漢方薬局によくある効果がありそうでない漢方薬もどきにはご注意!
うちにはよく、
「他の漢方薬局で漢方薬を飲んでいるけれど、全然、効果がわからないのはなぜですか?」とか、
「そこの漢方薬で、かえって体調が悪くなったけれど、そこの先生は大丈夫と言ってるのですが…本当に大丈夫でしょうか?」
なんて質問があります。
僕は、今の仕事をする前に全国の漢方専門薬局(500件以上)を訪問する営業をやっていましたので、実は、全国の漢方薬局のことは裏の裏まで知っています。
で、今回はその裏話をバラしちゃいますが、結構、漢方薬でな生薬サプリを売ってたりします。
また、漢方薬だとしても、『病院と同じでマニュアルであらかじめ、処方する漢方薬を決めていたりします』
例えば、漢方薬は病名なんか関係なく、人それぞれの体質に合わせて選びますが、そういった漢方薬局は誰が来ようと不妊症に当帰芍薬散や温桂湯など、決まった漢方薬を処方しています。
【今回のポイント】
1 生薬サプリと漢方薬の違い。
2 なぜ、生薬サプリはダメなのか?
3 ニセモノ漢方薬局に騙されない方法。
を説明したいと思います。
生薬サプリと漢方薬の大きな違い
排卵を促してくれる漢方薬とかアトピーのかゆみを止めてくれる漢方薬なんて説明の漢方薬が漢方薬局だけでなく、ネット通販でも見ることがあります。
『〇〇生薬は血行を良くします』『〇〇生薬は肌に潤いを与えます』とか、漢方っぽく『女性に必要な陰を補い腎の臓の気を補います』とか説明していたりします。
ついでに、いかにこれらの生薬が必要かを説明していたりしますが、こういったものは単なるサプリメントで漢方薬ではありません。
「あれっ?でも漢方薬も生薬でできているから、これだって漢方薬じゃないの?」
って思いますよね。
でも、大きな違いがあるのですよ。
それは、漢方は『良さそうな感じの効果のものを飲む』のではなく、『自分自身の原因を探り出して、その原因に対して最適な漢方薬を選ぶ』ものなのです。
漢方薬は人それぞれの問題に合わせる
例えば、不妊症に原因なんてありません。
不妊症というのは、単に『赤ちゃんが授かりにくい』といってるだけで、『体のどこどこが悪い』なんてわからないのですよ。
原因不明という意味ではなく、人それぞれ、みーんな原因が違うのです。
例えば、月経周期が安定してなかったり、排卵がうまくいっていないという状態に『血の巡り』が関わっているとしましょう。
この血の巡りには、冷えて巡りが悪くなっているタイプと血熱といって、血に余分な熱がこもって巡りが悪くなっている人がいます。
つまり、このお二人、血の巡りが悪くなっている原因が、真逆なのですよ。
冷えている人は、温める漢方薬で血を巡らせ、熱を持っている人は冷やす漢方薬で血を巡らせます。
この漢方薬を逆にするだけで『毒』にもなります。
ですので、人それぞれの体質を分析する前から『不妊症に良い漢方薬』なんてありえないのです。
うちでは、不妊症の方の相談予約が入っても、全身の状態や基礎体温、今までの治療歴などなど、詳しく知るまでは何の漢方薬が合うかなんてわかりません。
なぜ漢方風の生薬サプリはダメなのか?
『不妊症に良い漢方薬』とか『アトピーに良い漢方薬』というものは、大体が、そこの先生やどこかの会社が自分勝手に生薬を組み合わせて作っています。
『漢方の専門だから作れた』なんて、説明をしていたりしますが、こんなの漢方の理論からいったらとんでもない無責任なシロモノです。
なぜなら、漢方薬というのは、合わせる体質や効果などの条件が決まっていますが、その効果は体質と合って、初めて効果を発揮するからです。
さっきの話だと、冷えて血の巡りが悪い人に冷やして血の巡りを促す漢方薬を選んでも副作用で悪くなるだけ。
漢方薬は、飲み終わった後の変化を観察して初めて、選んだ漢方薬と分析した体質が合っていたかがわかります。
そして、合っていないと判断した場合は、また体を分析しなおして、次の漢方薬を探します。
合っているかどうかを検討する時に、漢方薬は2千年間、いろいろな人に使われてきた経験と理論があります。
これが経験医学と言われる所以です。
この膨大な経験に照らしあわせて、『この漢方薬は合っている』とか『この漢方薬は合っていない』と判断していくのですね。
でも、もともとの漢方薬でないオリジナルな漢方風サプリメントは、その治療経験も理論もありません。
ですので、合っているかどうかもわからず、ただラッキーを狙って、飲み続けるしかないのです。
でも、漢方薬はサプリメントのようなそんな頼りない、いい加減なものではないのです。
積極的に合っているかどうかを確認しながら、治療できるものです。
漢方薬を騙った生薬風サプリに騙されない方法
「当店のオリジナル漢方薬」なんて説明している時点で、「あーこの人、体質分析できないな」とわかるのですが、そんな漢方薬もどきに騙されない方法をお伝えします。
【本格風なお店の見た目やネットの説明は当てにならない】
いかにもな感じの本格漢方薬局だと、専門家だと思ってしまいがちですが、経験上、ほとんどの漢方薬局はサプリメント売りです。
店の雰囲気は、建築デザイナーさんに頼めばどんなものでも作ってくれるので、その先生の治療の腕とは無関係です。
ネットの説明もどこからでもパクってこれます。
特に漢方業界の先生は、他人の情報をパクることに罪悪感のない、ちょっと変わった感じの人が多いので、平気でパクったりしますので、これまた、その先生が、詳しいのかどうかはわかりません。
【生薬ごとの効果の説明の場合は要注意】
生薬ごとの効果の説明をしている場合は、要注意!
漢方はとにかく、あなただけの原因に合わせて選びます。
重要なのは、売らんがための説明ではなく、あなたの体の状態を知るためにどれだけ、労力を割いているか?
それは問診票を見ればわかります。
うちは50項目、250箇所のチェックをしてもらいますが、この項目やチェックが減るほど、『人それぞれの体質を分析する気がない』ということです。
【ちゃんとした説明を受けたか?】
漢方薬は、あなただけの原因を分析します。
病名や症状は関係ありません。
この原因を『証』といいますので、自分は何の証なのかを聞くようにしてください。
そして、漢方薬の効果ではなく、その『証』を『どのような漢方薬の効果』で治してくれるのかを聞くようにしてください。
【飲み終わった時の確認】
漢方では、体質を判断して漢方薬を合わせますが、これらは全て推測です。
実際は飲み終わった後に、先生が全身の症状や状態の確認をすることによって、『本当に合っているかどうか』を判断します。
『変化がなかった』『良くなった』『悪くなった』
また、『良いところもあったし、悪くなったところあった』などの変化もあります。
これらを先生が判断して、『このまま同じ漢方薬を飲み続けるか?』
『違う漢方薬に変更した方が良いか?』を責任をもって判断します。
生薬風サプリメントは確認なく飲ませ続けることが多いです。
【とにかく質問しまくる】
素朴なものでもいいので質問しまくって、その答えがあなたの直感で「この人、ちょっと誤魔化しているな」と感じたら、それは正解です。
大体は、誤魔化していることが多いので、とにかく疑問に思ったら、追い詰めるくらいの勢いで質問しましょう。
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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ 図説東洋医学(基礎編):学研
◯ 図説東洋医学(湯液編Ⅰ):学研
◯ 図説東洋医学(湯液編Ⅱ):学研
◯ 漢方概論:創元社
◯ 漢方臨床ノート(論考編):創元社
◯ やさしい中医学入門:東洋学術出版社
◯ 中医診断学ノート:東洋学術出版社
◯ 中医処方解説:神戸中医学研究会
◯ まんが漢方入門:医道の日本社