漢方薬相談ブログ

体質別にみる熱中症の予防、治療、対策方法

体質別にみる熱中症の予防、治療、対策方法

  1. 熱中症の原因は?
  2. 一般的な熱中症の治療
  3. 症状からわかるあなたの熱中症の体質タイプ
  4. 薬膳的に熱中症対策をする
  5. 熱中症を予防する
  6. 漢方薬で熱中症を治療する

現在、夏真っ盛りですね!
毎年、夏の気温が上がって、日本では湿度も高くなりますね。

台風もバンバン、来るので、非常に熱中症が起こりやすい状態になっています。

熱中症を事前に察知できたらいいのですが、何せ、健康な人でも、日本の高温多湿となると、ジメジメすぎて暑すぎて、気づいたら熱中症に陥っていたりします。

もはや「冬の風邪」、「春の花粉症」「夏の熱中症」みたいに誰でも、なってしまう国民病みたいなものなのです。

今回は、漢方が得意とする体質別から見た時の熱中症の原因や対策方法などを紹介していきたいと思います。

また、薬膳的な熱中症の対策方法や、人それぞれの状況や環境の違いによっての熱中症の予防方法を紹介します。

最後に熱中症が漢方薬で治療できるのかどうかも解説します。

この動画を見ていただければ、一般的なよくある熱中症の予防や対策ではなく、体質によって違う予防方法や対策を知ることができます。

熱中症の原因は?

そもそも熱中症って、どんな状態でしょうか?

簡単にいうと熱中症とは、高温多湿の環境で、自分の体温が調整できなくなった状態のことを言います。

症状は、「頭痛」や「嘔吐」、「立ってられない」、「下痢」など、実は人によって出てくる症状は微妙に変わってきます。

みんなに共通しているとすれば、「体に熱がこもって、気持ち悪い」という感じでしょうか。

最近の夏は特に、湿度と高温の度合いがひどいので、割と誰でも熱中症にかかりやすかったりします。

「あれ、なんか吐き気がしてる?」と思ったら、もう熱中症になってたりします。

今からの季節は本当に気をつけましょう。

一般的な熱中症の治療

熱中症とは、体に熱がこもり、体温が上がって、その体温を下げるために汗がダラダラと出て、脱水状態に陥りますので、治療は、水分補給と体温を下げることと、汗で無くした電解質を補給するこの3点になります。
となると治療というほどのものではないですが、『ポカリ飲んで、クーラーをかけて横になる』

これで終了です。

また、ちょっと漢方をかじったつもりの先生が、黄連解毒湯なんかが熱中症の漢方薬、みたいに勘違いしてたりします。

確かに黄連解毒湯は、熱い体に氷をぶっかけてバーっと冷やしてあげる感じのイメージのものですが、単に冷やす効果しかしないので、体質的に他の悪い要素も合わさっている人には、全然、合わなかったりして、効果が薄かったりします。

また、単純に冷やすだけの効果しかないので、合わない人だと胃が冷やされて、「効果が薄い割に胃痛がしてきた」なんてことになったりもしますので、黄連解毒湯が熱中症の漢方薬だという話には騙されないようにしてください。

本来の漢方だと「熱があるのだから冷やせばいい」なんてそんな単純なものではなく、もっと深く掘り下げた体質別でみていくので、当然、体質別で治療も変わってきます。

症状からわかるあなたの熱中症の体質タイプ

西洋医学的、一般的に、熱中症は、「高温多湿で自分の体温が調整ができなくなった状態」という一言で終わってしまうのですが、漢方では、普段の状態や持っている体質から、特にどんな症状が出てきて、どんなタイプなのかがわかったりします。

「自分で体温を下げられない」という状は、西洋医学と同じ考え方ですが、これに加えて併発する症状からタイプを見ていきます。

【熱中症で頭痛が出るタイプ】
漢方では、血に熱が宿ると、血の巡りが悪くなるという「陽の瘀血」という体質があります。

このタイプの方は、気温、室温が高まるほど頭痛が強くなります。

陽の瘀血の証のタイプは、時間が経つと、上焦の熱証といって、首から上に熱がこもりやすくなって、余計に頭痛がひどくなります。

この場合、普段の体質では、血の巡りが悪くない人は、首の横の頸動脈を冷やすようにしてあげてください。

こうすることで血熱という血に宿った熱を直接、冷やしていくのですね。

注意しないといけないのは、普段の体質では、手足の冷えなどが強く、血の巡りが悪そうな人は、首の横の頸動脈を急激に冷やすと、かえって血管が、縮まったりするので、アイスノンをタオルなどで包んで徐々に冷やす感じがいいです。

膝から下の方は、温め必要はありませんが、逆にあまり冷やさないようにした方が、頭に集まった血が足元に流れていって熱がひきやすくなります。

【熱中症で吐き気や嘔吐がする胃熱タイプ】
漢方では、熱中症に限らず、体に熱がこもると吐き気や嘔吐が発生するという考え方があります。

吐き気や嘔吐がするタイプには2タイプに分かれます。

1つは胃熱というタイプです。

胃に熱がこもって、吐き気や嘔吐が発生します。

このタイプの場合は、胃を冷やすのは効果的なのですが、漢方では「胃は湿を嫌がる」というのがあり、冷たい水分が連続して入ってくると余計に状態が悪くなります。

あまり、連続して冷たいものを大量に飲まずに、少量ずつ、胃に入れていってあげましょう。

その時に生姜をほんの少しだけ混ぜてあげれば、吐き気や嘔吐を抑えてくれます。

【熱中症で吐き気や嘔吐がする肝熱タイプ】
もう一つの熱がこもって吐き気や嘔吐が発生するタイプです。

肝熱タイプと言って、肝臓に熱がこもるタイプですが、正直、肝熱タイプは、時間が経つと、胃熱も起こすので、一般の人に胃熱タイプなのか、肝熱タイプなのかを判断するのは難しいですが、普段から手足が冷えず、湿疹が発生しやすく、イライラや焦燥感の強い人は、肝熱タイプであることが多いです。

漢方での肝臓は、西洋医学の肝臓とはまた違います。
肝の臓といって、この臓器に熱がこもると蕁麻疹や湿疹なども発生したりしますので、厄介です。

逆に言えば、普段、じゅくじゅくでない、赤みの強い乾燥系の湿疹がある人が、熱中症になったりすると肝熱タイプの熱中症であることが多いとも言えます。

肝の臓の熱は、酸っぱいものが鎮めてくれます。

酸っぱいものを摂るようにしましょう。

ただし、この時に気をつけないといけないのは、酸っぱいものは、そのままでとると、胃がやられます。

余計に吐き気や嘔吐が強くなるので、必ず、甘いものと一緒に取るようにしてください。

冷やしたハチミツレモンがいいですね。

ちなみにお酒は肝の臓の熱を余計に発生させるので、お酒は厳禁です。

【熱中症で下痢が続くタイプ】
下痢タイプの人は2つのタイプに分かれます。

水様下痢になるタイプは、体温を下げようとして水分をとりすぎて、その水分が腸で滞っている状態です。

水分を控える必要はないですが、あまり冷えていない水分を少しずつとるようにしましょう。

下痢でも、臭いが強く、ベチャッとした下痢になるタイプは、腸に熱がこもっているタイプです。

こちらのタイプの場合は、普段は冷えがない人が、先ほどの水様下痢のタイプの人のように水分を取りすぎることと、消化器の弱りが合わさって起こるので、水分を少しずつとるようにして、 熱的な効果を持った牛肉や脂ものなどを控えましょう。

正直このタイプは、漢方薬なしで養生だけで対応するのは難しいかもしれません。

熱を冷やしながら、消化器の機能を高めていく漢方薬を飲んでもらうことになります。

子供さんで熱中症の下痢が続くようなら、漢方薬を飲んだ方が手っ取り早いです。

薬膳的に熱中症対策をする

漢方では、食性と言って、食べ物にはそれぞれの効果があると考えます。

「何かの成分が体のどこかに効果がある」という考え方ではなく、食べ物それぞれが体に与える働きを利用します。

体の中にこもった熱、内熱をとってくれるものは、にがうり、トマト、ピーマン、チンゲンサイ、なす、きゅうり、椎茸、蓮根、小松菜、たけのこ、りんごです。

暑くなってきたら、これらのものを意識してとると薬膳的な熱中症対策となります。

食性の詳しい効果は、また別の動画で解説していきたいと思います。

熱中症を予防する

気温が高くなると当然、熱中症にはなるのですが、熱中症は、湿度との関わりが大きいです。

クーラーで冷やすよりは、ドライモードで湿気をとったほうが効果的です。

また、状況や環境によっても予防は変わってきます。

屋外で運動していたり、体を激しく動かしている場合は、外気温の高さと体温の急激な上昇に汗の冷却が追いつかなくなって、熱中症が発生するので、時々、体を動かすのを休んで、体温が上がりすぎないようにしましょう。

屋内であまり動いてない場合は、エアコンのドライが良いのですが、汗がジワジワと出て、知らない間に熱中症になったりしますので、意識して、少しずつ水分をとっておくのが良いです。

湿度がキーポイントなので、熱がこもって汗がじわじわと止まらない時は注意です。

漢方薬で熱中症を治療する

熱中症は、「体温調整ができなくて熱がこもっている」「汗がたくさん出て脱水気味」という状態は共通しているのですが、それに加えて発生する症状は、その人の体質によって、色々と変わってきます。

体質が変われば、当然、選ぶ漢方薬も変わってきます。

最初の方にチラッとお話ししましたが、体質を分析できない、マニュアルを見て、病名や症状を当てはめてしか漢方薬を処方できない、「なんちゃって漢方の先生」は、単純に黄連解毒湯で冷やせば熱中症が治ると勘違いしています。

しかし、漢方はそんな浅い分析で選ぶものではありません。

同じ熱中症でも体質によって、合わせる漢方薬が変わってくるのですね。

漢方薬は、長く続けながら、じっくりと体質を改善していくイメージがありますよね。

それは間違っていないのですが、実は、「熱中症」とか、「急に頭痛が起きた」などの急性の症状の治療もしたりします。

漢方薬って、とても優秀で、じっくり体質改善タイプの薬と1日、2日でスパッと効かせるタイプの薬があったりするのですね。

当然、熱中症の場合は、「じっくりと半年かけて体質改善しましょう!」なんてものではないので、すぐに効いてくるタイプの漢方薬を使います。

この時に注意しないといけないのは、体質を見れない、なんちゃって漢方の先生は、漢方薬に早く効かせる種類とじっくり効かせる種類があることすら知りません。

また、急性の治療になるほど、体質の分析は難しくなりますので、とてもじゃないですが、1日、2日で効かせる漢方薬なんて選べません。

ロクに問診もせずに「熱中症=黄連解毒湯」を選んでくる先生には、ご注意ください。

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ブログの著者 国際中医師 松村直哉

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