
漢方薬の本当の効果とは?五積散の本来の効果と副作用
病院ではツムラの63番としてよく出されている五積散。
ネットなどを調べてみると「五積散が更年期障害に効く」とか「腰痛に効く」かのように説明されていたりしますが、そもそも、漢方薬は、更年期障害とか腰痛など、何か特定の病名や症状に効くようには、できていません。
そこで、五積散は実際は、「どんな効果」があって、「その効果はどんな仕組みなのか?」また「副作用」には、どんなものがあるのかを解説したいと思います。
五積散を処方されたけれど、効果がわからない人は、今回の動画をみて本当に自分に合っているのかを確認してみてください。
五積散の効果とは
薬の効果には、根拠が必要です。
例えば、痛み止めに使われるロキソニンという薬は、 ロキソプロフェンナトリウム水和物という成分が、痛みの発生に関わるプロスタグランジンという生理活性物質を働けなくして、痛みを抑えます。
何の根拠もなく、「この薬、どう効くか知らんけど、これ飲んでみる?」なんてのは、普通はありえませんし、それは、プロの仕事ではありません。そんなの怖いですよね。
しかし、医者などは、漢方薬ではこういったことを平気でやっています。
当たり前ですが、五積散の効果にも根拠が必要で、その効果には、 次の6つのものがあります。
1頭にのぼった気を体の下の方へ降ろす効果
2下半身の冷えを温める効果
3胃腸で停滞した気の巡りを巡らせる効果
4胃腸に滞った不要な水を取り去る効果
5月経に関わる血の巡りを温めて巡らせる効果
6上半身や体表面の冷えを温める効果
となります。
2下半身の冷えを温める効果
3胃腸で停滞した気の巡りを巡らせる効果
4胃腸に滞った不要な水を取り去る効果
5月経に関わる血の巡りを温めて巡らせる効果
6上半身や体表面の冷えを温める効果【終わり🎞️】
さっきのロキソニンのような「ロキソプロフェンナトリウム水和物という成分が、痛みを抑えてくれます!」みたいな説明をしたいところですが、漢方薬は、何かの成分で効果を考えません。
『病院の薬』は、事前の研究によって、その薬には「どんな効果があって」「その効果にはどんな有効成分が関係しているか」ということがわかっていて、基本的には1つの症状を1つの成分で抑えようとします。
だから、根本治療になりませんが、薬の効果や成分の説明ができるようになっています。
しかし漢方薬には、そもそも西洋医学的な効果や成分が存在しませんし、1つの症状を1つの成分で抑えることが目的でもありません。
また、五積散には、エストロゲンなどの女性ホルモンが含まれていませんし、痛みを抑えるための直接的な働きもありません。
更年期障害を治す成分なんて何もないのです。
そもそも、更年期障害の原因って1つじゃないですから。
気をつけてほしいのは、「6つの効果のうち、どれか1つ、2つの症状が当てはまっているから選ぶ」ものではないということ。
というのも、漢方薬は、1つずつの症状を抑えるのではなく、体全体を見た時に6つの原因を全部、整えて、結果的に症状などを治していくからです。
つまり、自分が、五積散の6つの効果が必要な体なのかどうかを全身から分析することが必要となります。
そもそも漢方と西洋医学とは何の関係もなく『治療や薬の効果の考え方自体』が根本から違うのです。
ですので、どちらも薬だからといって、漢方薬の効果は、西洋医学と同じように考えても意味がありません。
6つの効果が必要な体の状態であれば、6つの効果が合わさって、体全体のバランスが取れるようになり、結果的に更年期障害や腰痛が治ります。
なぜ、体全体のバランスが取れるようになると、更年期障害や腰痛が治るのか?
そもそも、ホットフラッシュや腰痛という症状自体は、体の中のシステムがうまくいかなくなったことを知らせるための警告サインの役割でしかありません。
本当は、症状が原因ではなく、その奥に隠れている原因が問題なのです。
その原因は、体のあちこちにあるので、体全体を整える必要があり、原因を調整すれば、体のシステムがうまく働くようになり、警告サインである症状を発生させる必要がなくなります。
つまり、症状は根本的になくなります。
病院の薬は、警告サインにすぎない症状自体を直接、強制的に抑えようとしますが、根本的に治そうと思ったら、これは、全く意味がありません。
なぜなら、原因を治さない限り、症状は発生し続ていくからです。
漢方薬は、症状自体ではなく、症状の原因を治すのですね。
そして、五積散の6つの効果というのは、「6つの原因で体の調子が崩れている人を治す」という効果になります。
更年期障害や腰痛など、病名や症状が同じでも原因は人それぞれ違います。
原因は人それぞれ違い、その原因は、いつくものパターンが存在します。
その原因のパターンが、五積散のような6つのパターンと一致すれば、五積散とあなたの体質がマッチングして、ホットフラッシュや腰痛はなくなります。
ここで本当に注意しないといけないのは、同じホットフラッシュの人でも、『体全体の調子が崩れているパターン』は、人それぞれですので、「ホットフラッシュや腰痛」だけで、五積散を選んでも効果はありません。
あくまで、「その原因は何なのか?」を探る必要があります。
となると、ネットにある漢方薬の説明や医者が処方する時に「更年期障害」や「ホットフラッシュ」、「腰痛」という病名や症状だけで漢方薬を処方しているのは、何の根拠もないことになります。
だって、原因自体は解明していないから。
「効くかどうか、よくわからないけど、マニュアルに書いてあるからこれでいっか!」という感じになっているのですね。
『五積散が治せる7つの体の条件が合う人』は、五積散を飲めば効果があります。
逆に五積散が治せる7つの体の条件と合わなければ、効果は全くありません。
つまり、『五積散の条件が合う体質の人=五積散の効果』となります。
なので、ホットフラッシュとか腰痛という病名や症状は、漢方薬を選ぶ際には、何の関係もありません。
ホットフラッシュという症状以前に五積散が治せる条件のパターンと合わなければ、飲んでも何も効果がないのです。
結局、病名や症状ではなく、体質を分析して、漢方薬を合わさないと、その漢方薬は効果を発揮しない!ということです。
五積散の効果とは五積散の条件に合う体質のこと
五積散の6つの効果は、そのまま、あなたの体の状態が、そうであるかどうかという意味でもあります。
1頭に気が昇っている状態→頭にのぼった気を体の下の方へ降ろす効果
2下半身が冷えている状態→下半身の冷えを温める効果
3胃腸の気が停滞して胃腸機能が低下している状態→胃腸で停滞した気の巡りを巡らせる効果
4胃腸に不要な水が滞って胃腸機能が低下している状態→胃腸に滞った不要な水をかきだす効果
5月経不順で月経トラブルがある状態→月経に関わる血の巡りを温めて巡らせる効果
6上半身や体表面が冷えている状態→上半身や体表面の冷えを温める効果
といった感じで、他の5つも、その悪い状態をそのまま治すのが五積散の効果になります。
そして、6つの体の状態が合わさって、それが原因でホットフラッシュや腰痛、などが起こっていることになります。
要するに、体は全部つながっているので、不調を根本的に治す場合は、体全体を治さないと、治らないという考え方。
漢方では、病院の薬のように「症状だけを抑える」という考え方自体が存在しません。
また漢方では、何か1つの原因でホットフラッシュなどが発生していると考えません。
体全体を分析して、特定のパターンを見つけ出し、そのパータンに従って体全体を整えることによって、ホットフラッシュなどの症状がなくなっていきます。
『6つの体の状態は、更年期障害や腰痛を起こしている原因』といえます。
同じ更年期障害や腰痛でも、体がこの6つの状態でない場合は、五積散が治せる原因ではないことになります。
体が五積散のパターンでない時には、他にも更年期障害や腰痛で使う漢方薬は40種類位ありますので、他の漢方薬を探す必要があります。
漢方薬は、漢方薬ごとに治せる体の状態の条件が示されているので、自分の体全体が、どの条件にあてはまるかを探すことが、自分に合った漢方薬を選ぶことと同じになります。
漢方薬は『五積散の条件が合う体質の人=五積散の効果』となるので、全身の体の状態を分析せずに、漢方薬を合わせるのは不可能なのですね。
つまり、ネットの解説や医者の選び方は、デタラメなのです。
条件は、まだまだありますので、更に五積散が合う人の条件を詳しく解説します。
五積散が合う人の条件
僕が実践している日本漢方では、先ほどの条件以外にも他の色々な条件があります。
これらが全てあてはまって、はじめて、『五積散を飲めば効果がある』という状態になります。
なので、ややこしい話には、なりますが、五積散の本当の効果を知りたい場合、『自分の体全体が五積散のすべての条件に合うかどうか』を考えれば、効果を知ることができます。
五積散が合う体質の条件とは…
【病位】太陰病。
【虚実】虚証。
【脈侯】弦やや弱・沈
【舌侯】乾湿中間で微白苔。
【腹侯】やや軟か軟。時に心下ひ・上腹部に浸水音。
【証】1頭にのぼった気を体の下の方へ降ろす効果
2下半身の冷えを温める効果
3胃腸で停滞した気の巡りを巡らせる効果
4胃腸に滞った不要な水をかきだす効果
5月経に関わる血の巡りを温めて巡らせる効果
6胃腸に滞った不要な水を取り去る効果
7上半身や体表面の冷えを温める効果
これが、五積散が合う人の体の状態を示しています。
【証】というのが、冒頭で説明した1〜6の五積散の効果でもあり、体がその状態でもあります。
【病位】とは、病気が発生してからどれくらいの時間が経過しているかの時間軸を示しています。
極端に言えば、風邪で使う漢方薬は、何ヶ月も前から患ってる病気では使いません。
五積散は、太陰病とされているので、病気を長く患って慢性化が続き、それが長引いている人に合うものです。
【虚実】というのは、どれくらいの体力があるのかを示しています。
漢方薬は、飲む人の体力と漢方薬の強さを合わせる必要があります。
例えば、インフルエンザに効く漢方薬だと勘違いされている麻黄湯ですが、非常に薬性が強いため、胃腸が弱く、体力のない華奢な人には合いません。
体の弱い人が麻黄湯などの強い漢方薬を飲むと胃痛を起こし、余計に状態が悪くなります。
逆に体力のある人が、弱い薬性のものを飲むと薬性が弱くて、何も効いてないなんてことになりますので、自分がどのくらいの強さの薬性が飲めるのかを知る必要があります。
五積散は、虚証となっていますので、体の弱い人で、その状態が長引いている、更年期障害や腰痛などがある人に合うものです。
【舌侯】は舌の状態をみます。
舌の状態から、体に不要な熱がこもっているとか、水の滞りが多すぎるなどがわかります。
五積散は、乾燥も湿りもない普通の舌でやや舌の上に白い苔がある人に合うものです。
【腹侯】はお腹の状態から体の状態をみます。
五積散は、お腹が軟らかく、鳩尾が詰まって、胃がポチャポチャと鳴る人に合うとされています。
そして、【証】は、冒頭で説明した五積散の6つの効果のことで、同時に五積散が治せる体全体の状態のことを示しています。
五積散が合うかどうか、つまり効果を発揮するかどうかは、自分自身の体が、このような条件にあてはまっているか?を全部チェックする必要があります。
病院の薬は、頭の痛みがあるから、痛みを抑える効果の鎮痛剤を選びますが、漢方薬は、痛みを抑える効果があるものを探すのではなく、痛みの原因を調整してくれるものを探します。
ある特定のパターンの体の状態に対して合うか合わないかを考えるのですね。
どんな病気に使うのか、それが、どんな効果なのかを考えるのは、全く意味がありません。
五積散の条件に合う状態で、なおかつホットフラッシュや腰痛がある場合は、五積散で治りますが、五積散に女性ホルモンの成分や眠らせる成分はないため、五積散の条件に合わない体の状態であれば、何も効果がありません。
五積散に限らず、漢方薬の副作用は、特定の決まった症状が発生するわけではなく、自分の体質と五積散の効果が合っていなければ発生します。
例えば、ホットフラッシュがあっても、胃腸の調子が悪くないのであれば、五積散のパータンと合っていないので、他の漢方薬を探す必要があります。
漢方薬は、自分の体質と合わなければ副作用を起こしますので、医者のように更年期障害に柴胡桂枝乾姜湯と、体質を分析せずに選ぶ場合は、副作用が起こる可能性はかなり高くなります。
漢方薬は合わなければ効果がないし副作用にもなる
漢方薬は、病院の薬とは全く違うものです。
病院の薬の場合は、ある成分が強制的に症状を一定時間だけ抑えるようになっています。
これを「効果」と呼んでいます。
漢方薬の場合は、漢方薬の条件に示されている体の状態を治すようにできています。
ですので、漢方薬の効果とは、その漢方薬に設定された『体全体の条件』ということになります。
これを体質とか病気の原因と呼んでいます。
ネットや医者の使っているマニュアルの効能効果の欄に書いてある病名や症状だけを見ると似たような病名や症状が書いてある漢方薬は、いくらでもありますので、実際は、病名や症状だけで自分に合った漢方薬を選ぶのは不可能となります。
そして効果が高いかどうかよりも『自分の体質に合っている確率が高いかどうか?』が重要です。
漢方薬は症状を抑えるものではないので、『漢方薬が合っているかどうか?』を知るためには体質、つまり(証)を判断していないと、合っているかどうかさえ確認できないので、東洋医学的な体質を分析、判断しないで、効果があるかどうかは確認できません。
また、あなたの体質と漢方薬が合ってない場合は、副作用となり、病気はよりひどくなる可能性もあります。
当店では、人それぞれの体質を分析して、その人独自の原因に合わせて漢方薬をお選びします。
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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ ツムラ医療用漢方製剤マニュアル
◯ オースギ医療用漢方製剤マニュアル
◯ 漢方方意辞典:緑書房
◯ 漢方診療医典:南山堂
◯ 類聚方広義解説:創元社
◯ 勿誤薬室方函:創元社
◯ 漢方処方応用の実際:南山堂
◯ 中医処方解説:神戸中医学研究会
◯ 漢薬の臨床応用:神戸中医学研究会
◯ 近代漢方薬ハンドブックⅠⅡⅢ:薬局新聞社刊
◯ 平成薬証論:メディカルユーコン
