漢方薬相談ブログ

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体質別、タイプ別の腰痛の原因を解説します!西洋医学と東洋医学からみた腰痛の原因を徹底解説! |

「朝、起きようと思ったら腰が痛くてすぐに起き上がれない」

「しゃがもうとすると腰が痛む」

歩けないほど痛いわけではないので、いつか治るだろうと思って放っておいたら、気づけば何年も同じ状態…

腰痛は、放っておいても勝手に治ってはくれません。

年齢が経つほど、治りにくくなりますし、一時、治ったように感じても、ある程度の年齢になると、また、ぶり返してくることもあります。

今回は腰痛を根本的に治すために、その原因を西洋医学と漢方(東洋医学)の両方から分析してみたいと思います。

この動画を見ていただくと、西洋医学の腰痛の原因と漢方の腰痛の原因は、それぞれ違ったものであるということがわかります。

また、西洋医学と東洋医学を同時に学ぶことによって、漢方で根本的に治るその理由がわかります。

西洋医学的な腰痛の原因

西洋医学的な腰痛の原因は、実はほとんどの場合、特定ができません

これは「原因がわかる、わからない」という次元の話ではなく、考えられる原因があまりに多すぎるために「これだ!」というひとつに特定できないのです。

よくある神経が圧迫されて痛みが発生する腰痛としては、「椎間板ヘルニア」、「坐骨神経痛」、「変形性関節症」、「脊柱管狭窄症」などがありますが、他にも「月経困難症」、「腎臓結石」、「膀胱炎」、「前立腺炎」などで痛みが発生するという人もいます。

腰痛の原因に関してですが、西洋医学と漢方(つまり東洋医学)の両方からの原因を考える時に知っておいてほしいことがあります。

西洋医学では体内の部分的な状態を見て原因を探します。

例えば、椎間板ヘルニアは、骨と骨の間のクッションの役割になっている椎間板がすり減って、椎間板自体が骨によって潰されたり、椎間板の中が飛び出して、それが神経に触ったりして痛みが発生していると考えたりします。

一方、漢方的に腰痛の原因を考える時は、腰の部分的なダメージを見るのではなく、体全体をみて、『うまくいってない要素』を探し出し、どういった要素が腰にダメージを与えているのかを分析していきます。

うまくいってない要素のことを『証』と呼び、これは体質でもあり、腰痛の原因のことでもあります。

漢方が考える腰痛の原因

漢方では、レントゲンやMRIを使って、体の中をみるわけではありません。

ですので、腰を部分的にみていく、ということはしません。

漢方では、「通ざればすなわち痛む」という原則的な考えがあり、つまり、血や水、気を通してあげれば、痛みがなくなるという考えがあります。

では「血の巡りを巡らせば治るのか?」と言われると、そう単純な話でもなく、「その血を巡らせるためにはどの臓器を調整せねばならないのか」、「温めないといけないのか?」逆に「冷やさないといけないのか?」など、その人の体質タイプによって、治療は複雑になってきます。

医者や一般的なネットでの説明は、「麻杏薏甘湯などが関節の痛みに効く」なんて言われていたりしますが、麻杏薏甘湯に鎮痛効果のある成分が含まれているというわけではなく、水の巡りを促す利水剤として効果があるだけです。

あなたの腰痛の原因が、血の巡りの悪さだったり、肝臓の不要な熱だったりすると、原因と漢方薬の効果が合っていないので麻杏薏甘湯湯は、全く効きません。

漢方薬は、なんとなく病名や症状に合わせて、選ぶものではなく、腰痛であっても、全身の状態を分析して、体質を診断し、その体質に合わせて選びます。

西洋医学の治療

病院での腰痛の治療というと、

1湿布を貼る。

2痛み止めを飲む。

3マッサージ。

この3つです。

どれも『対症療法』と呼ばれるもので、実行している間は、痛みが楽になりますが、止めるとまた痛みが戻ってきます。

基本的には、その都度、対応しているだけなので、長年、真面目に続けても治っていくことはありません。

漢方が考える腰痛の原因

さきほども書きましたが、漢方では、骨や軟骨、椎間板がどうなっているかという部分的なところは見ません。

体質タイプによって原因が変わってきますので、その体質を分析をしていきます。

「関節の痛み=麻杏薏甘湯」みたいな単純なマニュアル的選び方はしません。

腰痛と言っても、坐骨神経痛のような骨や軟骨に問題がある人から、月経痛に連動している人もいて、月経痛からの腰痛の人は軟骨は何の関係もありませんので、原因や体質のタイプもかなり違ってきます。

漢方的に、腰痛になる人はどんなタイプがいるのかを紹介していきたいと思います。

【寒証タイプ】
手足が冷えやすく、体が冷えたり、寒い冬に腰の痛みが出やすいタイプの原因です。
高齢の人や、かなり長期間、腰痛を患っているという人に多いです。

温めることによって腰痛を治します。

ちなみに寒証タイプでも、その細かな状態によって、選ぶ漢方薬は12種類くらいに分かれてきますので、冷えているから桂枝加苓朮附湯というわけではありません。

また1つ、2つの症状があるから寒証タイプ、というわけではなく、最初に紹介した手足が冷えやすいなどの症状は、あくまで体質の傾向的な話ですね。

ですので、こちらで紹介している症状は、ざっくりとしたものなので、実際は、もっと細かく体の状態や全身の症状から判断していきます。

【水毒証タイプ】
体がむくみやすかったり、頻繁におしっこに行く、逆にあまり行かないなど、水の巡りが悪くなって、それが腰痛の原因になっています。

水の巡りを良くすることによって治します。

麻杏薏甘湯という漢方薬は、利水剤ですので、こちらが原因の場合に使うことが多いです。

ただし、水の巡りをよくする漢方薬はこの他に5種類はありますので、「水の巡りが悪い→無条件に麻杏薏甘湯」という選択にはなりません。

【腎の虚証タイプ】
夜中にオシッコに行くことが多い、下半身や足に力が入らない、寒い時でも足がほてることがあるなど、腎の臓の気が不足して、腎臓周辺、つまり腰あたりの筋肉が弱くなることがあるタイプの原因です。

補腎と言って腎気を補うような漢方薬で治します。

こちらは、2種類の漢方薬を使い分けます。

【脾胃の虚証タイプ】
胃もたれや軟便など、消化器系に問題がある人が腰痛も伴っている場合のタイプの原因です。

消化器が慢性的に弱っていると腰痛を解消するための筋肉がうまく作られずに、じわじわといつまでも悪い状態が続きます。

補脾と言って、消化器の機能を高めて、腰周辺の筋肉をしっかり作られるように調整します。

こちらは消化器の弱り具合によって、5種類の漢方薬を使い分けます。

【胸脇の熱証】
筋肉が張っていたり、筋肉が重い感じが続く、寝つきが悪い、のぼせるなどの症状があるタイプの原因です。

胸脇の熱というのは、肝の臓に不要な熱が滞ることによって連鎖的に発生するのですが、この肝の臓は、筋肉のコントロールをしていますので、肝の臓の不要な熱を鎮めることによって、腰痛が治っていきます。

こちらは、5種類の漢方薬を使い分けます。

【瘀血の証】
いわゆる血の巡りが悪いことによって、腰痛が起こっているタイプの原因です。

このタイプは、月経時の腰痛も関係してきます。

漢方の場合は、全身の状態から体質を判断しますので、腰痛と言っても、よくあるような骨や筋のダメージからくる痛みだけでなく、月経時の腰痛なども含まれてきます。

また、骨や筋のダメージからくる腰痛も血の巡りが悪いことによって、発生します。

血を巡らせることによって、筋肉に不足している血を巡らせて腰痛を治します。

こちらは6種類の漢方薬を使い分けます。

まとめ

西洋医学での腰痛治療は、ほぼ、湿布と鎮痛薬しかありません。

漢方では、腰痛を治りにくくしている「証」という要素を探し出して、それを整えることによって、自分で治していこうとする力を高めます。

漢方では 「寒証だと分析したから温める漢方薬を使う」といったふうに、『体質が分析できたら、使う漢方薬も決まってくる』ということになります。

逆にいえば、この「証」という体質が分析できていないのであれば、漢方薬は選びようがないはずなのです。

ただ、今回、いくつかの腰痛の原因でもある「証」を紹介しましたが、実際は、こんなわかりやすい1つの証ではなく、「寒証」にプラス「瘀血の証」もあり、「水毒の証」もあるという感じが普通です。

選ぶ漢方薬もこれらの複雑に合わさった「証」の全てをカバーできるものを選びます。

「腰痛に効く漢方薬」を選ぶのではなく、「あなたの体質がどうなのか?」を分析して、その体質に合わせて漢方薬を選びます。

体質や原因が違えば、当然、選ぶ漢方薬も変わってくるのですね。

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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ 漢方概論:創元社
◯ 漢方方意ノート:創元社
◯ 漢方臨床ノート(論考編):創元社
◯ 金匱要略ハンドブック:医道の日本社
◯ 傷寒論ハンドブック:医道の日本社
◯ 素問:たにぐち書店
◯ 漢方治療の方証吟味:創元社
◯ 中医診断学ノート:東洋学術出版社
◯ 図説東洋医学:学研
◯ 中国医学の秘密:講談社
◯ 陰陽五行説:薬業時報社
◯ まんが漢方入門:医道の日本社

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

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