漢方薬相談ブログ

漢方薬相談ブログ

苓桂朮甘湯の本来の効果と副作用

  1. 苓桂朮甘湯の効果とは苓桂朮甘湯的な体質のこと
  2. 苓桂朮甘湯の効果(日本漢方)
  3. 苓桂朮甘湯の効果(中医学)
  4. 苓桂朮甘湯の効果(病院)
  5. 漢方薬は合わなければ効果がないし副作用にもなる

病院ではツムラの39番として、よく出されている苓桂朮甘湯。

ネットなどを調べてみると「苓桂朮甘湯術がめまいやメニエールに効く」とか「うつに効く」かのように説明されていたりしますが、漢方薬は、そもそも、めまいやうつなど、特定の病名や症状に効くようにできていません。

そこで苓桂朮甘湯は実際は「どんな病気や症状に効果があるのか?」を解説したいと思います。

『病院の薬』は、薬を作る際にネズミやウサギを実験で使って、その薬には「どんな効果があるのか」「その効果にはどんな有効成分が関係しているのか」ということが、研究によってわかっていますので、薬の効果や成分の説明ができますが、漢方薬には、西洋医学的な効果や成分が存在しません。

そもそも漢方と西洋医学とは何の関係もなく『治療や薬の効果の考え方自体』が根本から違うのです。

その薬の効能効果というのは、『薬効薬理』になるのですが、ツムラなどの保険適応の漢方薬メーカーが提供している医者の使うマニュアルには、苓桂朮甘湯の薬効薬理の記載はありません。

効能効果の記載はありますが、効能効果は、ただ、病名と症状がズラズラと並んでいるだけなのですが、『苓桂朮甘湯は、これらの病気や症状を治す』という意味ではありません。

苓桂朮甘湯を病院の薬の効果のように考えた場合、苓桂朮甘湯の『どんな成分』『体のどの部分に』『どのように効いたのか』が、わからないので、苓桂朮甘湯は、何が効くのか何もわからない薬だということになります。

では『苓桂朮甘湯には効果がないのか?』というと、そうではありません。

漢方で、苓桂朮甘湯の効果というのは『苓桂朮甘湯の条件が合う体質の人』ということになります。

つまり、めまいの人でも、苓桂朮甘湯の条件が合わない体質だと飲んでも全く効きません。

今回は、苓桂朮甘湯の本来の効果とは何かを東洋医学的に詳しく解説していきます。

めまいで苓桂朮甘湯を飲んでいるけれど、よくわからないという人は、ぜひ、見てもらえたらと思います。

苓桂朮甘湯の効果とは苓桂朮甘湯的な体質のこと

苓桂朮甘湯の効果は、大きく2種類あり、それは漢方の治療派閥によって異なってきます。

大きくは『日本漢方』『中医学』によって効果の考え方が変わってきます。

同じ、苓桂朮甘湯なのに、派閥によって効果も合わせる体質のタイプも変わってくるのです。

まずは『日本漢方』が考える苓桂朮甘湯の効果から。

日本漢方では方証相対といって、『苓桂朮甘湯的な体質の人』『苓桂朮甘湯で治る』ということになります。

つまり、本来の漢方では、「どんな効果があるのか?」を考えるのではなく「苓桂朮甘湯が合いますよ」と言われている条件に「あなたの全身の状態」が「合うかどうか?」が、ポイントになってきます。

例えば、めまいでも苓桂朮甘湯の条件のあう人と、柴胡加竜骨牡蛎湯の条件が合う人がいて、柴胡加竜骨牡蛎湯の条件が合う人は、苓桂朮甘湯を飲んでもめまいは治りません。

『苓桂朮甘湯の合う体全体の条件=苓桂朮甘湯の効果』なんですね。

なので、苓桂朮甘湯の効果を知りたい場合、『自分の体質が苓桂朮甘湯の条件に合うかどうか』を考えれば、効果を知ることができます。

日本漢方が考える苓桂朮甘湯が合う体質の条件とは…

〈【病位】少陰病、虚実中間から虚証。
【脈侯】浮弱・浮・沈緊・沈・細
【舌侯】淡紅の舌で広がって大きい・乾湿中間の微白苔・特に変化がないものもある。
【腹侯】やや軟・胸から鳩尾にかけて張った感じ。動悸があり、胃がポチャポチャと音がする。
【証】気の上衝、水毒の動揺、水毒、血虚。

これが、苓桂朮甘湯が合う人の体の状態を示しています。

意味不明ですよね。

でも、これが「あなたの体が、この状態であれば、苓桂朮甘湯が合います」という苓桂朮甘湯で治せる、体質の条件となります。

そして『苓桂朮甘湯の合う体の条件=苓桂朮甘湯の効果』となるわけですね。

効果をあえてまとめるとすると、『気と水が肩から上に滞っていて、さらに体全体の水の滞りがあり、血の不足もみられる状態の人を改善する効果』になります。

めまいやうつに直接、効く成分や効果なんてものはなく、体がこんな状態であれば、めまいやうつの人に使うこともある。と言う意味で、体が違う状態であれば、同じ子めまいやうつでも、他の漢方薬を探す必要があります。

なので、苓桂朮甘湯を処方された際にネットなどで、効果自体を確認したり、どんな病気や症状に効くかを調べても意味がありません。

自分自身の体が上記のような、苓桂朮甘湯に合う条件なのか?を全部チェックする必要があります。

逆に苓桂朮甘湯の体質条件にあえば、めまいやうつに限らず、結膜炎、高血圧、心臓疾患や偏頭痛、バセドウ病、気管支喘息、慢性腎炎、貧血症の方にも使います。

【脈侯】と【舌侯】に関しては、かなり東洋医学の知識が必要となるので、今回は割愛します。

ここでは効果として重要な【病位】と【証】を紹介します。

苓桂朮甘湯の効果(日本漢方)

病位とは、病気が発生してから、どれくらいの時間が経過しているかの時間軸を示しています。

極端に言えば、風邪に使う漢方薬は、何ヶ月も前から患ってる病気には使わないので、病気の時間軸は非常に重要になってきます。

苓桂朮甘湯の病位は、少陽病となっていて、これは5つある時間軸の2番目になるので、急性から、すこし時間が経った慢性の病気に使う。という条件にあてはまってきます。

何ヶ月か前からその病気や症状を患っている人ですね。

年単位のめまいなどには使いません。

次に、虚実中間証から虚証と記されています。

これは、体が弱くも強くもない中間的な人から、虚弱な人までの間の人に使うという意味です。

次に『証』は、全身の症状や体の状態から判断していきます。

「証」とは、その人の病的な体の状態や症状の原因とも言えるもので、体がその状態であれば、苓桂朮甘湯が効果を発揮する。ということになります。

「証」というのは病的な状態のことですが、それを治すのが、その漢方薬とも言えるので、『証=効果』ともいえます。

それでは解説します。

【気の上衝の証】
気の巡りが首からの上の頭で滞っている状態です。

めまいに限らず、偏頭痛やバセドウ病も関係してきます。

【水毒の動揺の証】
水の巡りが滞っていて、滞った場所で、色々な症状をつついてくる状態です。

先ほどの「気の上衝の証」と結びつくと、水の滞りは、肩から上の部位となりますので、めまいに限らず、乗り物酔いや頭痛、肩こり、のぼせ、耳鳴り、難聴、息切れ、感情の不安定感が出てきます。

【水毒の証】
水の巡りが滞った状態ですが、体全体にも水の滞りが起こっているという状態を示します。

全体に及ぶので、オシッコが多かったり、少なかったり、むくみなどが現れます。

【血虚の証】
体で作り出す血と消費する血のバランスが取れていない状態を示します。

息切れや動悸が現れます。

ここで話している症状は単なる例です。

原因がこれらの証であっても人によって出てくる症状が変わります。

出てくる症状が変わるのは、その人の体質や環境によって変化します。

「めまい」という、1つだけの症状では、それが何の原因なのかはわからないので、全身の症状を組み合わせて分析していきます。

そもそも、症状だけを当てはめて考えても、全部が当てはまらないでしょうし、反対にどれかの症状があてはまったらいいのであれば、漢方薬は、どれもこんな感じで症状が書いてあるので、どの漢方薬を選んでも一緒のことになってしまいます。

人によっては、ここで紹介した以外の他の症状も考えられますので、症状を当てはめて考えないようにしないといけません。

この東洋医学的な考え方は、病院では全く考慮されていません。

注意してほしいのは、症状ではなく、分析した結果の4つの「証」が、ピッタリと当てはまらないと効かないということ。

例えば、「気の上衝の証」と「水毒の動揺の証」の2つの証に胃もたれや軟便気味などが加わってくると、苓桂朮甘湯以外の漢方薬を探す必要が出てきます。

『当てはまる証の違い』で選ぶ漢方薬の種類が変わってくるのですね。

更に証だけでなく、さっきの虚実、病位などの他の条件も、全部、あてはまって、初めて苓桂朮甘湯が合う体質となります。

「どんな病気に使うのか」、「どんな効果なのか」を考えるのは無意味になります。

一例を出すと、苓桂朮甘湯は、高血圧症に使うこともあります。

苓桂朮甘湯がどんな病気にでも使えるのではなく、めまいの薬でもなく、あくまで、『4つの証とその他の条件にあてはまる体質なのか?』になります。

ややこしく細かいですが、だからこそ、一人一人の体質に合わせた治療ができるのですね。

また苓桂朮甘湯に限らず、漢方薬の副作用は、特定の症状が発生するわけではなく、自分の体質と苓桂朮甘湯の効果が合っていなければ発生します。

合っていなければ、出てくる症状なので、その人の体質と苓桂朮甘湯の効果を照らし合わせて、どんな症状が副作用にあたるのかをその都度、考えていく必要があります。

苓桂朮甘湯の効果(中医学)

中医学は、日本漢方とは、苓桂朮甘湯が合う条件も効果の考え方も少し違ってきます。

【効果】温化寒飲、建脾利水
【脈侯】沈
【舌侯】淡紅の胖大・舌苔は白滑。
【適応症】脾虚の寒飲といって、消化器の弱さである食欲不振や悪心、嘔吐が基本にあり、それに冷えが合わさり、不要な水が滞っている人に合うもの。とされています。

中医学は伝統的な漢方に西洋医学の考え方を混ぜて、学校で教えやすいように作り直された教育用の漢方なので、日本漢方よりは、西洋医学的でわかりやすいです。

中医学でも症状を当てはめて選ぶことはできません。

副作用というか、のぼせやほてり、顔が赤くなるのが、熱証の場合には使ってはいけないとされています。

僕は国際中医師という中医学の医師である認定を受けていますが、中医学の説明はわかりやすくて良い一方で、実際に、具体的にどうやって体を分析すれば良いのかわからないし、治らないのでやめました。

今回は、こういう効果の考え方もあるという意味で紹介しました。

苓桂朮甘湯の効果(病院)

最後に保険適応のツムラの苓桂朮甘湯の添付文書から引用したいと思います。

ツムラの苓桂朮甘湯の効能効果
〈ツムラ39番苓桂朮甘湯添付文書より引用:めまい、ふらつきがあり、または動悸があり、尿量が減少するものの次の諸症;神経質、ノイローゼ、動悸、息切れ、頭痛。

効能効果という名目になっていますが、『こういった人に使うこともある』といったもので、「これらの症状を治す」という意味ではありません。

効能効果なのに治すわけじゃないのはなぜかについては、★で解説していますので、ぜひみてください。

また、効能効果にある症状は、『これらの症状を体質分析の参考にする』という意味で「この症状を治す」ものではありません。

このマニュアルを見て、医者が「おかしい」と思わないのが不思議です。

⭐️⭐️何の分析もせずに、これで治るわけがありません。

ここから原因を分析して、苓桂朮甘湯と合うのかを考えないといけないのに、原因の分析を完全に放棄しています。

さっきの中医学と同じで、こんな感じの病名や症状は、そもそも、いくつかでも当てはまればいいのか、全部が当てはまらないといけないのか、何個以上か当てはまればOKなのか、わかりませんよね。

もちろん、症状をあてはめるわけではありません。

似たような症状が書いてある漢方薬は他にいくらでもありますので、「だったら、どん漢方薬を飲んでもよいのか」という話になってきます。

それでは、その人に合わせて選んでいることには、なりません。

医者は一人の患者さんに時間をかけないし、漢方の医学理論を知らないのか、テキトーに選んでも、これがおかしいと思っていないようです。

当然、こんなレベルな選び方で治るわけがなく、治るか治らないかは単なる運任せとなります。

副作用の欄に書いてあるのは…うーん、正直、何のこと言っているのかわかりません。

僕からみると西洋医学的に勝手に設定したものになっています。

こういった資料はネットでも調べられるので、めまいって書いてあるから苓桂朮甘湯で治るなら、別に医者がやらなくても、日本語が読めれば誰でもできるように思います。

漢方薬は合わなければ効果がないし副作用にもなる

漢方薬は、効能効果に書いてある病名や症状だけを見ると似たような病名や症状のものが、いくらでもありますので、実際は、病名や症状だけで選んでいくのは不可能です。

そして効果が高いかどうかよりも『自分の体質に合っている確率が高いかどうか?』が重要になってきます。

漢方薬は症状を抑えるものではないので、『漢方薬が合っているかどうか?』を知るためには体質、つまり『証』を判断していないと、合っているかどうかさえ確認できないので、東洋医学的な体質を分析、判断しないで、効果があるかどうかは確認できないはずなんですよね。

また、あなたの体質と漢方薬が合ってない場合は、副作用となり、病気はよりひどいことになる可能性もありますので、やはり体質がわかっていないと副作用もよくわからないことになります。

●めまいや耳鳴りで、お悩みの方は、こちらの「漢方無料相談」から送信してください。

●お問い合わせは、こちらから送信してください。

●店頭相談のご予約は、こちらから、ご予約ください。(店頭も初回の相談は無料です)

日本全国オンライン相談受付中!

※全国(北海道、青森、岩手、仙台、東京都内、群馬、横浜、富山、福井、滋賀、名古屋、京都、奈良、大阪、兵庫、岡山、福岡、大分、鹿児島など)からネット、メール、電話、LINEやメッセンジャーなどのテレビ電話などのオンライン相談を受付中です!

【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ ツムラ医療用漢方製剤マニュアル
◯ オースギ医療用漢方製剤マニュアル
◯ 漢方方意辞典:緑書房
◯ 漢方診療医典:南山堂
◯ 類聚方広義解説:創元社
◯ 勿誤薬室方函:創元社
◯ 漢方処方応用の実際:南山堂
◯ 中医処方解説:神戸中医学研究会
◯ 漢薬の臨床応用:神戸中医学研究会
◯ 近代漢方薬ハンドブックⅠⅡⅢ:薬局新聞社刊
◯ 平成薬証論:メディカルユーコン

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

著者の詳細情報はこちら

FacebookTwitterInstagram