犬や猫に効く漢方薬にはどんなものがあるの?
最近、よく「犬にも漢方薬を処方していただけますか?」とか「猫に漢方薬を処方していただけますか?」という質問があります。
病院の薬は化学薬品で実質は体に悪いので、自然の漢方薬で治療してあげたいということなんだと思います。
僕も猫を3匹飼っていて、野良猫のTNRや保護活動をやっているので、猫の病気にみまわれたりします。
そりゃ、どっちかというと自然の薬で治してあげたいですよね。
結論から言うと、猫に漢方薬は使いたくても使えません。
犬は猫ほどダメというわけではないですが、それでも問題がアリアリです。
なぜ、犬や猫に漢方薬は使えないのか?
だったら健康を守るためにどうしてあげれば良いのか?を解説していきたいと思います。
犬も猫も漢方薬が使えない理由
そもそも、世間一般では漢方薬に対する誤解が半端ないです。というのも医者も含めて一般の人も『漢方薬って何かの病名に合わせて選ぶ』と思っている人が多いのですが、本来の漢方薬の使い方では、病名とか症状で選びません。
例えばニキビを十味敗毒湯で治ると思っているトンチンカンな先生が多いですが、漢方薬って病名に合わせて選ぶのではなく、体質を分析して選びます。
十味敗毒湯にニキビのような湿疹を治したり、かゆみを止める成分なんかは一切、入っていません。
ニキビの治療も体全体をみて東洋医学的な体質を診断して選ぶのです。
十味敗毒湯を選ぶなら、「肝臓の熱が高まりすぎている」という状態と、「皮膚表面の水の巡りが悪くなっている」という状態が原因となってニキビが発生していると考えるなら(診断)、十味敗毒湯を選びます。
この体質を分析する時にいろいろな東洋医学的な診断方法があってそれらがちゃんと治療で使えると保証できる根拠は2千年間、人間に使ってきたデータなのです。
そうなんです。本来は2千年間、その診断方法とそれに基づいて使ってきた漢方薬のセットになったデータが治療の根拠や保証になります。
このデータの中には「実際に漢方薬を飲んでみたら良くなるどころか悪くなった」みたいなデータも含まれます。
でも「悪くなる」というデータもあるからある意味、安心して飲めるのですね。
ところが、これはあくまで人間に対して使ってきたデータとなります。
残念ながら『犬に漢方薬を使ってきたデータ』、『猫に漢方薬を使ってきたデータ』はゼロなんです。
僕は漢方オタクなので、1冊ウン万円もする漢方薬の本も持っていますが、どこにも犬や猫に使ってきた例もないし、どういった診断でどういう漢方薬を使えばいいのかという記述もないのです。
漢方は科学的でないですが、その代わり、2千年間の経験の結果という信頼できるデータがあります。
でも、犬や猫の場合は、このデータが一切、使えないということになるのです。
厳密には猫は1種類だけ使える漢方薬を見つけましたが、それも絶対に大丈夫というほどの信頼はありません。
おそらく猫は漢方薬自体がNG
簡単に言えば、本来の漢方薬は病名や症状に合わせて選びません。体質に合わせて選びます。
でもその体質を分析する方法は人間のものしかありません。ですので犬や猫に最適な漢方薬を選べないのです。
それでもまだ犬はなんとかなります。
というのも犬の普段の食べっぷりやおしっこやうんこ、症状の感じなんかを観察して、人間を診断するみたいにやってみて漢方薬を選ぶというのはできないことはないです(ただし喋れないので診断はかなり怪しい)
これで、何匹かのワンちゃんは実際に治しました。
でも、猫はこれもできないのです。
なぜなら、猫は体質診断以前にNGの植物が多すぎるからです。
ここでその種類は記しませんが、大体700種類は食べちゃいけないものがあります。
その700種類だって、それで終わりなのか?まだまだダメな植物があるのか?も誰にもわかりません。
そもそも漢方薬のほとんどは植物です。
しかも野菜なんかよりも効果の強い植物です。
ここで勘違いしちゃいけないのは、良い効果ではなく、あくまで「効果が強い」というだけ。
漢方薬は副作用が少ないように思われていますが、体質と合っていない漢方薬を飲むと、場合によっては副作用にみまわれます。
『体質を分析する術もない』、『猫はほぼ植物自体がNG』なので、猫に漢方薬を処方するとなると、一か八かの賭けになっちゃうのです。
『猫が治るも死ぬも運次第』
そんなのは治療とは呼べないので僕はしませんし、したくてもできません。
なぜ犬や猫に漢方薬を処方する先生がいるのか?
ではなぜ、犬や猫に漢方薬を処方する先生がいるのか?
真相はわかりませんが、これは犬や猫に限らず、人間に対しても9割の先生は、さっきの『病名や症状と漢方薬を結びつけて漢方薬を選ぶ』という本来の漢方にはない勝手な方法で選んでいるからこそできるのではないかと思います。
言っちゃえば『漢方のことを実は知らないので、リスクもわからない』
せっかく2千年間のデータに裏付けされた体質を判断する方法は無視して、自分勝手なマニュアル方法で漢方薬を選んでいます。
だから、逆に2千年間のデータを気にする必要がないので気軽に処方できるのだと思います。
僕の場合は、2千年間のデータを活用するからこそ漢方薬は効果のあるものと思っているので、データの裏付けのない治療はできません。
後、猫は700種類以上も食べちゃいけない植物があることに関しては、どう考えているのかわかりません。
もし猫に漢方薬を飲ませている人がいたら、一体、どの文献で猫にOKな漢方薬を見つけたのか教えてもらいたいです。
また猫の体質をどう診断するのかもぜひ!知りたいですね。
深く考えずに人間と同じノリで病名とか症状だけ当てはめてテキトーな治療をしているような気もしますが。
だったらどうやって犬や猫の病気を治してあげればいいのか?
16年間、漢方専門の治療をやってきて気づいたことがあります。
それは怪我やウィルス、菌などが原因の病気以外の病気は、どれも生活などに何らかの問題があることです。
ご飯、運動、睡眠、ストレス、生活環境、気候…猫も犬も人間もさっきの原因以外は、大抵、これらのバランスが崩れて病気になっています。
ウィルスや菌に関しては、体力や免疫力の問題もありますが、ケガ、ウィルス、菌の問題は、動物病院が治療してくれます。
それでも漢方薬が必要だな思うような症状があるのであれば、まずはさっきの要素を全部見直すことです。
今の時代、手軽で簡単!が大好きな人が多いので、「〇〇をやればそれだけでOKです!」と言いたいのですが、結局、真の答えは、全部をバランスよく整えることなのです。
僕が実際に猫を飼っていて意外に感じたのは、これもいうと嫌煙されそうなので言いたくないのですが、『掃除』です。
環境要素ですね。
吐き戻しだけでなく、鼻水などにつながる粘膜系や呼吸器系の病気は、自分の毛とほこりの合体で起こるのではないかと思います。
うちは最初、3日に1回くらい、ミニ箒で掃除していましたが、最近はダイソンで毎日やってます。
ダイソンで掃除するとよくわかりますが、毎日やってても人間の髪の毛、ほこり、猫の毛、猫砂の混じったものが満タンに入るのですよね。
まとめ
これは犬、猫、人間でも同じですが、病気は病気にならないようにすることがとても重要です。
病院に行かないといけない病気の状態は、もう壊れた状態なんです。なので当然、壊れたものを治すのは大変なのです。
そして病気にならないようにするには「ご飯」、「運動」、「睡眠」、「ストレス」、「生活環境(温度、湿度、音)」を見直して、毎日、なるべく快適な状態が保てるようにすることが重要です。
ここでは細かいことは話しませんが、ご飯を置きっぱなしではなく決まった時間にどれくらい食べたかをちゃんと毎日調べたほうが良いです。
何か1つだけ薬飲んどきゃ、病気が治る魔法の漢方薬なんてありません。
漢方薬は、2千年間の膨大な経験データを活かす治療です。
これは、2千年前からある漢方独特の体質の診断方法に基づいて漢方薬を選んだ場合のデータです。
病名や症状だけで選んだ漢方薬にはこの素晴らしい経験データは当てはまりません。
漢方薬は、そのほとんどが、色々な植物で構成されていますが、猫は700種類以上の植物がNG、それらを口にして死ぬこともあります。
もし、漢方薬を処方されたなら、このブログを見せて、どの文献のどの理論の根拠で処方したのか説明してもらった方がいいと思います。
そして、もしその文献があるなら僕にこっそり教えてください。
ちなみに人間でも色々な要素を整えるのは重要ですが、よほどの世捨て人でない限り、病気が治るほど整えられる人はいないし、動物ほど自然治癒力も高くありませんので、生活と整えつつ、漢方薬を飲む方が早く治ります。
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