくても、こんな感じの話は、みんな知っていると思うのです。

じゃあ、体質って具体的に何?って新ためて聞かれたら「何だろう?」ってなりますよね。

『冷え性体質?』

『胃腸が弱いタイプ?』

これくらいしか思いつかなくない?

これだったら、人間には2タイプの体質しか、いないことになりますね。

漢方薬、体質という言葉は知ってるのに何で具体的にわからないのか?

それは、漢方薬を処方している医者も漢方薬局の先生もちゃんと知らないから。

なんだったら、『症状』のことを『体質』と勘違いして漢方薬を処方しています。

そもそもの話なのですが、漢方薬って体質に合わせて選ばないと全然、効かないのです。

この記事では、『漢方においての体質って、何なのか?』

人によって違ってくる体質のタイプって、どんなのがあるのかがわかります。

症状は体質じゃありません!

よくある間違い。

とくに医者が先頭きって、盛大に間違っています。

『症状』『体質』のことではありません。

例えば、当帰芍薬散の効能効果に貧血、倦怠感、更年期障害、月経不順、不妊症…なんて書かれていて、このどれかが当てはまったら、当帰芍薬散の合うタイプだと勘違いしている先生が多いですが、この説明では、ひとっ言も体質のことを語られていません!

単に症状と病名が並んでいるだけ。

もう一つ、症状と病名の上に『筋肉が一体に軟弱で疲労しやすく、腰脚の冷えやすいもの』と書かれていますが、これが体質の一部を表しています。

でも、「筋肉が柔らかくて疲れやすくて、腰と足が冷える人ですか?」なんて冬に聞かれたら、女性だったら、みんな当てはまりません?

だったら、女性っていうだけで当帰芍薬散でいいのか?って話です。

そんなわけない!

それだったら、何百種類も漢方薬はいらないし、女性の体質ってみんな同じなのか?ということになっちゃいます。

医者は正に『女性で月経の問題があって冷えてたら当帰芍薬散!』とこの程度の感覚で漢方薬を選ぶから、病院の漢方薬はいくら飲んでも効果がわからないのです。

「体質」とはその人の症状の原因のこと

漢方の体質とは、『体のいろいろな要素のバランスが崩れた状態』のことを言います。

はい、意味不明ですよね。

詳しくいきたいと思います。

そもそも、「頭痛」とか「足が冷える」「眠れない」って症状は、体の機能がうまく働いていなから、それを知らせるために発生しています。

痛みがあるのは、その部分にダメージを受けたことを知らせるため。

いわば、体のピンチを知らせるのが、『症状』の役目。

ということで症状には、かならず原因があります。

ちなみに病院では、一見、原因を説明してくれているように感じますが、詳しく見てみると、実は『原因不明』ばっかりってご存知でした?

とにかく、『症状の原因=体の機能の不具合』なんですよ。

例えば、頭痛という症状は「水の巡りが悪い」という原因で起こることがあったり、「胃が冷えて頭痛が起こる」という原因で起こることがあったりします。

同じ頭痛でも人によって、水の巡りの悪さが原因で起こったり、胃の不調が原因で起こったりと、いろいろなのですね。

この『頭痛』を起こしている原因のことを『証』といいます。

漢方治療では、この『証』に合わせて漢方薬を選びます。

例えば、「水の巡りが悪い、そして、その水の巡りの悪さは特に首から上が悪い!」となると『上焦の水滞証』という漢方的な診断になり、首からの上の水の巡りをよくする漢方薬を選びます。

例えば五苓散とかです。

逆にあなたの頭痛が、首から上の水の巡りの悪さが原因でなかった場合は、五苓散は、ちーっとも効きません。

なので、医者がマニュアルだけみて『頭痛→五苓散』と処方しても、ちーっとも効かないことは、よくある話です。

更に人間の体ってややこしくて、症状を発生させている原因って1つじゃないのです。

頭痛でも2つも3つも原因が合わさって、発生していることなんて漢方の世界では普通なのです。

体質は人それぞれで複雑なんです

『瘀血タイプ』『血虚タイプ』『陰虚タイプ』なんていう風に書いてある漢方薬局や病院のサイト、見たことありません?

「これが、漢方の体質なんだ」って思う人が多いですが、実際の体は、あんな『どれかの1つのタイプ』なんて簡単なものじゃありません。

あれって、精神的なストレスで、仕事にいけないくらいボロボロに悩んでいる人が、カウンセラーに相談した時に、「あなたはA型だから、なんでも几帳面に対応してるから疲れるのよ〜以上!」とアドバイスされたようなもの。

『軽いっ!』

実際にボロボロに悩んでいる人の精神状態が、たかだか血液型の性格診断で解決するわけありません。

現実は、もっと複雑なのです。

実際は、『虚証タイプ』『瘀血タイプ』『血虚タイプ』とか、いくつかの証が重なって合わさっています。

漢方薬も『瘀血タイプ』に効く漢方薬なんて単純なものではなく、『虚証タイプ』『瘀血タイプ』『血虚タイプ』に効く漢方薬という設定になっています。

『実証タイプ』『瘀血タイプ』『裏の実証タイプ』に効く漢方薬など、『瘀血タイプ』が共通していても、他の原因が変わってたりすると、当然、漢方薬も変わるのですね。

人それぞれの体質タイプ

じゃあ、その体質タイプってどれくらいあるの?というと、要素を一部だけを紹介すると→

「虚証」「実証」「虚実間証」「表の寒証」「表の熱証」「上焦の熱証」「心下の熱証」「肺の熱証」「胸脇の熱証」「下焦の熱証」「裏の実証」「裏の熱証」「裏の気滞」「脾胃の気滞」「脾胃の虚証」などなど、全部で42種類ほどの症状の原因があります。

全部の証の説明をしたいのですが、2万文字を超えそうなので、またの機会にします。

大体、悩んでいる症状は、この要素が4つ位、合わさったものが原因になっています。

つまり、漢方薬で治さないといけない要素も4つの要素となります。

おまけにこれらの証に強さレベルもあります。

例えば、「水滞証」という水の巡りが悪いタイプもレベル1の弱い人もいれば、レベル5の強い人もいたりと、4つくらいの証が合わさり、更に、それに強さレベルも合わさって、あなた独自の原因を分析して、それにあった漢方薬を選ぶのです。

これが、本来の漢方薬の選び方です。

『瘀血タイプだから桂枝茯苓丸』とか、素人すぎて、ちゃんちゃらおかしいでよね。

ちゃんとした漢方の先生は、ほぼいない

ご自身でも漢方薬を選べるノウハウを提供したいところですが、15年、漢方を勉強してきた僕も、まだまだ勉強中。

ぶっちゃけ、素人(医者やサプリ大好きな漢方薬局の先生含む)に漢方はできません。

時の皇帝を治してきた2千年の宮廷医学なめんなよ!って感じ。

素人の人が適切な漢方薬を選ぶのは難しいですが、季節からでも大まかにわかることはあります。

夏に調子が悪くなる人は、体内の『熱や血』の要素が悪いことが多く、冬に調子が悪くなる人は『寒、水、乾燥』の要素で悪くなっています。

どちらにしろ、高度な医学で、漢方業界の9割の先生は体質をまともにみれないので、『保険適用の漢方薬を医者に処方してもらう』とか『サプリの好きな漢方薬局に処方してもらう』とか、あと『自分で調べて飲む』とかというのはやめたほうがいいです。

漢方薬があっていないと副作用になりますので、かえって治療の遠回りになるかもです。

ですので、とにかく、正しい漢方治療をしているところでみてもらうようにしてもらってください。

保険適用の漢方薬は安価でいいのですが、残念ながら、医者は体質を見れません。

『症状が体質だ!』勘違いしているくらいですから。

ちゃんと証を説明してくれて、選んだ漢方薬が、証をどんな風に治してくれるのか。

あと、漢方は、生活養生の方が治療といってもいいくらい重要なので、そこのところもバッチリ説明してる先生と一緒にじっくり治さないと根本治療になりません。

人間の体を治すって、薬、飲んでポンっ!て治るほど甘くないのですよ。

まとめ

◉ 漢方の体質とは、症状のことでも病名のことでもありません!

◉ 体質とは、症状や病名を発生させている原因のことで、それを『証』といいます。

◉ 体質は3つ、4つの複数の『証』が合わさって作られたもので、人によって組み合わせが違います。

『瘀血タイプ』とか『血虚タイプ』とか、1つのタイプのことではありません。

◉ 漢方は、その原因(証)を治す漢方薬を選ぶことが重要です。

◉ 症状に当てはめて漢方薬を選んでも、その症状を抑える効果はないので無意味ですよ。

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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ 図説東洋医学(基礎編):学研
◯ 図説東洋医学(湯液編Ⅰ):学研
◯ 図説東洋医学(湯液編Ⅱ):学研
◯ 漢方概論:創元社
◯ 漢方臨床ノート(論考編):創元社
◯ やさしい中医学入門:東洋学術出版社
◯ 中医診断学ノート:東洋学術出版社
◯ 中医処方解説:神戸中医学研究会
◯ まんが漢方入門:医道の日本社

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

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